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久しぶりの代表戦@日本代表対ニュージーランドのレビュー

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さて、皆様、こんにちは。本日は久しぶりに代表戦があったので、日本代表対ニュージーランドのレビューでもやろうかと思います。といっても、4-2で勝ったのはみんな知ってると思いますし、書くことも大してない試合なんですけどもね。





2014/03/05 キリンチャレンジカップ2014 日本vsニュージーランド ハイライト (日本語実況 ...



とりあえず、ハイライトを最初に貼っときます。みんな知ってるでしょうけどね。



ちなみにスタメンのほうなんですが、柿谷が発熱でお休み、うっちーと長谷部が怪我、遠藤も足首痛って事で、



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こうなってました。ボランチは広島の青山、山口蛍の二枚組、右SBは酒井ゴリ、ワントップは大迫@半端無いとなってました。日本はいつもの4231、一方で、コレ、ニュージーランドが問題なんですが、4312で日本に挑んできたんですよね。もう相手が4312という時点で、僕は、「練習にもならねぇ」とか思ってたんですが。コンフェデのイタリア戦で、イタリアの4312が日本にケチョンケチョンンにやられてたのに、何でNZの監督は4312使おうと思ったのかは知りません。


あのですな。


4312ってフォメは守備時に問題があるフォメでして、この話は何度も何度も何度もうちのブログでしつこい位やってきましたが、



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この白い円で囲った場所がデフォで空いてるんです、このフォメ。だから、この白い円で囲ったスペースで簡単に起点作られちゃうんです。で、ここで起点作ることができたら、あとは簡単で、


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こんな感じで人とボールを動かすだけでいいんです。香川が3ボランチの脇で前向いてボールもったら、相手のボランチが一枚、サイドに出てきます。そしたら、ボランチの間に白い円で囲ったギャップが出来ます。そしたら、そのスペースに大迫が降りてきて、香川から楔のパスもらって、ボランチに落とす。で、ボランチから裏に走り込む二列目の選手にラストパス。


まあ、簡単な崩し方ですけど、4312ってフォメは、この形に極端に弱いんです。一回サイドチェンジしてから、こういった流れでボール動かされるだけで簡単に崩される。そんな訳で、僕は4312は好きじゃありません。守備で問題が多すぎるからです。



もっとも、この試合だと、序盤、相手SBの香川へのマークが緩すぎて大迫のポスト使わないでも点取れたというアレな試合でしたが。



どーいう事かというと、こっからは、キャプ使って説明しますが、まず日本の一点目。



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こういう流れだったんですけどね。ここねえ、ボランチが長友マークに出ちゃったんだし、降りてきた香川にきちんとついてろよ、という感じだったんですが、間合い開けすぎで簡単にあそこで香川に前むかれて、更にアンカーとCMFの間のスペースガラ空きなんで、そこに香川にカットインされ、斜めに走り込む岡崎にパスだされてニュージーランドは失点という流れでした。


ちょっとイージーすぎんだろニュージーランドって感じで、拍子抜けしてしまいました。


もっとも、イタリアでも、あのスペースを香川に散々使われてやられてたので、4312で日本代表の相手をしようってのがそもそもの間違いだったんですけどね、この試合。コンフェデのイタリア戦みてなかったのかよ、って感じです。


これねえ、開始2分くらいの時点で、香川が3ボランチの両脇の所で、簡単に前むけてたんで、ある意味で時間の問題でした。あそこで簡単に香川に前向かせちゃダメでしょ、というアレです。



で、日本の二点目はPKだったんですが、二点目の前のシーンが問題で、


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これね。別に本田が右に流れたんで、そこにアンカーがひっついていくのは良いんですけど、そしたらバイタルガラ空きになるでしょ?バイタルに入ってきた香川はボランチがカバーに入って捕まえてなきゃダメでしょ?という感じなんですが、マークしてないんですよ、相手のボランチが。中盤の3枚が、こんな守備やってたら、日本代表が点取れるのは当たり前です。



これで、あっという間に日本が二点取ってしまって、その後もセットプレーとカウンターで二点追加して、開始16分で4点取れて、試合が事実上、終わってしまうという身も蓋もない展開になってしまいました。



でもって、4点ともCFのポストプレーを使わずに点が取れてしまい、大迫がほっとんどアピールする事なく試合が決まってしまいました。ホントに、これは大迫が気の毒でした。


いやね、所々で、大迫はポストプレーをきちんとやってるんです。報われませんでしたけど。大迫@半端無いの為に、ちょっと大迫のポストプレーからの展開をキャプでやっときますが、



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これ、前半8分の大迫のポストプレーからの展開です。ここでのプレーはとても良かった。4312ってフォメはサイドチェンジされると、どうしても3の所にギャップが出来やすいので、そこに楔を打ち込まれてボランチに落とされ、そこからWGに展開されてしまうって弱みを必然的に抱えてしまうんです。あと、キャプで名前間違いました。ここ、ボール持ってるのモリゲですね。


ちなみに、このシーンなんですけど、本田が不味い動きしてて、大迫がポストに下がってきてるんだから、その動きと並行して、本田は裏に抜ける動きしなきゃダメです。このシーンみたいにぼったちしてると、ミランではトップ下やらせてもらえません。セードルフは、バロテッリがポストに入ったら、トップ下には即座に裏に抜ける動きを求めているので、このシーンみたいなプレーしてると、ミランではトップ下やらせてもらえません。



ついでにもうひとつ。

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こっちは本田もきちんと裏へ走ってたんで、綺麗な流れでボールと人が動いたシーンです。大迫は、ポストプレーはなんだかんだで上手い選手なんで、こーいうプレーをやらせてあげると、良いところが出ます。



ただ、この試合の前半の場合、二列目が中盤のギャップに降りてきて簡単に前向けてしまうのでポストプレー必要ないって試合でした。


ポスト無しで二列目が前むいてしまうので、大迫はホントに目立ちませんでした。そのあたり、ちょっと気の毒ではありました。ポストプレー無しでも、二列目が前向けちゃう試合だと、CFは組み立てでやることがほんとに少ないんです。なんで、点さえ取れればって試合でしたが、点取れなかったんで、ちょっと残念でした。



あと、ニュージーランドも流石に不味いって事で、後半からは4141に切り替えてます。最初から、それでやっとけよという感じではありました。



最後にミランの4231で何で本田が厳しいのかって話


でもって、最後にこの話をしときますけど、ミランで本田は苦労してる訳です。イタリアメディアには、毎試合のように酷評されてる訳なんですが、ミランの問題として、これは、WSDの最新号で、




こっちで、ACミランの話をザックの教え子のロベルト・ロッシがしてるんですが、ちょっと引用しますが、

二列目の大きな問題は、右の本田、中央のカカ、左のロビーニョという三人の内、誰ひとりとして、オフ・ザ・ボールで裏のスペースに走り込み、攻撃に奥行きを作り出す動きをレパートリーに持ってない点。そのため、まさにそうしたダイナミズムと決定力が武器のエル・シャーラウィーの復活(現在は故障離脱中で、3~4月に復帰予定)が、絶対不可欠だ。


ってのがあります。


これは、NZ戦で、日本代表の岡崎いなくなってから、攻撃で「オフ・ザ・ボールで裏のスペースに走り込み、攻撃に奥行きを作り出す動き」がなくなって、苦労してた原因でもあります。本田、香川、清武はそーゆーレパートリーに欠けてますからね。



同じ理由で、ミランの試合みてると、「ミラン、本田より岡崎のほうが必要なチームだろ」って思うことのほうが多いんですよ。斜めに裏に走って攻撃に奥行きをもたらす選手がいないんです。エルシャラとボアテングがいなくなってから、ミランはコレが顕著な問題になってて、、みんな足下足下ってチームになってます。走ってるの新加入のターラブトくらいだし、ターラブトも、そんなにダイアゴナルな動きを頻繁にするって選手じゃありませんから。



本田って選手なんですが基本的にキープが特に上手なので、ボールを預けてもらい、周りに動いてもらって違いを作るタイプです。


ただ、今のミランの場合、周りにダイナミズムが持ち味って選手がいないんです。エルシャラとボアテングがいれば良かったんですが、エルシャラは離脱中、ボアテングは移籍してしまい、残ってるのが地蔵軍団というアレな状況です。その上、新加入のターラブトが右でも機能してるので、正直、本田にとっては難しい状況になってます。このままだと、エルシャラが戻ってきても、エルシャラ、カカ、ターラブトが二列目のファーストチョイスになっちまうので。


