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アブラヒモビッチのゲーム、そしてロシアサッカーの世界~おそロシア~

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西側のおとぎ話は「むかし、むかし、あるところに・・・」で始まる。
東側のおとぎ話は「やがて、いつかは・・・」で始まる。


共産圏のジョークより



さて、皆様、こんにちは。本日のお題は「ロシアのサッカー事情」でござる。ブログを分割したんで、こっちでは好き放題サッカーの話が出来ますんで、今日もちゃっちゃと更新でございます。今回は、ロシアサッカーの話を小咄形式で紹介したいと思います。やっぱり怖いロシアサッカー。最近は本田がCSKAから移籍できなくて、「シベリア抑留」なんて言われてますが、あんなん、ロシアサッカーの恐ろしさの一部に過ぎません。



アブラヒモビッチのゲーム、チェルシーという名のロシアンルーレット

ロシアで1990年代に政界に大きな影響力を誇った新興財閥の代表的な実業家で、その後のプーチン大統領との対立でイギリスに亡命していたボリス・ベレゾフスキー氏がロンドン郊外の自宅で死亡し、イギリスの捜査当局が死因を調べています。



ロシア大統領と対立の新興財閥死亡

こんなニュースが飛び込んできたからです。おそロシアという奴なんですが、まー、これ、暗殺の香りがぷんぷんしますよね。



これ、アレックス・モンゴメリー著の「プレミアリーグの戦術と戦略」のなかに、なんでアブラヒモビッチはチェルシーを買ったのかって話があります。プレミアリーグに詳しくない人のために補足しますが、ロシアの新興財閥、オリガルヒのボスの一人だったアブラヒモビッチがプレミアリーグのチェルシーを買収したのは2003年の事です。


なぜ、彼は、チェルシーを買ったのか?


これ、いわゆる一つの「金持ちオーナーの気まぐれ」って訳じゃないんです。彼がチェルシー買ったのは「僕の考えた最強チーム」という男のロマンのためじゃないんですね。これ、「プレミアリーグの戦術と戦略」から引用しますが、


「アブラヒモビッチにとって、チェルシーが儲かるか儲からないかというのは問題ではなかったのです」


ロシア事情に詳しいある情報筋はそう明かしてくれた。


「プーチン政権によるオリガルヒへの追求から逃れるためには、財産を全て投げ出すか、国外へ逃亡するしかない。そこまでロシア国内の事情は差し迫っていました。でも、ロンドンの名門クラブを買収した事で、さすがのプーチン政権もアブラヒモビッチに手を下すことはできなくなってしまいました。さらに、チェルシーが強くなり、欧州の頂点にまで立った事で、ますます弾圧することが難しくなってしまいました。イギリスの首都ロンドンに居を置く名士として、その地位は確立されたも同然ですから」


アブラヒモビッチが赤字覚悟で補強を続ける理由。


それは自らの財産と地位を保証するための生きる術だったのだ。



プレミアリーグの戦術と戦略 日本人選手活躍の条件 (ベスト新書)

プレミアリーグの戦術と戦略 日本人選手活躍の条件 (ベスト新書)



というものです。アブラヒモビッチは、ボリス・ベレゾフスキーと同じく、ロシアの新興財閥のボスの一人です。ただ、プーチンが大統領に就任して以来、新興財閥を片っ端から潰して回ったのは有名な話でして、アブラヒモビッチも当然狙われていたわけです。アブラヒモビッチのチェルシーへの投資は、自分の命への投資でもあるわけです。彼が生き残るための保険だったんですね。チェルシーに、アホみたいに金つぎ込んでますし、ちょっと負けがこんだだけで、速攻で監督のクビを飛ばしますが、チェルシーとは、彼にとって、自分の命をかけたゲームそのものであって、負ける訳にはいかないんです。とまあ、そういう訳ですので、アブラさんが、時々、気が狂ったとしか思えない監督解任に走っても、大目にみてやってください。こういう裏事情があるわけですよ。


チェルシー、それはアブラヒモビッチの生命をかけたゲームなわけです。このゲームに負けたらプーチンにぶっ殺されかねない。



ロシア、サッカーで死人が出る国(ただし死者はピッチの外で出る)


さて、次の話に移るんですけど、アブラヒモビッチと新興財閥とサッカーって、ちょっとした関係があります。もともと、ロシアの新興財閥に関しては、ソビエト連邦崩壊後の混乱の中、市場経済導入の過程で、様々な優遇措置を受ける事で財をなしたグループです。このような優遇措置の一つに、税制の優遇、関税の免除があります。これらを巻き込んで政財界、ロシアンマフィアの癒着がどんどん進行していきます。特に銀行は様々な優遇を受けていた為、ロシアンマフィアの抗争にしばしば巻き込まれました。この時期、ロシアの民間銀行の頭取がマフィアに暗殺される事件が多発してます。



それで、なんですが、こっからがロシアのサッカーの話になるんですが、1990年代初頭、ロシアのサッカーも又、どん底の状態にありました。収入はなく、選手に払う給料もないという奴です。そんな中、ボリス・エリツィンがスポーツ大臣に彼のテニスコーチだったシャミル・タルピシェフを任命した事から、全てが始まります。



タルピシェフはエリツィンに対して、スポーツクラブが別口の収入を得られるように、酒とたばこを無税で輸入できるようにすべきだと提案しました。これが彼の考えだったのか、それとも又、別の黒幕がいたのかはわかりません。これによって、スポーツクラブは、酒とたばこを輸入して売れば、普通の輸入業者より遙かに効率良く利益を出すことができるようになった訳です。



これは非常に大きな利権でした。その結果として、ロシアマフィアが、このビジネスに食いついて、スポーツクラブに食指をのばし始めます。マフィア同士がスポーツクラブを争って抗争を繰り返すようになり、1990年代、ロシアのサッカー関係者が殺人事件に巻き込まれる事になります。



この時期のロシアでは、銀行関係者やスポーツ関係者がマフィアに暗殺される事件が多発してるんですが、この原因となったのが、銀行やスポーツクラブに与えられた「関税の免除」を巡るものです。


デクラン・ヒル著の「黒いワールドカップ」の中に、当時起きたロシアサッカー界での暗殺事件のリストがあるので、それを引用しますが、

CSKAモスクワの会長エフゲニ・ギネルの息子ワディムと運転手は暗殺未遂事件で襲撃された。
ノヴォシビルスクで地元サッカー協会の会長をしていたウラジミール・バレエフが殺害された。
サッカークラブ、ルフ・エネルギア・ウラジオストクの幹部、ビクトル・スクリパルが殺害された。
サッカーエージェントのユーリ・チシコフが殺害された。
スモレンスクが拠点のサッカークラブ、クリスタルで2002年に会長だったウラジミール・プロホロフが殺害された。
CSKAモスクワのニコライ・レノ会長が謎の自殺未遂。
CSKAモスクワの幹部アンドレイ・トルビツインが拷問を受けて脅迫された。
CSKAモスクワに所属するコーチの妻ナタリア・ドルマトフが行方不明に・
サッカークラブ、ロトル・ボルゴグラードの名誉会長ウラジミール・ゴリュノフの息子が殺害された。
サッカークラブ、クリスタルで1999年に会長だったアレクサンドル・シュカドが殺害された。


というものです。本田が所属してるCSKAモスクワの名前が目立ちますが、CSKAはもともとロシア陸軍のチームだったんですけど、2000年代初頭、前述した利権をめぐるマフィアの抗争に当然のように巻き込まれまして、その結果がコレです。



サッカーは戦争だ!なんて言った文豪がいますが、ロシアにおいてはサッカーは一時、ホントに戦争状態だったというオチです。


CSKAの奨励報酬とロシアサッカーの八百長の文化

「捕まらない限り泥棒じゃない」


古いロシアのことわざより


さて、現在、CSKAは「奨励報酬」なるものを他チームに支払って、八百長に荷担しないようにしてます。これ自体がCSKAによる他チームへの買収みたいなモンだろ!!とか思う人もいるかもしれませんが、これがロシア的事情という奴です。CSKAから、他のクラブにいった選手がイマイチ活躍できなかったりしますが、こういう裏事情があるわけですから、CSKAの成績については、そのあたりさっ引いて考えないといけないわけです。



笑っちゃう話ですが、ロシアサッカーといったら八百長です。これは、もうソビエト時代から続く伝統みたいなモンです。もっとも、ロシアサッカーの関係者はそれを認めないでしょう。冒頭にはった通り、「捕まらない限り泥棒じゃない」からです。




これ、サイモン・クーパーの出世作、「サッカーの敵」にロシアのサッカーと八百長事情のコミカルな文章があるので、それを引用しますが、


ぼくはウラジミール・シンカリョフと彼の仕事場である科学アカデミーに座っており、ウラミジーミルはロシアのフットボール雑誌の記事を読んでくれていた。記事はロコモティフ・ニジニ・ノヴゴロドの監督ワレリー・オフチニコフへのインタビューだたが、その中でオフチニコフはやぶからぼうにしょっちゅう審判を買収していると語った。「やってるのは俺だけだと思うか?」オフチニコフは尋ねていた。シンカリョフは表情も変えずに記事を読み、その先を読み続けようとするので、ぼくは割って入った。「これはスキャンダルにならなかったんですか?」シンカリョフは説明した。「最近のロシアはスキャンダルだらけで、すっかり麻痺してしまったから」



言いたいことはよくわかる。スターリンが自国民を何百万人と虐殺していたこと、五カ年計画は何百%もの達成率を誇っていなかったこと、西側の食料支援がいずこともなく消え去り、しばらくしてから店頭に並ぶことを知ったあとでは、フットボールの監督が賄賂を贈る程度ではなかなか騒げまい。少し前、一部リーグの18人の監督が「リーグで八百長試合はありますか?」と尋ねられたことがあるが、18人全員が「イエス」と答えた。次の質問、「あなたのチームは八百長に参加したことがありますか?」には全員が「ノー」だった。

また、サイモン・クーパーとロシアの地元のジャーナリストで、レフェリーの買収について論争した話が、これまた傑作なんで、引用しときますが、


「昔、若かった頃、年上のジャーナリストから言われたよ、『悪いレフェリーはPKやオフサイドを与えるが、いいレフェリーは中盤でとめることができる』違いはそれだけだ。レフェリー?レフェリーなんかどこだっている。ここのレフェリーはすべてをみてる」彼は空を指さし、ぼくは話題を変えた。


これ、傑作ですけど、審判への賄賂に対する考え方が、まあ、全然違うんですね。もう審判やマフィアへの支払いは、税金と同じレベルです。



本田がなかなか移籍できなくて、日本のファンはいつものガッカリさせられますけど、実は、CSKAとロシアサッカーには、こういった裏事情がありまして、他の国のクラブとしては、CSKAでの成績をそのまま鵜呑みにするわけにはいかない状況だったりします。ロシアサッカー自体、八百長まみれっぽい為、リーグ戦を参考にできないんですね。これは、他の東欧のリーグほとんどに当てはまる問題でして、東欧のリーグだと八百長がはこびってますから、そこから選手を買うときには、もの凄く注意する必要があるわけです。




ちなみにですが、ロシアの隣国のウクライナでも状況は似たようなモンで、ウクライナではサッカークラブに免税特権を与えられてました。ウクライナのクラブ、ディナモ・キエフはそれを利用して西側の会社と合弁会社を設立。利益が免税なんで、月、百五十万から二百五十万ドルの利益を上げたと言われてます。当然、そこにもマフィアが入り込みました。ウクライナのチーム、シャフタール・ドネツクはこないだCLにも出ていたので有名かと思いますが、シャフタールのオーナー、アルト・ブラギンと5人のボディガードが殺害されるなんて事件が起きた事もあります。東欧の国だと、マフィアへの支払いは税金みたいなモンになってるわけです。勿論、八百長はウクライナにも存在します。ディナモ・キエフの話で、サイモン・クーパーがそれに言及してます。マフィアに選手が脅迫された話や、ディナモ・ファンのマフィアのボスが暗殺されて、それにディナモの選手全員が参列した話とかね。


滅茶苦茶だろ、って思うかもしれませんが、東欧の話って、日本に住んでる身からするとファンタジーすぎてついて行けません。



最後に、東欧系マフィアとアジア系マフィアの資金源の違い


さて、最後になりますが、


欧州CL抽選で操作あった?元国際審判がトルコのテレビ番組で“告発”



まーた、こんな話が出てきてます。こっちはUEFAの腐敗とかの話にも繋がるんですが、トルコ、ウクライナあたりはマフィアがスポーツクラブ運営してるような状態なんで、なんか、そっちであったんかな?こんな暴露して?と思ったニュースです。



トルコだと、近年、フェネルバフチェSKが八百長疑惑でCL出場権剥奪されて、トラブゾンスポルが出る事になった騒ぎがありましたが、同じ八百長疑惑のポルトとの違いは一体・・・という奴です。これねえ、キナ臭いニュースですよ。なんか裏であったんでしょう。



これ、東欧とかだと、スポーツクラブ(サッカーのクラブ)が免税特権もってるケースがあって、そこにマフィアが目をつけて、マフィアがサッカークラブの経営に乗り込んでくるってのがあるんです。ウクライナとロシアは、そういった形でマフィアがサッカーに入り込みました。最初は、サッカークラブの経営を助ける為のアレだったんでしょうが、免税特権のせいで、マフィアとの癒着に発展するケースがあるので、正直、どーなのよって思うわけです。トルコもマフィアが国を牛耳ってるような状態なんで、なんかキナ臭いんですよね、このニュース。




これ、東欧とかのマフィアがサッカーと関わる場合の典型ケースなわけです。アジアのマフィアの場合、サッカーの結果に賭けるオンラインギャンブルが資金源ですけど、東欧の場合、サッカークラブの免税特権を資金源としてるケースになるんですね。



以前、どこかで「ヨーロッパみたいにJリーグのチームにも免税特権を与えるべき」というアレをみた事があるんですが、「そんな事したらヤクザがサッカーに手を出してくるから駄目だろ・・・」というのが僕の意見な訳です。免税特権とかはいると、大抵、ヤーの字が出張ってくるんですよ。東欧というアレなモデルケースがあるので、僕はそういうのはするべきじゃないと思ってます。



最後になりますが、ヨーロッパサッカーって、裏に回ると、ホントに真っ黒な世界です。特に東欧になると、ホントにアレな話ばっかりで嫌になります。最近、FC東京から梶山がギリシャに移籍しましたが、ギリシャに行く位ならJリーグでいいだろ・・・と。ギリシャリーグも汚職で有名なんですよ。だから、そういうリーグに僕は日本人選手に行って欲しくないんです。



サッカー=ギリシャ八百長事件、1部リーグの2会長も逮捕



こんなニュースありましたけど、欧州だと、トルコ、ギリシャ、ウクライナ、ロシアのサッカーリーグは八百長とかマフィアの話が絶えないので、サッカーを真面目にやりたいなら、行くべきリーグじゃないと僕は思うわけです。他にもセルビア、ベルギーでも八百長が問題になったばかりだし、海外行けばいいって時代じゃないんです。海外のサッカーリーグは八百長が蔓延してるリーグが結構あって、そういう場所にいっても成長はできませんよ、と。最悪、命の危険まであるわけで。



やがて、いつかは、こんなカオスな状況も終わる日が来るのかもしれません。やがて、いつかは・・・。



今日はそんな所で。ではでは。


2013年W杯最終予選、日本代表対ヨルダン代表のプレビュー、「スローインの戦術」

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さて、皆さん、こんにちは、明日はいよいよW杯最終予選のヨルダン戦です。明日の試合に勝てば、日本は世界最速でW杯出場が決まります。さっさと決めてしまって、あとは普段出れない選手に出場機会を与えてあげたいですし、ザックも「明日で決める」と言ってますから、明日のヨルダン戦は楽しみですね。久々のガチの日本代表を見れますから。


さて、そんな日本代表なんですが、ちょっと気になった記事が出てまして、こんな奴です。

 照りつける日差しの下で迎えた、ドーハでの直前合宿最終日。香川は練習後にザッケローニ監督と約5分間、緊急会談を持った。「ポジショニングとかサッカーのことを話しました。こういったところをつければいいのではないかとか…」。その「こういったところ」の一つが、スローイン時のヨルダンの守備の甘さだという。

 前日23日のミーティングなどで、香川は21日のベラルーシ戦を含めた相手の情報を入手している。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」と指摘。「泥くさい得点でも得点は得点。どういう形でも、1点、2点取れるように」と、結果へのこだわりを見せた。



香川、W杯弾「どういう形でも取る」 練習後ザック監督と緊急会談


こういう記事でした。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」って話をしたみたいで、どうもヨルダン代表、スローインの時に不味い守備があるようです。



そんな訳ですんで、本日はヨルダン戦のプレビューとして、サッカーにおけるスローインの話をしようと思います。スローインに関しては、サッカーにおいて、重要なセットプレーの一つでスローインからのゴールってのもしばしばあります。



えっと、今回のプレビューは、主にスローインの話になります。香川がどうもスローインからの展開でゴール狙ってるようなので、スローインの時の戦術の話でもしようかなっと。そういうわけです。多分、他にやってる人はいないんで、こっちなら割と新ネタっぽくなるかなと。



サッカーにおけるスローインのルールについて


さて、スローインなんですが、これルールとして、幾つか抑えておいて欲しいのが、


  • GKがスロアーをつとめても構わない
  • スローインからの直接ゴールは認められていない
  • スローインではオフサイドは取られない
  • スロワー以外の競技者はスローインが行われる地点から2メートル以上離れていなければならない


といったところです。特に重要なのはスローインではオフサイドは取られないって所です。ただし、これはお笑いなんですが、時々、アマチュアサッカーではスローインでオフサイドを取る審判がいたりしますwアマチュアサッカー名物、スローインでオフサイド。




20111127 松本山雅vsホンダロック えっ!? スローインでオフサイド? - YouTube


こんな動画もありますが、時々あります、こーいうの。まあ、ヨルダンアウェーなんで、ひょっとしたら、久々にスローインでオフサイドとか見れるかもしれません。ジーコの時にスローインでオフサイド取られたのはいい思い出です。


カナダ戦だと、前半26分に香川と長谷部のスローインからの素早いリスタートのシーンがあったので、それを例にして、スローインはオフサイドにならないってケースを説明しますが、


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こういうのでした。こういう時、オフサイドの位置にいる選手が素早くサイドに流れていくと、DFがマークを外してしまう事があります。オフサイドの位置にいるFWのマークはボケやすいんですから。スローインはオフサイドにならないので、相手陣内深い位置でスローインをもらった時、オフサイドの位置にいたFWが素早くボールサイドに移動するとマークが外れることがあります。



とまあ、スローインのルールで覚えて欲しい所は大体抑えたので、本題に参ります。




スローインの戦術、守備でのお話。


ではメインディッシュです。サッカーにおいて、スローインの際に覚えておいて欲しいのは、GKをスロワーにしない限り、味方一人がピッチの外に出た状態なので、数的不利になっているって所です。そのため、モタモタしてると相手に守備陣形と整えられてしまい、パスの出し所がなくなってしまいます。特に、自陣内からのスローインの場合、時間をかけてしまうと相手がボールサイドに人数集めてきて、パスの出し所を全部ふさがれてしまい、面倒な事になるので、注意が必要です。



カナダ戦だと、前半29分に日本の自陣内からスローインからカナダにボールを奪われて面倒な事になったシーンがありました。



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こーいうのです。自陣内からスローインを始めるとき、モタモタしてると相手チームがボールサイドに人数かけてパスコース全部塞いでしまうので注意が必要です。基本的に、自陣内からのスローインの場合、相手チームはボールサイドに全体を寄せる事で積極的にボールを奪いに来ます。スローインではボールが届く距離がかなり限定される為で、大概のチームはこれやってきます。




一方で、相手陣内でのスローインでは、ちょっと毛色が異なります。これもカナダ戦のキャプでやりますけど、前半17分のカナダが日本陣内でスローイン始めた時の日本の守備です。



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えっと、この後、遠藤のファウル取られて、日本はFK取られちゃうんですけど、ここでのポイントは香川がスロワーのマークにすぐ入ってる所です。(ホントはココ、スロワーへのパスコースを切りながらヤットと香川でサンドイッチにできたら、もっと良かったんですが)



これ、自陣内でスローイン取られた時の守備方法と関連するんですけど、自陣内でスローイン取られた時には、必ず一人、スロワーにもマークをつけます。あるいはマークできるように守備をセットします。「そんな事したら数的有利を活かせなくない?」と思う人もいるかと思いますが、これやらないと、相手チームは、スロワーにリターンパスすれば一人フリーの状態を作れてしまうわけです。でもって、ゴール前にハイボール蹴り込まれる危険性があるんで、自陣内でスローイン取られたらスロワーにもマークをつけるのが基本です。これ、やってこないチームには、スローインの後、スロワーにリターンパスしてゴール前にハイボール蹴り込むって形でチャンス作れます。



スローインの際の守備の注意事項として、ちょっと箇条書きしますが、


  • スローインではオフサイドは取られないのでオフサイドの位置にいるFWもきちんと見ておく。
  • 相手陣内でのスローインの際にはボールサイドに人数かけてボールを積極的に奪いにいこう。
  • 自陣内でのスローインの際にはスロワーにもきちんとマークをつけよう。
  • スロワーへのマーカーはボランチやSHと連携し、受け手の選手をサンドイッチしよう。

といった所になります。これは基本的な話なんで、僕が書くほどの事でもないのですが、うんちくとして書いておきます。


スローインの戦術、攻撃でのお話。


さて、こっからが本番なんですけど、スローインの戦術、攻撃編です。



最初に香川の談話載せましたが、どうもヨルダンのほうはスローインの際の守備に怪しい所があるようです。そこがどこかは、僕、この前のヨルダンの試合みてないので、よくわからないのですが、前回のヨルダン戦の時に、左SBの守備がほんとテキトーだったので、多分、狙いはこの当たりだろうなって事で、幾つか、スローインの戦術について紹介しときます。当たるかどうかは知りません。



えっと、まず一番ありそーなのだ、最初に説明した奴ですけど、「スローインの際にオフサイドの位置にいるFWのマークがぼけやすい」って奴です。スローインの時は、オフサイドは適用されないのでオフサイドの位置にいてボール受けても反則取られません(審判がスローインでオフサイド取る人だったら別ですがw)。ヨルダンの左SBはアレなんで、香川は、こーいうの狙ってるのかもしれません。つまり、こういうのです。



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これ、決まったら笑いますが、スローインはオフサイドにならないので、こういう動きしてもオッケーです。いくらなんでも、アマじゃないんだし、こんなんで裏取れる事はないとは思いますが。



んで、僕が思うに、ヨルダン戦で、ありえそーなのが、こーいうのです。これは、以前、サガン鳥栖の話の時に使った写真で説明しますけど、










こういうのや、










こういうのになります。この動きの基本形は図で説明すると、


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こういう動きです。これ、相手のボランチが飛び込んで来る2列目のマークを外しやすいチームには非常に有効です。もし相手ボランチがケンゴについてくるなら、長谷部のマークが空くはずなんで長谷部にスローイン入れればオッケーです。


あとは、スローインの時の動きとして考えられるのが


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こういう形でヤットをフリーにする方法と、



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こういう形で、相手のSBとCBのギャップの間のスペース狙う方法があります。個人的に、香川が狙っているのがこれじゃないかな、と思ってるんですが、ヨルダンの左SBは前回酷かったので、スローインからケンゴと岡崎の連携でSBとCBの間のスペースを攻略しようとしてるのかな、と。



あと、こういう動きを繰り返してると、DFとボランチが香川とケンゴ、ヤットに気を取られて、長谷部のマークがゆるくなることがあります。なんでそれを利用して、



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こういった、いわゆる「三人目の動き」を使った攻撃も狙えます。



幾つか、相手陣内でスローイン取った時のやり方を並べてみましたが、香川はこのどれかを狙ってるんじゃないかな、とは思います。ヨルダンの直近の試合をみることが出来れば、どれを狙っているのか、ある程度推測できるんですが、直近の試合を見てないので、結局のところ、どれ狙ってるのかまではわかりません。



今回の話、なんかスローインの話ばっかになっててすいませんが、香川が試合前に「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」なんてヒントをくれたので、いくつかスローインの時の動きをあげてみた次第です。


実際、どこがイージーなのかは、試合みてみないとわからないのですが、ヨルダン戦では、日本が相手陣内でスローインをする時、選手がどういう動きをして、どこにスペースを作ろうしているのかって所を注意してみていてください。観戦時に、ちょっとした楽しみが出来ると思います。



今日はそのあたりで。ではでは。

2014年ワールドカップ アジア最終予選、第六戦、ヨルダン 対 日本のレビュー

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さて、皆さん、こんにちは。本日は先日行われたヨルダン対日本のレビューをしたいと思います。試合自体は、皆さん、ご存じかとは思いますが、日本が2-1で負けてしまい、W杯出場を決めることは叶いませんでした。


えーと、こういう試合の場合、日本にはセルジオ越後という老獪な日本代表をdisって飯を食っている解説者がおられるため、僕がマチレポ書かないでも、セルジオ越後が仕事をしてくれるだろうから、別に書く必要もないかなあとか思うこともあるんですが、今回はそれぞれの国の監督の采配が対照的なモンになったので、本日は、両監督の采配を中心としてマッチレポを書きたいと思います。


そういう訳なんで、よろしくお願いします。負けちゃったし、そーゆーのに興味の無い方は、読み飛ばしでお願いします。



あと、大事な事なんで、最初に言っておきますが、TV局の方、スローインの際にピッチじゃなくて選手の顔や監督の顔写すの止めてください!視聴者はサッカーがみたいんです。ピッチの中の動きが見たいんです。選手の顔とか監督の顔とかいりませんってば。後半のスローインの時、ザックの顔がでかでかと映し出された時には参りましたよ。なんでピッチでなく監督の顔映してるんですか。ココ、頼みますホント。



ヨルダン対日本のレビュー、前半戦


さて、まず、今回の試合でのスタメンですが、



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こうなってました。ちょっと驚いたのが、ケンゴでなく香川のトップ下だった事くらいです。開始前、清武が使われているのみて、「あら、清武右でヨルダンの左サイド狙い?」と思ったくらいです。ただ、始まってみると、清武が左だったので、いつもの日本代表でした。左で作って右でフィニッシュという奴です。



この試合、始まってすぐ気がついたんですけど、ヨルダンの右SBの23番が恐ろしいザル守備やってまして、「なんだコイツ、代表でこんな緩い守備やるとかふざけてるのか?」とか思いまして、twitterの方で、






なんて、呟いてたら、フォロワーの方に「ヨルダンの右SB、FW登録の選手ですよ」と教えて頂きまして、「あー、それでか・・・」と納得しました。



なんで、この23番を使ったのか、ヨルダン監督に聞いてみないとわからないんですけど、とにかく、この23番の守備が緩くて、清武が前半は躍動してて、この23番が前半で交代しちゃうまでは、日本は左サイドでやりたい放題できてました。


まあ、この23番がいる間に点取れなかったのが、今回の敗因の一つなんですが・・・・




で、この23番、「うわー、緩い!!」と思ったのが、開始3分の時で、これキャプでやりますけど、



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このシーンです。正直、開始3分で裏取れるとは思わなかったので、びっくりこきました。で、その後も、この右SBが酷くて、守備が異様に緩い。



そんな訳で、この後、日本はヨルダンの右サイドを攻めてチャンス作れていたので、僕はあそこから点とれそーだなーと思って見てたわけです。ありえない緩さでした。



それから、この日、前田の超決定機のシーンでもヨルダンの右SBがぬるい事やってて、



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これなんですけど、ここねー。長谷部にプレスかかってないんだから、しっかり前田を捕まえとけよという。前田が後ろから走り込んできてるんですけど、しっかり捕まえて体当てないと駄目でしょっていう。手を挙げてる場合じゃない。まあ、前田のヘッドがクロスバーだったおかげでヨルダンは助かったんですけどね。



正直な所、この23番(FW登録のSB)を使っていてくれる限りは、僕はそのうち点は入ると思ってた訳です。清武とマッチアップさせてる選手がFW登録とか、何考えてるんだろう・・・なんて思ってみてたんですね。



それでなんですけど、前半27分に、さらにびっくりしたんですけど、右に9番のサイフィを持ってきて、左に13番のバニアテヤを持ってきたんですね、ヨルダンの監督。えっと、ゴートクの守備が怪しいってのと、右サイドに攻撃的な選手集めることで、日本の左サイドを牽制しようとしたのかもしれません。



ところが、これ逆効果で、32分に立て続けに日本にヨルダンの右サイドを崩されまして、34分には元に戻してます。



これ、ヨルダンの問題の二つ目なんですけど、9番のサイフィ、守備が良くありません。ゴートクのマーク外しすぎだったし。なんで、34分にヨルダンの監督がすぐ元に戻したのは当然だと思います。



で、前半38分、もうこれ以上、右サイドをやられる訳にはいかないって事で、ヨルダンの監督が動きます。右SBの23番下げて、5番のハサンを入れてきます。で、13番のバニアテヤを右SBにします。ちなみに、5番のハサンですが、清武のマンマークを命じられていたようで、ゴートクのマークより、清武のマークをハサンは優先してました。清武が試合後のコメントで、「(途中で入ってきた5番が僕にマンマーク気味にきたので、なかなか後半の最初はチャンスがありませんでした。」って言ってますが、ヨルダンの監督、この辺りの見切りと修正は早いんですよ。ゲームプランが上手くいってなかったら、スパッと変えてきます。



でまあ、twitterで、






なんて愚痴ってたんですけどね。相手がFWの選手をSBに使うなんて意味のわかんない事してる間に点とっときゃ良かったんです。ホントにもう。



で、皆さん、ご存じかと思いますが、前半46分に日本がセットプレーから失点。マーク外したのは岡崎でした。どうも、相手の選手から一瞬、目を離しちゃったみたいでして、「何やってんの・・・」という感じでした。



で、問題のヨルダン対日本、後半戦に入るわけですが!!!!


さて、こっからが今回のメインディッシュというか、問題なんですけど、この試合で、僕が問題にしたいのは後半戦のほうなんです。特にザックの采配が後手に回った事には、言いたいことがあるわけです。


普段、僕は代表監督の采配は好意的に解釈することにしています。代表監督なんてのは、勝っても負けても糞味噌に叩かれるのが仕事みたいな所があって、「サッカーの代表監督は内閣総理大臣の次に嫌われる仕事」なんて名言を残した人もいます。僕が叩かないでも、どうせ日本じゃセルジオ越後が代表監督を叩いてくれますから、僕がやる必要はないんで、そーゆー事はするまい、と思っているんです。



ただね、今回の試合については、ヨルダンの監督が矢継ぎ早に修正を施して、チームを何とか勝たせようと頑張ってて、ベンチワークはいちいち見事でした。やりたい事が伝わってきましたからね。ただ、それに対して、ザックが後手を踏んでしまっていて、「それはどーなのよザック・・・」と、この試合は思ってしまった訳です。



で、なんですけど、ヨルダンの監督、ハーフタイムにはきっちりチームに修正を行っていて、修正後、日本が左サイドでボールもっても、



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こんな感じで対応されるようになってました。清武が「途中で入ってきた5番が僕にマンマーク気味にきたので、なかなか後半の最初はチャンスがありませんでした。」って言ってますが、ヨルダンの監督、しっかり前半の反省を踏まえて、日本の左サイドへの対応をきっちり施してきたわけです。こういう形で守られてしまうと、日本はスペース無くて厳しい。左サイドにボール出ると、ボランチ一人と7番のディーブが左のヘルプに来るんで、日本としては苦しいわけです。


ただ、ヨルダンがメンバー交代で5番を右にいれて、清武にマンツーマン気味についてくるなら、単純に清武と岡崎の位置を入れ替えればいいだけなんです。




twitterで、こんな事ぶつくさ言ってたんですけど、なんで清武と岡崎の位置をすぐに入れ替えなかったんだ?と。清武を右に回せば良いだけじゃんと。相手の右サイドは9番のサイフィーがいるわけだから緩いんですよ。左SBも岡崎に簡単に入れ替わられちゃうくらい緩い。だったら話は簡単で、岡崎と清武の位置を入れ替えればいいだけじゃんと。



で、そんな事をTVの前でも、ぶつくさ言ってたら、後半15分、吉田がやらかして日本が2失点目。これ、完全に吉田の対応のミスなんで、もうね・・・。入れ替わられて中に入らせちゃうとか、CBがやってはいけない事No1じゃねーか。



それでなんですけど、ザックも、この失点で目が覚めたのか知らないけれど、やっと動きます。後半19分前田に替えてハーフナーを入れて、清武と岡崎の位置を交換。これ、「おせえ・・・」と。



なんで、おせえ・・・っていうのかというと、ヨルダンの監督、この後、すぐ動いてます。後半21分、ヨルダンの左サイドの守備の穴になってたサイフィーを下げて、14番のアブダラー・デイブ入れてきてるんですわ。これで、清武と内田のマークをはっきりさせてくるわけです。アブダラーが内田を見て、ファティが清武を見るって形に変更したんですね。



「あーあ、交代策おせえよザック、ヨルダンの監督に対応されちゃったじゃん・・・」と画面の前でため息ついた瞬間でした。交代後は、



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こんな感じで対応されて終わるだけやん・・・とか思ってため息です。ヨルダンの監督がザックの意図を2分で見抜いて交代カードを切ってきたわけですよ。後半頭から清武右で良かったのに。そうすれば対応される前に色々できたのに・・・とか思ってたんですけども。



びっくりしたのは、こっから一気に清武が試合を動かした事で、右サイドに移ってから、いきなり香川のゴールをアシスト、それから、うっちーへのスルーパスでPKとるお膳立てしてます。






ただ、この時は、ホントにイライラしてまして、当時の心理状態は、↑のような感じでした。



で、この後も、皆さん、ご存じの通り、遠藤がPK外してしまい、「ウゴゴ・・・・」状態です。




さて、この後もヨルダンの監督の修正は早かったです。アブダラーがうっちー相手にPK献上というプレーをやってしまったので、ヨルダンの監督、右にいた5番のハサンを左にもってきて、うっちーに貼り付けます。で、アブダラーは右に移動。



マッチアップ的には、



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こう変化させてます。両サイドのマッチアップをはっきりさせてきます。これ、PKのすぐ後に行われてました。ヨルダンの監督、修正が凄く早い。



で、ザックのほうなんですが・・・遅い。後半34分、ゴートクに替えて駒野を入れてきます。これは狙いはよくわかります。駒野とマッチアップする事になるアブダラーは守備は大したことないので、ここを狙いたかったんでしょう。うっちーに振り切られる位だし。



ただ、後半39分、ヨルダンの監督は最後のカード切ってきます。ディーブout、MFのダルドルin。



でもって、ザックも最後のカード切ります。後半41分、清武outで乾貴士in。乾は左に入って岡崎を右に。駒野と乾で、アブダラーとバニアテヤのサイドを崩したかったんでしょう。ただ、これも遅い。ハマド監督、アブダラーをトップ下にして、ダルドルを駒野にマッチアップさせてきます。ザックの修正に対して、即対応ッ!はやッ!