香川もモイーズの構想外になってて難しい状況ですが、本田も非常に不味い状況になってまして、そのあたりはホント困ったモンです。


今日はこの辺りで。ではでは。


浦和レッズの人種差別段幕事件のその後についてのお願い

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皆様、こんにちは。えーと、今日はACLの話をしようと思っていた所なんですが、先日から問題になっていた



3月8日Jリーグ浦和レッズ対サガン鳥栖におけるサポーターによるコンコース入場ゲートでの横断幕掲出について


こっちの問題について、浦和さんの方に、Jリーグから次節、清水戦での無観客試合という制裁がでました。



こっちの問題については、すでに色々な方が書かれていますし、ソーシャルメディアでも話題になってますから、僕が書くことは殆ど残ってません。なんで、差別の話については、僕は今回のエントリでは扱いません。



で、なんですが、これからの話は僕がいうような事でもない訳ですが(浦和サポではないので)、お願いレベルの話になります。


浦和レッズの今後の身の振り方について


まず、この話からしておきますけど、今回の問題については、浦和のゴール裏サポーターの一部が埼玉スタジアムの209ゲートに「JAPANESE ONLY」という段幕を貼り、それをみた浦和サポーターから「この幕は良くない。差別と捉えられかねない」という指摘があったにも関わらず、それをクラブ、運営側が試合終了まで下ろさなかった事が問題となりました。


この件については、JリーグのJリーグの村井満チェアマンが無観客試合という制裁を浦和に下し、


「Jリーグとして差別の問題に厳しく対応すると考えて判断した。今の状態で観客の安全が確保できる確信が持てなかったし、サポーターに直接的なメッセージとなると考え、この処分を決めた。この処分が今回の問題の重大性と、各クラブ、サポーターに対しても強烈なメッセージとなると思う。各クラブにも自分たちのこととして今後対応してほしい」



こういう話をされています。


で、なんですが、無観客試合ってのは、Jリーグで初になりますし、浦和さんの所の規模だと、6000万円~1億円くらいの損失がでる制裁なんで、相当に重い裁定です。これより重い制裁となると、「勝ち点剥奪」、「下位ディヴィジョンへの降格」、「Jリーグからの除名」の三つしかありません。



別件ですが、



サッカー=UEFA、ロシアに次回予選での勝ち点はく奪を警告



これ、2012年に起きた事件ですが、ロシアのサポーターが発煙筒投げ込んだり、不適切な内容の段幕貼ったりして、罰金と勝ち点剥奪の執行猶予を課されたケースもあります。



今回の件では「執行猶予つきの勝ち点剥奪処分」ではないので、次に浦和のサポが問題起こした時に、どんな処分がでるかは、チェアマンしかわかりません。ただ、10年5月の仙台戦において、一部サポーターが人種差別的なやじを飛ばして制裁金を科せられた過去もあるため、今回が初犯って訳ではないんですね。



前回の人種差別騒動の時が制裁金、今回の騒動が無観客試合ときているので、次やったら勝ち点剥奪の可能性が高いわけです。(執行猶予はつくかもしれませんが)



なので、今後、浦和さんのサポーター(特にゴール裏)に関しては、スタでの振る舞いに関して、慎重になる必要があります。今後、問題を起こすような行動は慎まないといけないし、特に今シーズンはそうですが、「スタで挑発されても絶対にそれにのらない事」ってのが求められる事になるわけです。今シーズンは特にそうです。挑発しない事は当然ですが、挑発されても、絶対にそれにのっかってはダメです。執行猶予中の身みたいなモノですから。



本題、ここからは他サポの皆様へのお願い

繰り返しますが、僕は浦和サポではありません。湘南サポです。ただ、今回の件については、これだけは書いておきたいと思うので書かせて頂きます。



今シーズンの浦和戦で、今回の件をダシにして、浦和サポーターを挑発するような発言、行為は慎んでください。お願いします。



今回の件はほんとにデリケートな問題でして、簡単にネタに出来るような問題ではないんです。例えば、浦和のゴル裏に向かって「レイシスト!」みたいなヤジ、段幕はホント止めてください。そういう活動したいなら、スタじゃない場所でやってください。スタはそういう場所ではありません。




浦和サポは、しばらくは「相手チームサポに何言われても耐えるしかない」って状態です。そういう状態のチームに対して、この手の行為を行うのはフェアではありません。ホント、今回の件で浦和を煽るのは止めて下さい。お願いします。そのくらいデリケートな案件なんです。処罰に関しては、Jリーグのチェアマンの方が下してますし、私刑じみた事は必要ないんです。




浦和サポ煽って向こうに手を出させて、浦和を勝ち点剥奪に追い込もうぜ



とか腹黒い事を考えるチームとサポーターが日本にいるとは思いません。


海外だと、試合前に、アウェーチームの宿泊ホテルの前にコアサポが押しかけて夜通し騒いで寝れなくしたり、コアサポが試合前の移動中の相手チームバスに対して投石したりなんて話がでるわけですが、そういう場外乱闘はJリーグにはホントに必要ないんです。



これは個人的なお願いに過ぎないのですが、各チームの運営の方やゴール裏のコアサポの方も、そのあたり考慮して頂きたいな、と。今回の件に関して、試合で浦和のゴール裏をスタで煽るのは、正直、リーグ全体の事を考えるとマイナスにしかなりません。浦和のゴール裏がもう一回、問題起こしたら、次はもっと重い処分が下ります。Jリーグのイメージダウンも酷い事になります。それを助長するような行為は、スタでは慎んで頂いたいな、と。


勿論、浦和さんの所のゴール裏とフロントが、再発の防止に真面目に取り組んでくれることが一番大切な事なのですが、他サポとしても、他山の石にする事は大切です。



今日はこのあたりで。


ではでは。

2014W杯前夜、日本代表対ザンビア代表のレビュー 「良い知らせと悪い知らせ」

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良い知らせと悪い知らせがある。
良い方は、今回の日本代表はどんな相手だろうと点を取れるって事だ。
悪い方は、今回の日本代表はどんな相手だろうと点を取られるって事だ。



はい、みなさん、こんにちは。本日は先日行われた日本対ザンビアの試合のマッチレポートをやりたいと思います。試合内容は皆さんご存じでしょうが、4-3で日本が勝ちました。救いようがない馬鹿試合でした。3-2だったらガンバスコアで片付く話ですが、4-3は予想の斜め上でした。


日本代表は、2013年東アジアカップ以降↓


7月21日 東アジア杯 △3―3 中国

7月25日) 東アジア杯 ○3―2 オーストラリア

7月28日) 東アジア杯 ○2―1 韓国

8月14日) キリンチャレンジ ●2―4 ウルグアイ

9月6日 キリンチャレンジ ○3―0 グアテマラ

9月10日) キリンチャレンジ ○3―1 ガーナ

10月11日 親善試合 ●0―2 セルビア

10月15日 親善試合 ●0―1 ベラルーシ

11月16日 親善試合 △2―2 オランダ

11月19日 親善試合 ○3―2 ベルギー


2014年↓

3月5日 キリンチャレンジ ○4―2 ニュージーランド

5月27日 キリンチャレンジ ○1―0 キプロス

6月3日 国際親善試合 ○3―1 コスタリカ

6月7日 国際親善試合 ○4―3 ザンビア



14試合で、33得点、24失点となっており、9勝2分3敗となっています。J1も現在、第14節終わった所なんですが、14試合で24失点というのは、徳島の33失点の次くらいに悪い数字です。ちなみに14試合で33点取ったチームはJ1には存在しませんので、今の日本代表の攻撃力は過去最強レベルです。直近3試合ほど本田の調子が悪いのにコレですよ。



ここまで来たら、もう割切るしかないのですが、このチーム、絶望的に守れません。イタリア人監督連れてきて、出来たチームがガンバを超える超攻撃サッカー(ザル守備の婉曲的表現)だったというのは、ひじょ~に香ばしいものがあるのですが、ここまで来た以上、もう腹をくくるしかありません。


点とって勝ちましょう。以上。戦績的に、アジアにもアフリカにも南米にも守れてないので、どこの国の代表とやっても守れません。ただ、点だけは取れていますので、殴り合いに持ち込むしかありません。


点を取ることしか出来ない日本代表」というのは、正直、初めてお目にかかるのですが、とりあえず、エンターテイメントとしては正しいと思うので、このままで良いと思います。14試合中8試合で3点以上とってるので、本大会でも、このテンションで行けばいいと思います。3点とれば勝てると思います。3点とって勝てなかったら、それはそれでいいのです。割り切りも必要です。3点必須ジャパン。


ザンビア戦の前半のマッチレポート

さて、本題に入りたいと思います。ちなみにザンビア戦のフルマッチ動画はyoutubeに複数上がってますから、見たい人は、youtubeで検索してみてください。他の動画サイトにもフルマッチ動画は転がってます。




日本逆転勝利!本田、香川、大久保ゴール - YouTube


とりあえず、ロングハイライトの動画だけ貼っときます。



スタメンですが、


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こうなっていました。GKに浦和の西川くんが入っている位で、他のほぼベスメンと言って良いです。


さて、この試合なんですが、



大久保「トラップしてバーンと打った」 ザンビア戦後、選手コメント


こっちの選手の試合後コメントで今ちゃんと西川くんが言ってますが、ザンビア代表は非常にサイドチェンジが上手く、日本はプレスが空転してました。特に右から左へのサイドチェンジが上手いチームで、日本の三失点はいずれも右から左へのサイドチェンジからやられてます。


この部分ではザンビア代表を褒めるしかないのですが、特に僕が気に入ったのが右CBのスンズで、この選手、滅茶苦茶サイドチェンジが上手い。



フルマッチ動画(つべに転がってます)で、前半5分のところの彼のサイドチェンジを見て欲しいのですけど、40メートルくらいのサイドチェンジを通してるんです。このサイドチェンジが出来るCBはレアです。アーセナルが以前、スンズを獲得しようとしていたのも納得です。



でもって、前半8分の日本の失点シーンでも、スンズのサイドチェンジからでして、これはキャプでやっときますが


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こうなりました。スンズ、2本連続で、このサイドチェンジを通してて、ボランチも出来るんじゃないの?って位です。


ちょっとコートジボワールの話もしときますが、あそこのCBはこのサイドチェンジ出来ません。ボランチは40メートル級のサイドチェンジできますが、CBはそこまで足下上手くないです。


このシーンですけど、スンズのサイドチェンジの後に、本田と岡崎がマークの受け渡しが失敗したのと、遠藤と本田が揃って一人に抜かれてしまったのが痛かったです。特に遠藤なんですが、あそこで簡単にマッチアップに前向かせて抜かれるようだと困ります。


でもって、8分の時点で、この右CBのサイドチェンジがやばいとわかったので、柿谷が必死こいて、その後CBを追っかけ回したり、パスコース切ったりするようになるんですが、他の選手もサイドチェンジ上手でして、27分の失点シーンでも右から左へのサイドチェンジやられてCK取られ、そこから失点しました。ちなみに、この二失点目につながるCK取った時のザンビアの攻撃は秀逸でして、右からの左へのサイドチェンジ、そこからボランチに戻してFWに楔いれて今ちゃんを引っ張り出し、今ちゃんが空けたスペースにザンビアの選手が走り込む。この動きには遠藤がついていくしかないんですけど、遠藤が開けたスペースにザンビアの選手が入ってきて、FWの落としを受けてミドルって流れでした。ココは相手が見事でした。日本を良く研究してるなあ、と。



これで早い時間帯で2点リードされ、完璧に負け試合ムードになりました。というのも、相手は早い時間でリードできたので、無理せず自陣ハーフウェーラインあたりから442でブロック組んで守るようになったんですが、


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こんな感じですが、ボランチの所をFW二枚で抑えられてしまい、日本はビルドアップにボランチ使えない状況でした。また、FW二枚とSHが献身的に守備やってくる。コスタリカと違って、日本のボランチをFWが見てるんです。でもって、ボランチはがっちりバイタル固めているのでバイタル使えない。SHも真面目に戻ってくるので、ボランチをサイドに引っ張りだそうにもそれがなかなか出来ない。


コートジボワール戦で、早い時間帯の先制点を避けたい理由がコレでして、早い時間帯に先制された場合、コートジボワールは間違いなく442でブロック組んで、ボランチをFWが見て、SHをしっかり引かせる形の守備をやってくると思います。そうなったら日本は厳しいです。



もっとも、ザンビア戦は、こんだけがっつり守備やられたのに何でか4点取れるというイミフな試合だったんですけどね。ホントに今回の日本代表は点取れます。信じられない程に点取ります。ザンビアコスタリカより明らかに守備が良いチームでしたが、何故か日本に4点とられました。サッカーってのは不思議なスポーツです。



話を試合内容に戻しますが、ザンビアの守備には手を焼かされたんですけど、段々と日本代表もわかってきます。左サイドのチェックは早いけど、その分、吉田の所が空くんですね。左サイドは今ちゃんはSHが出てくるし、遠藤はFWが一枚きっちりつくし、香川はボランチに見られて、長友はSBがつくみたいな感じで、ぴったり抑えられてしまうけど、その分、吉田の所は空くんです。



だから、吉田の所からのビルドアップで状況の打開を狙い始めます。17分の岡崎とGKの衝突は、吉田の裏へのフィードからです。


吉田はやらかし多いですが、左おさえられた時は吉田の所からのフィードが重要になるので、彼のフィード力は捨てられないんですよ。栗原じゃなくて吉田なのは、ココなんです。


でもって、38分、今ちゃんのボールカットから日本がショートカウンターに持ち込んで、相手のハンドでPKもらいます。また前半40分あたりからか、ザンビアに疲れが見え始め、香川とか遠藤がフリーになり始めてました。





ザンビア戦、後半のマッチレポート


さて、後半に参りましょう。後半から柿谷に代えて大久保が入ります。でもって、後半15分の選手交代が重要でして、ここで今野がアウト、森重がイン、岡崎アウト、大迫イン。右にモリゲが入り大迫がCFに入ります。ザンビアは右CBの所には、そう早くチェックに出てこないので、そこにモリゲを入れたってのは、「ふーむ」という感じでした。また岡崎を外して大迫入れたってのは、完全な戦術変えです。


で、すぐ効果は出るんですけど、


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これ、60分のシーンなんですけど、モリゲがボール持って持ち上がった時、誰もチェックに来ない。向こうさん、モリゲが足下良いの知らないんだなァと。流石にサブの特徴までは把握してなかったか・・・という感じです。


で、さらにザックが交代カード。内田に代えて酒井ゴリ。酒井ゴリのほうはうっちーよりクロスが上手いです。で酒井ゴリは高い位置取り始めて、モリゲは空いてる訳だから、


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こんな感じで右サイドでゲーム作れるようになってきます。モリゲにゲーム作らせて、右の酒井のクロスでっていう采配です。ここをキャプで解説したのは、次のモリゲのゴールに繋がるからです。




ただ、日本の同点ゴールなんですけど、これはモリゲ関係なくて、左からでしたが、


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これ、日本のゴール直前のシーンですけど、遠藤をフリーでここまで持ち上がらせてはいけなかった。遠藤がフリーでハーフウェーラインまで持ち上がれたの、この試合で初めてくらいだったと思います。で、その後のザンビアの対応も良くなくて、


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ココですけど、香川に展開された後、香川がカットインできるスペースがガラ空きになってるんです。なんで、香川のカットインからオフサイドっぽいゴールが決まって日本が同点。で、この時のポイントなんですけど、ゴールよりもCFの動きに注目してほしくて、ココ、大迫がファーに逃げてるんです。それで大久保がニアに入ってくる。「ほえー」という感じだったんですけど、こっちのオプションを用意してるのかーと。



でもって、メインディッシュのモリゲのゴール。これはキャプでやっときます。


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こーですね。



ここで、モリゲと大迫の交代の話を詳しくするのは、ザックはここで戦術変更してるからで、右サイドのコンビネーションとファーに逃げるCFを使った攻撃に切り替えてるんです。こいつは、CFをファーに逃げさせてニアにスペース作って決めるやり方でして、いつもの日本代表とは違うやり方なんす。