で、その後は、ヨルダンは守備の枚数増やして時間使って、日本に勝ちましたとさ。



あのね、今回、ことごとく、ザックの采配は、ハマド監督に対応されちゃった訳で、ザック、後手後手に回りすぎだよ・・・と。





ここで、両監督の交代策とその意図を、ちょっとまとめておきますけど、

前半38分【ヨルダンハマド監督】 23 サフランOUT 5 ハサンIN

前半、日本に散々、右サイドを崩されたので清武にハサンを貼り付けて清武を封じる。ゴートクと遠藤のケアはトップ下のディーブとボランチに頑張らせる。これで、右サイドの守備を修正し、日本の左サイドを封じにかかる。




後半19分【日本ザッケローニ監督】 18 前田遼一OUT 11 ハーフナー・マイクIN 清武と岡崎の位置を入れ替え

左サイドをハマド監督に封じられ二点を先制されたので高さのあるハーフナーを入れ、同時に清武と岡崎の位置を入れ替える。これで右サイドを活性化し、ヨルダンの左サイドを攻略する。ヨルダンの左サイド、サイフィーは守備が緩いので、清武とうっちーの連携でサイドを抉りたい。



後半21分【ヨルダンハマド監督】 9 アルサイフィーOUT 14 アブダラー・デイブIN

ザッケローニは高さのあるハーフナーを入れ、清武を右に移してきた。狙いはサイフィーだ。サイフィーは守備がアレだから、アブダラーに交代させ、アブダラーを内田に貼り付け、左SBを清武に貼り付けよう。



後半26分【ヨルダンハマド監督】 14アブダラーがPK取られた後、アブダラーとハサンの位置を入れ替える。

アブダラーは内田のマークを外し、PK献上してしまった。アブダラーじゃ駄目だ。守備がよく清武をよく抑えていたハサンを左に出して内田と清武を見させよう。




後半34分【日本ザッケローニ監督】 5 酒井高徳OUT 3 駒野友一IN

ハマドはアブダラーを右に移してきた。アブダラーは守備が良くない。クロスのよい駒野とマッチアップさせればボロを出すはずだ。



後半39分【ヨルダンハマド監督】 7 A・ディーブOUT 20 ダルドルIN

疲れの見えてきたディーブを替えてMFのダルドルをいれて守備力強化。最後のカード。




後半41分【日本ザッケローニ監督】 8 清武弘嗣OUT 19 乾貴士IN

相手の右サイドのアブダラーとバニアテヤだ。アブダラーは守備に難がある。乾と駒野のコンビでなら勝てるはず。



後半41分【ヨルダンハマド監督】20ダルドルを右SHに、14 アブダラーをトップ下に変更

ザッケローニは左サイドにフレッシュな選手を集めてきた。狙いはヨルダンの右サイドだ。なら、こっちはフレッシュなダルドルを駒野に対応させ、乾をバニアテヤに対応させて守備をするだけだ。




となってます。




最後は愚痴になるんですけどね・・・・


で、これ、愚痴になるんですけど、今回の試合は、ハマド監督の采配の早さばかりが目につく試合でして、04年アテネ五輪でイラク五輪代表を4強に導いた実績は伊達じゃねぇな・・・と正直、驚きましたよ。以前、ヨルダンの話をブログでしたときに、「あそこは選手より監督が厄介」って話をしましたけど、試合中の采配とフォメ修正の速度が異常に速い。ザックの狙いを2~3分で読み取って、ピッチ上での対応策を指示できるんだから、凄いもんです。



前回の試合では、日本が早い時間帯で先制できたのと、ヨルダンの左SBが謎守備やってたのでイージーな試合になってましたが、こういう監督相手に先制されて、さらに追加点まで許しちゃうと、もう駄目だなあと。



ただね、この試合に関しては、twitterでもぶつくさ言いましたが、それ貼っときますけど、





って所でしてね。これねえ、後半頭から、清武を右にすべきだったでしょお、と。



清武を右にしてヨルダンの左サイドを突っつけば、決定機作れるのは清武が右に移ってから4~5分で決定機2個作れた事からも明らかで。



勿論、ハマド監督は、その意図をすぐに読んで、ハサンを左にもってくるでしょう。でもハサンを左に移せば、サイフィーを右に移すことになるわけで、今度はヨルダンの右サイドの守備が怪しくなるわけです。そしたら、そこでザックは交代カードを切ればいい。そうすれば先手取れたかもしれないのに・・・と。



まあ、このあたりは結果論といえば結果論なんですけどね。もし、遠藤のPKが入ってたら、今頃、「ザック采配的中、清武と岡崎の位置を入れ替えたのがキーとなった!」って言論があふれかえってますわ。



ただ、この試合では、やっぱりハマド監督の采配に対して、ザックのそれが遅すぎた感は否めないので、そこはね・・・ちょっと文句の一つも言いたいなあと。



とりあえず、ヨルダンのハマド監督に関しては、素直に賞賛するしかないです。二試合しましたが、日本とヨルダンのチーム力の差は明らかでした。ただ、ハマド監督、これだけ力量の差があるチームの対戦で、ホント、素晴らしい仕事をしたと思います。後半、ザックの采配に対して、即座に対応策を見いだして、ピッチ上の選手の並びを変更する能力には、素直に感心させられました。ホントに、この人は凄いと。



今日はそのあたりで。敵ながら、ハマド監督は天晴れでございます。オーストラリア、日本をホームで破った事になりますが、ホントに凄い仕事ぶりです。



それでは皆様、ごきげんよう。

2013年、名古屋グランパスの展望 及び、週末の「名古屋対湘南のプレビュー」

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さて、みなさん、こんにちは、代表戦明けてすぐですが、週末にはJ1も再開されますんで、週末の湘南の試合のプレビューもかねて、今回は、2013年の名古屋グランパスの事を扱おうと思います。



えっと、今回、名古屋グランパスの話をするにあたり、ホントに困ったのは、このチーム、ホントに書きにくいチームなんです。なんで、今回の記事はホントに書きにくかったです。以前、バルサのピケが、「バルサのピケ「レアルは滅多打ちされている時ほど危険」」なんて言ってた事がありますが、これ、名古屋もそうなんですけど、あのチーム、滅多打ちにされてる時ほど危険です。J1第三節の甲府戦とか、ある意味で名古屋の典型的な試合なんですけど、甲府のほうがいい試合していたのに、終わってみたら名古屋の勝ちという身も蓋もない名古屋な試合でした。


名古屋サポの方にはすいませんが、名古屋の試合みてると、なんか異次元に引き込まれるような、そんなチームでして、「名古屋相手にいいゲームをすると勝てない」というのが僕の感想です。名古屋が滅多打ちにされてるように見えるのに、終わってみると名古屋が勝ってる。名古屋の試合みてると、そんな事がよくあるんです。J1第一節の試合も磐田が押し気味で進めてたんですが、先制したのは名古屋のほうでした。磐田は山田のゴラッソで追いついてましたけど、「典型的な名古屋のゲームだなあ」なんて録画した試合をチェックしながら思ったほどです。



名古屋については、弱い所は割とはっきりしてるチームですし、守備のやり方や攻撃の方法も割とはっきりしてるチームではあるんですが、ゲームの進め方については、「意味わかんねえ・・・」と思う事が多いです。「さっきまで劣勢だったのに何で先制したのは名古屋なんだ?」と思う試合が結構あって、「名古屋は滅多打ちされている時ほど危険」というのが週末の試合の前の感想です。



週末は出来たら名古屋遠征したいのですが・・・時間つくれそうにないので、今回は自宅観戦の予定です。





で、名古屋の話になるんですけど、まず、このチームの攻撃の話から始めます。

こっからが名古屋グランパスの話になるんですけど、このチーム、湘南がJ1に上がって、はじめて出会う「中央突破」が強力なチームになります。今まで、ベルマーレは、マリノス、鳥栖、清水、大宮と試合をしてきましたが、どこもサイドアタックメインのチームでした。ただ、名古屋の攻撃は、ちょっと毛色が違っていて、ここは中央突破が強力なチームです。



中央突破のバリエーションでいうと、去年の場合、永井と藤本のワンツーだったり、CFのケネディや闘莉王のポストプレーからの中央突破、ダニルソンのミドル、玉田、金崎絡みのコンビネーションなど、中央突破のバリエーションが結構豊富なチームでして、ゴール集だけみると、サイドアタック、センターアタックを使いこなせるチームだなあ、という感じです。


ここがベルマーレが今までJ1でやったチームと違う所でして、名古屋さんは、攻撃で豊富な中央突破のバリエーションを持っています。ただ、金崎と永井が移籍し、藤本が怪我なんで、センターアタックのバリエーションは、週末の試合では少なくなるでしょうけども。



ちなみに、サイドからクロスを上げる時は、ファーに高さがある闘莉王を待たせて、闘莉王の折り返しを決めるパターンと、闘莉王が直接決めるパターンの二つがあります。SBも結構、高い位置を取ってくる事があるので、サイドアタックもしっかり出来るチームです。



ただ、これは去年までの話であって、ここ二試合ほど、名古屋はちょっと攻撃のバリエーションを変えてきてます。主にナビスコカップで確認された形なんですが、これ、ナビスコの時の名古屋のフォメからになるんですけど、週末の試合、



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こんな形で来る可能性が高いです。これ、いわゆる玉田のゼロトップです。この布陣の特徴なんですけど、



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狙いとしては、こういう形になります。玉田は前線で張ってることもありますが、基本はフリーロールで中盤に降りてきたり、サイドに流れてきます。で、玉田の動きでCBを動かして、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんが入ってくるという形です。玉田が下がってくると、442系のフォメだと中盤で数的有利を作られやすいので、単純にそこで起点を作ってくることもあります。



これ、ナビスコカップの第二戦の鳥栖戦で、綺麗に決めたゴールがあるので、それで説明しますけど、



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こういう形でした。このゴールの前の12分にも似たような形でヤキモフスキーがラインの裏に抜ける形を名古屋は作っていて、こういった動きを練習しているんでしょう。



これ、セレッソ戦でも似たような事してたんで、ケネディが戻ってくるまでは、玉田のゼロトップで行く気なのかもしれません、ピクシー。



このフォメの狙いとしては、降りてくる玉田と田中輝の動きで相手のDFを引っ張り出し、空いたスペースにヤキモフスキーやSBを上がらせるって形になります。こういう動きをボランチのヤキモフスキーに繰り返させても大丈夫なのは名古屋にはダニルソンという強力なアンカーがいるからで、ワンボラで守れるんですよね、名古屋は。だから、ボランチのヤキモフスキーが攻撃の時、ボールより前にいてもカウンターは何とかなるって計算なんでしょう、ピクシー。



とまあ、ナビスコで玉田のゼロトップをピクシーが試してたんで、週末の試合はそっちで来ると思ってはいるんですけど、相手が高さがない湘南相手ですので、単純に闘莉王のCFでキショーさんと闘莉王の所に放り込んでくる可能性も大なんですが。。。



えっと、闘莉王がCFの場合、名古屋の攻め方は変わってきます。こっちの場合、



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この形を狙ってくると思います。こっちの場合、闘莉王をファーに置くことで、湘南の3バックの注意をそっちに引きつけます。でもって、キショーさんの所にボールを放り込んでWBの裏にヘディングでフリック。そこにヤキモフスキーを走り込ませるって奴です。闘莉王をファーに置いとけば、そっちに湘南のDFは絶対に引っ張られるので、図で赤で囲ったスペースが生じやすいです。だから、そこ狙いの攻撃ですね。単純に闘莉王に放り込むだけでも湘南の右CBの宇佐美の身長(171㎝)を考えると脅威すぎるんですけども。湘南に闘莉王に競り勝てるCBはいないんで、これはしょうがないっちゃしょうがない。



とりあえず、名古屋の攻撃に関しては、闘莉王のワントップか、玉田の偽のCFかで、全く違う形になります。なんで、こればっかりは週末の試合にならないと、どうなるかはわかりません。玉田の偽のCF、ナビスコ見る限り、結構機能してるので、今年の名古屋はケネディが復帰しない限りは、こっちメインで使うかもしれません。




次に名古屋の守備の話になるんですけど、こっちはかなり特徴があります。


さて、こっからが名古屋ってチームの一番の特徴になります。名古屋というチームなんですが、守備のやり方が一番の特徴です。このチームのやり方は、J1で一番、特徴的だなあ、と思うんですが、これ、どういう事かというとですね。




これ、僕が書くより、元日本代表の秋田さんが、著書の「センターバック専門講座」の中で、名古屋の守備方法について述べているので、それから引用します。


名古屋グランパスは、監督がヨーロッパ出身ということもあり、最終ラインはゾーンで守る。そして、バイタルエリアはある程度取られたとしても、サイドからGKとSBの間にクロスをあげさせない、ということをセオリーとしていた。


いまでもそうだが、当時から名古屋には背の高いCBが多かった。そのため高さには強かったが、相手の細かい動きに対応するのは少し苦手な面があった。そこで、バイタルを取られることにはある程度目をつむり、DFラインの背後を取られることを回避することに比重が置かれていたのだ。


もし、ドリブルで入ってくる選手がいれば序序に間隔を狭めシュートブロック、もしくはゾーンの間に立っている選手のマークをわざとぼかしておいて、パスが出たらインターセプトする、ということを狙っていた。


ただし弱点もあった。


ゾーンディフェンスの場合、一人ずつが担当する守備ゾーンがどうしても重ならない部分ができてしまう。そこに精度の高いクロスボールを落とされたら、もう相手を讃えて拍手するしかない。名古屋グランパスもそうだが、イングランドのチームが失点する場面をみていても、そういった場面は多い。CBとCBの間に走り込まれ、そこにスピードがあるクロスが入ると守るのは難しい。




センターバック専門講座

センターバック専門講座


というものです。これは、名古屋の守備の特徴をわっかりやすく説明してくれてると思うんで引用しました。これ、秋田さんが著書で述べてることですが、これと対照的なのは鹿島の守備方法で、鹿島のほうはバイタルを取られることを絶対許さない守り方をしてます。また、バイタル取られても、そこで前を向かせない守備を徹底してました。最近の鹿島はバイタル緩めですけど、一昔前は、あそこがホントに堅かったです。



名古屋はこういう守り方をするチームでして、J1の多くのチームとは、そのあたり、ちょっと毛色が違います。「DFラインの裏を取られてGKと一対一」とか「GKとDFの間にクロスをあげられる」って事を何より嫌うチームです。その代償としては何ですが、バイタルを取られる事には、ある程度目をつむってる部分があります。バイタル取られてミドル打たれても、GKには日本一の楢崎がいるわけだし、何とかなる。しかし、裏を取られたり、SBが縦に抜かれてGKとDFの間に早いボールを入れられると背の高いDFの優位を活かせない。だから、SBは縦を切って中にいかせて、インスイングのクロスを上げさせるって形を取ってます。これなら、CBは前を向いたまま対応できるのでクリアしやすいし、バイタルからシュート打たれても最悪シュートブロックは出来るという計算です。とにかく、DFの前のスペースで相手に勝負させ、DFの裏を取らせない。それが名古屋の守備の原則になってます。



で、こういう事書くと、名古屋の守備ってグダグダになってても、相手の攻撃を狙い通りの形に持っていかせてるわけで、問題ない・・・・って事になるんですが、ぶっちゃけ、穴があります。これ、システムじゃなくて、プレーヤーの話なんですけどね。



穴がどこかって話になると、ぶっちゃけ、右SBのトコです。磐田戦ではジュビロの山田に右サイドからやられてますし、鳥栖戦でも右サイドで田中がハイボールの競り合いで負けた所から失点してます。



去年の名古屋の全ゴール集でも、「うわー名古屋の右サイドゆるゆるやん、ゆるゆるやんか」って呆れてたんですけど、名古屋の失点って、右サイドからの失点がホントに多いんです。


去年、名古屋さん、新潟に0-5で負けるという珍事をやらかしてるんですが(去年の新潟は得点力不足が酷かった)、その時、新潟に徹底して右サイド狙われてましてね。新潟は去年、全得点が29点なんですが、そのうち、6得点が名古屋相手でした。アウェー新潟戦では、名古屋産、右サイドを抉られまくって失点を積み重ねてます。



これ、去年の名古屋の失点で、右サイドからやられた回数数えてたんですけど、2節二回、10節二回、12節二回、20節、21節二回高木にやられる、26節、27節、29節、33節、これ全部右から失点してます。



去年の場合、名古屋は右サイドが弱いって所が終盤になると完全にバレていて、他チームに徹底して狙われてました。実は、ここ、今年もそうなんですけど、名古屋さん、右サイドの裏がぽっかり空いてる事、とっても多くて、試合チェックしてみましたが、今年もあそこは緩そうだなあ・・・と。


なんで、今年も名古屋さん、右サイドからの失点が多そうな気配です。湘南としては、間違いなく、名古屋の右サイドを狙ってくると思って頂いて結構です。チョウさんがあそこを見逃すとは思えません。




最後になりますが、週末の名古屋VS湘南のプレビューになります。


さて、最後に週末の試合のプレビューやっときます。



まず、名古屋さんになりますが、攻撃面では、闘莉王のCFか、ナビスコでテストしてた玉田の偽の9番かで、攻め方が変わってきます。闘莉王のCFなら、まず間違いなくロングボールになります。湘南のDFは高さがないので、これは単純に有効です。鳥栖と清水は徹底してました。一方で、玉田の偽の9番、ゼロトップの場合、田中輝と玉田の引く動きで湘南のDFを引っ張り出して、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんを走らせて、湘南の高いラインの裏を狙うって形でくると思います。これはピクシーがどっち選ぶか次第って話になるので、ピクシー次第です。



一方で、守備面なんですが、多分、4バックだろうと思います。名古屋さん、ナビスコでライン上げる試みをやってましたが、湘南戦では、そんな上げてこないんじゃないかな、と思ってます。守備面では、名古屋さんは、3バックも試してましたけど、週末の試合ではそっちはやってこないと見てます。といっても、ひょっとしたら3バックでシステムかみ合わせてくるかもしれないので、ここもピクシー次第なんですけどね。



そんな訳なんで、週末の試合は名古屋さんに関しては不確定要素が高いってのが正直な所です。



一方で、湘南の方なんですが、こっちもいつもの3421でしょう。ただ、場合によって4141で来る可能性もあります。今回の試合なんですが、湘南としては、J1に上がって、はじめて強力な中央突破をもってるチームとの対戦になるので、チョウさん、出方を変えてくる可能性があります。



ただ、フォメがどうあれ、基本、ハイプレスショートカウンターってのは変わらないので、湘南のやることは、どの相手でも変わらなかったりするんですが。湘南にとって助かるのは藤本がいないことで、彼がいない分、ラインの裏への精度の高いパスは出てこないし、コンビネーションの質も下がるので、ホント助かります。



名古屋の攻撃に関しては、わかっていても止められない場所が幾つかあるので、そこは目をつぶるしかないな、と思ってます。個人能力の差の部分は如何ともし難い部分です。



一方で、攻撃面では、狙いは簡単なんです。左WBの高山、ボランチの永木、左シャドーの梶川か武富がキーです。名古屋の右SBは田中隼磨が使われると思うんですが、彼、かなり食いついてくるので、右SBの裏がぽっかり空いてること多いんです。名古屋ってチーム。



これまでの試合、湘南の試合では右WBのコバショーが目立つ試合多かったですが、あれは、今までやった相手の左SBが狙い目だったからでして、今回の名古屋戦では、左WBの高山がキーになります。名古屋の右サイドは守備が緩いんで、右SBの裏、右SBと右CBのギャップを狙った攻撃を狙ってくると思います。高山の見せ場が遂に来たなあってのが僕の見立てです。彼の良いプレーが遂にJ1でみれそうだな、と。スピードとスタミナは、本当に凄い選手なんです。




とりあえず、今日はそんな所で。それでは、皆様、ごきげんよう。ではでは。

2013Jリーグ第5節 湘南ベルマーレ対川崎フロンターレのレビュー 「主に川崎の守備の話ばっかですの巻」

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さて、みなさん、こんにちは。本日は先週末に行われたJ1第五節、湘南対川崎の試合のレビューを行いたいと思います。



えっと、J1第四節の名古屋対湘南の試合のレビューに関しては、試合が完敗すぎて、しばらくサッカー見るのが嫌になるほどのアレだったので、ちとスキップさせてくださいな。名古屋相手に、絶対してはいけない試合運びをやってしまったので、アレはどうしようもない完敗でした。正直、名古屋さんには勝てる気がしませんわ。名古屋さんがミスしまくって自滅してくれたら別ですけども。名古屋には絶対に先制されたら駄目。



とまあ、前回の試合のレビューをサボった言い訳はこの辺りにして、今回は、きちんとレビューやります。それでは本題行ってみましょう。


ちなみに、試合の結果なんですが、1-1のドローでした。


湘南対川崎のマッチアップ


さて、この試合でのマッチアップなんですが、こうなってました。


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湘南はいつもの3421、川崎のほうも4231なので、双方、いつも通りの布陣でした。ただし、湘南はスタメンをいじっていて、シャドーにWBの高山が入っており、左WBが大野という布陣になってます。大久保対策だったのかどうかは、ちとよくわかりませんでした。



で、この4231対3421の場合、ミスマッチの対戦ですから基本的に、


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こんな感じでミスマッチが生じます。ベルマーレは中央で数的有利、川崎はサイドで数的有利という奴です。ちなみに、ベルマーレのほうなんですが、守備の局面では、最近はちょっとライン低めにして、541でブロック作って守ることも多いです。ただし、その場合でも、川崎はケンゴが頻繁に引いてきますので、



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こういう形で川崎は中央で数的有利を作ることが可能になります。こいつは3421が4231系とやる場合に常に抱えてしまう問題でして、守備の局面で、どうやって相手のシステムにかみ合わせるかってのが最初のキーポイントになります。



ちなみに湘南がこういう相手にどういう風に戦うかというと、



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こういう形になります。キーになるのはCFのプレスバックとシャドーの中央での守備参加になります。ボランチ二人では川崎の3人相手にどうしようもないので、CFやシャドーが中央の守備をヘルプします。ただ、このやり方だと、相手のSBが浮いちゃうんじゃない?と思われるでしょうが、その通り。SBが浮きます。ただ、湘南の場合、SBに出されたら、頑張ってシャドーがもう一回寄せるというのが守備の約束になっていて、湘南のシャドーの守備負担は尋常じゃありません。



4231とやる場合、湘南のシャドーは守備負担が凄くきつくなります。そのため、走れる選手じゃないとつとまりません。



一方で、川崎のほうもシステムがミスマッチしているので、



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ここのエリアのシャドーを誰がみるのかってのが問題になります。SBが、ここのシャドーをみると、WBがSBの明けたスペースに走りこんできますし、ボランチがシャドーを見る形にすると、中央のエリアでの数的不利問題に陥ります。



実は、この試合で川崎さんの守備に問題があったんはココだったりします。ここから先は、試合展開の話でやるので、そこまでネタバレは待ってくださいな。



えっと、試合前、






と、twitterのほうで、プレビュー変わりに呟いた事なんですけど、実は、この試合、僕、勝てると思ってたんですよ。理由は川崎の守備に問題があったからで、川崎の試合チェックして「ああ、これなら点はとれるな」と思ったからなんです。もっとも、試合が大雨と大風のせいでピッチ滅茶苦茶になってたんで、どっちのチームも攻撃グダグダになり、流れの中からは点とれそうにないピッチ状態になってしまったんですが・・・・




で、本題ですが、どこに川崎の守備の問題があるのかという話。


こっからが今回の話の本題になるのですが、川崎ってチーム、攻撃はともかく、守備は明らかに問題を抱えています。ここまで、5試合で11失点しており、これは清水に次いで悪い数字です。この失点ペースが続くと、まず間違いなく降格争いです。清水さんと川崎さんについては、まず守備をなんとかしないと、降格争いからは抜け出せないってのが正直な所です。



さて、前振りが長くなりましたけど、川崎フロンターレってチームの守備のどこに問題があるかというと、湘南対川崎の試合のキャプでやりますが、前半2分の時点で、「うわ、ひでえ守備・・・」と思ったのがあったんで、そこのキャプでやりますけど、



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ここ、こういう流れでした。これ、見てて「うわあ、酷い守備・・・」と悶絶したんですけど、前と後ろが全然連動してないから、これじゃ、湘南にボール運んで下さいって言ってるようなもので、これね、強いチームだったら、ここでシュートまで行きますよマジで。



あのですね、この試合で、川崎の守備みてて思った事なんですけど、プレスのかけ方が問題でして、なんで問題かというと試合みてると、レナトと大久保を湘南のCBにぶつけてきて、シャドーをボランチが見る形だったんです、川崎さん。



これ、どう考えても危険なやり方で、なんで、これが危険かってーと、これ、図でやりますけど、



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ここの赤で囲った場所が問題になるんですけど、ケンゴが一人で湘南のボランチ二人を見る事になります。ケンゴがどう頑張っても、二人をマークすることは出来ないので、湘南のボランチのうち、一人は確実にフリーになる計算です。つまり、湘南はボランチ経由でビルドアップし放題って事になる。


川崎は、こうならない為には、FWがCBにプレスかけたらライン上げるしかないんですけど、このシーンだと、それが出来てないんです。ほとんど自殺行為といっていい守備方法で、何でこんな守備やってるのか、よくわからないって状態でした。



でね、前からいけないなら後ろでブロック作って守備すればいいだけじゃんって話になるんですけど、ブロック作っての守備でも、やっぱり問題があるんです。これ、前半4分の時の湘南の遅攻のシーンのキャプでやりますけど、



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こーなりました。ここもね、湘南に簡単にパス回しされてまして、これだけ簡単にビルドアップさせてくれるチーム、そうそうありませんぜ。



あのですね、試合前に、川崎サポの人から「風間さんはスカウティングしないみたいだよ」って言われてたんですけど、試合見て、納得したというか・・・。



これね、川崎さん、引いての守備でも、明らかに問題があります。問題は3つで、



1、ボランチに湘南のシャドーを見させているので、シャドーの動きにボランチが支配されてしまう。シャドーのプル&アウェイや、シャドーがサイドに流れる動きでバイタルがスカスカになる。


2、湘南のWBをSBに見させるのは無理がありすぎる。シャドーとWBの連携で簡単にサイドで数的有利を作られるか、バイタルにスペース作られるか、湘南のボランチがフリーでプレーできる原因になる。


3、レナトと大久保を湘南のCBにぶつけると、中央で湘南に数的有利を与えてしまう事になる。また、レナトは湘南のWBを追いかけてこない。



の三つです。前半4分のシーンだと、大久保が前に出てベルマーレのボランチを追っかけた事で湘南のWBがフリーになる原因ができてますし、梶川の引く動きで川崎のボランチが簡単に動かされて、バイタルスカスカって現象が起きてます。そこに梶川に走り込まれており、あそこでパスが出てたらかなりヤバイ状況でした。



これね、もひとつキャプでやっときますけど、前半16分でも同じような形を湘南に作られていて、





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こーいう流れだったんですけどね。ココ、川崎のプレスが連動してないんですよ。だから、簡単に湘南にプレス突破されてボール運ばれてるし、レナトが湘南のWBについていかず、しかもバイタル埋めるそぶりも見せない。レナトは守備で何してんだって話で、スタで見ていて「うわあ、酷い守備してるな・・・」と思いました。まあ、この後は湘南がミスしてくれたんでシュート打たれることはありませんでしたけど、同じ形で二回もやられるってのは問題があります。



あとね、川崎のボランチが湘南のシャドーを捕まえるってことで、どういう事になるかってのが、これも前半17分のシーンであるんです。このシーンの場合、矢島とケンゴは湘南のボランチを捕まえている形になってるんですけど、その場合、湘南はCBがフリーでボールを供給できます。だったら話は簡単で、



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こーいう流れになるよね、という。川崎のボランチがシャドーを見るって事は、湘南はシャドーの動きで川崎のボランチを動かせるって事だから、シャドーがサイドに流れる動きをいれれば川崎のボランチはポジション動かすので、CFにボランチの間を通す縦パス入られてしまいます。



この試合、湘南は結構、遅攻でも攻撃出来てたんですけど、これは湘南の攻撃がいいというより、川崎の守備のやり方が不味かったってのが理由でして、川崎の守備のやり方、無理があります。


もっとも、この日は湘南は流れの中からは点取れなかったんですけど、この試合の川崎さんの守備見る限り、守備が安定してないのは当然かな、と。



簡単に川崎の守備の問題を指摘すると、


1、FWのプレスに後ろが連動してない。これでは高い位置からのプレスは無理。やらないほうがマシなレベル。


2、SH、特にレナトの守備が酷い。中央のカバーをほとんどしないし、WBのマークも適当。


3、引いて守る際、守備において誰が誰を見るのかの整理がきちんと出来ていない。特に2列目の3人の守備の分担が問題。


4、前4人の攻から守への切り替えの部分が遅い。後ろの6人は早いが、前4人の切り替えはかなり遅いので後ろ6枚でカウンターの対処をせざるを得ない。SBが上がっていると酷いことになる。



って所になります。この試合見てて思いましたが、守備は今まで対戦したチームの中で一番酷いです。川崎サポさんには申し訳ありませんが、この守備はJ1じゃ自殺行為です。大雨と強風、湘南が前3人が初の組み合わせってのがあって、湘南は点取れませんでしたけど、この守備だと、強いチーム相手は無理だと思います。


もっとも、湘南舐めていただけの可能性もありますけど、昇格3チーム全部に先制されているのは、これ無理もないかな、と。


で、次に川崎さんの攻撃の話になるんですけど、こっちは全然良いです。


さて、守備面では糞味噌に言ってしまいましたが、川崎さん、攻撃のほうは全然オッケーです。ぶっちゃけ、攻撃に関しては、あの悪天候でも16本シュート打ってて、全然問題ないと思います。



ってかね、これまでの試合で、川崎さん、リーグ戦平均で一試合17本シュート打ってる訳で攻撃面はホントに問題ないと思う訳です。風間さんになってから、川崎さんはポゼッションサッカーに挑戦してますけど、この日もポゼッションは上手かったです。雨に濡れながらの観戦でしたけど、「上手いもんだなー」と感心した位です。攻撃に関しては、GKとの一対一外しちゃったのが痛かったですかね。



今回は、湘南相手だった訳ですけど、攻撃に関しては湘南がやられたら嫌なことをきっちりやっていて、これ、どういう事かというと、図でやりますけど



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まず、湘南を自陣内まで押し込み、湘南の守備ブロックを541の形にする。その上で、中央のエリアでの数的有利を使うって形です。ケンゴはフリーロールみたいな形で、最終ラインまで降りてくることもあるし、サイドに流れることもあります。湘南はこれが本当に嫌で、スタで見ていて、「ケンゴはポジショニングも上手いねぇ・・・」などと感心しながら見ておりました。



なんで、ケンゴのポジショニングが嫌らしいかってーと、ボランチがケンゴをマンマーク気味で潰そうとすると、ケンゴはサイドに流れたり、引く動きで湘南のボランチを動かしてくるんですよ。で、空いたスペースを大久保やレナト、川崎のボランチに使わせるって事をしてくる。一方で、ボランチがついてこないなら、SBとCBの間のギャップやボランチとシャドーの間のギャップでボールを受けるポジショニングをしてくる。テクも抜群ですけど、ケンゴは頭がいい選手なんです。



じゃあって事で、湘南のほうは中央で数的有利を作られたくないし、ケンゴもフリーにしたくないので



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こんな感じでシャドーに中央の守備を手伝わせ、CFの武富もプレスバックに動員してました。まあ、これだけやっても時々崩されそうになってたんで、スタで見てて、ポゼッションは上手いなあと。この日はショートパスには不向きだったのと、湘南のほうが全員守備で頑張っていたので点取れたのは後半40分でしたけど、攻撃面、特にポゼッションに関しては、非常にいいチームに仕上がってると思いますマジで。



ちと、今回はキャプでやる元気がないので、川崎さんの攻撃までは手が回らないんですけど、湘南のバイタルにスペース作るって所まではきちんと出来ているんです。そこからがちょっと残念になってるんですけどね。ただ、これまでリーグ戦5試合、全試合で先制されているので、それが試合を難しくさせている原因になっているというのが僕の感想です。



この試合も何度も湘南を自陣内に押し込んで攻める時間帯が何度もあって、ポゼッション自体は問題ないし、シュートも沢山打ってるわけです。チームとしての問題は攻撃じゃないと思いますホントに。


で、まとめに入りますが・・・・

さて、最後になります。この試合に関してですが、湘南が後半39分にセットプレーで点取ってから、1分後に湘南がミスから失点という身も蓋もない幕切れになりました。



今回は試合内容というより、川崎さんの守備の話ばっかになっちゃってすいませんが、正直言って、川崎さんは攻撃面では問題ないんですけど、守備のほうで相当問題があるって事だけ言いたかっただけなんです。リーグ戦で昇格3チームに全部先制され、鳥栖に5失点、柏に3失点してるわけで、守備何とかしないと正直やばそうだ、と。



繰り返しになりますけど、攻撃は良いんです。攻撃は。問題なのは守備のほうで、この守備続けると、延々先制され続けてしまい、試合を難しくし続ける事になるってのが僕の感想です。先制されると相手は引いて無理にボール取りにこなくなりますから、点取るのはすっごく難しくなります。湘南戦以外、全部前半で先制されているので、これだと勝つのは難しいです。



えっと、川崎の風間さんですが、2年目ですし、結果が求められるシーズンです。攻撃面ではいいんですが、守備の修正がどこまで出来るかで、今後が決まりそうな気配です。今日はそんな感じでまとめておきたいと思います。風間さんのサッカーについては、攻撃面では良いと思いますが、守備面のほうは、ちょっとアレかなあと。そんだけです。



ではでは。

2013CL準々決勝2ndレグ、ユヴェントス対バイエルンのレビュー 「ユヴェントスの352守備の欠点について」

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さて、みなさん、こんにちは。本日は今朝行われたCL準々決勝、ユベントス対バイエルンのレビューをしたいと思います。いきなり、何でCL?と思われるかもしれませんが、この試合はいわゆる352の良い教材なんで、ちとレビューをしようと思ったわけです。ちなみに、352は今期、磐田と大分が採用しています。



ええと、僕、352系はあまり好きではありません。わかりやすい欠点があるからです。もっとも、ユーヴェはこれで上手くやっているわけですけど、やっぱり352の欠点からは逃れる事は出来ないなあ・・・と試合を見て思ったわけです。バイエルン、非常によくユヴェントスを研究しており、ユーヴェがやられると嫌なことばっかりしてました。


1stレグ、2ndレグ共にバイエルンが2-0で勝っており、今回はバイエルンの完勝といっていい結果となりました。試合後、コンテ監督が、



コンテ:「何年もイタリアのチームはCLで勝てない


敗北後は分析、落胆の後は攻撃だ。チャンピオンズリーグ(CL)でベスト8敗退が決まり、ユヴェントスのアントニオ・コンテ監督は、イタリアサッカー界全体に対して明確なメッセージを送っている。


「残念ながら、これが現在の状況だ。イタリアのチームはどこも、またあと何年もCLで成功する可能性がないと思う。計り知れないギャップをつくられてしまったんだ」


コンテ監督は記者会見で次のように説明している。


「2、3人の選手を獲得すれば、CLを制覇できるという声を聞くと、笑ってしまうよ。イタリアサッカーは止まっている。これは全員にとって明らかでなければいけない。国外では投資をし、プロジェクトを組んでいる。我々は審判のことや、どの選手がどのタレントとデートしたとか、そんなことばかりを話しているんだ」


「(マルチェッロ・)リッピ監督とともに私がCLを制覇したとき、基準となるチームは、若手に働きかけていたアヤックスだった。今、アヤックスは存在しない。レアル・マドリー、バイエルン、バルセロナ、パリ・サンジェルマンといったスーパーパワーたちがいる。彼らの売り上げは4億ユーロ(約520億円)以上だ」


「私は、全員が一緒になってイタリアサッカーを変えなければいけないと思う。全員というのは、我々、各クラブ、サポーター、メディア、体制のことだ。そうじゃなければ、どこへも行けない。最後にトロフィーを獲得したのは、3年前のインテルだ。最後の準決勝進出はいつまでさかのぼる? ラツィオがフェネルバフチェを倒せることを願っている。だが、これが今の状況だ。下らないことを考えるよりも、現実を見る方が良い」

と、深刻なコメント残してますが、二試合とも完敗だったので相当ショックだったんでしょう。ホームで2-0で負けた訳ですから言い訳できる立場じゃないです。



でもね、ユヴェントスの守備のやり方、CLだと無理だと思うんです。セリエAならともかく、CLクラスの相手に、あの守備のやり方は危険だろうと。



今期から磐田さんがユヴェントスタイプの352を取り入れてますけど、あれはあれで強みもあるんですけど、同時にユベントスの欠点もコピーしてしまっています。先日のナビスコで湘南とやった時思ったのは「ユーヴェと同じ欠点もってるなあ」という奴でして、本日は、ユヴェントスの守備のやり方と、その欠点のお話をしようと思ったわけです。ちなみにユーヴェスタイルの352やってる磐田の守備にも同じ欠点があります。





ユヴェントス対バイエルン、なぜユヴェントスの守備はバイエルンに通用しなかったのか?