というわけで、ザック、本戦見据えてBプラン用意してたのね、と。やっぱり、奥の手は用意してたんですねえ、と感心致しました。




ただ、この後、日本代表はすぐ失点してます。もうアホな失点だったので、これについては割愛します。他所でも言われてますが、大久保、きちんとSBについていってくれ。もっとも、その後、青山のスーパーパスから大久保のスーパーゴールで帳尻してくれたので別にいいんですけどね。




最後にW杯に向けて


まとめに入りますが、この試合では、ザックのBプランが一番の見所でした。岡崎のいる時は、左から右へ、ニアでCFが潰れ役やって斜めにゴール前に入ってくる右WGでフィニッシュって形でしたが、大迫とモリゲが入ってから、右から左へ、ファーに逃げるCFを使った攻撃っていうBプランですね。ファーに逃げるCFでニアにスペース作って、そこを攻めるって形で、「ほほ~」という感じでした。



で、これを奥の手で用意するなら、豊田を連れてっても良かったのになあ、と。



ただし、心配なのは、この手を見せちまうと本番で警戒されちゃうんじゃ・・・というのがありまして、コートジボワールが気がついてない事を祈るのみです。


ザックがも一つ、何か用意してくれてたら、もっと面白いんですけどね。



今日はこのあたりで。それでは。

2014年W杯開幕! 日本対コートジボワールのプレビュー

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さて、皆様、とうとう2014年ワールドカップが開幕致しました。サッカーファンにとっては4年に1度の楽しみですから、多いに楽しみましょう。この日の為にサッカーファンは生きているようなモノですからね。


本日は、日本代表の初戦の相手となるコートジボワールの話をしようと思ってます。ブログでもやるって宣言してましたしね。ただ、実は、コートジボワールの話なんですが、今週のサッカーダイジェスト増刊号に




この本なんですけど、前U23日本代表監督だった関塚さんのコラムが載ってまして、そっちで僕がしようとしていた話、全部書かれてしまいました。なので、僕がエントリ書いても関塚さんのコラムのパクリにしかなりません。そういう理由で、実はやめよーかなーと思っていたのですが、やると言ってしまってるので、やっとこうと思います。繰り返しますが、関塚さんが書いてる事とほとんど同じです。


コートジボワール代表の予想スタメンと直近3試合の動画

まず、コートジボワールの予想スタメンを貼っておきますが、多分、


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こんな感じだとは思います。守備で右SBにK・トゥーレが入り、左にオーリエが入るかもしれません。あとボランチでティオテは間違いなく出ると思いますが、もう片方がディエかディオマンテかは当日まではわかりません。トップ下はほぼ確実にヤヤ・トゥーレだと思います。WGはカルーとジェルビーニョですが、彼らが当日の試合で右左どっちに入るかは、試合が始まってみないとわかりません。



このチームのストロングポイントは前4枚、つまりドログバヤヤ・トゥーレジェルビーニョ、カルーです。それぞれワールドクラスの選手達であり欧州強豪、南米強豪でも普通に代表に選ばれるレベルの選手達です。



一方で、守備のメンバーはそこまでレベルが高いとは言えず、最終ラインの4名とGKは前4枚と比べると相当見劣りするってのが実情です。前が強く、後ろが弱いってのは日本代表と似た所があるチームです。


でもって、直近3試合のコートジボワール代表の動画へのリンクを張っておきますので、興味のある方はどうぞ。



[国際親善試合 2014] ベルギー代表 vs コートジボワール代表
[国際親善試合 2014] ボスニア・ヘルツェゴビナ代表 vs コートジボワール代表
[国際親善試合 2014] エルサルバドル代表 vs コートジボワール代表



こっちです。最近は動画サイトに行けば、簡単に海外のフルマッチ動画手に入るので楽でいいですな。


でもって、これらを踏まえた上で、コートジボワールの攻撃と守備、それから日本戦の展望なんかの話に移りたいと思います。


コートジボワールの攻撃パターンについて


まずは、コートジボワールの攻撃の話からお話します。ちなみに、この項目、あんまし書くことがありません。というのも、このチーム、攻撃パターンが実質的に二種類しかないからです。


あんな豪華な攻撃陣もってて、二種類しかねーの?と思われるかもしれませんけど、ホントに二種類しかないんです。箇条書きすると、


1、ドログバポストプレーからの展開
2、サイドチェンジしてから両WGの突破


の二つだけです。あとはカウンターとセットプレー位のモンでして、細かいコンビネーションとかはあんましやってきません。豪華な攻撃陣持ってる割に、攻撃のバリエーションは少ないです。ベルギーボスニアなんかのほうが、ずっとバリエーション豊かな攻撃やってるのは、上記の試合の動画見て貰えばわかると思います。




コートジボワールの攻撃の基本形はパスを繋いで前線に運び、そこからサイドチェンジしてWGの突破。でもって、相手がサイドチェンジを嫌がって、横に間延びしてきたら、ドログバに楔を入れてポストプレーからの展開を狙うって形です。



攻撃面では極めてシンプルなチームでして、対策も割と簡単です。ただ、日本が守れるかってーと話は別ですが。それと、W杯なんで奥の手の一つか二つは用意してくると思うんですけど、試合みた限りでは、それは読み切れませんでした。



コートジボワールの守備について


さて、今回のメインディッシュはコレになります。コートジボワールの守備。


W杯の日本初戦「コートジボアール」カギはFW岡崎―ダッシュ繰り返し相手の裏に出てシュート!


こっちの記事で、岡崎が「(コートジボワールは)90分の間に隙ができる回数が多い。隙をつく、ゴールを狙い続ける動きを繰り返したい」と言ってます。こないだ、長友も初戦のコートジボワールは隙がある云々って話をしてましたが、本当に隙が多いチームです。ぶっちゃけ、DFがやらかしをするチームでして、DFのレベルは攻撃陣とは比べものになりません。



[国際親善試合 2013] メキシコ代表 vs コートジボワール代表


去年のメキシコ戦の動画へのリンク貼っときますが、この試合なんてコートジボワールはDFがやらかしまくって負けてます。この試合は特に酷かっただけなんですけども、直近のエルサルバドル戦でも、ビルドアップのミスは出ており、DFのビルドアップに難があるチームなんです。なんでハイプレスでハメてショートカウンターに持ち込むのが理想で、これで早い時間帯にリードしたい所です。



でもって、ビルドアップだけでなく、サイドチェンジされると非常に脆く、サイドチェンジ後にポジショニングの修正に手間取って相手のFWをフリーにしてしまうのが散見されます。



あとね、これ関塚さんも指摘してますが、ボスニア戦のゼコのゴールの時、ゼコにパス出した選手が中央に走り込んで来てるんですが、そのマークをCBが外しちゃってるんですよ。ゼコのゴールは凄かったですけど、あそこ、別に無理にシュート打たないでも、走り込んでた選手がフリーだったので、そこに出せば一点でした。CBがあんな風に簡単にマーク外しちゃうようじゃダメですわ。



それと、コートジボワールなんですがDFの連携が良くなくてラインにしょっちゅうギャップが出来ます。なので、岡崎とか柿谷が一番点取りやすいタイプのDFラインです。僕はこの試合のキーマンは岡崎だと思ってますが、理由はDFラインにしょっちゅうギャップが出来るからで、あんなDFラインなら岡崎の裏取り一発で持って行けるハズなんです。


最後になりますが、コートジボワールのWGなんですけど、SBは簡単にマーク外せます。オーバーラップについてこない事があるばかりか、WGかサイドに流れてきたCFとワンツーして中に切れ込むだけでマーク外れます。



とまあ、色々書いてきましたが、ホントーにコートジボワールの守備は良くありません。グループCで多分、日本と並ぶザルの双璧チームです。



試合の展望


最後になりますが、試合の展望になります。


えっと、コートジボワールの方はまず間違いなくサイドチェンジからWGの突破で局面の打開を図ってきます。というのも、ザンビア戦で日本がザンビアのサイドチェンジでチンチンにされていたからで、あの試合みたら、まず間違いなくサイドチェンジからWGの突破主体で攻めてきます。


ザックが実はあの試合で三味線弾いてて「サイドチェンジに脆いと見せかけてコートジボワールの攻撃をサイドチェンジに限定させる」みたいな情報戦やってたなら話は別ですけど、現状、日本のDFラインはサイドチェンジされてWGの突破からクロス上げてるだけで、そのうち失点するでしょうから、このやり方は間違いないと僕は見てます。僕が監督だったら、サイドチェンジからファーにハイクロス上げさせます。


ドログバへのロングボールはそんな使ってこないと思います。ザンビア戦を参考にする限り、コートジボワールは、サイドチェンジしてWGの突破で十分点取れるので。勿論、ハイプレスがきつかったら、放り込みからセカンドボール狙いに切りかえると思いますが。



一方で、日本なんですが、出来るだけハイプレスでDFにプレッシャーかけて、そっからショートカウンター。これで早い時間帯で先制が理想です。相手がそれを嫌がってドログバへの放り込み始めるまでは、それで良いと思います。


遅攻では、SBの攻撃参加と裏へのフリーランが重要です。コートジボワールのWGは簡単にマーク外れるのでSBは怖がらないで上がる事、コートジボワールのDFラインは、しょっちゅうギャップできるから裏への動きを狙い続ければそのうちチャンスが出来ます。



守備については・・・まあ、一失点はしょうがないので、二失点、三失点しない程度に頑張ってくれれば良いです。とりあえず、ドログバへの楔と、サイドチェンジのパスの出所をきっちり潰し、サイドに出されても、前の選手がボランチとCBへのパスコース消して作り直しをさせない事、サイドチェンジの後のスライドを素早くすること、ポジショニングの修正をすばやくおこなう事、位です。


このレベルのアタッカーってのは、「わかっているのに止められない」って選手が多いです。ロッベンの右サイドからのカットインなんて、世界中のプレーヤーが知ってるロッベンの得意パターンですが、結局長谷部は、オランダ戦でやられてます。あれと一緒で、コートジボワールの前4人の得意の形なんてわかりきってる訳ですけど、「わかっていても止められない」選手達なんで失点するのはしゃーないです。だから、出来るだけ0点の時間を長くすることが大事。先制点取られないのはもっと大事。



プレビューはこのあたりで。あまり詳しく書くとレビューで書くことなくなるのでね。


あと西村さんのPKのジャッジが騒がれてますが、アレについては今日にでも、それについてエントリ書くつもりです。ではでは。

西村主審のブラジル戦のPKとスポーツにおける審判のバイアスの話

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さて、みなさん、こんにちは。本日は、先日行われたブラジルワールドカップの開幕戦、ブラジル対クロアチア戦での誤審騒動についても、ちょっと触れておこうと思います。




誤審!?西村主審のPK判定スロー検証/2014ブラジルワールドカップ ブラジ ...


動画も貼っときますが、このシーンです。非常に微妙なシーンでして、フレッジのシュミレーションにも取れますし、ロブレンが手をかけてるのでPKにも取れます。裁量次第というシーンです。流すことも勿論できました。


で、ここで問題にしたいのは、審判ってのは完全にフェアにジャッジしてるかってーと、そうでもないという話です。これは八百長とか、そっちの黒い話じゃなくて、審判にはある種のバイアスがかかってるんです。これはプロスポーツの世界で幅広く認められる現象です。


審判の不文律


まず、この話になります。


オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く

オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く


こっちの本の第一章に「ホイッスルを飲み込む」ってのがあります。こいつは、スポーツにおける不作為バイアスについて扱った章でして、NBAからMLB,NFL、NHL、サッカーなんかにおける審判の不作為バイアスについて幅広く取り上げています。


この章で、NBAの審判テッド・バーンハートの発言が載っているのですが、

「出来る限り、選手たちに勝敗の行方を決めさせないといけない」

「この仕事で最初に学ぶことのひとつがそれだ。ファンは、ぼくたち審判を見に来ているんじゃない。選手を見に来ているんだ」

って奴です。これは、紛れもないバイアスです。審判だって人間ですから、誤審をします。けれど、そういう誤審はランダムにおきるモンですから、選手が誤審を利用することは出来ません。ところが、こういうバイアスを審判がもっている場合は別で、選手はこの仕組みを利用することで自分に有利な判定を引き出すことが出来るわけです。



にも関わらず、NBAの審判の不文律は「出来る限り、選手たちに勝敗の行方を決めさせないといけない」でして、これはフェアで偏見のない判定が求められるはずの審判の性質と逆行してるわけです。


この不文律があるせいで、NBAにおいて、審判の判断の要素が大きいオフェンス・ファールは延長戦になると40%は取られにくくなるそうです。


こういった傾向は、アメリカンスポーツのほぼ全てにおいて見られる傾向で、サッカーでも試合の終盤になるとファール、オフサイドフリーキックが減っていきます。


じゃあ、なんで、審判はこんなバイアス持ってるの?というと、そりゃファンのせいです。ファンは、試合が盛り上がってる時に審判に出張ってきて欲しくないんです。審判がつまんない反則取った事で試合の行く末が決まってしまうなんて、つまんないじゃないですか。ファンは選手のプレー見にくるわけで、審判見に来ているわけじゃないんです。



上記の本には、こういった不作為バイアスが働いたせいで、試合の結果が歪められたってケースがいくつも例として掲載されてます。


審判ってのは基本的に「競った試合の終盤では試合に関わりを持ちたくない」ってのがあります。自分の判定で、試合の行く末が決まってしまうような事は出来るだけ避けようとするモンなんです。


タック・ルール・ゲーム

これ、有名な話ですけど、NFLで起こった有名な事件として



タック・ルール・ゲーム



ってのがあります。上記の本でも扱われていますが、wikipediaから引用すると

タック・ルール・ゲームという通称はこの試合を大きく左右した一つのプレーに由来する。レイダーズがリードして迎えた試合終盤、レイダーズのCBチャールズ・ウッドソンがペイトリオッツのQBトム・ブレイディをサックしさらにファンブルを誘った。これをレイダーズ側がリカバーしたためターンオーバーとなり雌雄は決したかと思われたが、ビデオ判定の結果ファンブルではなくパス・インコンプリートであると判定が覆り、再びペイトリオッツの攻撃となった。このドライブで同点に追いついたペイトリオッツはオーバータイムの末レイダーズを破り次のラウンドへと駒を進め、レイダーズはシーズンを終えた。

この時のパス・インコプリートの判定の根拠がタック・ルールだったので、このゲームはタック・ルール・ゲームと呼ばれてます。




ただ、このゲームの判定は本当に物議を呼び、

しかしタック・ルールの存在を知ってもなお、判定に賛同しない者は多かった。この試合はNFLネットワークの動画"Top 10 games of the decade"「00年代最高の試合トップ10」で第10位にランクされているが、コメンテーターは口をそろえて"terrible"「酷いコールだ。」と発言している[5]。また同じくNFLネットワークの動画"Top 10 controversial calls"「議論を呼んだ判定トップ10」では第2位に選ばれ、コメンテーターは"terrible call"と発言している[6]。レフェリーのコールマンはこの試合以降、2009年シーズン現在まで安全上の理由でレイダーズの試合には関わっていない。

又、wikipediaからの引用になりますが、レフェリーのコールマンは、安全上の理由でレイダースのゲームに関われなくなりました。タック・ルールなんてマイナーな反則を持ち出して、試合の結果を変えてしまった事はレイダースファンの怒りを買ったわけです。


この話、wikipediaの中で、オチまでついてるんですが、

多くのペイトリオッツファンは、これが1976年のお返しであると考えていた。当時スーパーボウル出場の有力候補であったペイトリオッツプレーオフでレイダーズと対戦した。レギュラーシーズンではペイトリオッツが48-17と大勝しており、この試合もペイトリオッツが優位であると目されていた。しかしチームはレフェリーのベン・ドレイスによる不可解な判定もあり24-21で敗れていた。特に論議を呼んだのが、ペイトリオッツの勝利が大きく近づいたかと思われたプレーでペイトリオッツのNTレイ・"シュガー・ベアー"ハミルトンがレイダーズのQBケン・ステイブラーへのラフィング・ザ・パサーの反則を犯していたという判定であった。この試合に勝利したレイダーズはピッツバーグ・スティーラーズミネソタ・バイキングスを破ってチーム史上初のスーパーボウル制覇を達成した(第11回スーパーボウル)。そのため多くのペイトリオッツファンはタック・ルール・ゲームでの勝利に大いに喜んだ。しかし1976年のチームをエースとして引っ張ったQBスティーブ・グローガンはこの勝利を純粋に喜ぶことはできなかったと語っている。