さて、こっからが本題です。今回は教材として、2ndレグ、ユーヴェのホームで行われたユヴェントス対バイエルンの試合を使います。ちなみにスタメンですが、




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こーなってました。バイエルンはトップ下ミュラーの4231、ユヴェントスはイタリアで流行っている352です。ちなみにピルロがアンカー。



で、ユヴェントスの352の特徴なんですが、これ変形型の352です。どういう事かというと、4231とやる場合、これ、図でやりますが、



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デフォだと、この図にあるように、相手のSBが浮いてます。SBとマッチアップする選手がいないんですね。だから、ほっとくと、あそこのSBからフリーでボール供給されてしまってラインがズルズルと下がることになります。ただ、ユヴェントスも馬鹿じゃないですから、サイドにボールが出たら、これも図でやりますが、



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こういう形でボールサイドに全体をスライドさせて守ってきます。WBが前にでて相手のSBに当たり、最終ラインは4バックになって守ります。これがユベントスの基本形となります。この形で相手とシステムをかみ合わせて、サイドでボールを奪いに行きます。



まあ、こうやって書くと、4231相手で何も問題ない、むしろ良い感じじゃね?と思うかもしれませんが、そりゃ相手が何も対策せず、馬鹿みたいにSBを使ってくれたらの話です。



現実にはサッカーは相手がいるスポーツですんで、相手チームが何も考えずにユーヴェの思惑通りのボール運びをするなんて事はありえません。むしろ逆です。こういった守備方法をしてくるとわかったら、まさにこの守備方法が逆に問題になるようなボール回しをしてきます。バイエルンは、まさにそれをやってきました。




えっと、まず、このユーヴェの守備なんですが、当たり前ですけど、やり方的にサイドチェンジされるとプレスが空転します。バイヤンは、実に上手くサイドチェンジを使ってました。どういう事かというと、



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こーいうサイドチェンジです。



これ、試合で実際に決まっていて、キャプでやりますけど、試合後半50分の奴です。


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流れとしてはこうなりました。ここね、本当に見事なプレス回避で、見て唸ってしまうほどでした。これは実に上手い。この日のバイエルン見てると、SBとボランチのパス交換からのサイドチェンジを多用してまして、これやられてユーヴェは右に左に揺さぶられ続けてました。



バイエルンの狙いは、こういうサイドチェンジを続けてながら、ユーヴェの守備ブロックにギャップをつくり、ギャップが出来たその瞬間を狙ってフィニッシュって形です。特にピルロの両脇が狙い目になってました。なんでかっていうと、これ、ユーヴェの守備方法と関係があるんですけど、




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これなんですけど、ユーヴェってチームはピルロをアンカーにした3ボランチを採用してます。ただ、ピルロ自体が守備範囲が広い選手じゃないのと、年齢的な問題で、広い範囲をカバーできません。だから、ユーヴェの守備ではピルロの両脇のスペースってが泣き所になっていて、あそこでボールを受けられて前を向かれると一気に崩されます。これ、イタリア代表のウィークポイントでもあります。



この日、バイエルンが執拗に狙っていたが、ここのスペースでして、ピルロの両脇のスペースは徹底して狙われてました。ユーヴェの守備の関係上、バイエルンのSBにボールが出た際、WBとボランチ一枚で囲い込んでボール奪いたいんですけど、その際、ピルロの両脇にスペースができやすいんです。バイエルンの狙いは、まさにその瞬間で、ユーヴェの守備がボールを奪いにくる、その瞬間にできる隙を狙っていました。



ちと、前半40分に感心したパス回しがあったんで紹介しときますけど、



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こいつです。ここ、本当に上手い。ピルロの両脇狙いのパス回しですけど、ラームのプレーに一々感心しました。で、このキャプの二枚目見て貰うとわかると思うんですけど、ボランチがサイドにアタックにでた瞬間、中央のカバーに残っている二人にはそれぞれ、シュバインタイガー、ハビマルティネスというマッチアップがいるんです。これが、ボールサイドでリベリーにピルロが当たりにでるのをためらってしまう理由になるんです。



これ、図で説明すると、


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こうなるんです。ボールサイドで囲い込んでボールを取りたいユヴェントス。だけど、バイエルンはその動きを利用してセンターで数的有利を作ることができる。



勿論、コレを防ぐため、CBが前にでて潰すってことは可能です。ただ、キャプでやったように、CBが前に飛び出して交わされたら・・・・ゴールまで一気に行かれます。キャプでロッベンにシュートを打たれたようにね。




で、最後になりますが、これ、バイエルンの2点目が、まさにピルロの両脇のスペース問題と、センターでの数的不利問題がでた奴だったので、そのキャプ使って、ユーヴェの352の欠点の〆とさせて頂きます。




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まあ、こういう流れだったんですけどね。えっとね、ここユヴェントスの悪いところがぜーんぶ出てます。ピルロの両脇のスペースを使われやすいって所、SBからのサイドチェンジに脆いって所、中央で数的不利に陥りやすいって所、全部でてしまっての失点でした。



これねえ、バイヤンも上手いですけど、ホームで綺麗に崩されるユーヴェもアレですわ。ぶっちゃけますけど、352って研究されると、こういう攻撃で崩されるんですよ。バイヤンのハインケス監督が試合前「ユーヴェを徹底的に研究した」とか言ってたそうですが、試合見てみると、「本当によく研究したんだあ・・・」と感心しきりです。ボール回しがユーヴェの352対策てんこもり。



今回は、バイヤンの守備のほうは扱いませんけど、CL準決勝からは、きっちりレビューもするので、その時にでもバイヤンの話はします。今日はユーヴェの守備の話と、その欠点の話だけに留めておきます。




最後になりますが、352をJリーグで使う際の注意点について!!!


えーと、ここまでユーヴェの話をしてきましたが、352を大分と磐田が使っているので、352というシステムの問題点を簡潔にまとめておきます。



1,352はデフォだと4231系とやった場合、相手のSBが浮いてしまう。


2、相手のSBにボールが出た時にボランチとWBで囲い込む事で、この問題の解決を図るのがユヴェントス流352だが、これはその代償として相手に中央での数的優位を与えてしまいやすく、バイタルエリアを特に使われやすい。(大分と磐田も同じ欠点を持っている)


3,バイタルをやられないようにCBが前にでて潰しにいく、FWを一枚下がらせて中盤の守備をヘルプさせる意識を強めに持たないと、今回のユーヴェ対バイヤンみたいな事になる。



って所になります。




今回、磐田さんの352の話もついでにしようかと思ったんですけど、これはリーグでの湘南対磐田戦まで持ち越しときます。ちなみに、磐田さんの352は何度か拝見しましたが、ユーヴェと全く同じ欠点を持っております。


ユーヴェをコピーするのは別にいいのですが、欠点までコピーしちまっているので、あそこは何とかしたほうがいいんじゃないかとは思います。


特にCLなんて大舞台で、バイヤンが完璧なまでのユーヴェの352殺しをやってのけた訳で、来週からこぞってJリーグのチームが、磐田相手に、あれやってきます。まず間違いなく、磐田の352相手にはバイヤンと同じ方法で来ると思います。



今日はそのあたりで。ではでは。

2013年J1第六節 浦和レッズ対湘南ベルマーレのプレビュー 「浦和の3421における守備について」

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さて、皆さん、こんにちは。本日は日曜に開催される浦和レッズ対湘南ベルマーレのプレビューをしたいと思います。なお、今年の浦和さんなんですが、開幕から絶好調でして4勝1分という成績で、サポの方はウキウキ気分だと思います。うらやましい話です。


ただ、先日、前田に初ゴールを決められてしまい、「前田の呪い」をもろに被った格好です。ただ、今のチーム状態で落ちる事はまず考えられないので、前田のジンクスは今年で終わると思います。終わらなかったら前田はルールで禁止すべきです。これで浦和が落ちたらサッカーのルールがおかしい。



えっと、本日は、浦和の守備の話がメインです。ペトロビッチ監督にとって守備なんてのはどうでもいい事かもしれませんが、これ、前回の記事でユーヴェの352の話の続きといっていい内容なんです。つまり、352の守備と、3421の守備の違いとかの話になるわけですね。




なんで今日は浦和レッズの守備の話がメインになります。前回はいわゆる5-3ブロックの話でしたが、今回は5-4ブロックの話になります。



ミシャ・ペトロビッチ監督の3421について

さて、こっからが本題です。これ、現状、日本で一番有名な3421といっていいでしょうが、ペトロビッチ監督の3421システムの話になります。ペトロビッチ監督の3421ですが、これ変形型の3421でして、基本形は、



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こういう形の3421なんですが、攻撃時と守備時で変形します。どういう形かというと、攻撃時には



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415みたいな形に変形し、守備時には



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こんな形に変形します。守備時には541になります。



攻撃のほうは、まあ、僕が説明しないでもいいかなとは思うんですが、簡単に説明すると、ボランチ2人とCBのトライアングルで相手の2トップのプレスを回避し、そこからサイドに張っているWBに展開するか、中央への楔を狙っていきます。



もし、相手のSHが中央の守備に参加してくるなら、ワイドに開いたCBにパスをだし、そこから中央へ斜めにパスを入れてスルーを使ったコンビネーションをするか、WGとの連携でサイド攻撃にはいります。


前線の役割分担としては幅を二人のWBが作り、2シャドーとワントップはコンビネーションで中央突破を試みます。WBや開いたCBから斜めのパスを入れてのスルーを使ったコンビネーションはペトロビッチサッカーの18番です。ボランチの縦パスからポストプレーも得意にしてます。



とまあ、これが基本形でして、攻撃のほうは完全なポゼッションサッカーです。これは広島の時に完成した形でして、浦和でも全く同じ事をしてます。



一方で、守備のほうなんですが、基本はリトリートで後ろで5-4のブロックを作って守ります。今回はプレビューですし、浦和の5-4の守備の話をメインにします。浦和の守備、ちょっとした欠点がありまして、週末の試合、湘南が間違いなく狙ってくるであろうポイントがあるんですね。





浦和の守備ブロックの作り方と、その難点の話

えっと、ここまで浦和のサッカーの話をしてきましたが、浦和は引いて守る際、5-4-1で守ります。この時に問題になるのが、


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ここの赤で囲ったエリアを守るシャドーになります。浦和のシャドーはあそこで相手のSBとマッチアップする事になるんですけど、ここのシャドーの守備がぶっちゃけ緩いんです。



これ、実は広島も一緒なんですが、あそこのシャドーの守備って割と適当な所があって、CWCのアルアハリ戦なんか、その典型なんで、動画張っときますが





20121209 サンフレッチェ広島vsアルアハリ (アルアハリ1点目) - YouTube


20121209 サンフレッチェ広島vsアルアハリ (アルアハリ2点目) - YouTube



こいつです。キャプでやるのも面倒なので動画みてください。ここでのポイントを解説しますが、2点とも広島の左サイドやられているんですけど、一失点目が特に問題で、広島の左シャドーが相手のSBのオーバーラップについていってないんですわ。もの凄い緩い守備やってて、何してんの?という感じです。で、その結果としてSBのオーバーラップから、WBとCBの間のギャップにポジショニングした選手とのワンツーで裏取られ、マイナスのクロス入れられて広島は失点したって流れです。ペトロビッチのサッカーだと、こういう形でオーバーラップしたSBにシャドーがついていかないってケースが結構あるんです。


で、二失点目ですけど、これもシャドーが緩い守備やってるからクロス入れられて失点って流れで、どっちもシャドーの不味い守備からやられてるです。


これ、広島の失点の動画ですけど、去年の浦和全ゴール集をチェックすると似たような形で失点する形がすごーくすごーく多いんですね。



参考例として、去年の鳥栖対浦和の試合の動画張っときますが、



http://www.youtube.com/watch?v=LlaM0mWY4M4



こっちの動画の豊田のゴールみてもらうとわかると思うんですけど、左SBのキムミヌのオーバーラップにマルシオがついていってないんです。で、サイド抉られてマイナスのクロス入れられて失点って流れです。これ、マルシオがついていかないと駄目でしょ?って話になるんですけど、こーいうのがよくあるんです。これ、失点の仕方としてはアルアハリ戦で広島がやられたのと一緒です。シャドーがSBのオーバーラップについていかない。WBに任せちゃうんです。



また、広島の奴と一緒なんですけど、28節の札幌戦で、シャドーが緩い守備やってるもんだから札幌のSBにクロス入れられてそこから札幌の古田にやられて失点とか、まあ、広島の失点と浦和の失点の仕方って、すごーくよく似てます。同じサッカーやってるんだから当然っちゃ当然なんですけどね。




それで、これが今回のメインディッシュなんですけど、前回、磐田戦で、前田にデスゴール食らった浦和さんなんですけど、このデスゴールの原因になったのが、シャドーの緩い守備なんです。あそこが原因になってデスゴールとなりました。どういう事かってーと、これキャプでやりますけどね、



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こーいう流れだったんですけども。これね、一連の流れで原口、全く守備してませんよね、という。駒野はJで№1のクロッサーだし、あそこは駒野捕まえとくべきじゃねぇの?という感じなんですけど、ずーっと突っ立てるだけなんです。



これ、以前から疑問なんですけど、浦和とか広島って、SBやWBのオーバーラップ、中に切れ込む動きにシャドーがついていくって事は監督の方針でやらせないんですかね?ついていかせちゃうとカウンターが難しくなるかもしれませんけど、でも、ついて行かせないと崩される危険性があるわけで・・・・


ここ、柏木はボランチ二人のポジショニングをみて、バイタルが空いてるって事に気づいて、バイタルのスペース埋めに中央に絞ってるんです。彼と比較すると、原口の守備時の献身性の低さというか、危機察知能力の無さはちょっと致命的というか・・・


これ、マルシオもそうなんですけど、周囲との連携に注意を払って中央に絞ってスペース埋めたりSBのマークに入ったりってプレーは原口には、させない方針なんでしょうかねペトロビッチさん。それならそれでいいんですけど、もし単に周囲で何が起こってるかわからないってーなら、原口は、もうちょい守備の能力を磨かないとヤバイ。



これねえ、去年もそうだったんですけど、浦和さん、マルシオのサイドが弱くて、マルシオがSBのマーク適当だから、マルシオの後ろのWBが一人でサイドを守らないといけない状態でした。だから、ボランチがヘルプに来る事多いんですが、そうすると中央1ボラになってバイタル使われちゃうって悪循環にはまるんです。



今年に関していえば、原口がこんな守備しかしないようだと、左WBの宇賀神と左ボランチの阿部ちゃんは大忙しになりそうです。まあ、この二人なら守れるので原口はカウンターの為に前に残っとけって計算なのかもしれませんけども。




週末の浦和対湘南のプレビュー


ええと、ここまで浦和さんの守備メインで話をしてきましたが、これね、今年の浦和を見る限り、左サイドから失点が増えそうだな、ってのが僕の見立てなんです。理由は原口がアレな守備やってるからで、あれじゃ宇賀神が過労死します。


今回、ちょっと時間がないので、手短にすませますが、湘南は十中八九、浦和の左サイドを狙ってきます。これはほぼ間違いないです。理由は原口の守備が適当だからで、右WBのコバショー、ボランチの永木、シャドーの菊池あたりを絡めたサイド攻撃で浦和の左サイドの突破を試みると思います。ここで、サイドの守備のヘルプに阿部ちゃんがでてくるようなら、中央が1ボラになりますから、その時はバイタル使って攻めるみたいな形になります。


浦和さんの守備見る限り、明らかにあそこの守備が弱い為、湘南としてはそこに活路を見いだすことになります。



一方で、浦和さんの方なんですが、これはいつものサッカーするだけでしょうね。湘南のほうはハイプレスショートカウンターなんで、引っかけられてショートカウンターくらうのだけは注意です。ただハイプレスは交わしてしまえば、あとはたっぷりスペースありますから、浦和のほうはいつものポゼッションサッカーでしょう。ハイプレスさえ交わしてしまえば、浦和は前の選手に力がありますから、ハイプレス交わせば、後は個でもっていけます。あと、湘南は後半での失点が異常に多いので前半はのらりくらいロングボール絡めながら湘南を走らせて後半勝負って形かもしれません。



えっと、去年の初めに浦和さんとは練習試合してるんですが、その時のスコアは確か5-1とかで湘南の負けでした。完敗も完敗、身も蓋もない完敗でした。湘南としては、浦和と実力差を見せつけられる練習試合になった訳です。



日曜、埼玉スタジアムにお邪魔する予定なのですが、こっちとしては胸を借りるつもりで伺うので、どうぞよろしくお願いします。去年の練習試合から、湘南がどんだけ進歩したか、いい試金石になる試合だと思ってます。実力差は間違いなくありますが、なんとか一矢むくいたいな、と。



今回、プレビューだし、あんまし詳しくやっちゃうと、試合後のレビューで書くことなくなると学習したので、今日はこのあたりで。ではでは。

アブラヒモビッチのゲーム、そしてロシアサッカーの世界~おそロシア~

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西側のおとぎ話は「むかし、むかし、あるところに・・・」で始まる。
東側のおとぎ話は「やがて、いつかは・・・」で始まる。


共産圏のジョークより



さて、皆様、こんにちは。本日のお題は「ロシアのサッカー事情」でござる。ブログを分割したんで、こっちでは好き放題サッカーの話が出来ますんで、今日もちゃっちゃと更新でございます。今回は、ロシアサッカーの話を小咄形式で紹介したいと思います。やっぱり怖いロシアサッカー。最近は本田がCSKAから移籍できなくて、「シベリア抑留」なんて言われてますが、あんなん、ロシアサッカーの恐ろしさの一部に過ぎません。



アブラヒモビッチのゲーム、チェルシーという名のロシアンルーレット

ロシアで1990年代に政界に大きな影響力を誇った新興財閥の代表的な実業家で、その後のプーチン大統領との対立でイギリスに亡命していたボリス・ベレゾフスキー氏がロンドン郊外の自宅で死亡し、イギリスの捜査当局が死因を調べています。



ロシア大統領と対立の新興財閥死亡

こんなニュースが飛び込んできたからです。おそロシアという奴なんですが、まー、これ、暗殺の香りがぷんぷんしますよね。



これ、アレックス・モンゴメリー著の「プレミアリーグの戦術と戦略」のなかに、なんでアブラヒモビッチはチェルシーを買ったのかって話があります。プレミアリーグに詳しくない人のために補足しますが、ロシアの新興財閥、オリガルヒのボスの一人だったアブラヒモビッチがプレミアリーグのチェルシーを買収したのは2003年の事です。


なぜ、彼は、チェルシーを買ったのか?


これ、いわゆる一つの「金持ちオーナーの気まぐれ」って訳じゃないんです。彼がチェルシー買ったのは「僕の考えた最強チーム」という男のロマンのためじゃないんですね。これ、「プレミアリーグの戦術と戦略」から引用しますが、


「アブラヒモビッチにとって、チェルシーが儲かるか儲からないかというのは問題ではなかったのです」


ロシア事情に詳しいある情報筋はそう明かしてくれた。


「プーチン政権によるオリガルヒへの追求から逃れるためには、財産を全て投げ出すか、国外へ逃亡するしかない。そこまでロシア国内の事情は差し迫っていました。でも、ロンドンの名門クラブを買収した事で、さすがのプーチン政権もアブラヒモビッチに手を下すことはできなくなってしまいました。さらに、チェルシーが強くなり、欧州の頂点にまで立った事で、ますます弾圧することが難しくなってしまいました。イギリスの首都ロンドンに居を置く名士として、その地位は確立されたも同然ですから」


アブラヒモビッチが赤字覚悟で補強を続ける理由。


それは自らの財産と地位を保証するための生きる術だったのだ。



プレミアリーグの戦術と戦略 日本人選手活躍の条件 (ベスト新書)

プレミアリーグの戦術と戦略 日本人選手活躍の条件 (ベスト新書)



というものです。アブラヒモビッチは、ボリス・ベレゾフスキーと同じく、ロシアの新興財閥のボスの一人です。ただ、プーチンが大統領に就任して以来、新興財閥を片っ端から潰して回ったのは有名な話でして、アブラヒモビッチも当然狙われていたわけです。アブラヒモビッチのチェルシーへの投資は、自分の命への投資でもあるわけです。彼が生き残るための保険だったんですね。チェルシーに、アホみたいに金つぎ込んでますし、ちょっと負けがこんだだけで、速攻で監督のクビを飛ばしますが、チェルシーとは、彼にとって、自分の命をかけたゲームそのものであって、負ける訳にはいかないんです。とまあ、そういう訳ですので、アブラさんが、時々、気が狂ったとしか思えない監督解任に走っても、大目にみてやってください。こういう裏事情があるわけですよ。


チェルシー、それはアブラヒモビッチの生命をかけたゲームなわけです。このゲームに負けたらプーチンにぶっ殺されかねない。



ロシア、サッカーで死人が出る国(ただし死者はピッチの外で出る)


さて、次の話に移るんですけど、アブラヒモビッチと新興財閥とサッカーって、ちょっとした関係があります。もともと、ロシアの新興財閥に関しては、ソビエト連邦崩壊後の混乱の中、市場経済導入の過程で、様々な優遇措置を受ける事で財をなしたグループです。このような優遇措置の一つに、税制の優遇、関税の免除があります。これらを巻き込んで政財界、ロシアンマフィアの癒着がどんどん進行していきます。特に銀行は様々な優遇を受けていた為、ロシアンマフィアの抗争にしばしば巻き込まれました。この時期、ロシアの民間銀行の頭取がマフィアに暗殺される事件が多発してます。



それで、なんですが、こっからがロシアのサッカーの話になるんですが、1990年代初頭、ロシアのサッカーも又、どん底の状態にありました。収入はなく、選手に払う給料もないという奴です。そんな中、ボリス・エリツィンがスポーツ大臣に彼のテニスコーチだったシャミル・タルピシェフを任命した事から、全てが始まります。



タルピシェフはエリツィンに対して、スポーツクラブが別口の収入を得られるように、酒とたばこを無税で輸入できるようにすべきだと提案しました。これが彼の考えだったのか、それとも又、別の黒幕がいたのかはわかりません。これによって、スポーツクラブは、酒とたばこを輸入して売れば、普通の輸入業者より遙かに効率良く利益を出すことができるようになった訳です。



これは非常に大きな利権でした。その結果として、ロシアマフィアが、このビジネスに食いついて、スポーツクラブに食指をのばし始めます。マフィア同士がスポーツクラブを争って抗争を繰り返すようになり、1990年代、ロシアのサッカー関係者が殺人事件に巻き込まれる事になります。



この時期のロシアでは、銀行関係者やスポーツ関係者がマフィアに暗殺される事件が多発してるんですが、この原因となったのが、銀行やスポーツクラブに与えられた「関税の免除」を巡るものです。


デクラン・ヒル著の「黒いワールドカップ」の中に、当時起きたロシアサッカー界での暗殺事件のリストがあるので、それを引用しますが、

CSKAモスクワの会長エフゲニ・ギネルの息子ワディムと運転手は暗殺未遂事件で襲撃された。
ノヴォシビルスクで地元サッカー協会の会長をしていたウラジミール・バレエフが殺害された。
サッカークラブ、ルフ・エネルギア・ウラジオストクの幹部、ビクトル・スクリパルが殺害された。
サッカーエージェントのユーリ・チシコフが殺害された。
スモレンスクが拠点のサッカークラブ、クリスタルで2002年に会長だったウラジミール・プロホロフが殺害された。
CSKAモスクワのニコライ・レノ会長が謎の自殺未遂。
CSKAモスクワの幹部アンドレイ・トルビツインが拷問を受けて脅迫された。
CSKAモスクワに所属するコーチの妻ナタリア・ドルマトフが行方不明に・
サッカークラブ、ロトル・ボルゴグラードの名誉会長ウラジミール・ゴリュノフの息子が殺害された。
サッカークラブ、クリスタルで1999年に会長だったアレクサンドル・シュカドが殺害された。


というものです。本田が所属してるCSKAモスクワの名前が目立ちますが、CSKAはもともとロシア陸軍のチームだったんですけど、2000年代初頭、前述した利権をめぐるマフィアの抗争に当然のように巻き込まれまして、その結果がコレです。



サッカーは戦争だ!なんて言った文豪がいますが、ロシアにおいてはサッカーは一時、ホントに戦争状態だったというオチです。


CSKAの奨励報酬とロシアサッカーの八百長の文化

「捕まらない限り泥棒じゃない」


古いロシアのことわざより


さて、現在、CSKAは「奨励報酬」なるものを他チームに支払って、八百長に荷担しないようにしてます。これ自体がCSKAによる他チームへの買収みたいなモンだろ!!とか思う人もいるかもしれませんが、これがロシア的事情という奴です。CSKAから、他のクラブにいった選手がイマイチ活躍できなかったりしますが、こういう裏事情があるわけですから、CSKAの成績については、そのあたりさっ引いて考えないといけないわけです。



笑っちゃう話ですが、ロシアサッカーといったら八百長です。これは、もうソビエト時代から続く伝統みたいなモンです。もっとも、ロシアサッカーの関係者はそれを認めないでしょう。冒頭にはった通り、「捕まらない限り泥棒じゃない」からです。




これ、サイモン・クーパーの出世作、「サッカーの敵」にロシアのサッカーと八百長事情のコミカルな文章があるので、それを引用しますが、


ぼくはウラジミール・シンカリョフと彼の仕事場である科学アカデミーに座っており、ウラミジーミルはロシアのフットボール雑誌の記事を読んでくれていた。記事はロコモティフ・ニジニ・ノヴゴロドの監督ワレリー・オフチニコフへのインタビューだたが、その中でオフチニコフはやぶからぼうにしょっちゅう審判を買収していると語った。「やってるのは俺だけだと思うか?」オフチニコフは尋ねていた。シンカリョフは表情も変えずに記事を読み、その先を読み続けようとするので、ぼくは割って入った。「これはスキャンダルにならなかったんですか?」シンカリョフは説明した。「最近のロシアはスキャンダルだらけで、すっかり麻痺してしまったから」



言いたいことはよくわかる。スターリンが自国民を何百万人と虐殺していたこと、五カ年計画は何百%もの達成率を誇っていなかったこと、西側の食料支援がいずこともなく消え去り、しばらくしてから店頭に並ぶことを知ったあとでは、フットボールの監督が賄賂を贈る程度ではなかなか騒げまい。少し前、一部リーグの18人の監督が「リーグで八百長試合はありますか?」と尋ねられたことがあるが、18人全員が「イエス」と答えた。次の質問、「あなたのチームは八百長に参加したことがありますか?」には全員が「ノー」だった。

また、サイモン・クーパーとロシアの地元のジャーナリストで、レフェリーの買収について論争した話が、これまた傑作なんで、引用しときますが、


「昔、若かった頃、年上のジャーナリストから言われたよ、『悪いレフェリーはPKやオフサイドを与えるが、いいレフェリーは中盤でとめることができる』違いはそれだけだ。レフェリー?レフェリーなんかどこだっている。ここのレフェリーはすべてをみてる」彼は空を指さし、ぼくは話題を変えた。


これ、傑作ですけど、審判への賄賂に対する考え方が、まあ、全然違うんですね。もう審判やマフィアへの支払いは、税金と同じレベルです。



本田がなかなか移籍できなくて、日本のファンはいつものガッカリさせられますけど、実は、CSKAとロシアサッカーには、こういった裏事情がありまして、他の国のクラブとしては、CSKAでの成績をそのまま鵜呑みにするわけにはいかない状況だったりします。ロシアサッカー自体、八百長まみれっぽい為、リーグ戦を参考にできないんですね。これは、他の東欧のリーグほとんどに当てはまる問題でして、東欧のリーグだと八百長がはこびってますから、そこから選手を買うときには、もの凄く注意する必要があるわけです。




ちなみにですが、ロシアの隣国のウクライナでも状況は似たようなモンで、ウクライナではサッカークラブに免税特権を与えられてました。ウクライナのクラブ、ディナモ・キエフはそれを利用して西側の会社と合弁会社を設立。利益が免税なんで、月、百五十万から二百五十万ドルの利益を上げたと言われてます。当然、そこにもマフィアが入り込みました。ウクライナのチーム、シャフタール・ドネツクはこないだCLにも出ていたので有名かと思いますが、シャフタールのオーナー、アルト・ブラギンと5人のボディガードが殺害されるなんて事件が起きた事もあります。東欧の国だと、マフィアへの支払いは税金みたいなモンになってるわけです。勿論、八百長はウクライナにも存在します。ディナモ・キエフの話で、サイモン・クーパーがそれに言及してます。マフィアに選手が脅迫された話や、ディナモ・ファンのマフィアのボスが暗殺されて、それにディナモの選手全員が参列した話とかね。


滅茶苦茶だろ、って思うかもしれませんが、東欧の話って、日本に住んでる身からするとファンタジーすぎてついて行けません。



最後に、東欧系マフィアとアジア系マフィアの資金源の違い


さて、最後になりますが、


欧州CL抽選で操作あった?元国際審判がトルコのテレビ番組で“告発”



まーた、こんな話が出てきてます。こっちはUEFAの腐敗とかの話にも繋がるんですが、トルコ、ウクライナあたりはマフィアがスポーツクラブ運営してるような状態なんで、なんか、そっちであったんかな?こんな暴露して?と思ったニュースです。



トルコだと、近年、フェネルバフチェSKが八百長疑惑でCL出場権剥奪されて、トラブゾンスポルが出る事になった騒ぎがありましたが、同じ八百長疑惑のポルトとの違いは一体・・・という奴です。これねえ、キナ臭いニュースですよ。なんか裏であったんでしょう。



これ、東欧とかだと、スポーツクラブ(サッカーのクラブ)が免税特権もってるケースがあって、そこにマフィアが目をつけて、マフィアがサッカークラブの経営に乗り込んでくるってのがあるんです。ウクライナとロシアは、そういった形でマフィアがサッカーに入り込みました。最初は、サッカークラブの経営を助ける為のアレだったんでしょうが、免税特権のせいで、マフィアとの癒着に発展するケースがあるので、正直、どーなのよって思うわけです。トルコもマフィアが国を牛耳ってるような状態なんで、なんかキナ臭いんですよね、このニュース。




これ、東欧とかのマフィアがサッカーと関わる場合の典型ケースなわけです。アジアのマフィアの場合、サッカーの結果に賭けるオンラインギャンブルが資金源ですけど、東欧の場合、サッカークラブの免税特権を資金源としてるケースになるんですね。



以前、どこかで「ヨーロッパみたいにJリーグのチームにも免税特権を与えるべき」というアレをみた事があるんですが、「そんな事したらヤクザがサッカーに手を出してくるから駄目だろ・・・」というのが僕の意見な訳です。免税特権とかはいると、大抵、ヤーの字が出張ってくるんですよ。東欧というアレなモデルケースがあるので、僕はそういうのはするべきじゃないと思ってます。



最後になりますが、ヨーロッパサッカーって、裏に回ると、ホントに真っ黒な世界です。特に東欧になると、ホントにアレな話ばっかりで嫌になります。最近、FC東京から梶山がギリシャに移籍しましたが、ギリシャに行く位ならJリーグでいいだろ・・・と。ギリシャリーグも汚職で有名なんですよ。だから、そういうリーグに僕は日本人選手に行って欲しくないんです。



サッカー=ギリシャ八百長事件、1部リーグの2会長も逮捕



こんなニュースありましたけど、欧州だと、トルコ、ギリシャ、ウクライナ、ロシアのサッカーリーグは八百長とかマフィアの話が絶えないので、サッカーを真面目にやりたいなら、行くべきリーグじゃないと僕は思うわけです。他にもセルビア、ベルギーでも八百長が問題になったばかりだし、海外行けばいいって時代じゃないんです。海外のサッカーリーグは八百長が蔓延してるリーグが結構あって、そういう場所にいっても成長はできませんよ、と。最悪、命の危険まであるわけで。



やがて、いつかは、こんなカオスな状況も終わる日が来るのかもしれません。やがて、いつかは・・・。



今日はそんな所で。ではでは。


2013年W杯最終予選、日本代表対ヨルダン代表のプレビュー、「スローインの戦術」

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さて、皆さん、こんにちは、明日はいよいよW杯最終予選のヨルダン戦です。明日の試合に勝てば、日本は世界最速でW杯出場が決まります。さっさと決めてしまって、あとは普段出れない選手に出場機会を与えてあげたいですし、ザックも「明日で決める」と言ってますから、明日のヨルダン戦は楽しみですね。久々のガチの日本代表を見れますから。


さて、そんな日本代表なんですが、ちょっと気になった記事が出てまして、こんな奴です。

 照りつける日差しの下で迎えた、ドーハでの直前合宿最終日。香川は練習後にザッケローニ監督と約5分間、緊急会談を持った。「ポジショニングとかサッカーのことを話しました。こういったところをつければいいのではないかとか…」。その「こういったところ」の一つが、スローイン時のヨルダンの守備の甘さだという。

 前日23日のミーティングなどで、香川は21日のベラルーシ戦を含めた相手の情報を入手している。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」と指摘。「泥くさい得点でも得点は得点。どういう形でも、1点、2点取れるように」と、結果へのこだわりを見せた。



香川、W杯弾「どういう形でも取る」 練習後ザック監督と緊急会談


こういう記事でした。「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」って話をしたみたいで、どうもヨルダン代表、スローインの時に不味い守備があるようです。



そんな訳ですんで、本日はヨルダン戦のプレビューとして、サッカーにおけるスローインの話をしようと思います。スローインに関しては、サッカーにおいて、重要なセットプレーの一つでスローインからのゴールってのもしばしばあります。



えっと、今回のプレビューは、主にスローインの話になります。香川がどうもスローインからの展開でゴール狙ってるようなので、スローインの時の戦術の話でもしようかなっと。そういうわけです。多分、他にやってる人はいないんで、こっちなら割と新ネタっぽくなるかなと。



サッカーにおけるスローインのルールについて


さて、スローインなんですが、これルールとして、幾つか抑えておいて欲しいのが、


  • GKがスロアーをつとめても構わない
  • スローインからの直接ゴールは認められていない
  • スローインではオフサイドは取られない
  • スロワー以外の競技者はスローインが行われる地点から2メートル以上離れていなければならない


といったところです。特に重要なのはスローインではオフサイドは取られないって所です。ただし、これはお笑いなんですが、時々、アマチュアサッカーではスローインでオフサイドを取る審判がいたりしますwアマチュアサッカー名物、スローインでオフサイド。




20111127 松本山雅vsホンダロック えっ!? スローインでオフサイド? - YouTube


こんな動画もありますが、時々あります、こーいうの。まあ、ヨルダンアウェーなんで、ひょっとしたら、久々にスローインでオフサイドとか見れるかもしれません。ジーコの時にスローインでオフサイド取られたのはいい思い出です。


カナダ戦だと、前半26分に香川と長谷部のスローインからの素早いリスタートのシーンがあったので、それを例にして、スローインはオフサイドにならないってケースを説明しますが、


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こういうのでした。こういう時、オフサイドの位置にいる選手が素早くサイドに流れていくと、DFがマークを外してしまう事があります。オフサイドの位置にいるFWのマークはボケやすいんですから。スローインはオフサイドにならないので、相手陣内深い位置でスローインをもらった時、オフサイドの位置にいたFWが素早くボールサイドに移動するとマークが外れることがあります。