グローガンは「我々は間違いなくピッツバーグを倒すことができた。ミネソタもそこまで良いチームではなかった。だから我々はペイトリオッツ史上初のスーパーボウルチャンピオンになることができたはずなんだ。だが歴史は変えられない。もう終わってしまったことなんだ。人々は私の店に来てタック・ルール・ゲームについて話す。『レイダーズが報いを受けたぜ。スカッとしただろ。』と。だが私はこう言う。『ファンはそうだろう。しかし私と、私と共に戦った76年の仲間たちの心が晴れることは永遠にない。』 大事な物を奪われたんだ。嵌められたんだよ。」と語り、晴れることのない胸の内と、タック・ルール・ゲームによって自分たちの試合や無念が相殺されたと思われることへの憤りを吐露した[7]。


こんな話です。



この話を例としてあげるのは、「競った試合の終盤では審判は引っ込んでろ」「つまんない反則取って試合を台無しにするな」というのがファンと選手の心理だって話をしたいからです。試合の終盤、とくに競った試合の終盤だと、公平なジャッジでなく、審判に求められているのは、身も蓋もない話ですが、「引っ込んでろ」「試合の行方を選手に決めさせろ」なんです。



で、西村主審のPKの判定


話を今回の西村主審のPKに戻しますが、アレなんですけどね。今回のPK判定、とにかく欧州方面で受けが悪いです。欧州方面からぶっ叩かれており、この後、西村さんがクロアチア絡みの審判に選ばれることは無いと断言していい状態です。今後、彼がW杯で主審つとめる事は、ないんじゃねぇかなとも思います。そんくらい叩かれているので。



とにかくPK取った時間と展開が不味かったです。拮抗してたワールドカップ開幕戦、ブラジル対クロアチアの試合で、実質的に試合を決めてしまうPKを与えた訳ですからね。タック・ルール・ゲームの所で「競った試合の終盤では審判は引っ込んでろ」「つまんない反則取って試合を台無しにするな」ってのを強調しましたが、これも典型的な奴です。こいつは選手と観客が怒りを爆発させる典型例で、審判としてのキャリアを続けることが出来ないレベルのバッシング食らったりします。




今回の記事なんですが、西村主審のPK判定の是非とかの話をしたいんじゃなくて、W杯を観戦する人向けに、こういった審判の傾向について、お話しておきたいと思ったからなんす。



ブラジル対クロアチアの試合における西村主審のPK判定ってのは、正直言って、W杯みたいに注目度の高い大会では、実にレアな判定なんです。



基本的に、注目度の高い試合では、審判ってのは退場者を出さないよう、PKを与えないようにジャッジするモンなんです。だから、あのくらいのプレーだと、W杯の大概の試合では流されます。PKもらえません。とくに競った試合の後半だとね。日本代表の試合でも、あのくらいのプレーは頻発すると思いますけど、まずPKもらえないと思いますし、与えてももらえません。



審判のジャッジなんですが、ここまでW杯の試合、何試合か見ましたが、結構な割合で誤審がありました。メキシコ対カメルーン戦で二つ、スペイン対オランダで一つ、ゴールに直結する誤審がありました。



結局、審判は人間ですから、間違いをします。だから誤審もサッカーの一部です。それから、審判だって自分の身が可愛いですから、試合終盤になると、ファール、オフサイドフリーキックなんかは取られにくくなります。疑惑のファウル、疑惑のオフサイド、疑惑のフリーキックとか、キャリアに関わる問題になりますから。


そんな訳ですので、この辺、割切るしかない部分があります。ちなみに、僕が例の試合の主審だったら、あのプレーは流します。基本的に、僕は自分の身が可愛いのです。W杯でもそういうジャッジを見る事は多いと思うんですけど、僕はそれでいいと思ってます。やっぱり「試合の結果は選手に決めさせろ」って思うので。それが完全に公平で偏見のないジャッジだとは限らないんですけどもね。取るべき反則を取らない事になる訳ですから。



色々ありますが、言いたい事は、こういうビッグな大会になると、競った試合では審判が些細な反則を流す傾向があるんで、そこは割切ってくださいな、という話なのでした。



こういう大会だと、審判には凄まじいプレッシャーがかかり、判定一つが命に関わったりします。だから、判定をするのでなく、判定をしない、という判断を下すようになるんです。何もしなくても叩かれる事は勿論あります。ただ、何かしでかした場合、バッシングの規模は比較にならないほど大きいんです。


西村主審は、ある意味じゃ根性太いです。あそこでPK取ったら、試合後、どんな展開になるかなんて明白ですからね。まあ、何も考えてなかったかもしれませんが。


今日はこのあたりで。ではでは。

2014ブラジルワールドカップ 日本対コートジボワールのレビュー

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さて、皆さん、こんにちは。本日は先日行われた日本対コートジボワールのレビューを行いたいと思います。非常に残念ながら、1-2で日本が負けました。今回のWカップ、ここまで11試合中5試合で逆転勝ちが出ており、「サッカーでは先制点取った方が超有利」とかウソーンという展開で笑えます。先制点取ったチームがここまでひっくり返される試合が多いのは本当に珍しいです。ちなみに引き分けが一試合も起きてません。スペイン対オランダ、コスタリカ対ウルグアイみたいな大番狂わせの試合も出ており、グループリーグから大荒れ模様です。


とまあ、それはさておき、日本代表に話を戻しますが、日本は負けちまったわけですけど、とにかく負け方が良くなくて、ポゼッションを4割前後しか取れませんでした。データはデータ元によって異なるのですが、日本のポゼッションは39~43%、対するコートジボワールが57~61%となっており、日本代表は自分達のサッカーを出来ていませんでした。ボール繋ぐサッカーを4年間やってきたのに、本番でポゼッションで圧倒されてどーすんねん、という奴です。


最初に、選手監督の試合後のコメントを貼っておきます。


ザック「大切なのは今後何をするかだ」 W杯 コートジボワール戦後監督会見


コートジボワール戦後、選手コメント


これですね。



ザックのコメントを引用しときますが、

――後半についてどう分析するか?


 一般的に言うと、まずスタートは良かったし、序盤は非常にダイナミックであった。何が起こったかというと、コートジボワールが力を増してきて、われわれに勝った。前半の最後の20分もそうだが、われわれは相手に対して十分に攻撃することができなかった。相手に攻撃ばかり許してしまったので、もっとアグレッシブにプレーするべきだったと思う。ピッチでの距離を埋められず、ディフェンシブにも攻撃的にもプレーできなかった。しかし、コートジボワールが勝ったのは、外的な要因があったと思う。つまり彼らにはスペースがあったからだと思う。われわれは通常なら素早くプレーできるのだが、今夜はスペースを与えすぎた。


ってのがあります。あとは、遠藤の

(前半からショートパスを取られたりしていたが?)最初は中盤のプレスが速いというのは想定済みだったので、ボールを取った後のビルドアップが少しぎこちなかったのはあった。相手にひっかけてカウンターというのが前半は何度もありましたし、後半もそれで2失点しているので、極力ボールを取った後のセカンドプレーくらいまでは、セーフティーにやれれば、失点の場面もなかったんじゃないかなと思います。前半からもう少し高い位置でボールを回すことができれば、もう少し自分たちのリズムになれたとは思います。


ってのが、今回の試合の感想かな、という感じです。



最初に結論から言っときますが、日本の二失点ですけど、一つ目はボールを取った後のビルドアップでのロストから、二つ目はコートジボワールがボールをもった時、日本の右サイドが前からいかず、後ろに下がってしまい、そこからサイドチェンジを入れられ、その後のセカンドボール拾われてやられてます。どちらのケースも、試合前半から頻繁にみられた傾向でした。


日本対コートジボワール、前半のマッチレポート

ここからはマッチレポートになります。まずスタメンですが、



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こうなってました。スタメンで驚いたのがボニスタメンだった事です。あと、日本は長谷部が山口とボランチを組み、右CBにはモリゲが入ってました。初戦なので、割と堅実なスタメンをザックは選んできてます。ショートハイライトも一応貼っときます。



2014FIFA ワールドカップ 日本代表 日本対コートジボワール 逆転負け 敗因ドログバ ...