とまあ、スローインのルールで覚えて欲しい所は大体抑えたので、本題に参ります。




スローインの戦術、守備でのお話。


ではメインディッシュです。サッカーにおいて、スローインの際に覚えておいて欲しいのは、GKをスロワーにしない限り、味方一人がピッチの外に出た状態なので、数的不利になっているって所です。そのため、モタモタしてると相手に守備陣形と整えられてしまい、パスの出し所がなくなってしまいます。特に、自陣内からのスローインの場合、時間をかけてしまうと相手がボールサイドに人数集めてきて、パスの出し所を全部ふさがれてしまい、面倒な事になるので、注意が必要です。



カナダ戦だと、前半29分に日本の自陣内からスローインからカナダにボールを奪われて面倒な事になったシーンがありました。



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こーいうのです。自陣内からスローインを始めるとき、モタモタしてると相手チームがボールサイドに人数かけてパスコース全部塞いでしまうので注意が必要です。基本的に、自陣内からのスローインの場合、相手チームはボールサイドに全体を寄せる事で積極的にボールを奪いに来ます。スローインではボールが届く距離がかなり限定される為で、大概のチームはこれやってきます。




一方で、相手陣内でのスローインでは、ちょっと毛色が異なります。これもカナダ戦のキャプでやりますけど、前半17分のカナダが日本陣内でスローイン始めた時の日本の守備です。



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えっと、この後、遠藤のファウル取られて、日本はFK取られちゃうんですけど、ここでのポイントは香川がスロワーのマークにすぐ入ってる所です。(ホントはココ、スロワーへのパスコースを切りながらヤットと香川でサンドイッチにできたら、もっと良かったんですが)



これ、自陣内でスローイン取られた時の守備方法と関連するんですけど、自陣内でスローイン取られた時には、必ず一人、スロワーにもマークをつけます。あるいはマークできるように守備をセットします。「そんな事したら数的有利を活かせなくない?」と思う人もいるかと思いますが、これやらないと、相手チームは、スロワーにリターンパスすれば一人フリーの状態を作れてしまうわけです。でもって、ゴール前にハイボール蹴り込まれる危険性があるんで、自陣内でスローイン取られたらスロワーにもマークをつけるのが基本です。これ、やってこないチームには、スローインの後、スロワーにリターンパスしてゴール前にハイボール蹴り込むって形でチャンス作れます。



スローインの際の守備の注意事項として、ちょっと箇条書きしますが、


  • スローインではオフサイドは取られないのでオフサイドの位置にいるFWもきちんと見ておく。
  • 相手陣内でのスローインの際にはボールサイドに人数かけてボールを積極的に奪いにいこう。
  • 自陣内でのスローインの際にはスロワーにもきちんとマークをつけよう。
  • スロワーへのマーカーはボランチやSHと連携し、受け手の選手をサンドイッチしよう。

といった所になります。これは基本的な話なんで、僕が書くほどの事でもないのですが、うんちくとして書いておきます。


スローインの戦術、攻撃でのお話。


さて、こっからが本番なんですけど、スローインの戦術、攻撃編です。



最初に香川の談話載せましたが、どうもヨルダンのほうはスローインの際の守備に怪しい所があるようです。そこがどこかは、僕、この前のヨルダンの試合みてないので、よくわからないのですが、前回のヨルダン戦の時に、左SBの守備がほんとテキトーだったので、多分、狙いはこの当たりだろうなって事で、幾つか、スローインの戦術について紹介しときます。当たるかどうかは知りません。



えっと、まず一番ありそーなのだ、最初に説明した奴ですけど、「スローインの際にオフサイドの位置にいるFWのマークがぼけやすい」って奴です。スローインの時は、オフサイドは適用されないのでオフサイドの位置にいてボール受けても反則取られません(審判がスローインでオフサイド取る人だったら別ですがw)。ヨルダンの左SBはアレなんで、香川は、こーいうの狙ってるのかもしれません。つまり、こういうのです。



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これ、決まったら笑いますが、スローインはオフサイドにならないので、こういう動きしてもオッケーです。いくらなんでも、アマじゃないんだし、こんなんで裏取れる事はないとは思いますが。



んで、僕が思うに、ヨルダン戦で、ありえそーなのが、こーいうのです。これは、以前、サガン鳥栖の話の時に使った写真で説明しますけど、










こういうのや、










こういうのになります。この動きの基本形は図で説明すると、


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こういう動きです。これ、相手のボランチが飛び込んで来る2列目のマークを外しやすいチームには非常に有効です。もし相手ボランチがケンゴについてくるなら、長谷部のマークが空くはずなんで長谷部にスローイン入れればオッケーです。


あとは、スローインの時の動きとして考えられるのが


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こういう形でヤットをフリーにする方法と、



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こういう形で、相手のSBとCBのギャップの間のスペース狙う方法があります。個人的に、香川が狙っているのがこれじゃないかな、と思ってるんですが、ヨルダンの左SBは前回酷かったので、スローインからケンゴと岡崎の連携でSBとCBの間のスペースを攻略しようとしてるのかな、と。



あと、こういう動きを繰り返してると、DFとボランチが香川とケンゴ、ヤットに気を取られて、長谷部のマークがゆるくなることがあります。なんでそれを利用して、



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こういった、いわゆる「三人目の動き」を使った攻撃も狙えます。



幾つか、相手陣内でスローイン取った時のやり方を並べてみましたが、香川はこのどれかを狙ってるんじゃないかな、とは思います。ヨルダンの直近の試合をみることが出来れば、どれを狙っているのか、ある程度推測できるんですが、直近の試合を見てないので、結局のところ、どれ狙ってるのかまではわかりません。



今回の話、なんかスローインの話ばっかになっててすいませんが、香川が試合前に「ああいうところ(スローイン)でイージー(不用意)なところがある」なんてヒントをくれたので、いくつかスローインの時の動きをあげてみた次第です。


実際、どこがイージーなのかは、試合みてみないとわからないのですが、ヨルダン戦では、日本が相手陣内でスローインをする時、選手がどういう動きをして、どこにスペースを作ろうしているのかって所を注意してみていてください。観戦時に、ちょっとした楽しみが出来ると思います。



今日はそのあたりで。ではでは。

2014年ワールドカップ アジア最終予選、第六戦、ヨルダン 対 日本のレビュー

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さて、皆さん、こんにちは。本日は先日行われたヨルダン対日本のレビューをしたいと思います。試合自体は、皆さん、ご存じかとは思いますが、日本が2-1で負けてしまい、W杯出場を決めることは叶いませんでした。


えーと、こういう試合の場合、日本にはセルジオ越後という老獪な日本代表をdisって飯を食っている解説者がおられるため、僕がマチレポ書かないでも、セルジオ越後が仕事をしてくれるだろうから、別に書く必要もないかなあとか思うこともあるんですが、今回はそれぞれの国の監督の采配が対照的なモンになったので、本日は、両監督の采配を中心としてマッチレポを書きたいと思います。


そういう訳なんで、よろしくお願いします。負けちゃったし、そーゆーのに興味の無い方は、読み飛ばしでお願いします。



あと、大事な事なんで、最初に言っておきますが、TV局の方、スローインの際にピッチじゃなくて選手の顔や監督の顔写すの止めてください!視聴者はサッカーがみたいんです。ピッチの中の動きが見たいんです。選手の顔とか監督の顔とかいりませんってば。後半のスローインの時、ザックの顔がでかでかと映し出された時には参りましたよ。なんでピッチでなく監督の顔映してるんですか。ココ、頼みますホント。



ヨルダン対日本のレビュー、前半戦


さて、まず、今回の試合でのスタメンですが、



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こうなってました。ちょっと驚いたのが、ケンゴでなく香川のトップ下だった事くらいです。開始前、清武が使われているのみて、「あら、清武右でヨルダンの左サイド狙い?」と思ったくらいです。ただ、始まってみると、清武が左だったので、いつもの日本代表でした。左で作って右でフィニッシュという奴です。



この試合、始まってすぐ気がついたんですけど、ヨルダンの右SBの23番が恐ろしいザル守備やってまして、「なんだコイツ、代表でこんな緩い守備やるとかふざけてるのか?」とか思いまして、twitterの方で、






なんて、呟いてたら、フォロワーの方に「ヨルダンの右SB、FW登録の選手ですよ」と教えて頂きまして、「あー、それでか・・・」と納得しました。



なんで、この23番を使ったのか、ヨルダン監督に聞いてみないとわからないんですけど、とにかく、この23番の守備が緩くて、清武が前半は躍動してて、この23番が前半で交代しちゃうまでは、日本は左サイドでやりたい放題できてました。


まあ、この23番がいる間に点取れなかったのが、今回の敗因の一つなんですが・・・・




で、この23番、「うわー、緩い!!」と思ったのが、開始3分の時で、これキャプでやりますけど、



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このシーンです。正直、開始3分で裏取れるとは思わなかったので、びっくりこきました。で、その後も、この右SBが酷くて、守備が異様に緩い。



そんな訳で、この後、日本はヨルダンの右サイドを攻めてチャンス作れていたので、僕はあそこから点とれそーだなーと思って見てたわけです。ありえない緩さでした。



それから、この日、前田の超決定機のシーンでもヨルダンの右SBがぬるい事やってて、



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これなんですけど、ここねー。長谷部にプレスかかってないんだから、しっかり前田を捕まえとけよという。前田が後ろから走り込んできてるんですけど、しっかり捕まえて体当てないと駄目でしょっていう。手を挙げてる場合じゃない。まあ、前田のヘッドがクロスバーだったおかげでヨルダンは助かったんですけどね。



正直な所、この23番(FW登録のSB)を使っていてくれる限りは、僕はそのうち点は入ると思ってた訳です。清武とマッチアップさせてる選手がFW登録とか、何考えてるんだろう・・・なんて思ってみてたんですね。



それでなんですけど、前半27分に、さらにびっくりしたんですけど、右に9番のサイフィを持ってきて、左に13番のバニアテヤを持ってきたんですね、ヨルダンの監督。えっと、ゴートクの守備が怪しいってのと、右サイドに攻撃的な選手集めることで、日本の左サイドを牽制しようとしたのかもしれません。



ところが、これ逆効果で、32分に立て続けに日本にヨルダンの右サイドを崩されまして、34分には元に戻してます。



これ、ヨルダンの問題の二つ目なんですけど、9番のサイフィ、守備が良くありません。ゴートクのマーク外しすぎだったし。なんで、34分にヨルダンの監督がすぐ元に戻したのは当然だと思います。



で、前半38分、もうこれ以上、右サイドをやられる訳にはいかないって事で、ヨルダンの監督が動きます。右SBの23番下げて、5番のハサンを入れてきます。で、13番のバニアテヤを右SBにします。ちなみに、5番のハサンですが、清武のマンマークを命じられていたようで、ゴートクのマークより、清武のマークをハサンは優先してました。清武が試合後のコメントで、「(途中で入ってきた5番が僕にマンマーク気味にきたので、なかなか後半の最初はチャンスがありませんでした。」って言ってますが、ヨルダンの監督、この辺りの見切りと修正は早いんですよ。ゲームプランが上手くいってなかったら、スパッと変えてきます。



でまあ、twitterで、






なんて愚痴ってたんですけどね。相手がFWの選手をSBに使うなんて意味のわかんない事してる間に点とっときゃ良かったんです。ホントにもう。



で、皆さん、ご存じかと思いますが、前半46分に日本がセットプレーから失点。マーク外したのは岡崎でした。どうも、相手の選手から一瞬、目を離しちゃったみたいでして、「何やってんの・・・」という感じでした。



で、問題のヨルダン対日本、後半戦に入るわけですが!!!!


さて、こっからが今回のメインディッシュというか、問題なんですけど、この試合で、僕が問題にしたいのは後半戦のほうなんです。特にザックの采配が後手に回った事には、言いたいことがあるわけです。


普段、僕は代表監督の采配は好意的に解釈することにしています。代表監督なんてのは、勝っても負けても糞味噌に叩かれるのが仕事みたいな所があって、「サッカーの代表監督は内閣総理大臣の次に嫌われる仕事」なんて名言を残した人もいます。僕が叩かないでも、どうせ日本じゃセルジオ越後が代表監督を叩いてくれますから、僕がやる必要はないんで、そーゆー事はするまい、と思っているんです。



ただね、今回の試合については、ヨルダンの監督が矢継ぎ早に修正を施して、チームを何とか勝たせようと頑張ってて、ベンチワークはいちいち見事でした。やりたい事が伝わってきましたからね。ただ、それに対して、ザックが後手を踏んでしまっていて、「それはどーなのよザック・・・」と、この試合は思ってしまった訳です。



で、なんですけど、ヨルダンの監督、ハーフタイムにはきっちりチームに修正を行っていて、修正後、日本が左サイドでボールもっても、



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こんな感じで対応されるようになってました。清武が「途中で入ってきた5番が僕にマンマーク気味にきたので、なかなか後半の最初はチャンスがありませんでした。」って言ってますが、ヨルダンの監督、しっかり前半の反省を踏まえて、日本の左サイドへの対応をきっちり施してきたわけです。こういう形で守られてしまうと、日本はスペース無くて厳しい。左サイドにボール出ると、ボランチ一人と7番のディーブが左のヘルプに来るんで、日本としては苦しいわけです。


ただ、ヨルダンがメンバー交代で5番を右にいれて、清武にマンツーマン気味についてくるなら、単純に清武と岡崎の位置を入れ替えればいいだけなんです。




twitterで、こんな事ぶつくさ言ってたんですけど、なんで清武と岡崎の位置をすぐに入れ替えなかったんだ?と。清武を右に回せば良いだけじゃんと。相手の右サイドは9番のサイフィーがいるわけだから緩いんですよ。左SBも岡崎に簡単に入れ替わられちゃうくらい緩い。だったら話は簡単で、岡崎と清武の位置を入れ替えればいいだけじゃんと。



で、そんな事をTVの前でも、ぶつくさ言ってたら、後半15分、吉田がやらかして日本が2失点目。これ、完全に吉田の対応のミスなんで、もうね・・・。入れ替わられて中に入らせちゃうとか、CBがやってはいけない事No1じゃねーか。



それでなんですけど、ザックも、この失点で目が覚めたのか知らないけれど、やっと動きます。後半19分前田に替えてハーフナーを入れて、清武と岡崎の位置を交換。これ、「おせえ・・・」と。



なんで、おせえ・・・っていうのかというと、ヨルダンの監督、この後、すぐ動いてます。後半21分、ヨルダンの左サイドの守備の穴になってたサイフィーを下げて、14番のアブダラー・デイブ入れてきてるんですわ。これで、清武と内田のマークをはっきりさせてくるわけです。アブダラーが内田を見て、ファティが清武を見るって形に変更したんですね。



「あーあ、交代策おせえよザック、ヨルダンの監督に対応されちゃったじゃん・・・」と画面の前でため息ついた瞬間でした。交代後は、



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こんな感じで対応されて終わるだけやん・・・とか思ってため息です。ヨルダンの監督がザックの意図を2分で見抜いて交代カードを切ってきたわけですよ。後半頭から清武右で良かったのに。そうすれば対応される前に色々できたのに・・・とか思ってたんですけども。



びっくりしたのは、こっから一気に清武が試合を動かした事で、右サイドに移ってから、いきなり香川のゴールをアシスト、それから、うっちーへのスルーパスでPKとるお膳立てしてます。






ただ、この時は、ホントにイライラしてまして、当時の心理状態は、↑のような感じでした。



で、この後も、皆さん、ご存じの通り、遠藤がPK外してしまい、「ウゴゴ・・・・」状態です。




さて、この後もヨルダンの監督の修正は早かったです。アブダラーがうっちー相手にPK献上というプレーをやってしまったので、ヨルダンの監督、右にいた5番のハサンを左にもってきて、うっちーに貼り付けます。で、アブダラーは右に移動。



マッチアップ的には、



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こう変化させてます。両サイドのマッチアップをはっきりさせてきます。これ、PKのすぐ後に行われてました。ヨルダンの監督、修正が凄く早い。



で、ザックのほうなんですが・・・遅い。後半34分、ゴートクに替えて駒野を入れてきます。これは狙いはよくわかります。駒野とマッチアップする事になるアブダラーは守備は大したことないので、ここを狙いたかったんでしょう。うっちーに振り切られる位だし。



ただ、後半39分、ヨルダンの監督は最後のカード切ってきます。ディーブout、MFのダルドルin。



でもって、ザックも最後のカード切ります。後半41分、清武outで乾貴士in。乾は左に入って岡崎を右に。駒野と乾で、アブダラーとバニアテヤのサイドを崩したかったんでしょう。ただ、これも遅い。ハマド監督、アブダラーをトップ下にして、ダルドルを駒野にマッチアップさせてきます。ザックの修正に対して、即対応ッ!はやッ!



で、その後は、ヨルダンは守備の枚数増やして時間使って、日本に勝ちましたとさ。



あのね、今回、ことごとく、ザックの采配は、ハマド監督に対応されちゃった訳で、ザック、後手後手に回りすぎだよ・・・と。





ここで、両監督の交代策とその意図を、ちょっとまとめておきますけど、

前半38分【ヨルダンハマド監督】 23 サフランOUT 5 ハサンIN

前半、日本に散々、右サイドを崩されたので清武にハサンを貼り付けて清武を封じる。ゴートクと遠藤のケアはトップ下のディーブとボランチに頑張らせる。これで、右サイドの守備を修正し、日本の左サイドを封じにかかる。




後半19分【日本ザッケローニ監督】 18 前田遼一OUT 11 ハーフナー・マイクIN 清武と岡崎の位置を入れ替え

左サイドをハマド監督に封じられ二点を先制されたので高さのあるハーフナーを入れ、同時に清武と岡崎の位置を入れ替える。これで右サイドを活性化し、ヨルダンの左サイドを攻略する。ヨルダンの左サイド、サイフィーは守備が緩いので、清武とうっちーの連携でサイドを抉りたい。



後半21分【ヨルダンハマド監督】 9 アルサイフィーOUT 14 アブダラー・デイブIN

ザッケローニは高さのあるハーフナーを入れ、清武を右に移してきた。狙いはサイフィーだ。サイフィーは守備がアレだから、アブダラーに交代させ、アブダラーを内田に貼り付け、左SBを清武に貼り付けよう。



後半26分【ヨルダンハマド監督】 14アブダラーがPK取られた後、アブダラーとハサンの位置を入れ替える。

アブダラーは内田のマークを外し、PK献上してしまった。アブダラーじゃ駄目だ。守備がよく清武をよく抑えていたハサンを左に出して内田と清武を見させよう。




後半34分【日本ザッケローニ監督】 5 酒井高徳OUT 3 駒野友一IN

ハマドはアブダラーを右に移してきた。アブダラーは守備が良くない。クロスのよい駒野とマッチアップさせればボロを出すはずだ。



後半39分【ヨルダンハマド監督】 7 A・ディーブOUT 20 ダルドルIN

疲れの見えてきたディーブを替えてMFのダルドルをいれて守備力強化。最後のカード。




後半41分【日本ザッケローニ監督】 8 清武弘嗣OUT 19 乾貴士IN

相手の右サイドのアブダラーとバニアテヤだ。アブダラーは守備に難がある。乾と駒野のコンビでなら勝てるはず。



後半41分【ヨルダンハマド監督】20ダルドルを右SHに、14 アブダラーをトップ下に変更

ザッケローニは左サイドにフレッシュな選手を集めてきた。狙いはヨルダンの右サイドだ。なら、こっちはフレッシュなダルドルを駒野に対応させ、乾をバニアテヤに対応させて守備をするだけだ。




となってます。




最後は愚痴になるんですけどね・・・・


で、これ、愚痴になるんですけど、今回の試合は、ハマド監督の采配の早さばかりが目につく試合でして、04年アテネ五輪でイラク五輪代表を4強に導いた実績は伊達じゃねぇな・・・と正直、驚きましたよ。以前、ヨルダンの話をブログでしたときに、「あそこは選手より監督が厄介」って話をしましたけど、試合中の采配とフォメ修正の速度が異常に速い。ザックの狙いを2~3分で読み取って、ピッチ上での対応策を指示できるんだから、凄いもんです。



前回の試合では、日本が早い時間帯で先制できたのと、ヨルダンの左SBが謎守備やってたのでイージーな試合になってましたが、こういう監督相手に先制されて、さらに追加点まで許しちゃうと、もう駄目だなあと。



ただね、この試合に関しては、twitterでもぶつくさ言いましたが、それ貼っときますけど、





って所でしてね。これねえ、後半頭から、清武を右にすべきだったでしょお、と。



清武を右にしてヨルダンの左サイドを突っつけば、決定機作れるのは清武が右に移ってから4~5分で決定機2個作れた事からも明らかで。



勿論、ハマド監督は、その意図をすぐに読んで、ハサンを左にもってくるでしょう。でもハサンを左に移せば、サイフィーを右に移すことになるわけで、今度はヨルダンの右サイドの守備が怪しくなるわけです。そしたら、そこでザックは交代カードを切ればいい。そうすれば先手取れたかもしれないのに・・・と。



まあ、このあたりは結果論といえば結果論なんですけどね。もし、遠藤のPKが入ってたら、今頃、「ザック采配的中、清武と岡崎の位置を入れ替えたのがキーとなった!」って言論があふれかえってますわ。



ただ、この試合では、やっぱりハマド監督の采配に対して、ザックのそれが遅すぎた感は否めないので、そこはね・・・ちょっと文句の一つも言いたいなあと。



とりあえず、ヨルダンのハマド監督に関しては、素直に賞賛するしかないです。二試合しましたが、日本とヨルダンのチーム力の差は明らかでした。ただ、ハマド監督、これだけ力量の差があるチームの対戦で、ホント、素晴らしい仕事をしたと思います。後半、ザックの采配に対して、即座に対応策を見いだして、ピッチ上の選手の並びを変更する能力には、素直に感心させられました。ホントに、この人は凄いと。



今日はそのあたりで。敵ながら、ハマド監督は天晴れでございます。オーストラリア、日本をホームで破った事になりますが、ホントに凄い仕事ぶりです。



それでは皆様、ごきげんよう。

2013年、名古屋グランパスの展望 及び、週末の「名古屋対湘南のプレビュー」

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さて、みなさん、こんにちは、代表戦明けてすぐですが、週末にはJ1も再開されますんで、週末の湘南の試合のプレビューもかねて、今回は、2013年の名古屋グランパスの事を扱おうと思います。



えっと、今回、名古屋グランパスの話をするにあたり、ホントに困ったのは、このチーム、ホントに書きにくいチームなんです。なんで、今回の記事はホントに書きにくかったです。以前、バルサのピケが、「バルサのピケ「レアルは滅多打ちされている時ほど危険」」なんて言ってた事がありますが、これ、名古屋もそうなんですけど、あのチーム、滅多打ちにされてる時ほど危険です。J1第三節の甲府戦とか、ある意味で名古屋の典型的な試合なんですけど、甲府のほうがいい試合していたのに、終わってみたら名古屋の勝ちという身も蓋もない名古屋な試合でした。


名古屋サポの方にはすいませんが、名古屋の試合みてると、なんか異次元に引き込まれるような、そんなチームでして、「名古屋相手にいいゲームをすると勝てない」というのが僕の感想です。名古屋が滅多打ちにされてるように見えるのに、終わってみると名古屋が勝ってる。名古屋の試合みてると、そんな事がよくあるんです。J1第一節の試合も磐田が押し気味で進めてたんですが、先制したのは名古屋のほうでした。磐田は山田のゴラッソで追いついてましたけど、「典型的な名古屋のゲームだなあ」なんて録画した試合をチェックしながら思ったほどです。



名古屋については、弱い所は割とはっきりしてるチームですし、守備のやり方や攻撃の方法も割とはっきりしてるチームではあるんですが、ゲームの進め方については、「意味わかんねえ・・・」と思う事が多いです。「さっきまで劣勢だったのに何で先制したのは名古屋なんだ?」と思う試合が結構あって、「名古屋は滅多打ちされている時ほど危険」というのが週末の試合の前の感想です。



週末は出来たら名古屋遠征したいのですが・・・時間つくれそうにないので、今回は自宅観戦の予定です。





で、名古屋の話になるんですけど、まず、このチームの攻撃の話から始めます。

こっからが名古屋グランパスの話になるんですけど、このチーム、湘南がJ1に上がって、はじめて出会う「中央突破」が強力なチームになります。今まで、ベルマーレは、マリノス、鳥栖、清水、大宮と試合をしてきましたが、どこもサイドアタックメインのチームでした。ただ、名古屋の攻撃は、ちょっと毛色が違っていて、ここは中央突破が強力なチームです。



中央突破のバリエーションでいうと、去年の場合、永井と藤本のワンツーだったり、CFのケネディや闘莉王のポストプレーからの中央突破、ダニルソンのミドル、玉田、金崎絡みのコンビネーションなど、中央突破のバリエーションが結構豊富なチームでして、ゴール集だけみると、サイドアタック、センターアタックを使いこなせるチームだなあ、という感じです。


ここがベルマーレが今までJ1でやったチームと違う所でして、名古屋さんは、攻撃で豊富な中央突破のバリエーションを持っています。ただ、金崎と永井が移籍し、藤本が怪我なんで、センターアタックのバリエーションは、週末の試合では少なくなるでしょうけども。



ちなみに、サイドからクロスを上げる時は、ファーに高さがある闘莉王を待たせて、闘莉王の折り返しを決めるパターンと、闘莉王が直接決めるパターンの二つがあります。SBも結構、高い位置を取ってくる事があるので、サイドアタックもしっかり出来るチームです。



ただ、これは去年までの話であって、ここ二試合ほど、名古屋はちょっと攻撃のバリエーションを変えてきてます。主にナビスコカップで確認された形なんですが、これ、ナビスコの時の名古屋のフォメからになるんですけど、週末の試合、



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こんな形で来る可能性が高いです。これ、いわゆる玉田のゼロトップです。この布陣の特徴なんですけど、



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狙いとしては、こういう形になります。玉田は前線で張ってることもありますが、基本はフリーロールで中盤に降りてきたり、サイドに流れてきます。で、玉田の動きでCBを動かして、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんが入ってくるという形です。玉田が下がってくると、442系のフォメだと中盤で数的有利を作られやすいので、単純にそこで起点を作ってくることもあります。



これ、ナビスコカップの第二戦の鳥栖戦で、綺麗に決めたゴールがあるので、それで説明しますけど、



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こういう形でした。このゴールの前の12分にも似たような形でヤキモフスキーがラインの裏に抜ける形を名古屋は作っていて、こういった動きを練習しているんでしょう。



これ、セレッソ戦でも似たような事してたんで、ケネディが戻ってくるまでは、玉田のゼロトップで行く気なのかもしれません、ピクシー。



このフォメの狙いとしては、降りてくる玉田と田中輝の動きで相手のDFを引っ張り出し、空いたスペースにヤキモフスキーやSBを上がらせるって形になります。こういう動きをボランチのヤキモフスキーに繰り返させても大丈夫なのは名古屋にはダニルソンという強力なアンカーがいるからで、ワンボラで守れるんですよね、名古屋は。だから、ボランチのヤキモフスキーが攻撃の時、ボールより前にいてもカウンターは何とかなるって計算なんでしょう、ピクシー。



とまあ、ナビスコで玉田のゼロトップをピクシーが試してたんで、週末の試合はそっちで来ると思ってはいるんですけど、相手が高さがない湘南相手ですので、単純に闘莉王のCFでキショーさんと闘莉王の所に放り込んでくる可能性も大なんですが。。。



えっと、闘莉王がCFの場合、名古屋の攻め方は変わってきます。こっちの場合、



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この形を狙ってくると思います。こっちの場合、闘莉王をファーに置くことで、湘南の3バックの注意をそっちに引きつけます。でもって、キショーさんの所にボールを放り込んでWBの裏にヘディングでフリック。そこにヤキモフスキーを走り込ませるって奴です。闘莉王をファーに置いとけば、そっちに湘南のDFは絶対に引っ張られるので、図で赤で囲ったスペースが生じやすいです。だから、そこ狙いの攻撃ですね。単純に闘莉王に放り込むだけでも湘南の右CBの宇佐美の身長(171㎝)を考えると脅威すぎるんですけども。湘南に闘莉王に競り勝てるCBはいないんで、これはしょうがないっちゃしょうがない。



とりあえず、名古屋の攻撃に関しては、闘莉王のワントップか、玉田の偽のCFかで、全く違う形になります。なんで、こればっかりは週末の試合にならないと、どうなるかはわかりません。玉田の偽のCF、ナビスコ見る限り、結構機能してるので、今年の名古屋はケネディが復帰しない限りは、こっちメインで使うかもしれません。




次に名古屋の守備の話になるんですけど、こっちはかなり特徴があります。


さて、こっからが名古屋ってチームの一番の特徴になります。名古屋というチームなんですが、守備のやり方が一番の特徴です。このチームのやり方は、J1で一番、特徴的だなあ、と思うんですが、これ、どういう事かというとですね。




これ、僕が書くより、元日本代表の秋田さんが、著書の「センターバック専門講座」の中で、名古屋の守備方法について述べているので、それから引用します。


名古屋グランパスは、監督がヨーロッパ出身ということもあり、最終ラインはゾーンで守る。そして、バイタルエリアはある程度取られたとしても、サイドからGKとSBの間にクロスをあげさせない、ということをセオリーとしていた。


いまでもそうだが、当時から名古屋には背の高いCBが多かった。そのため高さには強かったが、相手の細かい動きに対応するのは少し苦手な面があった。そこで、バイタルを取られることにはある程度目をつむり、DFラインの背後を取られることを回避することに比重が置かれていたのだ。


もし、ドリブルで入ってくる選手がいれば序序に間隔を狭めシュートブロック、もしくはゾーンの間に立っている選手のマークをわざとぼかしておいて、パスが出たらインターセプトする、ということを狙っていた。


ただし弱点もあった。


ゾーンディフェンスの場合、一人ずつが担当する守備ゾーンがどうしても重ならない部分ができてしまう。そこに精度の高いクロスボールを落とされたら、もう相手を讃えて拍手するしかない。名古屋グランパスもそうだが、イングランドのチームが失点する場面をみていても、そういった場面は多い。CBとCBの間に走り込まれ、そこにスピードがあるクロスが入ると守るのは難しい。




センターバック専門講座

センターバック専門講座


というものです。これは、名古屋の守備の特徴をわっかりやすく説明してくれてると思うんで引用しました。これ、秋田さんが著書で述べてることですが、これと対照的なのは鹿島の守備方法で、鹿島のほうはバイタルを取られることを絶対許さない守り方をしてます。また、バイタル取られても、そこで前を向かせない守備を徹底してました。最近の鹿島はバイタル緩めですけど、一昔前は、あそこがホントに堅かったです。



名古屋はこういう守り方をするチームでして、J1の多くのチームとは、そのあたり、ちょっと毛色が違います。「DFラインの裏を取られてGKと一対一」とか「GKとDFの間にクロスをあげられる」って事を何より嫌うチームです。その代償としては何ですが、バイタルを取られる事には、ある程度目をつむってる部分があります。バイタル取られてミドル打たれても、GKには日本一の楢崎がいるわけだし、何とかなる。しかし、裏を取られたり、SBが縦に抜かれてGKとDFの間に早いボールを入れられると背の高いDFの優位を活かせない。だから、SBは縦を切って中にいかせて、インスイングのクロスを上げさせるって形を取ってます。これなら、CBは前を向いたまま対応できるのでクリアしやすいし、バイタルからシュート打たれても最悪シュートブロックは出来るという計算です。とにかく、DFの前のスペースで相手に勝負させ、DFの裏を取らせない。それが名古屋の守備の原則になってます。



で、こういう事書くと、名古屋の守備ってグダグダになってても、相手の攻撃を狙い通りの形に持っていかせてるわけで、問題ない・・・・って事になるんですが、ぶっちゃけ、穴があります。これ、システムじゃなくて、プレーヤーの話なんですけどね。



穴がどこかって話になると、ぶっちゃけ、右SBのトコです。磐田戦ではジュビロの山田に右サイドからやられてますし、鳥栖戦でも右サイドで田中がハイボールの競り合いで負けた所から失点してます。



去年の名古屋の全ゴール集でも、「うわー名古屋の右サイドゆるゆるやん、ゆるゆるやんか」って呆れてたんですけど、名古屋の失点って、右サイドからの失点がホントに多いんです。


去年、名古屋さん、新潟に0-5で負けるという珍事をやらかしてるんですが(去年の新潟は得点力不足が酷かった)、その時、新潟に徹底して右サイド狙われてましてね。新潟は去年、全得点が29点なんですが、そのうち、6得点が名古屋相手でした。アウェー新潟戦では、名古屋産、右サイドを抉られまくって失点を積み重ねてます。



これ、去年の名古屋の失点で、右サイドからやられた回数数えてたんですけど、2節二回、10節二回、12節二回、20節、21節二回高木にやられる、26節、27節、29節、33節、これ全部右から失点してます。



去年の場合、名古屋は右サイドが弱いって所が終盤になると完全にバレていて、他チームに徹底して狙われてました。実は、ここ、今年もそうなんですけど、名古屋さん、右サイドの裏がぽっかり空いてる事、とっても多くて、試合チェックしてみましたが、今年もあそこは緩そうだなあ・・・と。


なんで、今年も名古屋さん、右サイドからの失点が多そうな気配です。湘南としては、間違いなく、名古屋の右サイドを狙ってくると思って頂いて結構です。チョウさんがあそこを見逃すとは思えません。




最後になりますが、週末の名古屋VS湘南のプレビューになります。


さて、最後に週末の試合のプレビューやっときます。



まず、名古屋さんになりますが、攻撃面では、闘莉王のCFか、ナビスコでテストしてた玉田の偽の9番かで、攻め方が変わってきます。闘莉王のCFなら、まず間違いなくロングボールになります。湘南のDFは高さがないので、これは単純に有効です。鳥栖と清水は徹底してました。一方で、玉田の偽の9番、ゼロトップの場合、田中輝と玉田の引く動きで湘南のDFを引っ張り出して、空いたスペースにヤキモフスキーやキショーさんを走らせて、湘南の高いラインの裏を狙うって形でくると思います。これはピクシーがどっち選ぶか次第って話になるので、ピクシー次第です。



一方で、守備面なんですが、多分、4バックだろうと思います。名古屋さん、ナビスコでライン上げる試みをやってましたが、湘南戦では、そんな上げてこないんじゃないかな、と思ってます。守備面では、名古屋さんは、3バックも試してましたけど、週末の試合ではそっちはやってこないと見てます。といっても、ひょっとしたら3バックでシステムかみ合わせてくるかもしれないので、ここもピクシー次第なんですけどね。



そんな訳なんで、週末の試合は名古屋さんに関しては不確定要素が高いってのが正直な所です。



一方で、湘南の方なんですが、こっちもいつもの3421でしょう。ただ、場合によって4141で来る可能性もあります。今回の試合なんですが、湘南としては、J1に上がって、はじめて強力な中央突破をもってるチームとの対戦になるので、チョウさん、出方を変えてくる可能性があります。



ただ、フォメがどうあれ、基本、ハイプレスショートカウンターってのは変わらないので、湘南のやることは、どの相手でも変わらなかったりするんですが。湘南にとって助かるのは藤本がいないことで、彼がいない分、ラインの裏への精度の高いパスは出てこないし、コンビネーションの質も下がるので、ホント助かります。



名古屋の攻撃に関しては、わかっていても止められない場所が幾つかあるので、そこは目をつぶるしかないな、と思ってます。個人能力の差の部分は如何ともし難い部分です。



一方で、攻撃面では、狙いは簡単なんです。左WBの高山、ボランチの永木、左シャドーの梶川か武富がキーです。名古屋の右SBは田中隼磨が使われると思うんですが、彼、かなり食いついてくるので、右SBの裏がぽっかり空いてること多いんです。名古屋ってチーム。



これまでの試合、湘南の試合では右WBのコバショーが目立つ試合多かったですが、あれは、今までやった相手の左SBが狙い目だったからでして、今回の名古屋戦では、左WBの高山がキーになります。名古屋の右サイドは守備が緩いんで、右SBの裏、右SBと右CBのギャップを狙った攻撃を狙ってくると思います。高山の見せ場が遂に来たなあってのが僕の見立てです。彼の良いプレーが遂にJ1でみれそうだな、と。スピードとスタミナは、本当に凄い選手なんです。




とりあえず、今日はそんな所で。それでは、皆様、ごきげんよう。ではでは。

2013Jリーグ第5節 湘南ベルマーレ対川崎フロンターレのレビュー 「主に川崎の守備の話ばっかですの巻」

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さて、みなさん、こんにちは。本日は先週末に行われたJ1第五節、湘南対川崎の試合のレビューを行いたいと思います。



えっと、J1第四節の名古屋対湘南の試合のレビューに関しては、試合が完敗すぎて、しばらくサッカー見るのが嫌になるほどのアレだったので、ちとスキップさせてくださいな。名古屋相手に、絶対してはいけない試合運びをやってしまったので、アレはどうしようもない完敗でした。正直、名古屋さんには勝てる気がしませんわ。名古屋さんがミスしまくって自滅してくれたら別ですけども。名古屋には絶対に先制されたら駄目。



とまあ、前回の試合のレビューをサボった言い訳はこの辺りにして、今回は、きちんとレビューやります。それでは本題行ってみましょう。


ちなみに、試合の結果なんですが、1-1のドローでした。


湘南対川崎のマッチアップ


さて、この試合でのマッチアップなんですが、こうなってました。


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湘南はいつもの3421、川崎のほうも4231なので、双方、いつも通りの布陣でした。ただし、湘南はスタメンをいじっていて、シャドーにWBの高山が入っており、左WBが大野という布陣になってます。大久保対策だったのかどうかは、ちとよくわかりませんでした。



で、この4231対3421の場合、ミスマッチの対戦ですから基本的に、


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こんな感じでミスマッチが生じます。ベルマーレは中央で数的有利、川崎はサイドで数的有利という奴です。ちなみに、ベルマーレのほうなんですが、守備の局面では、最近はちょっとライン低めにして、541でブロック作って守ることも多いです。ただし、その場合でも、川崎はケンゴが頻繁に引いてきますので、



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こういう形で川崎は中央で数的有利を作ることが可能になります。こいつは3421が4231系とやる場合に常に抱えてしまう問題でして、守備の局面で、どうやって相手のシステムにかみ合わせるかってのが最初のキーポイントになります。



ちなみに湘南がこういう相手にどういう風に戦うかというと、



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こういう形になります。キーになるのはCFのプレスバックとシャドーの中央での守備参加になります。ボランチ二人では川崎の3人相手にどうしようもないので、CFやシャドーが中央の守備をヘルプします。ただ、このやり方だと、相手のSBが浮いちゃうんじゃない?と思われるでしょうが、その通り。SBが浮きます。ただ、湘南の場合、SBに出されたら、頑張ってシャドーがもう一回寄せるというのが守備の約束になっていて、湘南のシャドーの守備負担は尋常じゃありません。



4231とやる場合、湘南のシャドーは守備負担が凄くきつくなります。そのため、走れる選手じゃないとつとまりません。



一方で、川崎のほうもシステムがミスマッチしているので、



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ここのエリアのシャドーを誰がみるのかってのが問題になります。SBが、ここのシャドーをみると、WBがSBの明けたスペースに走りこんできますし、ボランチがシャドーを見る形にすると、中央のエリアでの数的不利問題に陥ります。



実は、この試合で川崎さんの守備に問題があったんはココだったりします。ここから先は、試合展開の話でやるので、そこまでネタバレは待ってくださいな。



えっと、試合前、






と、twitterのほうで、プレビュー変わりに呟いた事なんですけど、実は、この試合、僕、勝てると思ってたんですよ。理由は川崎の守備に問題があったからで、川崎の試合チェックして「ああ、これなら点はとれるな」と思ったからなんです。もっとも、試合が大雨と大風のせいでピッチ滅茶苦茶になってたんで、どっちのチームも攻撃グダグダになり、流れの中からは点とれそうにないピッチ状態になってしまったんですが・・・・




で、本題ですが、どこに川崎の守備の問題があるのかという話。


こっからが今回の話の本題になるのですが、川崎ってチーム、攻撃はともかく、守備は明らかに問題を抱えています。ここまで、5試合で11失点しており、これは清水に次いで悪い数字です。この失点ペースが続くと、まず間違いなく降格争いです。清水さんと川崎さんについては、まず守備をなんとかしないと、降格争いからは抜け出せないってのが正直な所です。



さて、前振りが長くなりましたけど、川崎フロンターレってチームの守備のどこに問題があるかというと、湘南対川崎の試合のキャプでやりますが、前半2分の時点で、「うわ、ひでえ守備・・・」と思ったのがあったんで、そこのキャプでやりますけど、



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ここ、こういう流れでした。これ、見てて「うわあ、酷い守備・・・」と悶絶したんですけど、前と後ろが全然連動してないから、これじゃ、湘南にボール運んで下さいって言ってるようなもので、これね、強いチームだったら、ここでシュートまで行きますよマジで。



あのですね、この試合で、川崎の守備みてて思った事なんですけど、プレスのかけ方が問題でして、なんで問題かというと試合みてると、レナトと大久保を湘南のCBにぶつけてきて、シャドーをボランチが見る形だったんです、川崎さん。



これ、どう考えても危険なやり方で、なんで、これが危険かってーと、これ、図でやりますけど、



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ここの赤で囲った場所が問題になるんですけど、ケンゴが一人で湘南のボランチ二人を見る事になります。ケンゴがどう頑張っても、二人をマークすることは出来ないので、湘南のボランチのうち、一人は確実にフリーになる計算です。つまり、湘南はボランチ経由でビルドアップし放題って事になる。


川崎は、こうならない為には、FWがCBにプレスかけたらライン上げるしかないんですけど、このシーンだと、それが出来てないんです。ほとんど自殺行為といっていい守備方法で、何でこんな守備やってるのか、よくわからないって状態でした。



でね、前からいけないなら後ろでブロック作って守備すればいいだけじゃんって話になるんですけど、ブロック作っての守備でも、やっぱり問題があるんです。これ、前半4分の時の湘南の遅攻のシーンのキャプでやりますけど、



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こーなりました。ここもね、湘南に簡単にパス回しされてまして、これだけ簡単にビルドアップさせてくれるチーム、そうそうありませんぜ。



あのですね、試合前に、川崎サポの人から「風間さんはスカウティングしないみたいだよ」って言われてたんですけど、試合見て、納得したというか・・・。



これね、川崎さん、引いての守備でも、明らかに問題があります。問題は3つで、



1、ボランチに湘南のシャドーを見させているので、シャドーの動きにボランチが支配されてしまう。シャドーのプル&アウェイや、シャドーがサイドに流れる動きでバイタルがスカスカになる。


2、湘南のWBをSBに見させるのは無理がありすぎる。シャドーとWBの連携で簡単にサイドで数的有利を作られるか、バイタルにスペース作られるか、湘南のボランチがフリーでプレーできる原因になる。


3、レナトと大久保を湘南のCBにぶつけると、中央で湘南に数的有利を与えてしまう事になる。また、レナトは湘南のWBを追いかけてこない。



の三つです。前半4分のシーンだと、大久保が前に出てベルマーレのボランチを追っかけた事で湘南のWBがフリーになる原因ができてますし、梶川の引く動きで川崎のボランチが簡単に動かされて、バイタルスカスカって現象が起きてます。そこに梶川に走り込まれており、あそこでパスが出てたらかなりヤバイ状況でした。



これね、もひとつキャプでやっときますけど、前半16分でも同じような形を湘南に作られていて、





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こーいう流れだったんですけどね。ココ、川崎のプレスが連動してないんですよ。だから、簡単に湘南にプレス突破されてボール運ばれてるし、レナトが湘南のWBについていかず、しかもバイタル埋めるそぶりも見せない。レナトは守備で何してんだって話で、スタで見ていて「うわあ、酷い守備してるな・・・」と思いました。まあ、この後は湘南がミスしてくれたんでシュート打たれることはありませんでしたけど、同じ形で二回もやられるってのは問題があります。



あとね、川崎のボランチが湘南のシャドーを捕まえるってことで、どういう事になるかってのが、これも前半17分のシーンであるんです。このシーンの場合、矢島とケンゴは湘南のボランチを捕まえている形になってるんですけど、その場合、湘南はCBがフリーでボールを供給できます。だったら話は簡単で、



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こーいう流れになるよね、という。川崎のボランチがシャドーを見るって事は、湘南はシャドーの動きで川崎のボランチを動かせるって事だから、シャドーがサイドに流れる動きをいれれば川崎のボランチはポジション動かすので、CFにボランチの間を通す縦パス入られてしまいます。



この試合、湘南は結構、遅攻でも攻撃出来てたんですけど、これは湘南の攻撃がいいというより、川崎の守備のやり方が不味かったってのが理由でして、川崎の守備のやり方、無理があります。


もっとも、この日は湘南は流れの中からは点取れなかったんですけど、この試合の川崎さんの守備見る限り、守備が安定してないのは当然かな、と。



簡単に川崎の守備の問題を指摘すると、


1、FWのプレスに後ろが連動してない。これでは高い位置からのプレスは無理。やらないほうがマシなレベル。


2、SH、特にレナトの守備が酷い。中央のカバーをほとんどしないし、WBのマークも適当。


3、引いて守る際、守備において誰が誰を見るのかの整理がきちんと出来ていない。特に2列目の3人の守備の分担が問題。


4、前4人の攻から守への切り替えの部分が遅い。後ろの6人は早いが、前4人の切り替えはかなり遅いので後ろ6枚でカウンターの対処をせざるを得ない。SBが上がっていると酷いことになる。



って所になります。この試合見てて思いましたが、守備は今まで対戦したチームの中で一番酷いです。川崎サポさんには申し訳ありませんが、この守備はJ1じゃ自殺行為です。大雨と強風、湘南が前3人が初の組み合わせってのがあって、湘南は点取れませんでしたけど、この守備だと、強いチーム相手は無理だと思います。


もっとも、湘南舐めていただけの可能性もありますけど、昇格3チーム全部に先制されているのは、これ無理もないかな、と。


で、次に川崎さんの攻撃の話になるんですけど、こっちは全然良いです。


さて、守備面では糞味噌に言ってしまいましたが、川崎さん、攻撃のほうは全然オッケーです。ぶっちゃけ、攻撃に関しては、あの悪天候でも16本シュート打ってて、全然問題ないと思います。



ってかね、これまでの試合で、川崎さん、リーグ戦平均で一試合17本シュート打ってる訳で攻撃面はホントに問題ないと思う訳です。風間さんになってから、川崎さんはポゼッションサッカーに挑戦してますけど、この日もポゼッションは上手かったです。雨に濡れながらの観戦でしたけど、「上手いもんだなー」と感心した位です。攻撃に関しては、GKとの一対一外しちゃったのが痛かったですかね。



今回は、湘南相手だった訳ですけど、攻撃に関しては湘南がやられたら嫌なことをきっちりやっていて、これ、どういう事かというと、図でやりますけど



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まず、湘南を自陣内まで押し込み、湘南の守備ブロックを541の形にする。その上で、中央のエリアでの数的有利を使うって形です。ケンゴはフリーロールみたいな形で、最終ラインまで降りてくることもあるし、サイドに流れることもあります。湘南はこれが本当に嫌で、スタで見ていて、「ケンゴはポジショニングも上手いねぇ・・・」などと感心しながら見ておりました。



なんで、ケンゴのポジショニングが嫌らしいかってーと、ボランチがケンゴをマンマーク気味で潰そうとすると、ケンゴはサイドに流れたり、引く動きで湘南のボランチを動かしてくるんですよ。で、空いたスペースを大久保やレナト、川崎のボランチに使わせるって事をしてくる。一方で、ボランチがついてこないなら、SBとCBの間のギャップやボランチとシャドーの間のギャップでボールを受けるポジショニングをしてくる。テクも抜群ですけど、ケンゴは頭がいい選手なんです。



じゃあって事で、湘南のほうは中央で数的有利を作られたくないし、ケンゴもフリーにしたくないので



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こんな感じでシャドーに中央の守備を手伝わせ、CFの武富もプレスバックに動員してました。まあ、これだけやっても時々崩されそうになってたんで、スタで見てて、ポゼッションは上手いなあと。この日はショートパスには不向きだったのと、湘南のほうが全員守備で頑張っていたので点取れたのは後半40分でしたけど、攻撃面、特にポゼッションに関しては、非常にいいチームに仕上がってると思いますマジで。



ちと、今回はキャプでやる元気がないので、川崎さんの攻撃までは手が回らないんですけど、湘南のバイタルにスペース作るって所まではきちんと出来ているんです。そこからがちょっと残念になってるんですけどね。ただ、これまでリーグ戦5試合、全試合で先制されているので、それが試合を難しくさせている原因になっているというのが僕の感想です。



この試合も何度も湘南を自陣内に押し込んで攻める時間帯が何度もあって、ポゼッション自体は問題ないし、シュートも沢山打ってるわけです。チームとしての問題は攻撃じゃないと思いますホントに。


で、まとめに入りますが・・・・

さて、最後になります。この試合に関してですが、湘南が後半39分にセットプレーで点取ってから、1分後に湘南がミスから失点という身も蓋もない幕切れになりました。



今回は試合内容というより、川崎さんの守備の話ばっかになっちゃってすいませんが、正直言って、川崎さんは攻撃面では問題ないんですけど、守備のほうで相当問題があるって事だけ言いたかっただけなんです。リーグ戦で昇格3チームに全部先制され、鳥栖に5失点、柏に3失点してるわけで、守備何とかしないと正直やばそうだ、と。



繰り返しになりますけど、攻撃は良いんです。攻撃は。問題なのは守備のほうで、この守備続けると、延々先制され続けてしまい、試合を難しくし続ける事になるってのが僕の感想です。先制されると相手は引いて無理にボール取りにこなくなりますから、点取るのはすっごく難しくなります。湘南戦以外、全部前半で先制されているので、これだと勝つのは難しいです。



えっと、川崎の風間さんですが、2年目ですし、結果が求められるシーズンです。攻撃面ではいいんですが、守備の修正がどこまで出来るかで、今後が決まりそうな気配です。今日はそんな感じでまとめておきたいと思います。風間さんのサッカーについては、攻撃面では良いと思いますが、守備面のほうは、ちょっとアレかなあと。そんだけです。



ではでは。

2013CL準々決勝2ndレグ、ユヴェントス対バイエルンのレビュー 「ユヴェントスの352守備の欠点について」

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さて、みなさん、こんにちは。本日は今朝行われたCL準々決勝、ユベントス対バイエルンのレビューをしたいと思います。いきなり、何でCL?と思われるかもしれませんが、この試合はいわゆる352の良い教材なんで、ちとレビューをしようと思ったわけです。ちなみに、352は今期、磐田と大分が採用しています。



ええと、僕、352系はあまり好きではありません。わかりやすい欠点があるからです。もっとも、ユーヴェはこれで上手くやっているわけですけど、やっぱり352の欠点からは逃れる事は出来ないなあ・・・と試合を見て思ったわけです。バイエルン、非常によくユヴェントスを研究しており、ユーヴェがやられると嫌なことばっかりしてました。


1stレグ、2ndレグ共にバイエルンが2-0で勝っており、今回はバイエルンの完勝といっていい結果となりました。試合後、コンテ監督が、



コンテ:「何年もイタリアのチームはCLで勝てない


敗北後は分析、落胆の後は攻撃だ。チャンピオンズリーグ(CL)でベスト8敗退が決まり、ユヴェントスのアントニオ・コンテ監督は、イタリアサッカー界全体に対して明確なメッセージを送っている。


「残念ながら、これが現在の状況だ。イタリアのチームはどこも、またあと何年もCLで成功する可能性がないと思う。計り知れないギャップをつくられてしまったんだ」


コンテ監督は記者会見で次のように説明している。


「2、3人の選手を獲得すれば、CLを制覇できるという声を聞くと、笑ってしまうよ。イタリアサッカーは止まっている。これは全員にとって明らかでなければいけない。国外では投資をし、プロジェクトを組んでいる。我々は審判のことや、どの選手がどのタレントとデートしたとか、そんなことばかりを話しているんだ」


「(マルチェッロ・)リッピ監督とともに私がCLを制覇したとき、基準となるチームは、若手に働きかけていたアヤックスだった。今、アヤックスは存在しない。レアル・マドリー、バイエルン、バルセロナ、パリ・サンジェルマンといったスーパーパワーたちがいる。彼らの売り上げは4億ユーロ(約520億円)以上だ」


「私は、全員が一緒になってイタリアサッカーを変えなければいけないと思う。全員というのは、我々、各クラブ、サポーター、メディア、体制のことだ。そうじゃなければ、どこへも行けない。最後にトロフィーを獲得したのは、3年前のインテルだ。最後の準決勝進出はいつまでさかのぼる? ラツィオがフェネルバフチェを倒せることを願っている。だが、これが今の状況だ。下らないことを考えるよりも、現実を見る方が良い」

と、深刻なコメント残してますが、二試合とも完敗だったので相当ショックだったんでしょう。ホームで2-0で負けた訳ですから言い訳できる立場じゃないです。



でもね、ユヴェントスの守備のやり方、CLだと無理だと思うんです。セリエAならともかく、CLクラスの相手に、あの守備のやり方は危険だろうと。



今期から磐田さんがユヴェントスタイプの352を取り入れてますけど、あれはあれで強みもあるんですけど、同時にユベントスの欠点もコピーしてしまっています。先日のナビスコで湘南とやった時思ったのは「ユーヴェと同じ欠点もってるなあ」という奴でして、本日は、ユヴェントスの守備のやり方と、その欠点のお話をしようと思ったわけです。ちなみにユーヴェスタイルの352やってる磐田の守備にも同じ欠点があります。





ユヴェントス対バイエルン、なぜユヴェントスの守備はバイエルンに通用しなかったのか?

さて、こっからが本題です。今回は教材として、2ndレグ、ユーヴェのホームで行われたユヴェントス対バイエルンの試合を使います。ちなみにスタメンですが、




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こーなってました。バイエルンはトップ下ミュラーの4231、ユヴェントスはイタリアで流行っている352です。ちなみにピルロがアンカー。



で、ユヴェントスの352の特徴なんですが、これ変形型の352です。どういう事かというと、4231とやる場合、これ、図でやりますが、



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デフォだと、この図にあるように、相手のSBが浮いてます。SBとマッチアップする選手がいないんですね。だから、ほっとくと、あそこのSBからフリーでボール供給されてしまってラインがズルズルと下がることになります。ただ、ユヴェントスも馬鹿じゃないですから、サイドにボールが出たら、これも図でやりますが、



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こういう形でボールサイドに全体をスライドさせて守ってきます。WBが前にでて相手のSBに当たり、最終ラインは4バックになって守ります。これがユベントスの基本形となります。この形で相手とシステムをかみ合わせて、サイドでボールを奪いに行きます。



まあ、こうやって書くと、4231相手で何も問題ない、むしろ良い感じじゃね?と思うかもしれませんが、そりゃ相手が何も対策せず、馬鹿みたいにSBを使ってくれたらの話です。



現実にはサッカーは相手がいるスポーツですんで、相手チームが何も考えずにユーヴェの思惑通りのボール運びをするなんて事はありえません。むしろ逆です。こういった守備方法をしてくるとわかったら、まさにこの守備方法が逆に問題になるようなボール回しをしてきます。バイエルンは、まさにそれをやってきました。




えっと、まず、このユーヴェの守備なんですが、当たり前ですけど、やり方的にサイドチェンジされるとプレスが空転します。バイヤンは、実に上手くサイドチェンジを使ってました。どういう事かというと、



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こーいうサイドチェンジです。



これ、試合で実際に決まっていて、キャプでやりますけど、試合後半50分の奴です。


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流れとしてはこうなりました。ここね、本当に見事なプレス回避で、見て唸ってしまうほどでした。これは実に上手い。この日のバイエルン見てると、SBとボランチのパス交換からのサイドチェンジを多用してまして、これやられてユーヴェは右に左に揺さぶられ続けてました。



バイエルンの狙いは、こういうサイドチェンジを続けてながら、ユーヴェの守備ブロックにギャップをつくり、ギャップが出来たその瞬間を狙ってフィニッシュって形です。特にピルロの両脇が狙い目になってました。なんでかっていうと、これ、ユーヴェの守備方法と関係があるんですけど、




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これなんですけど、ユーヴェってチームはピルロをアンカーにした3ボランチを採用してます。ただ、ピルロ自体が守備範囲が広い選手じゃないのと、年齢的な問題で、広い範囲をカバーできません。だから、ユーヴェの守備ではピルロの両脇のスペースってが泣き所になっていて、あそこでボールを受けられて前を向かれると一気に崩されます。これ、イタリア代表のウィークポイントでもあります。



この日、バイエルンが執拗に狙っていたが、ここのスペースでして、ピルロの両脇のスペースは徹底して狙われてました。ユーヴェの守備の関係上、バイエルンのSBにボールが出た際、WBとボランチ一枚で囲い込んでボール奪いたいんですけど、その際、ピルロの両脇にスペースができやすいんです。バイエルンの狙いは、まさにその瞬間で、ユーヴェの守備がボールを奪いにくる、その瞬間にできる隙を狙っていました。



ちと、前半40分に感心したパス回しがあったんで紹介しときますけど、



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こいつです。ここ、本当に上手い。ピルロの両脇狙いのパス回しですけど、ラームのプレーに一々感心しました。で、このキャプの二枚目見て貰うとわかると思うんですけど、ボランチがサイドにアタックにでた瞬間、中央のカバーに残っている二人にはそれぞれ、シュバインタイガー、ハビマルティネスというマッチアップがいるんです。これが、ボールサイドでリベリーにピルロが当たりにでるのをためらってしまう理由になるんです。



これ、図で説明すると、


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こうなるんです。ボールサイドで囲い込んでボールを取りたいユヴェントス。だけど、バイエルンはその動きを利用してセンターで数的有利を作ることができる。



勿論、コレを防ぐため、CBが前にでて潰すってことは可能です。ただ、キャプでやったように、CBが前に飛び出して交わされたら・・・・ゴールまで一気に行かれます。キャプでロッベンにシュートを打たれたようにね。




で、最後になりますが、これ、バイエルンの2点目が、まさにピルロの両脇のスペース問題と、センターでの数的不利問題がでた奴だったので、そのキャプ使って、ユーヴェの352の欠点の〆とさせて頂きます。




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まあ、こういう流れだったんですけどね。えっとね、ここユヴェントスの悪いところがぜーんぶ出てます。ピルロの両脇のスペースを使われやすいって所、SBからのサイドチェンジに脆いって所、中央で数的不利に陥りやすいって所、全部でてしまっての失点でした。



これねえ、バイヤンも上手いですけど、ホームで綺麗に崩されるユーヴェもアレですわ。ぶっちゃけますけど、352って研究されると、こういう攻撃で崩されるんですよ。バイヤンのハインケス監督が試合前「ユーヴェを徹底的に研究した」とか言ってたそうですが、試合見てみると、「本当によく研究したんだあ・・・」と感心しきりです。ボール回しがユーヴェの352対策てんこもり。



今回は、バイヤンの守備のほうは扱いませんけど、CL準決勝からは、きっちりレビューもするので、その時にでもバイヤンの話はします。今日はユーヴェの守備の話と、その欠点の話だけに留めておきます。




最後になりますが、352をJリーグで使う際の注意点について!!!


えーと、ここまでユーヴェの話をしてきましたが、352を大分と磐田が使っているので、352というシステムの問題点を簡潔にまとめておきます。



1,352はデフォだと4231系とやった場合、相手のSBが浮いてしまう。


2、相手のSBにボールが出た時にボランチとWBで囲い込む事で、この問題の解決を図るのがユヴェントス流352だが、これはその代償として相手に中央での数的優位を与えてしまいやすく、バイタルエリアを特に使われやすい。(大分と磐田も同じ欠点を持っている)


3,バイタルをやられないようにCBが前にでて潰しにいく、FWを一枚下がらせて中盤の守備をヘルプさせる意識を強めに持たないと、今回のユーヴェ対バイヤンみたいな事になる。



って所になります。




今回、磐田さんの352の話もついでにしようかと思ったんですけど、これはリーグでの湘南対磐田戦まで持ち越しときます。ちなみに、磐田さんの352は何度か拝見しましたが、ユーヴェと全く同じ欠点を持っております。


ユーヴェをコピーするのは別にいいのですが、欠点までコピーしちまっているので、あそこは何とかしたほうがいいんじゃないかとは思います。


特にCLなんて大舞台で、バイヤンが完璧なまでのユーヴェの352殺しをやってのけた訳で、来週からこぞってJリーグのチームが、磐田相手に、あれやってきます。まず間違いなく、磐田の352相手にはバイヤンと同じ方法で来ると思います。



今日はそのあたりで。ではでは。

2013年J1第六節 浦和レッズ対湘南ベルマーレのプレビュー 「浦和の3421における守備について」

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さて、皆さん、こんにちは。本日は日曜に開催される浦和レッズ対湘南ベルマーレのプレビューをしたいと思います。なお、今年の浦和さんなんですが、開幕から絶好調でして4勝1分という成績で、サポの方はウキウキ気分だと思います。うらやましい話です。


ただ、先日、前田に初ゴールを決められてしまい、「前田の呪い」をもろに被った格好です。ただ、今のチーム状態で落ちる事はまず考えられないので、前田のジンクスは今年で終わると思います。終わらなかったら前田はルールで禁止すべきです。これで浦和が落ちたらサッカーのルールがおかしい。



えっと、本日は、浦和の守備の話がメインです。ペトロビッチ監督にとって守備なんてのはどうでもいい事かもしれませんが、これ、前回の記事でユーヴェの352の話の続きといっていい内容なんです。つまり、352の守備と、3421の守備の違いとかの話になるわけですね。




なんで今日は浦和レッズの守備の話がメインになります。前回はいわゆる5-3ブロックの話でしたが、今回は5-4ブロックの話になります。



ミシャ・ペトロビッチ監督の3421について

さて、こっからが本題です。これ、現状、日本で一番有名な3421といっていいでしょうが、ペトロビッチ監督の3421システムの話になります。ペトロビッチ監督の3421ですが、これ変形型の3421でして、基本形は、



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こういう形の3421なんですが、攻撃時と守備時で変形します。どういう形かというと、攻撃時には



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415みたいな形に変形し、守備時には



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こんな形に変形します。守備時には541になります。



攻撃のほうは、まあ、僕が説明しないでもいいかなとは思うんですが、簡単に説明すると、ボランチ2人とCBのトライアングルで相手の2トップのプレスを回避し、そこからサイドに張っているWBに展開するか、中央への楔を狙っていきます。



もし、相手のSHが中央の守備に参加してくるなら、ワイドに開いたCBにパスをだし、そこから中央へ斜めにパスを入れてスルーを使ったコンビネーションをするか、WGとの連携でサイド攻撃にはいります。


前線の役割分担としては幅を二人のWBが作り、2シャドーとワントップはコンビネーションで中央突破を試みます。WBや開いたCBから斜めのパスを入れてのスルーを使ったコンビネーションはペトロビッチサッカーの18番です。ボランチの縦パスからポストプレーも得意にしてます。



とまあ、これが基本形でして、攻撃のほうは完全なポゼッションサッカーです。これは広島の時に完成した形でして、浦和でも全く同じ事をしてます。



一方で、守備のほうなんですが、基本はリトリートで後ろで5-4のブロックを作って守ります。今回はプレビューですし、浦和の5-4の守備の話をメインにします。浦和の守備、ちょっとした欠点がありまして、週末の試合、湘南が間違いなく狙ってくるであろうポイントがあるんですね。





浦和の守備ブロックの作り方と、その難点の話

えっと、ここまで浦和のサッカーの話をしてきましたが、浦和は引いて守る際、5-4-1で守ります。この時に問題になるのが、


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ここの赤で囲ったエリアを守るシャドーになります。浦和のシャドーはあそこで相手のSBとマッチアップする事になるんですけど、ここのシャドーの守備がぶっちゃけ緩いんです。



これ、実は広島も一緒なんですが、あそこのシャドーの守備って割と適当な所があって、CWCのアルアハリ戦なんか、その典型なんで、動画張っときますが





20121209 サンフレッチェ広島vsアルアハリ (アルアハリ1点目) - YouTube


20121209 サンフレッチェ広島vsアルアハリ (アルアハリ2点目) - YouTube



こいつです。キャプでやるのも面倒なので動画みてください。ここでのポイントを解説しますが、2点とも広島の左サイドやられているんですけど、一失点目が特に問題で、広島の左シャドーが相手のSBのオーバーラップについていってないんですわ。もの凄い緩い守備やってて、何してんの?という感じです。で、その結果としてSBのオーバーラップから、WBとCBの間のギャップにポジショニングした選手とのワンツーで裏取られ、マイナスのクロス入れられて広島は失点したって流れです。ペトロビッチのサッカーだと、こういう形でオーバーラップしたSBにシャドーがついていかないってケースが結構あるんです。


で、二失点目ですけど、これもシャドーが緩い守備やってるからクロス入れられて失点って流れで、どっちもシャドーの不味い守備からやられてるです。


これ、広島の失点の動画ですけど、去年の浦和全ゴール集をチェックすると似たような形で失点する形がすごーくすごーく多いんですね。



参考例として、去年の鳥栖対浦和の試合の動画張っときますが、



http://www.youtube.com/watch?v=LlaM0mWY4M4



こっちの動画の豊田のゴールみてもらうとわかると思うんですけど、左SBのキムミヌのオーバーラップにマルシオがついていってないんです。で、サイド抉られてマイナスのクロス入れられて失点って流れです。これ、マルシオがついていかないと駄目でしょ?って話になるんですけど、こーいうのがよくあるんです。これ、失点の仕方としてはアルアハリ戦で広島がやられたのと一緒です。シャドーがSBのオーバーラップについていかない。WBに任せちゃうんです。



また、広島の奴と一緒なんですけど、28節の札幌戦で、シャドーが緩い守備やってるもんだから札幌のSBにクロス入れられてそこから札幌の古田にやられて失点とか、まあ、広島の失点と浦和の失点の仕方って、すごーくよく似てます。同じサッカーやってるんだから当然っちゃ当然なんですけどね。




それで、これが今回のメインディッシュなんですけど、前回、磐田戦で、前田にデスゴール食らった浦和さんなんですけど、このデスゴールの原因になったのが、シャドーの緩い守備なんです。あそこが原因になってデスゴールとなりました。どういう事かってーと、これキャプでやりますけどね、



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こーいう流れだったんですけども。これね、一連の流れで原口、全く守備してませんよね、という。駒野はJで№1のクロッサーだし、あそこは駒野捕まえとくべきじゃねぇの?という感じなんですけど、ずーっと突っ立てるだけなんです。



これ、以前から疑問なんですけど、浦和とか広島って、SBやWBのオーバーラップ、中に切れ込む動きにシャドーがついていくって事は監督の方針でやらせないんですかね?ついていかせちゃうとカウンターが難しくなるかもしれませんけど、でも、ついて行かせないと崩される危険性があるわけで・・・・


ここ、柏木はボランチ二人のポジショニングをみて、バイタルが空いてるって事に気づいて、バイタルのスペース埋めに中央に絞ってるんです。彼と比較すると、原口の守備時の献身性の低さというか、危機察知能力の無さはちょっと致命的というか・・・


これ、マルシオもそうなんですけど、周囲との連携に注意を払って中央に絞ってスペース埋めたりSBのマークに入ったりってプレーは原口には、させない方針なんでしょうかねペトロビッチさん。それならそれでいいんですけど、もし単に周囲で何が起こってるかわからないってーなら、原口は、もうちょい守備の能力を磨かないとヤバイ。



これねえ、去年もそうだったんですけど、浦和さん、マルシオのサイドが弱くて、マルシオがSBのマーク適当だから、マルシオの後ろのWBが一人でサイドを守らないといけない状態でした。だから、ボランチがヘルプに来る事多いんですが、そうすると中央1ボラになってバイタル使われちゃうって悪循環にはまるんです。



今年に関していえば、原口がこんな守備しかしないようだと、左WBの宇賀神と左ボランチの阿部ちゃんは大忙しになりそうです。まあ、この二人なら守れるので原口はカウンターの為に前に残っとけって計算なのかもしれませんけども。




週末の浦和対湘南のプレビュー


ええと、ここまで浦和さんの守備メインで話をしてきましたが、これね、今年の浦和を見る限り、左サイドから失点が増えそうだな、ってのが僕の見立てなんです。理由は原口がアレな守備やってるからで、あれじゃ宇賀神が過労死します。


今回、ちょっと時間がないので、手短にすませますが、湘南は十中八九、浦和の左サイドを狙ってきます。これはほぼ間違いないです。理由は原口の守備が適当だからで、右WBのコバショー、ボランチの永木、シャドーの菊池あたりを絡めたサイド攻撃で浦和の左サイドの突破を試みると思います。ここで、サイドの守備のヘルプに阿部ちゃんがでてくるようなら、中央が1ボラになりますから、その時はバイタル使って攻めるみたいな形になります。


浦和さんの守備見る限り、明らかにあそこの守備が弱い為、湘南としてはそこに活路を見いだすことになります。



一方で、浦和さんの方なんですが、これはいつものサッカーするだけでしょうね。湘南のほうはハイプレスショートカウンターなんで、引っかけられてショートカウンターくらうのだけは注意です。ただハイプレスは交わしてしまえば、あとはたっぷりスペースありますから、浦和のほうはいつものポゼッションサッカーでしょう。ハイプレスさえ交わしてしまえば、浦和は前の選手に力がありますから、ハイプレス交わせば、後は個でもっていけます。あと、湘南は後半での失点が異常に多いので前半はのらりくらいロングボール絡めながら湘南を走らせて後半勝負って形かもしれません。



えっと、去年の初めに浦和さんとは練習試合してるんですが、その時のスコアは確か5-1とかで湘南の負けでした。完敗も完敗、身も蓋もない完敗でした。湘南としては、浦和と実力差を見せつけられる練習試合になった訳です。



日曜、埼玉スタジアムにお邪魔する予定なのですが、こっちとしては胸を借りるつもりで伺うので、どうぞよろしくお願いします。去年の練習試合から、湘南がどんだけ進歩したか、いい試金石になる試合だと思ってます。実力差は間違いなくありますが、なんとか一矢むくいたいな、と。



今回、プレビューだし、あんまし詳しくやっちゃうと、試合後のレビューで書くことなくなると学習したので、今日はこのあたりで。ではでは。

本田圭介の移籍話とかプレースタイルの話とか

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さて、皆様、お久しぶりでございます。久しく更新していなかったので、何してたんだって話になりますが、本日からは、いつもの更新ペースに戻ろうとかと思います。特に体調不良とかではありません。


それで、ですが、最近、本田の移籍ネタが騒がしくなっており、サッカー関連のサイトとか、サッカー雑誌はもう本田ネタ一色なんで、時期的にも丁度いいですし、今日は本田圭介ってプレーヤーの話でもしようかと思います。


彼のプレースタイルなんて、別に僕が説明せんでもみんな知ってる事ですが、考えて見ると、うちのブログで彼の事を専門的に話題にしたことはないので、今日は彼のプレースタイルの話でもしようかと思います。


まず、本田の能力を数値化するとどの位になるかって話


さて、本題に入る前に、本田って選手の能力を数値化すると、どんなもんなのかって話から入ります。実はこれ、週間サッカーダイジェスト、2013年7/23号で、ザックの教え子で、イタリア人監督のロベルト・ロッシが本田の能力の数値化をやってるので、そっちの表をちょっと引用します。ついでに、ロッシはWSDのほうでも、若手のトップ下の選手の能力の数値化をやってるので、比較として、そっちの数字も載せておきます。同じトップ下の選手としてゲッツェのデータはWSDの377号、クリスティアン・エリクセンのデータは379号のものです。