さて、ここから試合の話になるんですけど、ザックの言う通り、前半の入りは良かったんです。大体、前半の20分あたりまでは日本はいつものサッカーが出来てました。


前半1分の日本のプレーなんですけど、


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こーいうのがありました。これ、コートジボワールの守備の問題点が全部出てる奴でして、プレビューで書きましたが、WGの守備適当、CBがFWのマーク外すことがある、最終ラインにギャップが出来やすいって奴です。でもって、前半5分にも又、

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こんな感じで香川にパスが通って、香川にあそこで前むかれちゃう訳です。この後、香川のパスミスでボール失う訳ですけど、簡単に香川があそこで前向けてる状態で、ここまで、日本はきっちりコートジボワールの守備のギャップを取れており、攻撃は上手くいってます。コートジボワールも前から守備してこなかったので、ボール持つのに苦労はありませんでした。ぶっちゃけ、ヤヤ・トゥーレは怪我明けだったので、守備あんましてませんでした。


また、前半12分には長谷部のいいサイドチェンジがあって、


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こういう風に左から右へのサイドチェンジも出来てましたし、


前半14分には、今度は山口から、


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こーいうキレーなサイドチェンジが通ってました。でもって、日本はここでCKを獲得。このCKから本田のビューティフルゴールが決まり、日本は先制に成功します。ここまでは、日本の攻撃は上手くいっており、コートジボワールのギャップを取れてますし、サイドチェンジを有効に使ってビルドアップできてました。右から左へ、左から右へ、良い攻撃できてます。また、19分には自陣内でボールを奪い、そこからカウンターに繋げ、うっちーのシュートにまで繋げてます。大体、前半20分までは日本ペースで試合を進めることができてました。


とまあ、ここまでは何に問題も無かったのですがね。ザックも言ってますが、序盤はダイナミックな攻撃が出来てました。


じゃあ、どっから日本はおかしくなったのよ?という話になるんですが、僕の見た所、日本がおかしくなり始めたのが前半26分からです。こっからおかしくなってます。前半26に起こった事なんですけど、



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これですね。このシーンなんですけど、岡崎は前から行くんでなく、即座に守備ブロックに戻ってしまってるんです。後ろ、うっちーがいるんだし、降りてきたカルーのマークには岡崎がいかないと、フリーで前向かれちゃうから、どんどんラインが下がってしまう。でも岡崎は上がってきたSBが気になってるのか、守備ブロックにいるだけって守備です。この後、カルーがヤヤ・トゥーレとワンツーしてシュートまで持ち込みました。この時、逆サイドに展開されてたらやばかったです。


ちょっとここで、コートジボワールの攻撃時のポジションチェンジについてまとめておきますが、


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動きとしてはこんな感じです。最近流行ってる、攻撃時のポジションチェンジですが、攻撃時に415もしくは3421みたいな感じになります。両SBを上げて、WGが中に絞り、SBが上がったスペースにはボランチが降りてきて、ボランチが開けたスペースに前4枚のうち一人が降りてくるという形です。


コートジボワールは、こんな感じで攻撃時、415、もしくは3421みたいな感じになります。前半2分、このポジションチェンジから、コートジボワールに上手くプレスかわされたシーンをキャプでやりますが、



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こんな感じで上手くプレス外されました。ここ、香川はSBが上がってきてるんで、あそこのボランチにいけなかったんですね。


コートジボワールによる日本のプレス回避のやり方を図でやっときますが、


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こうなります。この形は後半でも引き続き見られました。この形でプレス外されて、ラインを下げられ、WGが守備に奔走する状態に持ち込まれました。



でもって、日本の守備なんですが前半36分あたりから本格的に崩壊しはじめます。特に、日本の右サイドで、相手のボランチ、SBにプレスかからなくなってくるんですけど



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これは前半36分。


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これは37:58のシーンですけど、ここも自陣内でボランチに前向かれてます。このシーンの前の流れを説明すると、コートジボワールはCB二人とボランチ二人で日本の前2人のプレスを回避。でもって、右CBから降りてきたボニーに楔いれて、そこからヤヤ・トゥーレとのパス交換から、上がってきたボランチにボール落としました。


42分には、右から左へのサイドチェンジから、やっぱりボランチに自陣内で前向かれてボール持たれてますし、43分には、ボール奪われた後、全くプレスに行かず、自陣に戻ってブロック組もうとした事から相手左SBのボカにフリーでフィードを許し、そこからサイドチェンジ入れられてます。その時の流れをキャプでやると


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ここ、この後、フリーの左SBから左から右への綺麗なサイドチェンジくらいました。


で、この後も日本陣内でコートジボワールのボランチが前を向いてしまう流れに歯止めがきかなくて、44分、45分にも相手ボランチに日本陣内で簡単に前向かせちゃってます。こうなってくると、日本のDFはライン上げたくても上げられないので、どうしようもありませんでした。



えっと、コートジボワールってチームなんですが、CBはそれほど繋げないので、ボランチが前むいてボールもてない事には何も始まらないンですけど、日本のプレスが、コートジボワールのポジションチェンジによって完全に空転しており、ボランチを自陣内で前向かせすぎました。ボランチが日本陣内で前向いちゃうと、コートジボワールの攻撃陣は強力無比なんで、はっきりいってどうしようもなくなります。



前半見返して思いましたが、このチーム相手にするなら、広島か浦和とテストマッチしたほうが良かったですね。マジで。システム的には、攻撃時にあそこと一緒の形になるので、テストマッチの相手として最適だったんじゃねぇかなと思います。


こういう相手に対する対策としては、浦和対策とか広島対策でよくある完全ミラー方式か、相手チームを押し込んでしまって、相手が変形しきる前に前プレかけてボール取ってしまう方式、FWが鬼のように走り回りスライドを素早く行って相手を封殺する442方式があるんですが、日本はそのどれも出来てませんでした。

日本対コートジボワール、後半のレビュー


でもって、こっからは後半のお話になります。今回は、時間ないので、日本が逆転されるまでを扱います。後半最初の10分くらいは悪くなかったんですが、後半11分あたりから、またコートジボワールのポジションチェンジでプレス交わされ始めます。後半、11:24には右から左へのサイドチェンジでボランチに日本陣内で前向かれてますし、後半13分には、


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こーいうボール回しで、日本陣内でボランチに前向かれました。これは前半2分でやられたのと一緒のやり方です。この後、15分にも、この形でボール回されて自陣内でボランチに前向かれてます。


でもって16分にドログバが入ります。ここでラムシ監督は、ボランチ削って前の枚数増やしてきました。これはラムシ監督がよくやる変更で、点欲しい時はボランチ削ってFW増やしてきます。ヤヤ・トゥーレはこの後、ボランチに入ります。



そして、運命の時、18分。まず、モリゲがドログバへの楔を潰そうとしてイエロー貰います。これで自陣内でFKとられました。その後、日本がボール奪いかえして、そこからカウンターってシーンになるんですが、香川がドリブルで持ち上がって本田にパス。ただ本田の所で奪われてしまい、そこから逆にカウンターくらいます。この時、香川が中央にいたので、遠藤は左サイドの守備に入らないといけなかったんですが、中央にいたカルーのマークに入ったので、上がってきたコートジボワールのSBがフリーに。そこからクロス入れられて日本は失点という流れでした。ここはキャプやらんでも、動画にのってるので、そこで確認してください。


この試合なんですけど、ボール奪った後に即ロストってのが多すぎました。前半だけで4~5回あり、勿体ないロストが多すぎました。


でもって、その後の20分。


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これですねえ・・・・


ココなんですけど、相手、ビルドアップの枚数削って前の枚数増やしてる訳ですから、前からハメに行くのは楽になってるんですよ。ただ、岡崎がSBのチェックに出ないんです。これも前半43分の時と一緒なんですけど、ブロック固めてからって感じで、SBは割とフリーにしちゃうんです。中に入ってくるカルーがそんなに気になるのかなーと。