項目としては、フィジカル、テクニカル、タクティカル(攻撃)、タクティカル(守備)、メンタルの4項目からなっており、440点満点で採点されています。


ちなみにですけど、これ10は滅多にでません。ロッシの採点で、10みたことあるのは、ゲッツェの大胆さのトコと、ネイマールの一対一、守→攻への切り替えの時くらいです。


大体ですけど、ロッシの採点だと、9ついてたら「もの凄く良い」、8で「良い」、7は「普通」、6は「やや物足りない」、位と考えて下さい。



で三者の表にすると、こーなります。全員、トップ下の選手です。ゲッツェは知らない人いないと思いますが、エリクセンは知らないと人いるかもしれないので補足しておきますが、デンマーク代表の21才でアヤックスでトップ下やってる選手です。今年の夏に移籍するって話が出てる選手ですね。ドルトムントが興味もってるみたいですが。



本田圭介ゲッツェエリクセン
フィジカル
項目採点採点採点
パワー986
持久力678
加速力(+30M)787
ダッシュ力(10-15M)787
初動速度787
敏捷性788
コーディネーション888
ジャンプ力867
停止力887
676965
テクニカル
項目採点採点採点
センシビリティ887
パス788
ロングパス777
クロス787
シュート877
プレースキック879
非・利き足の技術676
一対一突破697
ラン・ウィズ・ザ・ボール787
ストップ787
トラップ797
ヘディング577
839386
タクティカル、攻撃
項目採点採点採点
局面への参加998
スマルカメント777
ボールキープ887
視野の広さ・戦術眼787
アシスト能力797
ゴールセンス787
創造性687
守→攻の切り替え788
586558
タクティカル、守備
項目採点採点採点
局面への参加877
ポジショニング888
マーク655
一対一守備766
アンティシペーション666
インターセプト667
攻→守への切り替え778
484547
メンタル
項目採点採点採点
リーダーシップ886
闘争心777
フェアプレー/ディシプリン999
チームスピリット888
自己犠牲の精神878
継続性/安定性668
集中力/注意力668
大胆さ8106
606160
合計316333316
ゲッツェのデータの場合、アンティシペーションの項目がないため、6という数値を採用している


と、まあ、こーなってます。総合点をみると、ゲッツェネイマールゲッツェとほぼ同値)ほどではないが、エリクセンとは、同等という数値です。ロッシの採点みてると、総合点で330を超えてるようなら、ワールドクラスの選手って感じです。ビッグクラブクラスだと、315点前後の選手からになるので、本田は総合点でみると、ビッグクラブでやれる選手という感じにはなります。




で、なんですけど、大体の所、本田のプレースタイルの話なんて、ロッシが週間サッカーダイジェストで大体全部解説してるし、そもそも日本代表の試合みてるなら、みんな知ってるだろうから、僕が解説することもない事なんですが、二番煎じ上等で話すと、この選手のフィジカル面での最大の強みはパワーです。コンフェデでも後ろからイタリア代表のDFに当たられてもボールを失わずキープできる事を証明しました。一旦、足下にボールを納めれば、失う事はまずありません。この部分は傑出しており、現在、日本代表でイタリアのDFに後ろから当たられてボールをキープできるのは本田くらいのモンです。



一方で、フィジカル面で欠けているのが持久力であったり、スピード全般であったりします。これ、岡田監督が日本代表を率いていて、ハイプレスやってた時期に、本田があんまり重用されなかった理由でもあるんですが、本田って選手はハイプレス向きの選手じゃ絶対ありません。これ、トップ下の選手の多くに言える事なんですが、大概の場合、トップ下の選手って持久力があんまりありません。ジダンとかスナイデルもそうでしたが、プレーとプレーの間に一定の休息時間が必要な選手が多く、ハイプレスに狩りだしてしまうとゴール前で違いを作れないっていう本末転倒な事態に陥ります。ジダンにハイプレスさせて、何か良いことある?って考えると、特に何もありませんよね、という。だから、ジダンを使う時は、ある程度の守備負担の軽減が必要でしたし、スナイデルなんかもそうです。最近の若手だと、イスコとかネイマールもそうなんですけど、彼らは根本的にハイプレス向けの選手じゃありません。イスコは持久力に明らかに難がありますし、ネイマールはそもそも守備に熱心じゃありません。(ちょっと話が横道にそれますが、バルサはハイプレスのチームなんでネイマールどうすんだよ、と心配してます。ボール失った後に鬼プレスかけるネイマールとか想像できない。)



一方、クリスティアン・エリクセンみたいに持久力があるタイプのトップ下の場合、また話が別でして、こーゆータイプはむしろハイプレスやってるチーム向けです。ロッシもエリクセンドルトムントに向いてるみたいな話をしてますが、彼のフィジカルの特徴を考えると、ドルのトップ下にはよくマッチしてます。逆に本田はドルトムントのトップ下にはあんま向いてません。糞みたいに走らされるので、戦術とフィジカルがミスマッチなんです。




さて、テクニカルの側面になりますが、こっちは本田はワールドクラス、といえる武器はもってませんが、テクニカルのレベルは平均的に高いのが特徴になります。これといって不得意なプレーはありません。ただ、レフティの呪いというか、左足に頼る傾向が強く、右足をあまり使いません。レフティの場合、それでも何とかなるので、これは欠点というほどじゃありません。また、一対一の突破に関して、ロッシがあんま高い採点してませんが、スピードに欠けている所がある為、これはしょうがないかと。レフティのドリブラーであれば、右サイドから中にカットインしてシュートってのは求められる要素なんですが、右WGで使っても、本田にロッベンやメッシみたいなプレーは期待できないし、左WGでつかってベイルみたいなプレーしろっても本田は無理です。日本代表でもそうですが、WGで使っちゃうと良さがでません。縦に抜いたり、カットインしてシュートってのは本田に求めてもしゃーないし、逆サイドからのクロスに合わせたり、斜めに入っていってスルーパスを引き出すとか、本田にやらせてもしゃーないでしょ、って事です。やっぱりトップ下の選手なんです。だから343はいい加減にあきらめれザック。WGだと本田の良さが出ないじゃん。



次にタクティカル(攻撃)の話ですけど、最大の長所がパワーとテクニックを活かしたボールキープで、一旦ボールを足下に収めたら、まず失いません。だから、周りの選手は安心して本田にボールを預けられるし、2ライン間でボールをうけ、そこからDFを背負っても反転して違いを作るってが彼の最大の長所です。ここでもプレーの選択は的確ですし、若干強引な所もありますが、それもまた彼の長所の一つです。この面では、彼はこれといって短所がない選手でして、ロッシは「意外性に欠ける所がある」と言ってはいますが、トップ下に置いている限り、彼がプレーの選択自体を間違うことはそうないので、僕は問題ないと思ってます。(WGにおいとくと、ちょっとアレですが。。。)



攻撃面のタクティカルは申し分ありません。ただ、欠いているポイントもあって、これ、彼のフィジカルと関係しているのですが、センターフォワードが空けたスペースに走り込んでパスをもらい、そこから一気にフィニッシュかラストパスってプレーは得意とはしてません。基本的に10番的なスタイルの持ち主でして、パスを貰ってフィジカルを活かしたボールキープから反転して違いを作り出す(ミドルシュートやラストパス)ってプレーを好みます。オフザボールの動きでマークを外し、CFが空けたスペースを使って裏に抜けてフィニッシュっていうプレーはそれほど得意じゃないってことです。そーいうプレーはミランのボアテングが得意なプレーです。



タクティカル(守備面)の場合、トップ下においておくならともかく、サイドで使ってしまうと、SBとの走り合いになったら不利ですし、やっぱり攻撃の時に良さがでないってのがあります。マークや、アンティシペーション、インターセプトの能力が高い訳ではないので、相手チームにWGとボランチの間のギャップを狙われる可能性が高いです。(トップ下に置いておく限り、こういった問題は起こりません)




最後にメンタル面になりますが、これは問題ないでしょう。日本代表のリーダー的存在になってますし、ビッグクラブでも問題ないと思います。



このあたりは、ロッシと同じ結論なんで、目新しい話はできないし、ほとんど二番煎じなのですけどね。



まとめちまうと、この選手はトップ下で10番タイプの選手だって事です。器用な選手で、SHやCH,インサイドハーフも出来ますが、そっちで使うと良さが半減します。2ライン間でドーンと構えてパスをもらい、そこから違いを作る10番タイプの選手でして、それやらせないなら本田でなくてもいいだろって話です。10番タイプのプレースタイルの選手は、トップ下に置いとくのが一番いいんです。





ミランに本田が移籍したとして、ミランは本田必要なの?という話


最初に言っときますが、もし、来期のミランがハイプレスかけてダイナミックなトップ下の飛び出しを主軸にした戦術取るなら本田はいりません。そもそも、それならミランはボアテングのトップ下に戻せばいいだけだろって事です。


ただ、それは絶っっっっ対にないです。



理由としては、ミランのCFはバロテッリで、こいつはハイプレス何それ美味い?ってプレーヤーです。コンフェデで日本代表がボールをポゼッションできた理由の一つはバロテッリの怠慢守備でして、バロテッリ使う限り、ミランはハイプレスなんて出来ません。単に怠慢なだけなんで、アッレグリがバロテッリの性根をたたき直せれば別ですけど、バロテッリが変わるとは思えないので。



また、バロテッリの話になるんですけど、イブラみたいに前に張らずに頻繁に2ライン間に降りてくるってプレーヤーではなくて、前にデーンと構えてパスよこせ、あとは俺が決めるから、みたいな選手なんでボアテングとの相性最悪でございます。これ、セリエ専門のサッカーライターの片野さんだったり、ロッシと同意見なんですが、バロテッリボアテングの戦術的な相性は最悪に近いです。イブラとボアテングは相性抜群でしたが、バロテッリボアテングは最悪って事です。こいつは昨期のミランが序盤糞化した理由でもありますが、トップ下のボアテングの飛び出しと降りてくるCFのイブラって戦術をそのまま今シーズンもやろうとしたのがそもそもの間違いでした。



で、ミランは本田が必要なの?って話になると、来期のミランは4312をオーナー命令でやるっぽいので、トップ下に10番タイプを必要としてます。つまり、本田はミランのニーズにフィットしてる訳です。



簡単に言えば、ミランは4312やるならエルシャーラーウィーとバロテッリにラストパスを出せるトップ下が必要って事です。



ミランが目をつけてたトップ下は、国内だとボローニャディアマンティだったみたいですが、ボアテングロビーニョが売れず獲得資金を作れないし、年齢的な問題もあるので、コンフェデのイタリア戦で活躍し、冬にフリーで手に入る本田にターゲットを絞った感じです。



えっと、ディアマンティは取れないっぽいので、現状来期のミランで、トップ下やれそーなのって、本田か、今期からミランに加入した若手のサポナーラくらいになります。





Riccardo Saponara 2012/13 HD - Paradise - YouTube
Riccardo Saponara - All goals - 2012/13 - YouTube



僕は、サポナーラ良く知らないんで、動画だけ張っときます。とりあえず、なんですけど、現状、来期のミランでトップ下はれそーなのって、本田とサポナーラくらいなんじゃないの?ってがのあります。エルシャラはWGタイプでトップ下の選手じゃありません。



えっとですね、ロッシは本田について、「ミランでレギュラーとして通用するだけのポテンシャルがある」って言ってます。なんで、僕は、ミランに夏にいけるなら、そんな心配はいらないと思ってるんです。ボアテングは、例えミランに残留しても、バロテッリとの相性の悪さからトップ下では使われないだろうってのが僕の見立てです。



ミランについたら本田は、サポナーラとトップ下のポジションで一騎打ちって感じになると思ってます。流石に今回はエアーはないので、本田のミラン移籍は決定したものとして扱っていいと思います。WSDにグアルディオラバイエルン移籍をすっぱ抜いた記者のコラムがあるんですが、そこでも本田のミラン移籍は決定事項みたいに扱われているので、もう、決定でいいでしょって事で。



ミランでスタメン取れるかどうかは、4312の場合、サポナーラとのレギュラー争いに勝てるかどうかなんで、サポナーラって選手がどんくらいの選手なのかって感じなんです。そんな訳なんで、ミランのキャンプが始まったら、練習試合とかでサポナーラって選手についてチェックしてみよーかと。僕はエルシャラが好きなんで、時々ミラン見るんですが、本田の件もありますし、サポナーラって選手について、ちょいとチェックしてみようとは思います。


本田が不味い状況におかれるのは、夏に移籍できず、サポナーラのトップ下がミランでフィットしちまって冬にきたら居場所がなかったみたいな場合ですんで、出来れば夏に移籍してほしい・・・というのはあるんですが。CSKAとミランの交渉次第ですな。


ロッシはサポナーラについて、あんま詳しく触れてないし、片野さんはサポナーラについてドリブルと飛び出しが得意なFWタイプって言ってて、バロテッリとの相性良くないんじゃね?みたいな事言ってますが、こればっかりは蓋空けてみないとわからないのでね。



まとめると、本田については、今のミランでトップ下できる能力はあるんだけど、サポナーラとのレギュラー争いに勝たないといけないよ、という事になります。4312のインサイドハーフだと、バロテッリが守備やらない分、守備負担がきつすぎて本田の良さがでません。



今日はこのあたりで。それでは。


2013年J1前半戦、J1で流行った3421フォメについて

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さて、皆さん、こんにちは。今日は東アジアカップがあるんですが、その前に、この話はちょっとやっとかないと不味いと思い、2013年J1前半戦の総括として、現在、J1で流行っている3421についてお話しようと思います。


現在、3421フォメを使っているのは浦和と広島、湘南になりますが、それ以外にも横浜FMとセレッソ大阪が3421に変形して攻撃する4231フォメを使っています。なので、計5チームが3421で戦っているような状態でして、J1で3421流行ってるね、みたいな話になります。


実は、現在、上位5チームのうち、大宮を除く4チーム、つまり広島、浦和、横浜FM、セレッソが3421を何らかの形で採用しており、そんな訳ですので、今日は3421のお話をしようかと思います。



といっても、書こうとおもったきっかけは、東アジア杯で柿谷のワントップとかザックが試しているからで、ザック、それはどーなのよ、とか思ったってのもあります。最近、セレッソで柿谷がワントップやってますが、あれはセレッソのシステムと関係してるわけで。。。。



まず、広島と浦和の3421フォーメーション


さて、まずはありきたりな話ですけど、広島と浦和がやってると3421フォメから。



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こっちは以前説明しましたけど、もう一度。基本フォメは3421なんですが、攻撃時には4141みたいな形になり、



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守備時には541に変形する変形型の3421となってます。



このフォメの強みは、対442守備に対して強い所で、2トップのプレスをボランチ2人とCBのトライアングルで回避し、そこからサイドに張ってるWBに出すか、ボランチとSHの間のギャップにポジショニングしたシャドーに入れていく形でボールを回していきます。



守備時には基本的にリトリートして守ります。PAギリギリまでラインを下げてしまう事が多く、ゴール前に5バック+4MFでブロックを作って守ります。これが浦和や広島の基本的な攻守の動きです。




次に横浜FMとセレッソ大阪の変形型フォーメーション。


えっと、この2チームについては、ちょっと説明が必要ですね。横浜FMの基本フォメは4231、セレッソは最近4231に戻してます。だから、3421じゃなく、4231が基本フォメなんですが、横浜FMもセレッソも、変形型の4231でして、攻撃時と守備時にフォメが変形します。



で、まず、横浜FMのほうから説明しますが、基本的なフォメは



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青の4231になります。ただ、これ、攻撃時には変形することが多く、どういう形に変形するかってーと、



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こうなります。横浜FMの動き方は、まずボランチが一枚、最終ラインに降りて3バックを形成。これで相手2トップのプレスに対して数的有利を作り、プレスを回避します。それと同時にトップ下の俊輔がボランチの位置まで降りてきて、SBが高い位置を取り、WGの斉藤と兵藤が中に絞ってきます。


結果として、横浜FMのフォメが4231から3421になってることになります。横浜FMの場合、俊輔のポジショニングがキーになってまして、彼の降りてくる動きに合わせて、ボランチが一枚最終ラインに降りるかトップ下の位置に上がるかの動きを見せてきます。相手が1トップの場合、ボランチが降りないでもCB二人のうち、一枚は空いてる計算ですから、ボランチが一枚、トップ下の位置に上がる事が多いです。この場合は4231で攻めてきます。マリノスは完全に俊輔中心でやってるので、彼のポジショニングに合わせて、WGとボランチがポジション動かしてます。



セレッソの4231も似たような事やってまして、ボランチの扇原を最終ラインに落とし、3バックを形成、トップ下のシンプリシオがボランチの位置に降り、両SBを上げて、両WGを中に絞らせるって形で攻撃時には4231が3421に変形するサッカーやってます。セレッソのほうが、こっちは明確でして形として3421がピッチ上で見て取りやすいです。ただ、その中心にいるのがセレッソの場合、柿谷だってのがあります。彼のフォローに両WGが中に入ってきて、幅をSBが作るサッカーです。



ちなみにですけど、これ、守備時にはマリノスセレッソでやり方が違います。マリノスのほうは442でセットするのに対して、セレッソは4411でセットします。



まず、マリノスの方から説明しますけど、マリノスの場合、442で守備をセットし、ボランチにボールが入った所で2トップと味方のボランチで挟み込みに来ます。図にすると、こんな感じ。



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でもって、SBにボールが展開された場合、


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2トップと全体をサイドにスライドさせて対応してきます。こっちは442のゾーンで対応するチームですね。




一方で、セレッソのほうは、マッチアップゾーンみたいな形の4411でして、守備の時なんですけど、



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こんな感じで、最近のセレッソは442、4231系の相手はマッチアップを割と明確にして守ってきます。相手のSBにはWGがついていく形で、中央はトップ下+ボランチの3枚で守ります。これは442のチームでも攻撃時には2トップが縦関係の事が多く、中央に3枚使わないとセンターで数的不利に陥りやすいからってのと、セレッソはサイドにボールが出た時、ボランチが一枚サイドに出る事多いんですけど、その時トップ下が下がってきて中央のスペース埋めて中央1ボラにしないってやり方取るってのもあります。


誰が誰を見るかってのがはっきりしてる守り方にしてると、トップ下のオフザボールでボランチ動かされてバイタルガラ空きって現象が起きやすいんですけど、これにはトップ下が下がって中央のスペース埋めるみたいってやり方で対応してて、そういうタスクをトップ下が担ってる為、守備力あるシンプリシオとか山口がトップ下に採用されてます。結果として柿谷が一列上がった感じです。


ただ、このやり方、相手のSBが高い位置を取ってくると、セレッソのWG、南野とエジノの位置を下げられてしまい、トップ下も守備で自陣深いトコまで下がるので柿谷が前で孤立気味になってしてしまうという欠点を抱えてまして、マリノス戦、磐田戦、鳥栖戦で、SBが高い位置を取ってくると、セレッソ、苦労してました。


東アジア杯で柿谷がワントップになるとかいう話がでてますけど、セレッソ見てると、柿谷のワントップって、セレッソの柿谷中心のシステムだから機能してるわけで、代表のシステムで機能するのかなあ、などと思ってる所です。まあ、今夜の試合で、実際どうなるかってのがありますが。代表の場合、システムが違うのでどーなのよと。カウンターの時、きちんとセレッソみたいに柿谷へのフォローがあるの?とか特に。守備のシステムも違うわけだし。


変形型の3421についてのメリットとデメリットの話


ここまで、浦和、広島、横浜FM、セレッソの話をしてきた訳ですが、ようするに言いたかったのは、これらのチームが攻撃時に3421のシステム、つまり1トップ2シャドー、ワイドに張り出すWBもしくはSBって形を取ってるって事です。



この形が採用される理由としては、442タイプの守備に対して、非常に大きなメリットがあるからでして、その理由は前のほうで書いた通りです。442で守備をセットしてくる相手には3421で攻めるのはメリットがあるんです。



一方で、このシステムの欠点なんですが、守備になります。これ、3421全般に言えますが、切り替えの時が問題でして、攻守が切り替わった時、相手のSBの所にプレスがかかりにくいって問題を抱えています。だから、そこを経由したカウンターを受けやすい。


次に、浦和、湘南、広島になりますが、守備時に5バックになるため、中盤の枚数が足りないって自体に陥りやすいです。とくに浦和と広島に多くみられる事ですが、シャドーの守備が緩かったり、そもそも戻りが遅いって事が多くあり、そのため、中盤の守備者がボランチ二枚だけなんて事がザラに発生します。湘南のほうの問題は、湘南の話の時にしますが、浦和や広島みたいに守備時に5-4でリトリートしてブロックを組む場合、問題になるのがシャドーの二枚がどのくらい守備してくれるかでして、ここの二枚がアレな守備やってると、そこから簡単に崩壊します。



2013/07/17 第17節 浦和レッズ vs 横浜 F・マリノス ハイライト - YouTube


これ、こないだの浦和対横浜FMの試合のハイライトの動画ですけど、横浜FMの2点目なんか、典型的な浦和の失点パターンでして、横浜FMの右SBが高い位置取ったとき、それを誰がみるか、はっきりしてないから、あっさりクロス入れられて失点って流れです。本来、マッチアップ的にはシャドーが見てないといけないんですけど、そーいうの、浦和のシャドーってあんまやらず、WBに任せちゃうんです。なんで、そこからやられるってのは、まあ、浦和の典型失点パターンになってます。川崎戦での3失点目もそーでしたが、浦和さん、左サイドのシャドーの所の守備がアレなんで、他チームに狙われまくり。



一方で、横浜FMのほうなんですけど、このチームの場合、マルキーニョスと俊輔が滅茶苦茶守備やってくれるってのが前提の守り方で、この二人いなかったら、同じ事できねーだろというのが。2トップにボランチへのプレスバックとサイドへのスライドをがっつりさせる守り方してるんで、2トップがもの凄く献身的なプレーヤーじゃないと成り立たないやり方です。俊輔とマルキにはマジで感謝すべきだと思いますよ、攻撃で違いつくって、さらにあんだけ守備やってくれるんだから。オヤジ二人走りすぎ。あのオヤジ二人がいなかったら、攻守にどうにもなりませんぜマジで。つか、オヤジの運動量じゃないだろあの二人。どんだけ走るんだよ。



最後に最近のセレッソのほうなんですけど、相手が442、4231系の場合、マッチアップはっきりさせて守るチームなんですけど、欠点がまさにそこでして、相手のSBが高い位置取ると、両WGの位置を下げられてしまいがちです。マッチアップについていくやり方なんで、どうしてもそーなりやすい。鳥栖戦だと、エジノが鳥栖の左SBのマーク外しがちだったんで、あぶねーなあ、と思ってみてました。マッチアップの相手をはっきりさせて守ってくる相手には、SBに高い位置取らせて、相手のWGの位置を下げてしまうってのが有効なやり方なんで、そりゃあーなるよね、という。ついてこないなら、SBがフリーでプレー出来るだけ。今のセレッソ、カウンターの時にWGの南野とエジノを中に絞らせてワントップの柿谷のフォローに入らせる形なんですけど、相手のSBが高い位置取ってくると柿谷のフォローに入る為には長い距離を走らないとダメで、WG二人がまず最初にヘタりやすいんですね。守備時にトップ下を結構下がり気味にしてるので、WGがヘタると柿谷が前で孤立しちゃうんです。




それぞれのチームの3421のやり方を書いてきましたが、これ、近いうちに湘南ベルマーレの3421の前半戦総括をやるので、他のチームのやり方、それぞれのメリットとデメリットについて簡単にまとめときたかったからです。


とりあえず、


攻撃時に4141で攻撃し、守備時には541でリトリートってのが浦和、広島
攻撃で4231か3421、守備で442のゾーンがマリノス
攻撃で3421、守備で4411でマッチアップを割とはっきり決めて守るのがセレッソ


と覚えておくと、それぞれのチームの特徴がわかって試合みやすいかと。湘南は攻撃3421,守備はハイプレスか541でリトリートって形になります。



基本的にですけど、これらのチーム、特定のプレーヤーに理不尽なハードワークを強いてまして、浦和と広島はリトリートして守るのでWBが攻守にハードワークしないといけません。長い距離走って前にいかないといけないし、守備の時は全力で後ろまで戻ってこないといけない。マリノスは2トップのマルキと俊輔に負担かかってますし、セレッソは両WGに攻守で大きすぎる負担をかけてます。今回は話をしてませんが、ベルマーレはシャドーの二人に理不尽な守備負担させてます。


で、広島は寿人、マリノスは俊輔、セレッソは柿谷と攻撃面ではキープレーヤー中心にシステムが組まれているってのも特徴です。浦和と湘南は、そこまで攻撃で決定的なキープレーヤーってのがいなくて、背骨がグラグラしてる感じってのはあります。



ベルマーレの話は近いうちにしますが、その前に東アジアカップ絡みでエントリ書くかもしれません。柿谷のワントップとかになったら、またなんか書けそうだし。今日はそのあたりで。



ではでは。

2013東アジアカップ、日本対中国のレビュー

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さて、皆さん、こんにちは。本日は、先日行われた東アジアカップ、日本対中国の感想でも書いていこうかと思います。試合自体は、すでにyoutubeにロングハイライトが転がっているので、そっちを検索してみてください。



えっと、今回の試合なんですが、そもそも準備期間が二日とかしかなかったので、あんまし詳しいレビューをしてもしょうがないし、ちょっと切り口を変えて、ザックジャパンの戦術と、セレッソや広島なんかとの違いなんかを絡めてお話しようかと思います。



ちなみに、この試合のスタメンとマッチアップですが、中国が442,日本が4231で



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こんな感じです。マッチアップ的には普通の442対4231の対戦で、特にミスマッチとか気にせずに戦える布陣同士です。ワントップはセレッソの柿谷、トップ下に広島の高萩、WGは左が浦和の原口、右が柏の工藤となってます。工藤は柏では10点とっててFWとしての色が強い選手でして、基本的に左で作って右で得点っていう日本代表の基本カラーはここでも継承されてます。まあ、この試合は、新戦力の発掘なので、そういうやり方にどこまでフィットできるかってのがこの試合、試された訳ですけども。




レビューの前に日本代表の4231について


まあ、この話、うちのブログじゃ、しつこい位してしてきたんですけど、やっぱり今回のエントリでも確認的な意味でやっておきます。日本代表の4231なんですが、こいつは基本的にサイドからの展開をメインにした4231でして、Jリーグだとセレッソなんかの4231みたいな奴は全く別モノです。


えっと、システムの話になると、「どのシステムが攻撃的でどのシステムが守備的なの?」とかいう質問もらう事があるんですけど、これはアンチェロッティがずばっと言ってるんですが、どんなシステムだろうが攻撃的なサッカーは可能です。例えば4141ですけど、これは攻撃的にもなれば守備的にもなれます。前回のW杯の時、岡ちゃんは守備的な4141を使いましたが、ドイツやスペインが超攻撃的な4141を使う事もあります。同じ事は4231にも言えます。


この辺りの話は、アンチェロッティが「アンチェロッティの戦術ノート」で、非常にわかりやすくまとめてくれているので、そいつを引用しますけど、


チームが採用するシステムに関していえば、「攻撃的」なサッカーに適したシステム、適さないシステムというのは存在しない。攻撃的なサッカーをするためには、ピッチの幅と奥行きを有効に使ってプレーを展開することが重要だが、どのシステムにおいてもそれは可能だからだ。違うのはそれを実現するためのアプローチだけである。具体的にいえば、それぞれの選手がシステムの中で担うタスクの問題だ。



例えばチェルシーやミランのように、中盤が3ボランチ、前線が1トップ+2トップ下(あるいは2トップ+1トップ下)で構成されるシステムの場合は、人数的な厚みのある中央からの攻撃が主体になるが、攻撃に幅と奥行きをもたらす上で両SBの攻撃参加が重要な役割を持つ。中盤がフラットな442の場合はサイドからの展開が攻撃の主体になるため、両アウトサイドハーフ(以下サイドハーフ)に加えてSBも攻め上がり局地的な数的有利を作り出すことが大きな鍵となる。さらに、中央からの攻撃においては二人のボランチのうち一人が前線に走り込む事で、攻撃に厚みを作り出すことができる。



いずれのケースでも、重要なのは後方の選手がボールのラインより前に進出することだ。したがって、チーム全体が「攻撃的」に振る舞うためには、中盤から後ろの選手に攻撃参加のタスクを課すことが不可欠だということになる。



ただし、ボールのラインより前に多くの選手を送り込んでも、それらの選手が効果的にプレーの展開に絡まなければ、攻撃は機能しない。そこで重要になるのは、複数の選手の動きをタイミング的に一致させ、スムーズかつ効果的にボールを動かして攻撃をフィニッシュまで運ぶ、組織的なシンクロニズムである。個々の選手の能力が高くとも、組織的なシンクロニズムが機能していなければ「攻撃的」なサッカーは実現できない。個人能力の高さはあくまでもその「前提」であり、高いクォリティを備えた選手が組織的な動きの中でシンクロニズムとダイナミズムを発揮して初めて「攻撃的」なサッカーが可能になるということだ。


とまあ、こんな所になります。




で、なんですけど、サッカーにおいては、フォーメーションは沢山ありますけど、基本的に3421、4312,4321、442ボックスみたいな中央に人数かけて中央からの展開を主体とするタイプと、442フラット、343フラット、4231なんかのサイドからの展開を主体とするフォメの二つに分類されます。



前回のエントリで、「セレッソと代表だと同じ4231でもシステムが違う云々」って話をしましたが、セレッソは攻撃の時、3421になるので中央からの展開を主体としてます。ちと、トス戦のキャプを使いますが、


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これ、鳥栖戦の1シーンですけど、WGのポジションが最初から中なんです。サイドに張り出しているのはSBのみでして、中央に厚みをかけてます。人数的に厚い中央からサイドに張ってるSBへセレッソが展開したシーンですけど、鳥栖は4バックが中央に絞って対応してるので、サイドのスペースにSB走らせたってシーンです。



セレッソの場合、前線中央が1トップ+2シャドーなんで人数的な密度が高く、中央でのコンビネーションがやりやすいってのがあります。これは2トップ+トップ下でも同じ事が言えます。これについて、また「アンチェロッティの戦術ノート」からの引用になりますけど、


カカがその長所であるスピードを活かすためには、前を向いてプレーすること、そして目の前に十分なスペースがある事が必要だ。したがって、ファンタジスタの中でも、前線に近いゾーンを起点に動くよりも、中盤に近い下がり目の位置を起点にしてプレーすることで活きるタイプのプレーヤーだ。彼はミラン時代、1トップより2トップのシステムの方がプレーしやすい、2トップだと前方にボールを預ける場所が複数あるのに対して、1トップでは一人しかおらず、しかもマークされている事が多いので、単独での突破を選ばざるを得ない局面が多くなる、といった事がある。そしてそれは正しい。カカのスピードを活かすためには、ドリブルで持ち上がった後前線に預け、そこからのコンビネーションで一気にフィニッシュに繋げるというのが、最も効果的で危険な展開だ。レアルマドリーに移籍してからはサイドに置かれる事が多く、本来のスピードを発揮する機会があまり得られなくなってしまったのが残念だ。

これはカカの話なんですけど、基本的に4231みたいな1トップ+1トップ下の場合、前線中央の人口密度が薄い為、PA内での単独での局面打開能力が求められるってのがあります。一方、2トップ+1トップ下、1トップ+2シャドーの場合、エリア内に複数のパートナーがいるため、コンビネーションがやりやすいという利点があります。カカクラスの選手でも、単独での突破ってのは難しいモンなんです。


「カカのスピードを活かすためには、ドリブルで持ち上がった後前線に預け、そこからのコンビネーションで一気にフィニッシュに繋げるというのが、最も効果的で危険な展開だ。」って話をアンチェロッティが言ってますが、こいつはセレッソみたいにコンビネーションによる突破とドリブル突破をメインにしたサッカーやってるチームが一番やりたい事でして、クルピって、基本的に3421だとか442ボックスだとかの中央の人数が厚めのフォメを好みます。



一方で、なんですけど、442フラットや343フラット、4231なんかは中央の人口密度が薄い一方で、最初からサイドに二人の選手がいるため、サイドでコンビネーションしたり、サイドで局地的な数的有利と作りやすいという利点があります。ザッケローニって監督は、どちらかというと、こっちを好む監督でして、日本代表の4231もこっち系統に分類されるサッカーやってます。





ザッケローニの「私の日本」ってコラムのNo27に、ちょっとした記述があるんで、それを引用しますが、


システムについて今回は3バックはやる気はありません。私に関する情報で間違っていることの一つに「ザックはイタリア時代から3バックに固執してきた」ということがあります。イタリア時代、私が3バックを採用したのはウディネーゼ、ACミランの指揮を採ったときだけでした。インテル・ミラノの監督だったときは最初の7試合を3バックで戦い、6勝しましたが、このシステムに欠かせない選手が負傷でいなくなってからは4―4―2で戦い続けたものです。3バックがオプションとして私の頭にあるのは確かですが、日本でも来年のワールドカップまでに完成度を高めることができれば使うこともあるでしょうし、使うにはリスクが大きすぎると見極めればしまったままになるかもしれません。私が日本の3―4―3に可能性を感じているのは長友、内田、酒井宏、酒井高らサイドのユーティリティープレーヤーがたくさんいるからです。彼らのスタートポジションをサイドバックより20メートル高い位置に置けたら、それだけアグレッシブなサッカーができる。そう思うからです。しかし、いくら頭でそう思い描いても、現実がそれに追いつかないのであれば、導入は難しい。システムは常に一長一短があり、「これをやっていれば勝てる」という不変、普遍のシステムなどありません。あれば、どの監督もそれを採用していることでしょう。システムとはあくまでも選手の能力を最大限に引き出すためのものであり、システムに固執して選手を従属させてはならないとも思っています。そういうことを踏まえた上で私なりに試行錯誤しているつもりです。



no.27 「東アジアカップ」

黒字強調は僕ですが、ザックは基本的に、長友、内田、ダブル酒井みたいなサイドのユーティリティプレーヤーが日本にはいるって所に魅力を感じているようで、そっちに可能性感じるなら、まあ、サイドアタック主体になるかな、という感じです。こいつは監督がどこに目をつけるかによるので、それは何も問題ないのです。



で、日本代表のサイドアタックなんですけど、これはどういう形を取るかってーと、これ、以前も使った奴ですけど、ラトビア戦での奴で説明すると、













こういう形になります。



も一つ、コンフェデ杯のメキシコ戦でのキャプ使ってやっときますが、



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こういう形です。



この形については、以前も説明しましたけど、もう1度。こいつはゼーマンの433に代表される3トップのチームがよく使うやり方でして、引いてくるWGが肝になります。



典型的な日本代表の攻撃パターンは、ボランチがフリーで前を向いたタイミングで、CFが裏のスペースに飛び出す動きを見せて相手の最終ラインを押し下げ、同時にWGが外から内に切れ込む動きで敵2ライン間に入ってボランチからのパスを受けます。



それに合わせてSBがWGの空けたサイドのスペースにオフザボールで走り込みます。この時点で相手チームのSBはWGを追うかSBにつくかの二者択一を迫られ、難しい選択を強いられます。


もし、ここで相手SBがWGについてくるなら、WGはフリックでSBにボールを流せばよし(キャプでの香川と長友のプレー)。もし、SBがついてこないなら、WGは状況に応じて、ドリブル突破、パス、コンビネーション、サイドチェンジしてのクロスといった中からベストのソリューションを選ぶって形に持っていきます。



こいつが日本代表のサイドアタックの基本形でして、WGのスタート位置は基本的にライン際になります。最初はライン際にいて、ボランチがボールもって前を向いたら、中に切れ込む動きを見せて相手のSBを引きつけ、サイドにスペースを作るか、SBとCBの間でボールを受けて前を向き、そこからフィニッシュに持ち込むかって動きがWGには求められています。




一方で、センターアタックのほうなんですが、これはCFのポストプレーとWGが斜めにゴール前に走り込むって動きを基本としてまして、これもラトビア戦の時の奴使いますが、








こーいうプレーになります。


基本的なプレーの流れとしては、ボランチがボールもってフリーで前を向いたタイミングで、CFが裏のスペースに飛び出す動きを見せて相手の最終ラインを押し下げ、その後、鋭くターンして2ライン間に入り、ボランチから楔のボールを受けます。同時にWGがダイアゴナルな動きで裏に飛び出し、CFはトップ下にボール落として、トップ下がラストパスをWGに出すってのが基本となります。これはよくあるポストプレーからの展開です。




で、こんな事を長々と書くのは、基本的に日本代表においては、WGってのはサイドからのスタートだってのを強調したかったからです。だから、中央は基本的に1トップとトップ下一人のみとなります。そのため、中央の選手にはどうしても単独での局面打開能力が求められる場面が増えるってのがあります。



また、香川の話になって申し訳ないですが、香川って、外から内、とくに2ライン間に入ってきて遠藤や今ちゃんの縦パス引き出すってのはホント上手いんです。この部分だけ取れば、日本人だと最高の選手です。ただ問題もあって、WGとしては、外から斜めにはいっていって本田のラストパスから得点ってのが日本代表だと極端に少ないんですわ。これはロッシも問題視してましたが。



ちと、僕のお気に入りの若手WGであるエルシャラの去年のゴールシーンの動画張っときますけど




Stephan El Shaarawy Every Goal This Season 2012 ...



この動画見て貰えば、彼がWGプレーヤーだってのがすぐわかると思います。サイドで縦に抜いてゴール、カットインしてゴール、斜めにゴール前に入っていってゴールとか、まあ、WGらしいゴールが実に多い。ザックも香川にこーいうゴール求めているんだと思うんですけど、香川のゴール集とか見て貰えばわかると思うんですけど、プレースタイルがエルシャラとは違うんですわ。エルシャラが外から中に入ってくるストライカーだとすると、香川は基本的に中でスタートのセカンドトップとかシャドータイプなんす。


これも本題からはそれますけど、本田がミランいくなら、僕はミランには4312より4231やって欲しいんですよ。だって、4312だとエルシャラがセカンドトップになるんだけど、セカンドトップは中央からスタートするので、エルシャラみたいに外から中に入ってきて良いプレーする選手にはあんまし向いてないんです。



とまあ、エルシャラの話はこの辺りにしといて、日本代表の話に戻りますが、日本代表のサイドのメインアタッカーであるWGは外をスタートポジションとして、そこから状況に応じてオフザボールで2ライン間か斜めに裏に入ってパスを引き出すってのが基本になります。勿論、サイドチェンジを受けてからの一対一の突破、カットインも重要です。これらの能力をバランスよくもっている選手が日本代表のWGには求められています。ただし、これ、現在の日本には、完璧なWGってのは存在せず、香川にしろ岡崎にしろ、それぞれ長短があるのが現状です。



一方で、日本代表の中央の話になりますがワントップと1トップ下であり、前線中央での人口密度が低いシステムなんで、前線の基準点が少なる、それ故にCFやトップ下が単独での局面打開を選ばざるを得ない場面が多いってデメリットを持ってます。ここが非常に難しい所でして、このデメリットを解消するためにはトップ下やボランチの走り込みが重要になってきます。無論、単独での局面打開能力の高いワントップとトップ下を両方もってるチームであれば、そういう悩みはないわけですが、そんなスーパーなトップ下とワントップもってるチームなんて、そうそうありません。代表チームでも、ビッグクラブでもね。日本代表の場合、そーいう選手はぶっちゃけいません。てか、そんなチームって、ファンペルシーと好調時のルーニー並べて連勝してた時の去年のマンUとかでしょみたいな話です。あの頃のマンUって相手チームにとって理不尽なゴールを積み重ねてましたけどファンペルシの理不尽っぷりが凄くて、TVの前で「ありえねーマジありえねー」の連続でしたよ。



Robin van Persie - All 30 goals for Manchester ...


動画貼っときますけど、理不尽なゴールが多すぎる。なんでそのクロスがゴールになるんだ?とか、なんでそこであっさり反転してシュート決めれるんだよとか、なんだよそのミドルとか。


ぶっちゃけ、この部分に関しては、解消しようがないと思ってます。4231やってるチームは、大概、この問題をどうするかで悩みます。単独で局面打開可能なCFを持ってるチームはホントに運がいいです。そういうCFがチームにいたら、神に感謝すべきです。世界でも、そんな選手、そうそういません。ファンペルシ級のCFなんて世界に数人しかいませんから。



で、今回の中国戦の話になるんですけど


さて、すげー前振り長くなりましたけど、本題の中国戦なんですが、これ、書くことがあんまねぇな・・・と。


えっと、ですね。基本的に、柿谷のワントップで、左が原口、トップ下高萩、右が工藤、左ボラ青山、右ボラ山口、最終ラインが槇野、森重、栗原、駒野って並びですから、ザックの考えてることは大体わかるわけです。


これだと、基本組み立ては左からで、いつものA代表と一緒です。組み立てに秀でたボランチの青山とCBのモリゲを左において、そこから組み立てようって布陣です。で、香川役が原口、長友役が槇野って形になります。工藤は右から中央に入ってきてズドンってストライカー役。山口蛍はリーグ戦で6点とってますんで、守備だけでなく攻め上がりで中央へ走り込むボランチ役となります。



問題となるのは栗原がビルドアップできないってのと、駒野は攻め上がりってのクロスがストロングポイントなんですけど、前が工藤だって事です。工藤に中に切れ込んでいって、2ライン間でボール受けてパスフリックして攻め上がった駒野にボール渡すとか無理だし。そういう器用な選手じゃないので。柏でそういうのやってるのはレドミですしね。しかも右CBが栗原だから、そもそもパスが出てこないという。



最後に前回のエントリでも、気にしてた所なんですが、一番問題になるのは柿谷の所と高萩の所なんですね。ここが一番ポジション的に難しい。


これ、柿谷の話になるんですけど、彼、ボールコントロールの技術は卓越してるから、ポストプレー自体は問題ないんです。ゲッツェなんかもそうですけど、ポストプレーは上手いんです。ただ日本代表みたいに前線中央の人口密度が低いシステムだと、周囲にボールの預け所が少ないので、フィジカルコンタクトの弱い選手には難しいポジションなんです。セレッソは攻撃時、柿谷のサポートにエジノと南野が中央に入ってきますから、まだいいんですけど。


あと、セレッソの場合、守→攻の切り替えの時も柿谷にボール入った時、恐ろしい勢いで南野とエジノがフォローに入るって形がきちんと出来てて、鳥栖戦とか、最終ラインまで守備で戻ってた18才の南野がカウンターの場面になったら、一気に前に走ってって柿谷のフォローに入ってて感心しました。柿谷の為に走るってのを両WGがきちんとやってるんです。



そんな訳でして、始まる前、柿谷へのフォローがきちんとあるのかなあ、特にカウンターの時・・・・などと心配してたんですけど、この心配は杞憂でして、




工藤がゴール! 日本VS中国 東アジア杯2013 Japan vs China - YouTube


この三点目のゴールの時とか、カウンターの時にきちんと工藤と原口がフォローに来てくれて、すばらしーゴールでした。こういう形が作れれば、柿谷の良さが凄く出るんです。



えっと、湘南対セレッソの試合で、柿谷が2ゴール決めてるんですけど、動画張っときますが



柿谷曜一朗2ゴール 湘南ベルマーレVSセレッソ大阪ハイライト J1第9節 5月3日 ...



こんな感じです。1点目も柿谷が決定的な役割をしてるんですけど、最近の柿谷って周囲のサポート使ってシンプルにプレーして、簡単にゴール決めてます。てか、3点のうち、2点は柿谷+杉本+山口の3人だけでもってかれていて、「勘弁してくれよ・・・」という感じでした。もっとも、一番勘弁して欲しかったのは2点目のゴールだったんですけど、この話は湘南の時にします。



えっと柿谷って素晴らしいドリブルの持ち主なんですけど、シンプルにプレーするようになってゴールを量産するようになってるんで、継続して欲しいな、ってのがあるわけです。ただ、サポートが少ない布陣だと、難しいプレーをせざるをえず、それだと最近の柿谷の良さがでないんじゃないかと、試合前に心配してたんですが、柿谷に関しては、心配いらんかったな、と。難しいプレーってのは、要はDF背負って反転して、ドリブルで突破してシュートみたいな奴です。そーゆーの期待してた人もいるかもしれませんが、難しい事はしないでシンプルにプレーしてくれたほうがねえ・・・それで結果出してるわけだし。ファンペルシじゃないんだしさ。



あと、今回の試合だと、原口の所も結構心配してて、「守備大丈夫なんかなあ・・・」とか思ってたんですが、普通に原口が守備頑張ってて、そっちの心配も杞憂でした。ただ、攻撃面では、ちょっと良さがイマイチ出て無くて、アピールしきれなかったなあと。右の工藤は、かなりアピールできてた感じですが、左の原口がアピール不足に終わったので、次は結果出して欲しいな、と。



えっと、左のビルドアップなんですが、これ青山とモリゲ、それから原口で左サイドでゲームメイクってのが求められてたんですけど、これ、前半9分のシーンのキャプになりますが、



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手抜きで文字入れてませんが、これ、日本代表の基本的なサイドアタックの動きしてる所です。WGの原口が2ライン間に引いてきて、ボールを受け、そこに中国のSBが食いついてきてます。なんで、SBの裏にスペース出来てるんで、そこに槇野があがっていってるんですが、原口のフリックがちょっと失敗しちゃったシーンでした。



これ、このパスをフリックして槇野に渡すか、あそこで前むいて仕掛けるってのが、今の日本代表の左WGに求められる役割なんで、これはしっかり通した欲しかったなあ・・・と。



この試合で問題だった事ですけど、ここの部分が両サイドで上手くいってなかったです。引いてくるWGにパス入れて、そこからWGが違いを作れないと、A代表に入れないってのがあるんで。清武と香川はこれがしっかり出来る選手なので、ここに食い込むとすると、このプレーは確実に通さないといけない。


そういや、俊輔が試合前に、

「誰かがボールを持った時に『ここ来そうだな』っていうのを最近、学はすごく感じている。それに代表では困ってほしいね。そうすると、オレのありがたみが分かるから。そういうことを学んできてほしい。『やっぱ俊さん、良いパスを出すな』って」

 その真意を報道陣が図り兼ねている中で、本人は淡々と言葉を続けた。「そういう組み合わせで消えちゃいけないよっていうこと。みんな自分の色を出したいからやっているけど、2トップの左サイドハーフだったら、中に来ても『ボール来ないな』、サイドにいても『サイドバックが上がって来るし』ってなったり、ボールを持っても『出すところがないな』って潰れちゃったりする。でも、今の学はボールをもらう動きも覚え始めているからね。ここではできるのに、代表でできなければ、オレのありがたみを知ることになるでしょ」。



カモメッシの代表定着に期待する俊輔「本田さんの言う『個』の力は持っている」

こんなコメント残してましたけども。最近、カモメッシ、クラブだと凄く調子良いんです。




2013/07/17 第17節 浦和レッズ vs 横浜 F・マリノス ハイライト - YouTube



ハイライト貼っときますが、ゴールに良い感じで絡めてますよね。特に一点目なんですけど、マリノスの一点目、カモメッシが中央に入ってるんですが、バイタルに浦和のボランチがいないんです。あそこ、なんで阿部ちゃんがいないかってーと、俊輔が下がっていったんで阿部ちゃんがそこにくっついてるんですね。だから、カモメッシが中に入ったとき、そこに誰もいないなんて現象が起きてる。で、マルキにロングボールがはいり、その落としをカモメッシが受けて~って流れでした。


ただ、俊輔が「2トップの左サイドハーフだったら、中に来ても『ボール来ないな』、サイドにいても『サイドバックが上がって来るし』ってなったり、ボールを持っても『出すところがないな』って潰れちゃったりする。」って話してますけど、マリノスの場合、トップ下の俊輔が頻繁に引いてきてパス出してくれて、カモメッシと兵藤が、その空いたスペース使える訳ですけど、代表のシステムだと、トップ下は2ライン間から引いてこないのでね。


左WGに関しては、正直、2ライン間でパス引き出して違い作る能力は、清武と香川並になるのは難しいので、原口と斉藤は他の所で勝負したほうがいいかなってのはあります。



工藤に関しては、岡崎役をしっかりこなしてたんで、そこは問題ないのですが、岡崎からスタメン奪うなら、岡崎が苦手なプレーが出来るようにならんとなあと。これは高萩もそうなんですけど、代表のトップ下の2番手はケンゴで、ケンゴからスタメン奪うとなると、パスだけじゃダメなんですわね。高萩はパスいいとこ通してましたけど、それだけならケンゴで良い訳だし。



とまあ、前の選手に関して、色々述べてきましたが、この試合に関しては問題なのは前の選手じゃなくて、後ろの選手の方でして。



前の選手の心配じゃなく、後ろの選手の心配するべきだったというオチです。これ、コンフェデからずっと続いてるんですけど、後ろの選手のポカで失点し続けてるので、もうね・・・・



あのですね、最近、負けが続いてるので、ザックの手腕を疑問視する声も出てますが、コンフェデの失点の多くはDFのポカだし、今回もそうでした。特にこの試合の三点目ですけど、駒野が一対一で簡単にクロス上げられて、中で槇野と栗原がやらかすとか、これ代表監督の問題じゃないでしょって話です。


マークにしろサイドでの一対一の対応にしろ、守備の基本であって、基本を教えるのは代表監督の仕事じゃない訳です。ユースのレベルの話です。



勿論、駒野は前半からクロス上げられまくってたので、徳永に代えとけ、交代が遅いって批判は妥当だとは思います。ただね、イタリア人の監督呼んできて、守備戦術教えても、そもそも一対一とかマークとかの基本的な事が出来ないんじゃブタに真珠でござるよ。



繰り返しますが、基本を教えるのは代表監督の仕事じゃないんです。それ以前の段階の話です。



守備戦術が崩壊したっていうより、単にDFのやらかし(特にCB)が続いているのが今の日本代表で、勝てる試合落としたイタリア戦なんて、二点目は吉田のクリアミスだし、4点目は今ちゃんの軽率なパスミス。今回の試合もCBの栗原が3点に絡む実質ハットトリック。


CB陣がこんだけミスをしてたら、そりゃ勝てませんがな。


高さと早さで負けるのは百歩譲って仕方ないとしても、CBの単なるミスから失点っての多すぎるので、CB陣にはよく考えて欲しいです。


中国戦で右CBだったモリゲのミスのおかげで湘南は東京戦で勝てたので、それには感謝してるのですが、よくよく考えると代表クラスのCBがああいうポカミス繰り返すってのは深刻な問題なわけです。



今日はこのあたりで。ではでは。

2013東アジアカップ、日本対オーストラリアのレビュー

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さて、皆さん、こんにちは。本日は、先日行われた東アジアカップの日本対中国のレビューでもしたいと思います。有り難い事に、この試合については、死ぬほど書きやすい内容なんで、さっさと書いちまいたいと思います。



えっと、先日行われた日本対オーストラリアなんですが、この試合、ザックが先発を総入れ替えという荒技に出ており、スタメンは、



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こうなってました。CFに豊田、トップ下大迫、左にカモメッシ、右に山田となってます。左右のWGはしょっちゅうポジションチェンジしてたんで、ここのポジションはあってないようなモンでした。なんでポジションチェンジしてよかったのかについては、後述します。



で、後ろは扇原と高橋のダブルボランチ、4バックは左から、徳永、千葉、鈴木、森脇となってました。



この試合で特徴的だったのは、とにかく平均身長が高い所でして、180超えが8人もいるんで、日本代表とは思えないでかさです。特に両ボランチが180超えってのは日本のチームとしては珍しいですよね。



と、まあ、メンバー紹介はこのあたりにして、レビューのほうに逝きます。



豊田のワントップと両WGのポジションチェンジの話


えー、まず、この話から。この日の日本代表なんですが、初戦の中国戦のメンツが、ほぼいつもの日本代表コピーだったのに対して、豊田のワントップって事で、いつもの日本代表とは役割がかなり違っていました。



で、どう違っていたの?という話になるんですが、まず、豊田のゴール集貼っとくので、これ見てみて下さい。




2012年 サガン鳥栖 豊田陽平 ゴール集 『威風堂々』 - YouTube



で、この動画みればすぐわかると思うんですけど、豊田って選手、ファーでのゴールが得意ってのがすぐわかると思います。鳥栖でもそうですが、豊田は大概ファーで待ってます。この選手はファーが得意なストライカーでして、この選手の良さを出すには、ファーを使わせる必要があるんです。


で、僕ね、以前、twitterのほうで「豊田が代表に入るならニアのゴール増やさないときつい」云々呟いた事があるんですけど、なんでニアのゴール増やさないとダメなの?というと、代表ではファーに突っ込んでくるのは岡崎の役目だからなんです



日本代表のシステムの話は、もうこのブログで嫌っていうほどしてきましたけど、日本代表は左で作って右でフィニッシュって形がすでに出来上がっています。香川と遠藤の左サイドで作って、岡崎をファーに飛び込ませて長友のクロスで得点ってパターンが最も強力な形でして、この形にあう選手がそれぞれのポジションに配置されているんです。前田が何で日本代表のCFかって言われたら、結局そこでして、前田はニアで仕事ができる選手なんです。前田をニアに飛び込ませてCBを釣り、岡崎をファーにってのが基本的なゴール前での動きなんです。


ところが、これ、豊田とかハーフナーみたいにファーが得意な選手いれちゃうとバランス崩れちゃうんですね。彼らはファーにポジショニングしたがるから、岡崎とファーで被ってしまう。豊田の得意の形はニアに入ると見せかけてファーに流れる形なんで、岡崎とかぶりやすい。



な訳でして、僕、今回の代表発表みたとき、「豊田呼ぶのはいいけど、日本代表の形には合わないだろうなあ」って思ってたんです。



ただ、今回の試合みて、ちょっと考え直したというか、「ありゃザック、完全に豊田中心でチーム作りおった」という感じで、拍子抜けしました。



なんで、豊田中心のチームなの?と言われると、これね、この日のCFとトップ下、それから右の斉藤のポジショニングのせいです。豊田中心じゃないとああならない。どういう事かってーとね。これ、動画貼っときますが、




JAPAN vs AUSTRALIA 3-2 [East Asian Cup ...



こいつの一点目のシーンみてください。斉藤が中に入ってきてて、大迫がニア、豊田がファーにポジショニングしてます。これね、明らかにいつもの日本代表と違うんです。いつもの日本代表だと、CFがニア、岡崎がファー、本田が中です。二点目のシーンでも斉藤がトップ下の位置にいますけど、山田を外に開かしといて、ファー大迫、ニア豊田、トップ下カモメッシみたいな形になってました。


この試合、はっきりしてたのは、ニアに大迫飛び込ませてファーで豊田を待たせるって形です。で。空いた中央にはカモメッシが入ってくるみたいな形です。ファーには豊田が陣取るので、そっちに行ってもかぶるだけなんで、そうなっちゃったんですね。



この試合、この形が基本になってまして、「ありゃー随分とやり方変えたもんだなあ」と試合見ながら思ってた次第です。



これねえ、オプションつーか、完全に別のやり方なんで、この日のやり方は、ホントに「オプションを試した」って内容です。前回の試合とは別モンです。完全にやり方変えてるので。


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まあ、こんな感じですね。基本的には豊田のポジショニング次第なんですが、山田がサイドでボールもったら豊田がファーに逃げるので、それに伴って大迫がニア、カモメッシがトップ下の位置へ、みたいな形です。これ、非常にかみあってまして、山田はもともと、サイドでボール持ったらカットインしてシュートかファーへのクロスってのが得意な選手ですし、最近のカモメッシはシャドーみたいな役割をマリノスでやってるので、それぞれの選手にとってやりやすい形だったと思います。




でもって、普段の日本代表は左右でポジションチェンジほとんどしないのに、この日はしょっちゅう変えてましたが、これ、豊田がファーで待つのが基本だったので、左右変えても問題ないんですわ。普段の日本代表だと、遠藤と香川左で、岡崎右は固定しないと不味いんですけど、この日の場合、ぶっちゃけどっちでもかまわんのです。ファーは豊田の場所なんだから。



そーゆー訳ですんで、この日の前4枚は、いつもの日本代表のそれとは役割が全然違っているので、そこは含んでおいて下さい。


次に試合内容についてですが、オージーの2失点の話。

さて、今回のレビューなんですが、最近、ザックが守備戦術を構築できてない云々なアレをみかけるんですけど、守備戦術で崩壊してる事は、あんまないんですよ、今の日本代表。



あのですね、守備戦術が崩壊してるチームってのは、この試合におけるオーストラリア代表みたいなチームの事をいうんであって、今の日本代表の失点の多くは個人のミスに端を発しているので、全然次元の違うレベルの話なんです。



この試合のオージーの守備が何で崩壊してたかっていうと、これtwitterでぼやいてた事ですけど、





これだけの話なんですけどね。



これねえ、ちと詳しく説明しますが、



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これ、一点目のゴールシーンですけど、この日のオージーの守備には、もう明白な位の欠点があって、オージーのSH、日本のボランチやCBがボールもった時に、ボランチとSHの間のスペースのケアに無関心でSBばっか気にしてんです。




みてて、「うわー、アホだ。川崎とか去年の鹿島だあ・・・」と思ってみてたんですが、これやるとね、何がダメかって、


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これ、図でやるとわかりやすいんですけど、こういう守備やってると赤で囲ったSHとボランチの間にギャップが出来て、そこを使われてしまうんです。あそこを簡単に縦パス通されてしまうと、バイタル使われて失点ってパターンにハマるんです。これ、一昨年の鹿島とか、今年の川崎の失点パターンです。SHとボランチの間を使われますと、どうなるかってーと、これも図でやりますけど、前半22分のシーンですけど



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こうなります。これね、やっちゃダメな守備の典型で、SHがSBばっか気にしてて、中に絞ってない守備をやるチームってSHとボランチの間のギャップにパス通されて、そこからバイタル使われて失点するのは避けられないんです。これね、今年の川崎の守備がそうなんですけど、レナトがこの日のオージーのSHみたいな守備しかやらんので、川崎相手には、レナトとボランチの間のギャップを取るってのが攻めの定石になってます。こーいう守備やってたら、絶対狙われます。で、次に25分の奴になりますが、


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ここもそうなんですけど、SHとボランチの間を簡単にパスが通ってしまうんです。しかも、SBとCBの間にカモメッシが走り込んでいってるのに、ボランチがついてこないんです。だから、SBとCBの間でボール受けたカモメッシにSBがつかざるを得なくなって、山田が完全にフリーになりました。なんで、カモメッシは山田にパスして山田がフリーでクロスを入れるって流れに。



これね、全部そーなんですけど、アホみたいに右SHと右ボラの間を通されてるんです。あそこ、パスが通るって事がわかってからは、もう徹底してあそこ狙ってればいいだけのゲームでした。ホントに、それだけしてれば良かった。



28分もそうなんですけど、基本的に右SHの守備どうにかしろと。川崎か!



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これね。アホでしょ・・・と。何回やられたら気がすむんだよ・・・・と。ずーっと、あそこ狙われ続けてる訳ですよ。右SHと右ボラの間のギャップ。あそこを延々と狙われているのに、一向に修正しないから、呆れてました。



この日の前半なんですけど、オージーがアレな守備やってくれてたんで、二点は取って試合を決めちゃわないといけない内容でした。厳しいこといいますが、豊田、前半のドフリーヘッド、あれを外したらダメ。前半で二点取らないと、普通はハーフタイムに守備修正されて、後半は同じ所は狙えなくなるモンなんです。だから、ああいう守備やってるチームには、前半で試合決めてしまわないといけなかった。とにかく、オージーのSHの中央への絞りが適当だったんで、ひたすら、そこを狙ってるだけでいい試合でした。


ちなみに、右だけでなく左のほうも適当でして、


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前半43分のキャプですけど、あそこのスペースを大迫に使われて、その後、サイドに開いてた豊田からクロス上げられてます。




次に、ホントに、この日のオージーダメだと思ったのが、後半なんですけど、僕ね、後半始まったら、オジェックがあそこ修正してくるだろうと思ってたんです。ところが、後半開始早々の7分のシーン、



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いきなり、また右SHと右ボラの間通されてて、「ああ、ダメだこりゃ・・・」と思いましたよあたしゃ。前半、あんだけ右SHと右ボラの間狙われてたんだから修正しないとダメでしょって話になるんですけど、全く出来てない。しかも、このシーンだと、カモメッシが左SHと左ボランチの間でドフリーになってんです。こんな守備やってたら、ひたすら、あそこ使われて失点し続けるでしょ?みたいな話なんですが、修正ナッシング。驚きましたわ。



で、まあ、あんな守備やってるなら、4点は取れるだろーと思ってたんですけど、二点目は



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こんな形でした。この二点目もアホだーと思って見てましたが・・・何がダメってオージーの左SH。ボール出る前に森脇を捕まえに出ちゃってる。だから、左SHと左ボランチの間のギャップが異様に開いていて、そこを縦パス通された訳です。あそこも前半、散々狙われていた訳で、こーいう守備やってたら守りきれるわけがない。こーいう守備やってると、日本はバイタル使い放題ですわ。で、バイタルでキレーなコンビネーション決められて失点です。きれーなゴールで感心しましたが、オージーの守備の酷さにも辟易したシーンでもあります。この守備はねぇだろうオジェック・・・と。



ついでに、これね、なんで中央に3枚いると、コンビネーションしやすいかって話もしときますけど、これ二点目のシーンで解説するとわかりやすいんですけど、もし、中央に2枚しかいないと、基本的にマークが外れないんです。


コンビネーションしようにも、DFってのは、「楔のパスを受けたCFはボール落としてから即座にターンして裏のスペースに動く」ってのを一番警戒してますんで、基本的にマークが外れないんです。これでマーク外すのCBってんは基本が出来てないって話になります。ここ、オージーのCBは豊田にきちんとついてってます。


で、このシーンでもボール落とした後、即座に裏に動いた豊田にはマークがついたままだし、ボールの落として貰ったカモメッシにもしっかりCBがマークついてます。あそこで豊田にリターンパス通されるのは避けたいんで、CBがマークに出てるわけです。


もし、ここで大迫が中央にいないと、カモメッシか豊田が単独で局面を打開しないといけない訳です。マークがついてるわけだから。ただ、ここでは大迫がいたので、カモメッシはボールをスルー。で、大迫がカモメッシのマークにでたCBの裏にボールを持ち出してゴール、と。


中央2枚だと、コンビネーションしてもマークはまず外れないんで、個人で打開するしかない訳ですけど、3枚だと、こういう風にシンプルに周り使って打開できるんですね。これが中央に3枚集めるフォメを使う場合の利点です。セレッソだったり、マリノスだったり、広島、浦和が中央に3枚使うのは、これがやりやすいからってのがあります。2枚だと個人で打開するしかないけど、3枚ならシンプルに周り使って突破できるんで。



とまあ、中央3枚の利点は、この辺りにしといて、オージーの守備の話になりますが、とにかく、ああいう守備戦術はやっちゃダメって事です。



あと、攻撃の話の最後になりますけど、後半29分の豊田のヘッド。あれは決めないとダメ。あそこね、山田がサイドでボール持って一対一になったら、カットインからシュートかファーへのクロスで違いが作れる選手だって事は、Jリーガーだったら誰でも知ってるでしょって話です。だから、あれは決めないといけなかった。あそこできちんと点取っとけば、それで試合終わってたんですから。


この試合、豊田は素晴らしい出来でしたけど、CFなんですから、2発もフリーで外しちゃいけない。しかも得意のファーサイドで待たせてもらえてる訳ですからね。



次に失点シーンの話なんですけど


あー、これは選手を責める話にしかならないけど、やっときます。



一点目はオフサイド臭かったし、まあ、いいとしましょう。ただ、二失点目はね・・・・



最初にはった動画で見れますけど、鈴木、対応が不味すぎる。楔のボール入れられて、その後、簡単に入れ替わられて、その後、ゴール前で相手FWをフリーにしちゃってるんです。CBの千葉が対人あんまり強くないのは、リーグ戦みてる人なら知ってると思うので、あれはしょうがない所があるんですけど、この時の鈴木の対応は不味すぎます。あそこで簡単に入れ替われちゃダメですよ、代表クラスのCBなんだから・・・・



あと終了間際にも不味いプレーがあって、これは徳永なんですけど、彼、全体的に非常に良かったんですけど、最後のあのプレーは頂けない。




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これですけど、これもねえ、FWが一枚サイドにボール流れてボール受けたとき、その後、サイドの選手が中央に走り込んでくるに決まってるでしょ?って話になるんです。だから、あそこはSBはマーク外しちゃいけない。でも、マーク外されて、中央にフリーで走り込まれて、危うくGKと一対一になるとこでした。このプレーは絶対やっちゃいけないプレーで、これはホントに要反省。



最後になりますが、厳しい事言わせて貰いますけど、現状、日本のCBって、1番手の今ちゃんはボールホルダーに軽率に飛び込んでしまう悪い癖があるし(FC東京だと高橋がそのカバーしてた)、2番手の吉田は判断ミスがおおく、早さに対応しきれない。3番手の栗原はPA内でマーク外す悪癖があって、メキシコ戦でもマーク見失ってやられてるし、中国戦でも3回ほど致命的なマークの見失いをやってます。



今回の試合のCBだと、鈴木は楔のボール入れられた時に簡単に相手に入れ替わられるって致命的なミスやってるし、千葉はもともとそんな対人強くないし・・・。モリゲはね・・・いまだに湘南戦でのやらかしの印象が強くてね・・・・



あんまいいたかないですが、最終ライン、どうにもならんなという感じです。いやね、早さと高さでやられるとか、圧倒的なテクニック差をみせつけられたとかなら、まだいいんですよ。そういうのは諦めがつきますから。千葉が一対一でやられたとか、そっちは別にいいんです。彼の強みは異様なフィードの上手さだし、対人そんな強くないってのはザックもわかってるでしょう。


でも、栗原がマーク見失ってやられるとか、鈴木が相手に寄せすぎて簡単に入れ替われるとか、これ、基本的な事が代表のDFが出来てないって話でしてね・・・特に栗原なんですけど、あんだけの早さと強さ、高さをもちながら、ザックに使えてもらえないのって、足下の下手さだけでなく、エリア内でマークを外してしまうってポカの多さも原因なんです。



日本のCBって、世界の強豪と比べたら、やっぱり体小さくて不利だってのはしょうがない事です。でもね、コンフェデからずーっと続いている問題ですけど、フィジカル差でDFがやられて失点してるんじゃないんですよ。単なるDFのミスから失点してるのが現状で、こういうミスで失点してるようじゃ、そりゃ試合で苦戦するよ・・・・と。




まあ、最後は愚痴になっちゃいましたけど、今日はこのあたりで。ではでは。

2013年、オフサイドルール改正のお話

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さて、皆さん、こんにちは。本日は、地味~な話ですが、オフサイドルールの改正が行われたんで、そっちの話をしたいと思います。めっちゃ地味な話なんですが、これについては、以前だとオフサイドになっていたプレーが、今回のオフサイドルールの変更によって、これからはオフサイドにならなくなるため、ちょっとしたうんちくでも垂れときたいと思います。



2013/2014年 競技規則の改正について (第11条-オフサイド競技規則の解釈の変更)


すでにJFAのほうで、告知と動画による解説が出ていますが、ちと、それぞれについて、個別に説明しときたいと思います。オフサイドはわかりにくい反則なんで、ちょっとアレな話になりますが、興味のある人だけおつきあいください。


オフサイドのルール


で、まずオフサイドのルールなんですが、こいつは「ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによって積極的にプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる」ってものです。


ここでのポイントは、「味方競技者によってプレーされた瞬間」って所です。オフサイドって反則は、味方競技者がボールをプレーした瞬間にオフサイドポジションにいた選手に適用される反則であり、相手競技者のプレーには適用されません。ですから、オフサイドポジションにいたFWがGKへのバックパスをかっさらってゴールしてもオフサイドにはなりません。たまーにオフサイドポジションにいたFWがバックパスかっさらった時にオフサイドにする審判がいますけどね(プロの試合でも、極希に発生します)。よく言われる「バックパスはオフサイドにならない」って奴です。



さて、なんですが、オフサイドルールで面倒なのはココじゃないんです。まず、原則としてオフサイドポジションにいること自体は反則になりません。



オフサイドって反則が取られるのは、選手がオフサイドポジションにいることに加えて、、


1、プレーに干渉する
2、相手の選手に干渉する
3、オフサイドポジションにいることによって利益を得る


のいずれかのケースが起こった場合に限られます。


で、今回のオフサイドルールの改正なんですが、1と2に大きな変更は入ってませんし、協会の解説読んでも、現行と変わってません。ただし、明確に変更されたと言えるのが、3の部分です。



今日はそっちの話がメインになります。



オフサイドにおいて試合において解釈が難しかった部分について


さて、こっからが試合の中で審判が困るシチュエーションなんですが、最初に述べた事ですが、サッカーにおいては、「バックパスはオフサイドにならない」というのがあります。オフサイドポジションにいるFWが、DFのGKへのバックパスをかっさらってゴールしても、それはオフサイドにならないんです。



ただし、相手DFに当たって跳ね返ったボール、あるいはGKがセーブしてこぼれたボールをオフサイドポジションにいたFWがゴールしたら、これはオフサイドになります。「オフサイドポジションにいることによって利益を得る」って項目にひっかかるからなんです。



以前にもお話しましたけど、これが面倒な所で、審判からみて、「DFがバックパスしたのか、DFの足に当たって跳ね返ったボールなのか、よくわからない」ってシチュエーションが極希に起こるんです。しかも、そのボールをオフサイドポジションにいたFWが拾ってゴールしてしまう事がある。面倒なのは、これが起こった時で、審判が一番困るシチュエーションです。さあ、どうしましょう?と。


この判断が難しいのは、これからも変わらないと思います。こればっかりは本当に困るシチュエーションです。



ただし、今回の変更で、一定の範囲で、そういったプレーに線引きが行われました。


オフサイドポジションにいることによって利益を得る 」プレーについて

さて、こっからが本番なんですけどね。


変更が大きいのはココなんですが、従来までは

“その位置にいることによって利益を得る”とは、既にオフサイドポジションにいて、ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーすること、または既にオフサイドポジションにいて、相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることを意味する。


という文章でした。ココに変更が入りまして、新ルールでは

“その位置にいることによって利益を得る”とは、次のようにボールをプレーすることを意味する。
(ⅰ) ゴールポストやクロスバー、または相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。


(ii)相手競技者が意図的にセーブすることで、はね返った、方向が変わってきた、またはプレーしたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。


相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。

と、なりました。えーっと、1と2については、従来と変更がありません。基本的に、ポストやバーに当たって跳ね返ったボール、相手選手に当たって跳ね返ったボール、GKがセーブしてから跳ね返ったボールなんかをオフサイドポジションにいるFWが拾ってシュートしたらオフサイドです。



ただし、条文の三つ目が問題なんです。



相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。




コイツです。これが今回の改正で、一番大きな奴で、これが明確にされた結果、従来であればオフサイドになっていたプレーが、オフサイドにならないと明確化されました。


えっと、これは最初にはったリンク先のJFAのページの動画の最後の奴をみてもらうとわかりやすいのですが、柏対鹿島戦での奴ですが、レアンドロのクロスを鹿島のDFがヘディングでクリアしたんですけど、クリアが中途半端でオフサイドポジションにいたジョルジ・ワグネルに渡ってしまい、それをワグネルがシュートした奴があります。動画だと、これオフサイドになってますが、これからは、これがオフサイドになりません。


理由はってーと、「相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない」ってのが明確化されたからです。


ココがポイントでしてね。


つまり、これからは、DFがインターセプト、もしくはヘディングでクリアしようとしたボールが運悪くオフサイドポジションにいたFWに入ってしまった場合にはオフサイドにはならないって明確化された格好なんです。


守備側競技者が意図的にプレーした場合(それが思いどおりのプレーでなかったとしても)、そのボールを既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者が受けたケースでは利益を得たという判断をしない」ってのが、今回の改正で明確化されたので、これからはクリアミスやインターセプトのミスをオフサイドポジションにいたFWがかっさらっても、オフサイド取られなくなります。この部分が明確になりました。


で、ルール改正で何が変わるのか?という話


さて、今回のルール改正なんですが、これ、以前話をしましたが、


2005年のオフサイドルールの改正とモダンサッカー


2005年にオフサイドルールが改正されて以来、サッカーではラインを高く保ち続けるのが非常に困難になりました。プレーに直接関わっていない限りは、オフサイドポジションにいてもオフサイドを取られないルールになり、プレーへの関与についても明確化された為、疑いようがないほどに、オフサイドルールについては攻撃側が有利になっています。



今回のルールの変更なのですが、近年におけるオフサイドルールの変更については、とにかく攻撃側が有利になるような変更がほとんど常に、といって良いほどに行われていまして、今回の改正も、疑いようがないくらいに攻撃側が有利になる変更です。


以前であれば、クロスが入ってDFがヘディングしたが、クリアミスになり、それをオフサイドポジションにいたFWがシュートしたらオフサイドでした。JFAの動画にある甲府対広島での寿人のシュートがソレです。


ところが、これからは、これはオフサイドになりません。「守備側競技者が意図的にプレーした場合(それが思いどおりのプレーでなかったとしても)、そのボールを既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者が受けたケースでは利益を得たという判断をしない」ってのが明確化されたからです。



で、この結果としてですが、このルール下だと、クロスへの対応一つとっても、若干の変更が必要になりそーです。従来であればオフサイドポジションにいたFWがDFのクリアミスを拾ったら戻りオフサイドでしたけど、今回からは、戻りオフサイドになりません。



また、ますますハイラインプレスが難しくなりました。パスをインターセプトしたら、オフサイドポジションにいたFWにボールがこぼれて、一気にGKとの一対一になる、みたいなケースが増える事が多そうだからです。



今日はこの辺りで。ではでは。

Jリーグのレギュレーションのお話  ~2ステージ制への移行とか諸々~

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さて皆さん、こんにちは。お久しぶりでございます。また更新が滞っちまいましたが、私は元気です。


それでなんですが、本日はサッカーのうんちくとか戦術の話でなく、Jリーグのレギュレーションの話をしたいと思います。というか、プロスポーツのレギュレーションの話にもなるんで、ちょいと長くなりますが、興味のある人はおつきあいください。


えーっと、今、Jリーグはレギュレーション問題で揺れてまして、ちょいと前に「2015年からJ1は2ステージ制に」って告知が突然出まして、それに各クラブのサポから反発の声があがりまして、そのあたりで、Jリーグサイドとサポーターサイドで、溝が出来ちまったのが現状です。


ちなみに僕個人は「週末にサッカーが見られればレギュレーションは別に何でもいいかな」って思ってる人間です。


1996年に1ステージ制にして、そのあと1997年に2ステージ制に戻した時、こんな反対意見が一斉にでた覚えはあんまないので、日本では1ステージ制が根付いているんだなあ、と思った次第です。



それと、goal.comで「反対意見の多いJリーグの2ステージ制。問題点は?」ってアンケート取ってますが、それによると、



40.2%
本当に強いチームが決められない
8.5%
提案されている新制度が複雑すぎる
3.2%
ナビスコ杯や天皇杯と差別化できない
23.5%
ヨーロッパの主要リーグとシステムが異なる
13.2%
多くのサポーターが反対しており、観客減少になりかねない
5.2%
その他の問題点
6.1%
問題はない。新制度に賛成


となっており、「本当に強いチームが決められない」ってのと、「ヨーロッパの主要リーグとシステムが異なる」ってのが大きな問題になってるみたいです。もっともアンケートの項目以外で反対している人も多いでしょうけども。



実際問題として、2ステージ制はフェアとは言い難いシステムですし、ヨーロッパの主要リーグはこんな事やってません。だから、そういう理由で反対する人が多いのはしゃーないとは思います。ただ、先日の日経新聞のカズのコラム「サッカー人として」で、カズが言ってますが、ブラジルでもサッカーの人気が低迷した時期、2ステージ制を導入した事もあるわけで、そのあたり、世界のサッカーでも色々あるってのが現状です。



サポーターにこんだけ反対されているのに2ステージ制にする理由とは


さて、サポーターサイドから、かなり強烈な反発がでてる2ステージ制。ちなみに、Jリーグサイドでも1ステージ制のがフェアだし、そっちのがいいってのは認識してるみたいです。それでも、なんで2ステージ制に回帰するのかってーと、




「J1リーグ大会方式の変更について」の説明会(報告)




こっちで、川崎の社長さんが説明してくれてますけど、まずJリーグ全体として観客数が落ちてきているっていう大前提の元(Jリーグの観客動員については別項で詳しく触れます)


こういう状況の中で危機感を持たないといけない。今言ったようにさまざまな指標が右肩下がりになっており、このままだとお客さんの減少に歯止めがかからないんじゃないかという危機感があります。それから放映権料とかJリーグのスポンサーや協賛金。これは実は今年2013年度で契約が切れるんですね。来年2014年から新しい契約を結ばないといけない。その時に今現在の交渉で何と言われているかと言うと、2つ合わせて10数億のダウンが見込まれているんですね。10数億のダウンってどういう数字かと言いますと、JリーグはJ1とJ2の各クラブに配当金を出しています。それが10数億下がるというのは、J1でいうと1クラブあたり5千万くらい配分金が減るということ、J2では1クラブあたり2千万くらいが減るという数字に匹敵するもの。そのぐらい影響のある数字です。


黒字強調は僕ですけど、Jリーグ全体での観客動員が落ちてきている中で、放映権料とかスポンサーや協賛金の契約が今年で切れる事になった。新しい契約を結ばないといけないけど、交渉の席で、このままだと10数億のダウンを提示されている、と。


収入予測というのは、Jリーグの収入です。これは、2013年の予算ベースでトータル91億5,800万円の収入が見込まれています。中身は放映権料が48億、協賛金が38億1,400万、商品化権料が5億4,400万という内訳です。何もしないとここで10数億円下がってしまうと言われています。来年ですから、これは目前の危機です。ここはなんとかしないといけない。元に戻した上で上積みしていく必要がある。実施自体は15年以降で構わないから、何かちゃんとしっかりやるぞということによって、14年も13年ベースまで持ち上げようということ。なおかつ15年になったら、このベースから増やしていこうという交渉をしていて、高い感触を得ている。だからやろうではないかということです。


Jリーグの収入予測の話もでていますが、何もしないと、Jリーグに落ちる金ってのが10数億円減ります。




で、なんですけど、これをカバーしようとすると、ここにTV局の方の意向が入ってきてて、


これは理事会で決まる前の実行委員会のベースなので、実行委員会では2ステージ制プレーオフ制の2つを提案しています。2ステージ制というのはおわかりの通り、各ステージごとの年間1位と2位とがたすき掛けで勝ち上がり、最終的に34節での年間1位のチームとチャンピオンシップを争うという、こういうフォーマットです。プレーオフ制は単純で、34試合でのリーグ戦の1位から5位を並べて、もう一度戦おうということ。


実はテレビ局からの条件もありました。1位と1位が同じだとチャンピオンシップはありませんよというフォーマットははやめてくださいと。昔はどうなっていたかと言うと、1stステージの1位と2ndステージの1位だけのチャンピオンシップだったんですよね。これだと1位と1位が同じチームだとチャンピオンシップは行われなかった。それはダメです、必ずやるフォーマットにしてくださいというのが、テレビ局からの要望なんですね。

って事らしいんですね。まあ、この説明聞く限りは、2014年から新しいスポンサー契約、放映権の契約なんかをする際に、視聴率が取れるプレーオフやってくれないと放映権料やら協賛金やらで10億減らすよって交渉の席で言われてるようで、個人的には「まあ、しょうがねーか・・・」と納得した部分もあるんです。



ざっくりまとめますが、


1,13年でJリーグと現行のスポンサーとの契約が切れる。新契約を結び直す交渉の席では、動員数が落ちてきている今のJリーグでは、放映権料と協賛金を以前と比べて10億円ほど減額されてしまう。



2、Jリーグの収入の8割をしめる協賛金と放映権料が10億減らされると、J1とJ2への分配金を減らさないといけない。ちなみに分配金はJ1だと二億、J2だと1億もらえる。J1はともかく、J2の営業収入の少ない水戸、愛媛、北九州にとって、分配金は非常に重要。



3、CS等のプレーオフをやる事を条件に、Jリーグは地上波での露出を増やしてくれるようにTV局と交渉している。とりあえず、プレーオフを導入すれば、協賛金と放映権料を現状維持の額で再契約できる。




これ、なんともコメントしずらい問題なんですが、極論してしまうと、「10億円の穴埋めをどうするか」って問題のようです。Jリーグの場合、この穴埋めの方法には、大きく分けて3つしかありません。


1,入場料収入を大幅値上げ
2、プレーオフを導入する見返りに、地上波でのメディアでの露出を増やす契約を結び、10億円を確保する←今ココ
3,外資規制を撤廃し、オイルマネーなんかを呼び込む


くらいしか方法がないってのが現状です。他に10億の穴埋めが出来る方法があったら、是非ともJリーグフロントに教えて上げてくださいまし。



これねえ、こういう金金金、視聴率視聴率視聴率って話に反発する人もいるかもしれませんけど、プレーオフってドル箱なんす。視聴率取るにはもってこいのイベントだし、一般人も、こういうイベントだとスタにくるんです。



こないだ、「謎に包まれていた2ステージ制復活の意図 成長シナリオを描くために必要な決断」って記事があって、その中でCSの話もでてますが、

――Jリーグへの一般の人の関心度を示すバロメーターとして、地上波での視聴率というものがあると思います。最近の数字はどんな感じでしょうか?


 なかなか2桁は難しいですね。NHKで優勝が決まる試合をやっても1桁台ですから。開幕戦と、ナビスコカップの決勝も同じくらいです。



――そんなものですか?! では、最後に2桁行ったのは、いつですかね


 サントリーチャンピオンシップの04年の試合(浦和レッズ対横浜F・マリノス)が最後でしょうね。あの時で12%と15%かな。あれはすごかった。もちろん「だからチャンピオンシップを」っていうわけではないんですが、普段スタジアムに来る人以外が(Jリーグに)関心がないと、数字って取れないですよね。

ってのもあります。まあ、コンテンツとして見た場合、プレーオフって形式がやっぱり視聴率稼ぎやすいってのは厳然たる事実だったりします。だから、TV局がやって欲しいのは当然で。




アメリカンスポーツが特にそうなんですけど、NFLのスーパーボウルなんて、

例えば、第47回スーパーボウルの再販の観戦チケット代は平均3278ドルであり、特別室での観戦では31万5000ドルとマンションの購入金額に匹敵する価格水準である[7]。CM枠が世界一高額なことで知られており、テレビ局の広告収入は2億2000万ドルを超えたと試算されている[8]。経済誌『フォーブス』の2012年10月の発表によると、スーパーボウルのブランド価値は4億7000万ドルであり、夏季オリンピックFIFAワールドカップなどを凌ぎ、世界一のスポーツイベントであると推定されている[9]。


スーパーボウル

もう次元が違うんですけど、テレビ局の広告収入だけで2億2000万ドルとかね。プレーオフって、ドル箱コンテンツなんで、TV局がこれやりたがるのは当然なんです。アメリカじゃ、アメフト、野球、バスケのプレーオフはどれも人気があってドル箱コンテンツですけど、プレーオフで全米最強のチーム決めるってのは、フェアじゃないです。総当たりのリーグ戦ホーム&アウェー2回戦で優勝チーム決めた方がフェアに決まってます。でも、アメフトが、そうならないのは、結局、お金のせいなんです。スーパーボウルでこんだけ稼げるなら、そりゃ、プレーオフやりますよ。



ちなみに、欧州サッカーの場合、プレーオフはありません。その代わりに、チャンピオンズリーグってのがあって、そっちで稼いでいる訳です。


実は、Jリーグも欧州サッカーと同じ、1ステージ制+ACLで稼ごうって形にしたのが2005年からです。ただ、これ、今の所、上手くいってないんですよ。理由はってーと、ACLが視聴率取れないし、観客動員も悪いからなんです。



欧州CLって平日開催でも人がはいるし、視聴率も取れてます。サッカーにおけるWカップにならぶ最強のドル箱コンテンツですよね。一方、ACLも平日開催が基本ですけど、入るお客さんなんて7~8000人くらいで視聴率も取れない。だからスポンサーも増えない。悪循環になっちゃってるんです。プレーオフやらないなら、ACLで数字を取りたい。でも、現状それができない。それが、現在のJリーグの状況になってます。欧州の真似をそのままやっても、現状、ジリ貧だってのがあります。



ここまで金金金、視聴率視聴率視聴率、スポンサースポンサースポンサーな話をしてきました。勿論、Jリーグのサポーターが入場料収入の大幅値上げを飲んでくれて、それで10億円の減少を穴埋め出来るってなら話は別なんですが・・・それが可能なら誰も苦労しませんよね・・・という。Jリーグのチケットの単価を平均1500円ほど値上げして、なおかつ入場者数が減らなければどこのクラブも問題ないんですけど、そう上手くもいかんでしょう、という。まあ、僕は湘南のチケットが1500円くらい値上げされても文句はないんですけど。プレミアみたいに、スタジアムを改築、増築して、チケット単価を上げるってのは、Jリーグのチームもやったほうがいいじゃねぇの?ってのはあるわけです。




で、こっからは、Jリーグのレギュレーションの変遷とか、1ステージ制の興行上の問題点の話とかにうつりたいと思います。1ステージ制は、サポーターの多くが賛成しているシステムなんですが、実はこれ、興行面では、問題も結構あるんです。


Jリーグのレギュレーションと観客動員の変遷


さて、こっからはJリーグのレギュレーションと観客動員の変遷の話をしましょう。


あらかじめ言っときますが、観客動員を増やす上で一番てっとりばやいのは、試合数増やすことです。世界で一番、観客動員が多いスポーツは?答えはMLB。年間で7,500万人以上の動員を誇り、世界中のプロスポーツの中でも最大です。一試合あたりの平均観客動員でなら、MLBより多いスポーツはありますが、なんせ野球は試合数が多い。だから、動員数で他のスポーツの追随を許さないんです。


ただ、サッカーの場合、基本、週1か週2しか試合はできませんので、増やせる試合数なんてたかがしれてます。また、週2で試合やると、チームのパフォーマンスがどんどん下がり、試合の質が低くなってしまいます。なんで、あんまり試合数は増やせないのがサッカーってスポーツの現状です。



さて、Jリーグの観客動員の変遷なんですが、こちらのサイトからキャプした奴をちょいと。



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これです。



コレ見ると、まずJリーグ発足して93~95年の時期、観客動員は右肩上がりだってのがわかります。この時期、観客動員が多かった理由なんですが、まず発足当初のJリーグバブル。これが一番大きい。


ただ、レギュレーションも見逃せないんです。93年は2ステージ制で10クラブが各ステージごとにホーム&アウェー2回戦で、各18試合×2ステージ=36試合を戦う形式でした。年間36試合ってのは、Jリーグ最小の数字でして、観客動員も少ないほうです。ただし、Jリーグは、最初のオリジナル10と呼ばれるチームを選ぶ際、動員が見込める大都市のクラブばっかりを選んだんです。そして、そういったクラブ同士が年間4回戦う形式を取りました。


これは、集客という面では非常に大きいんです。例えばですけど、当時は人気絶頂だったヴェルディとホームで2試合、確実に試合ができるってのはホントに集客面だと大きいわけですよ。また、当時からアウェー動員が多かった浦和とホームで二試合できるってのも大きい。


その後、Jリーグはチームを増やし、95年には14チームによる4回総当りの2シーズン制をやり、年間52試合という超過酷なスケジュールをやるんですが、J1は年間610万人といういまだに破られていない最大の観客動員を記録してます。こいつは、年間の試合数が多かった事に加え、2シーズン制で4回総当たりなんで、人気チーム同士の対戦が年間4回できたってのが大きいです。


さて、問題は、ここからです。いわゆるJリーグの暗黒時代の始まりですが、96年、Jリーグは1ステージ制に移行。計16クラブによるホーム&アウェーでの2回戦、30試合となりました。この結果、何がおこったかは皆さん、ご存じの通り。観客動員の著しい減少、平均観客数も前年度より3000人低下しました。


なんで、こんな事が起きたのか。原因は、いわゆるバブルの崩壊、それから1ステージ制にした事で、ドル箱コンテンツだった試合の減少です。簡単にいえば、95年だったら、首都圏のクラブは浦和みたいなアウェー動員力のあるクラブとホームで2試合できてた訳です。ところが96年からは、一試合しかできなくなったし、それほど動員力がない新規クラブと試合をすることになった。これでは、動員が減るのは当たり前です。


動員数の減少から、Jリーグも慌てたのか、97年から2ステージ制に戻してます。ただ、動員数は最盛期の95年のレベルに戻ることはありませんでした。



97年のレギュレーションですが、これ95年までのレギュレーションとは別モノです。2ステージ制ですが、チーム数が増えたんで、95年シーズンまでのステージごとのホーム&アウェー4回総当りではありません。1シーズンを通してのホーム&アウェー2回戦でして、そのため、ステージごとに見た場合、前期はホームでしか戦わない、後期はアウェーでしか戦わないなんて変則方式です。これ、結局、動員力のあるクラブとホームで一試合しか出来ないわけで、集客面では良いことはあんまないんです。


また、制度上、どう考えてもフェアとは言えません。サッカーってスポーツはホームアドバンテージが結構な割合で存在するスポーツでして、基本ホームチーム有利なスポーツです。つまり、この形式だと日程が信じられない程、優勝争いに影響もってしまうんです。例えば、日程に恵まれて、ホームで有力チームと前期で全試合できちゃうと、前期優勝争いでは超有利になります。また、日程で、最初の7~8試合で難しいアウェーゲームばっかり組まれちゃうと取り返すのが非常に難しい。アウェーで負けた相手にホームでリベンジってのが出来ないからです。


こういう事情があったので、Jリーグってのは世界でも非常に珍しい「ホームアドバンテージが少ないプロサッカー」ってのが見られるリーグになったのかもしれませんけども。


ただねえ、結局、それは、フェアネスを考えると、確かにそうするしかないのかもしれませんけど、ホームで勝てないと興行が成り立たないってのもプロスポーツの一面ではあるわけです。


バスケなんかもホームアドバンテージがでっかいスポーツです。NBAなんて、日程でホームチームが超有利になるような組み方してます。



オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く

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こっちの本で、NBAの日程の偏りの話があるんです。そっから引用しますが、


NBAでは毎シーズン、二日続けて試合を行うことが各チームそれぞれ10回ほどある。平均ではそのうち7回、14試合ほどは遠征中に起こる。それだけでも、NBAでホームチームが有利な原因になりうる。僕たちの計算によると、そういう14試合に期待できる勝率は、連戦でない、普段の遠征試合の勝率に比べて、たったの36%だ。ということは、日程が厳しいために、毎シーズン、遠征で1,2試合は余分に負けているという事である。逆にいうと、NBAのチームは、遠征中に連戦を強いられる日程と引き替えに、地元の試合では1,2試合分のゲタを履いているようなものである。

って所ですね。もひとつ引用しときますが、


あるNBAチームのオーナーはこういっている。「(ファンが)NBAでは試合の日程がどうやって決まるか知ってたらどうなるだろうと思うな。まず、チームが自分達のアリーナを使えない(たとえば、サーカスが来てショーをするとか、NHLのチームが使うとかの)日を提出する。次にリーグが『ドル箱の全国中継試合』を選んで、あとは誰かがソフトウェアにちょっと手を借りながら、残りの試合を組むんだ。どこのチームもこの人には頭が上がらない。ケツだってなめるよ。この人の手にかかったら、どこのチームだって黒星が山ほどつく。コービーなんかよりずっとな!」



お金のインセンティブはこんなところでも働いているようだ。フォーブス誌がNBAでもっとも価値が高いと推定したチームは、日程の偏りがやや強い。大きな顧客層を持つ大都市のチームもそうだ。そうそう、どのチームも地元より遠征中に連戦することが多いが、もっとも大都市のチームは連戦が少ない。


って奴です。これもねえ・・・・「きたねえ・・・・」と思う人もいるかもしれませんが、結局、プロスポーツは興行ですから、ホームチームには勝ってもらわないと困るし、大都市の人気チームには出来るだけ、プレーオフに残ってもらわんと、リーグとしてはドル箱のプレーオフが盛り上がらないって大人の事情があるわけですよ。


2ステージ制だったり、プレーオフで優勝チーム決めるのに「フェアじゃないから」って思う人は沢山いると思います。それに、こういった大人の事情が絡むため、プレーオフ自体を嫌う人もいると思うんです。結局、プレーオフやるなら、人気チームにプレーオフに残ってもらわないと困るわけです。そうなったら、日程でどのチームが優遇されるかなんて、最初からわかりきってるでしょ、みたいな。



ちと本題から反れたんで、話を元に戻しますが、形式的には問題が多い97年から2シーズン制ですが、これは2004年まで続きました。さて、観客動員なんですが、Jリーグの観客動員が上昇に転じるのは2000年あたりからになります。この観客動員の上昇の原因になったのが、浦和レッズアルビレックス新潟、FC東京とヴェルディになります。これはレギュレーションとは無関係で、観客動員を上昇させた要因は、新スタジアムの完成です。浦和は新スタ完成以降、観客動員が平均2万人から4万人越えに増えていますし、新潟に至っては、初期は平均4000人とかだったのに、新スタジアムが出来てからは平均で4万人を超える観客を集める事に成功してます。味スタが出来て以来、FC東京とヴェルディは飛躍的に観客数を増やしました。2001年のJ1の観客動員の増加は、新スタ効果で、ほぼ説明できます。


新スタ建てると動員が増加するってのが、サッカーの興行では経験的にわかってまして、最近はプレミアとかブンデスがスタジアムの改築、増築、新築のラッシュになってます。Jリーグだと、初期にもっとも新スタ完成の恩恵をうけたのが鹿島でして、1993年にカシマスタジアムができた事は、鹿島ってクラブを強烈に後押しするモノでした。また、川崎さんも、等々力の改修に乗り出してますが、そっちは頑張って欲しい所です。湘南もスタなんとかしたい所です。


J1の観客動員は2005年あたりから横ばいになります。これは浦和と新潟、FC東京、ベルディの動員の増加がその時期から横ばいになったのが原因です。2009年に、Jリーグは最多の観客動員を記録しますが、こいつはJ2が18チームによる総当たり3回戦、全51節という記録的な試合数をやった事と関係してます。2010年、J2の観客動員が前年度に比べておちてますが、これは2010年から、J2も19チームによる38節、36試合のホーム&アウェーの2回戦に切り替えた為で試合数減らしたんですね。そうなっちゃうと、やっぱり動員数自体は落ちます。


近年の流れですが、J1は現行のACLが始まったのが2003年からで、2005年から2013年までJ1では、リーグ戦+ACL+ナビスコ+天皇杯ってが基本スケジュールになりました。J2もチーム数が増えたんで、1ステージ、総当たりのホーム&アウェーの2回戦でリーグ戦って形になってます。



基本的に、2シーズン制で4回戦総当りだと、水曜開催が必要になってきます。ただ、日本だと平日開催は動員がどうしたって減るので、あんま好ましくないわけです。だから、2004年移行、1シーズン制にしてドル箱のリーグ戦を週末開催にし、平日水曜に行われるのは重要度が低いカップ戦って形にしてたわけです。


ただ、試合数を減らすと、単純に観客動員が減るので、それをカップ戦で補う形にしてたんですが、ACLやナビスコは動員では苦戦してまして、特にACLなんかは、人気チームの試合であっても1万割ることは珍しくないって状況でした。唯一の例外といっていいのが浦和さんでして、ここは2008年10月22日、平日開催のACLの対ガンバ戦で5万人入ってました。


色々あるんですが、浦和さんには、やっぱり強いチームであって欲しい訳です。日本じゃ、浦和さん以外、平日に5万人集められるクラブなんて存在しないですから・・・・浦和が弱いとダイレクトに観客動員に響くんですわ。平日でも3万人から集められる唯一のチームな訳だし。


これは近年の観客動員に関してですが、J2はともかく、J1が2010年から減少傾向にあるんですが、浦和、新潟の動員が落ちてきてるのが問題になってます。今年のACLもそうなんですけど、浦和さん、ホームの試合で2万人ちょいしか集められてなくて、「うーむ・・・」と。以前だったら3万人は入ってたはずだし、動員で苦戦してるなあ・・・と。ここ数年ほど顕著なのが、浦和の動員力の低下でして、浦和さんが上昇に転じないと厳しいってのはあります。フィンケゼリコ・ペトロビッチ時代の動員の低下理由は・・・やっぱり弱かったからでしょうね。


一方で、2001年あたりからのJリーグの観客動員増加のもう一つの主因となった新潟さんなんですが、ここは一時期、無料チケットで集客してたチームでして、実は客単価が非常に低いチームでもあります。もともと、無料チケットで人集めてた時期があるんで、低迷しちまうのはしょうがない部分もあります。入場者数は相変わらずトップクラスですが、客単価を上げない事には・・・となってます。



J1は2004年を境にして動員数を一気に増やしてますが、2004~2009年のJリーグの観客動員って、浦和、新潟を除いて計算すると、ほとんどゼロか減少に近い数字になるんです。この時期のJリーグの観客動員は、この2クラブの動員数の増加によってもたらされた数字でして、この2クラブの動員が落ち始めた2010年あたりから、観客動員が下降し始めたのは当然なんです。


Jリーグの動員の減少については色々言われてますが、2001年あたりからの大幅な動員数の増加は、浦和と新潟、FC東京、ヴェルディなどの新スタ建設組によってもたらされたモノでして、2010年以降の動員の低下も、これらのクラブの動員の低下分が主因だったりします(FC東京は落ちてませんが)。



新潟と浦和のホームゲームの平均観客動員ですが、2009年と比較すると、2012年では浦和が8000人、新潟も8000人減っています。単純計算すると、ホームゲーム17試合*2の34試合で8000人の動員が減った訳ですから、27万人の動員がJ1から失われた計算で、これで大体、2012年度のJ1の観客動員の低下を説明できちゃう位の数字なんですね。




とまあ、Jリーグのレギュレーションと動員の変遷については、このあたりで終わりにして、1ステージ制の問題点について、ちょいとお話したいと思います。僕は別に1ステージ制に反対って訳ではないのですが、1ステージ制には1ステージ制で、結構問題もあるんです。



Jリーグにおける1ステージ制の興行上の問題点(2004~2013)

ここからは、今回の騒ぎだと、問題にされてませんが、2004年から2013年までのJリーグのレギュレーションにおける興行上の問題点についてまとめていきます。あくまで興行面の、です



まず最初の問題ですが、1ステージ制だと、興行上、ドル箱コンテンツであるプレーオフが無いって事です。Jリーグとしては、ACLがドル箱になってくれる事を期待していた節があります。しかし、残念ですが、平日開催のACLで万単位の客を集められるのは浦和さんくらいのモンでして、平日開催のACLじゃ、全盛期のガンバさんや鹿島さんでも、一万切るのが現状です。これだと、クラブのほうでも力を入れる気になれないですよ、やっぱり。現行の平日開催のACLだと、視聴率取れないし、動員力も弱いし、スポンサーも集めにくい。


欧州は、総当たりホーム&アウェー2回戦のリーグ戦+CLで稼いでますが、現状、日本で、それやって稼げそうなのは浦和さんくらいってのがあります。浦和サポーターって人達は、平日でもACLの試合を見に来るんで、浦和さんだけは例外的にACLに力を入れてもいいんではないかと・・・!!浦和さんはACLで人呼べるチームなんだから、ACLで勝ってくれないと困ります。



で、次の問題なんですが、1ステージ制で総当たりのホーム&アウェーの2回戦だと、ドル箱の試合を増やせないってのがあります。プロスポーツってのは興行ですから、ドル箱の試合は多ければ多いほどいいわけです。ところが、総当たりの2回戦だと、集客が見込める首都圏クラブ同士の対戦が年二回位しかできない。J1のレギュレーションの話をしたのは、ここを問題にしたかったからで、集客が見込める試合は出来るだけ増やした方が良いわけです。ここが、時々、話題になるJプレミア構想になるんです。簡単にいえば、Jリーグのチームのうち、集客力のある8~10チームくらいでプレミアリーグ作って、そこで総当たりの4回戦でリーグ戦やるとかの構想です。これは、興行面でメリットがとても多い。ただ、プレミアに入れなかったクラブにはデメリットしかないので、クラブから同意を得るのは難しいです。




次にこれ、1ステージ制の問題って訳じゃないですが、J1は降格制度があり、毎年3チームが降格します。J1の場合、比較的実力差が小さいリーグなので、人気チームの降格ってのが、割と頻繁に起こるわけです。これね、人気チームが降格しちゃうと、J1の観客動員におもいっきり影響がでます。今年でいえば、ガンバ大阪がJ1にいないことで、動員が見込めるガンバ対浦和みたいなドル箱カードが出来なくなってますし、J1の他チームにとってもガンバ戦が出来ないってのは集客面からみるとマイナスです。去年、浦和さんが、ガンバさんと埼スタでやったときは46000人入ってるわけです。こういうカードが出来ないとか金をドブに捨ててるようなモンですよ。千葉みたいに人気チームなのにJ2にはまって抜け出せないってケースもあります。



また、集客が見込めるダービー戦が確実にできないってのも大きな問題です。簡単にいえば、柏対千葉みたいな人呼べるダービーが、ディビジョンが分かれてしまっていることで開催できないんです。J2であっても、千葉ダービーは18000人入ったわけで、これだけ集客力があるカードが出来ないってのは問題な訳です。別に千葉ダービーじゃなくても、九州ダービーとか神奈川ダービーとかは、毎年やったほうが良いに決まってるんです。この手のダービー戦は集客力があるコンテンツなんだから、やったほうがいいに決まってます。ただ、JリーグはJ1とJ2で天皇杯以外では試合やりません。せっかく、人呼べるコンテンツがあるのに、現行のレギュレーションだと試合組めないんですね。今年は、大阪ダービーも出来ません。



今年、J1は動員で苦戦してますけど、ガンバみたいなアウェーでも動員力がある人気チームが不人気なJ2に落ちて、さほど集客力がない湘南や大分がJ1にいる以上、今年のJ1の観客動員が落ちるのは、ある意味では当然でした。興行面から言えば、千葉、ガンバあたりはJ1にいて貰わないと困るんです。千葉さんがJ2にいつまでもいると、興行的に困るんですよ。



2004~2013年のJリーグのレギュレーションでは、機会損失といっていいのが、「ホーム&アウェー2試合ではドル箱の試合を2試合しかできない」、「所属ディビジョンの違いから大阪ダービー千葉ダービーのように集客力のあるカードが出来ない」って所です。



ここはアメリカンスポーツみたいな形が本当は好ましいのですが、J1とJ2という枠を撤廃し、全国を2ブロックに分け、さらに2ブロックの中で地区リーグを二つほど作り、地区優勝したチーム+勝率上位2チームでプレーオフへって形にしたほうが、確実にダービーマッチを確保できるので興行上は好ましいんです。もしくはナビスコの方式を改めて、リーグ戦と平行する形で、ナビスコを地区カップシステムにしてダービー戦を確保するとか。


アメリカンスポーツの話を挟んだのは、これ、結局なんですが、ACLがコンテンツとして浦和以外、人を呼べない状態だからで、それなら、アメリカンスポーツ形式にシステム組み替えて、ダービーマッチプレーオフを確保したほうがいいじゃないかなあ、などと思ってるからです。


ここは、単純に僕が神奈川に住んでで、常日頃から「毎年、神奈川ダービーやってくれたらなあ」と思ってるってのもあります。簡単にいえば、湘南対横浜マリノス、湘南対川崎、湘南対横浜FCの試合は、年間2試合、必ず確保して欲しい訳です。理由は、スタジアムに行きやすいからです。ナビスコなんて平日開催なんだから、遠いアウェーまで出かけるとか、普通無理です。なんで、ナビスコは地区カップシステムに組み替えて、ダービー戦を増やしてほしいってのがあるんです。



最後のほうは僕の個人的な要望ですんで、聞き流してくれて結構です。



最後に。2ステージ制になったらJリーグはどうなるの?


最後になりますが、これ、究極の問いですが「どうすれば観客が増えるのか?」「どうやったらスポンサーが増えるのか?」という問題に行き着きます。Jリーグは2ステージ制になったら、この問題を解決できるの?


ここまで色々書いてきましたが、動員を増やす方法として、確実に効果が見込めるのは、「試合数を増やす」、「新スタを建てる」、「人気チーム同士の対戦を増やす」って所になります。無論、スター選手を呼んでくるってのも手です。



また、簡単に視聴率を取る方法としては、現状、「プレーオフを開催する」って位しかありません。優勝が決まる試合でも、リーグ戦だとNHKで視聴率一桁、開幕戦でも一桁って現状ですんで、リーグ戦が地上波向けコンテンツとして弱いってのは、どうにもならない状況です。視聴率取れれば、露出が増えてスポンサー探しやすくなるわけで、これはこれでしょうがない部分だなあ、と僕は割切ってます。



2ステージ制をやるメリットとしては、一番大きいのは、結局プレーオフが出来るって所です。それによって、今よりスケジュールがきつくなりますが、地上波で視聴率が取れるコンテンツを持てるので、今回の契約更新で、そっちをやらざるを得なくなったみたいな感じです。



今回、長々と書いてきましたが、Jリーグで1ステージ制総当たりのホーム&アウェーの2回戦で優勝を決め、プレーオフに相当するのがACLという2004~2013までの形式は、少なくとも、興行面だと、上手くいかなかったと言わざるをえません。2004年のレギュレーションの変更によって、動員の増加、メディアへの露出の増加には結びついてません。動員の増加をもたらしたのは、現実的には新スタのおかげで飛躍的に動員が伸びたクラブですから。



欧州サッカーと同じやり方を取る場合、少なくとも、ACLがドル箱コンテンツにならないと厳しいってのが現状です。またやる前からいうのは何ですが、2ステージ制にしても観客動員数が伸びることはないと断言できます。



なんでかというと、結局、J1を18チームで回すなら、1stステージ17節、2ndステージ17節のホーム&アウェーで回すしかないからで、これだと、結局1ステージ制と同じで、ドル箱カードを増やせる訳でもないし、試合数が劇的に増えるわけでもないからです。これは、1997年に2シーズン制に戻した時に、1995年の水準に動員数が戻らなかった事を考えれば明らかです。


2ステージ制にしてプレーオフを導入すれば、目前の危機(10億円のjリーグの減収)は回避できますが、根本的に動員数を増やす事には結びつかないってのが僕の率直な結論ではあります。



最後はネガティブな事言っちまいましたが、本気でJリーグが観客動員を増やそうとするなら、「新スタ建てるかスタを増築、改築しる!!」という超金がかかる話になるし、スター選手取るのにも金かかるしで、何するにも金金金な話になっちゃうんです。


もう一つが、ドル箱試合を増やす方法で、これにはアメリカンスポーツ形式の地区制+ポストシーズンにするか、Jプレミア構想なんて、現行のサッカーのカレンダーをぶち壊しかねないアレな制度変更になっちまうので、アレですしね。



まあ、そんな訳ですので、「狼人間を撃つ銀の銃弾はない」というアレで〆ときます。どこかに、もの凄い一発逆転の発想が転がってたら、是非ともJリーグフロントまでお知らせ下さい。



今日はこのあたりで。ではでは。

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