ここだと、吉田が競り合いで勝ったんですけど、セカンドボールはコートジボワールに拾われ、そこからもっていかれました。で、クロスから失点して、日本はココでジ・エンド。


二失点とも、中に入ってくるWGを気にしすぎて外をフリーにしてしまい、そこからクロス入れられて失点してます。


でもって、この後、日本は反撃したい所なんですが、前半から走らされすぎてしまい、最後はみんな足止まってました。長友まで止まってたのが印象的でした。そのまま何もできず試合終了となりました。


やりたい事をコートジボワールにやられた日本という結果に


まとめに入りますけど、とにかく、この試合、コートジボワールは自分達がやりたい事を全部出来てました。それが皮肉な事に、日本がやりたい事でもあったんですけど。


えっとですね、こういう風に両SBあげてくる形のサッカーに日本代表が負けたのは、これが初めてじゃありません。ブラジル代表とやった時、こういうサッカーされて完敗してます。あそこも両SBあげてくるんですが、両SBの上がりでWGを低い位置に押し込められ、そこからサイドハーフとセンターハーフの間のスペースを良いように使われて形でボコられました。


コートジボワール戦は、そこを使われないように、岡崎や香川が中に絞り気味のポジションとってましたが、それが原因で相手SBをフリーにして、そこから結局やられました。


コートジボワールは、両SBの上がりで日本のWGを低い位置に押し込み、FWの大迫を孤立させ、更に守備でWGを消耗させることに成功してました。日本のプレスもポジションチェンジで上手く回避し、ポゼッションを確保してました。



こういう相手には、日本はきちんとポゼッションを確保して、逆に相手を押し込んでしまうってのが出来ていれば良かったんです。ただボール奪った後のロストの仕方があまりに悪く、さらに途中から縦に急ぎすぎで単調な攻撃に終始してしまい、逆にポゼッションを失うハメになりました。



この日、コートジボワールがやった事って、日本がやりたかった事なんです。しっかりボール保持して、相手を自陣に押し込んで、相手WGに守備を強要して消耗させていき、ボール奪われたら即プレスかけて奪回して二次攻撃っていうね。押し込んでしまえば、コートジボワールはポジションチェンジできない状態でプレス食らいますから、厳しくなる。


ところが、現実には、日本はコートジボワールに押し込まれて、WGが守備を強要されて消耗していき、ボール奪った後にすぐロストして二次攻撃食らう、そんな試合になってしまいました。


この試合は、ホントに日本の良いところを出せませんでした。



次の試合はすぐあるので切りかえるしかないんですが、とにかく、きちんとボールを保持して相手を押し込まないと、このチームの良さは出ないので、そこをきちんとやって欲しいです。押し込んでしまえばハイプレスかけるのは楽なんです。相手のポジションチェンジに悩まされる事もないんです。ポゼッションしっかり取って、相手を押し込んでしまえば、WGがあんなに守備やらされる事もなくなります。さらに相手を走らせてしまえば、絶対に相手のほうが後半、先に足が止まるので、そうなったら後は好きにやればいい。



ギリシャ戦では、とにかく自分達のサッカーをやること、それだけです。


あと、この試合を見返して思いましたが、向こうのラムシ監督、日本をしっかり研究してたのが試合のチェックをしてみてよくわかりました。たぶん、日本が完敗したブラジル戦二試合を参考にしたんでしょう。



今日はこの辺りで。ではでは。

2014ブラジルW杯 日本対ギリシャのプレビュー

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さて、みなさん、決戦前夜でございます。今夜はコロンビア対コートジボワールがあるんで、あんまし詳しくプレビューやってる時間がございません。そんな訳で、手短になりますが、ギリシャ対日本のプレビューをやっておきます。ホントに時間がないので、ギリシャのシステムの解説だけで勘弁してください。




ギリシャ代表のシステム


まず、システムの話からしますが、ギリシャ代表は433を採用しています。


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なんで基本配置はこうなります。初期配置で戦った場合、日本とギリシャはシステムが完全に噛み合っていますから、ミスマッチは起きません。基本的に一人一殺みたいな形になります。


ただし、ギリシャ代表なんですが、攻撃時には変形します。


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システム的には、よくあるアンカーを最終ラインに落としてCBを両ワイドに広げるタイプです。これで2トップのプレスをアンカー+2CBで回避し、サイドで数的有利を作り出すという形です。



一方で、守備面では基本的に後方でブロック作って守ります。


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こんな感じで守ります。岡田ジャパンの時にやってた414のガチンコブロックですね。


ギリシャは明日の試合でも、この形は全く変えてこないと思います。これ以外にオプションは持ってないみたいなので。


ギリシャのビルドアップ


今回の話のメインになりますが、ギリシャのビルドアップについて扱います。えっとですね、前回の試合で日本はプレス外されまくったので、この部分については、書かないといけないと思い、まとめておくに至ります。


ギリシャはポゼッションタイプのサッカーをするチームではありません。ただ、現代サッカーだと、442のプレスをはがせないチームは、どうしようもありません。なんで、どのチームも一つか二つ、442のプレス回避方法ってのを持っています。



ギリシャもその例に漏れず、442のプレスの回避方法というのをチームとして共有しています。で、このチームがどういう風に442のプレスを回避するのかというと、これはギリシャの初戦で、コロンビアが先制してから引いて442で守りを固めたので、あの試合みれば大体の所はわかるわけです。



ちと、キャプでやりますが


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これはコロンビア戦でみられた形です。ギリシャの442のプレスの外し方のうち、日本代表が一番やられそうなのがコレで、3バックポゼでボールを落ち着けてから、CBの一人がボールをもって持ち上がります。で、これでブロックを片方のサイドに寄せてから、1度降りてきたボランチにボール当てて逆サイドのCBに落とすってやり方です。これでプレス外してライン下げれたら、サイドチェンジ入れて、そっから突破って形に持ち込みます。



も一つ、


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こっちはよくあるゼーマンの433タイプのやり方。日本代表もよくやりますが、CBがボールを持って持ち上がり、WGがSBとCBの間のスペースでフロートするポジションを取ります。そこでCBの楔を受けて相手のSBを食いつかせる事でSBの裏にスペース作ります。その後、ボランチに落とし、ボランチからオーバーラップしたSBに展開というやり方です。



前回の試合を見る限り、日本代表が注意しないといけないのはこの二つのやり方になります。これでプレス外されて、ラインずるずる下げられて、WGの位置を下げられてしまうと面倒な事になります。


ギリシャのカウンターと日本のカウンター

次に、日本とギリシャのカウンターの話になります。えっと、この2チーム、カウンターのメカニズムで良く似ている部分をもつチームです。


まず、日本の話をしますが、日本はWGを使うサッカーをしている関係上、WGが高い位置を取れないとどうしようもありません。ただ、守備ではSBが上がってきた場合、WGも下がってブロックに参加しないといけないため、カウンターの時に大迫が孤立しやすいという問題を抱えてます。


つまりボールを奪い返した際、WGの位置が低くなりがちでCFが孤立しやすいってのは日本の問題なんですが、この時に本田のキープ力がモノを言う訳です。カウンターの時に日本代表は本田が一旦、ボールを落ち着かせて両WGが高い位置を取るためのタメを作ります。



一方で、ギリシャの場合、この本田の役割を担っているのが左WGのサマラスになります。


ギリシャはボールを奪い返す位置が低いチームなので、1度サマラスに当てて、そこでタメを作り、WGとインサイドハーフが上がる時間を作ります。そして、サマラスから落として貰ったボールをカラグーニスがパスをして一気にゴールへってのが彼らの得意パターンです。



両チームのカウンターの時のボールの預け所ってのは、ほぼ決まっています。なので、サマラスと本田、この二人がどれだけキープ出来るかの勝負といってもいいと思います。サマラスに簡単にキープさせてしまうようではギリシャのカウンターを防ぐのは難しいですし、本田が簡単にキープできているなら、日本はカウンターするのは簡単です。ここは一つの見所になります。






で、試合の展望になりますが

今回はプレビューなんで簡単に済ませますが、ギリシャ代表の狙いはわかりやすいです。まず間違いなく、右SBのトロシディスを使ってきます。


今回のエントリの最初に書いた方法で日本の2トップのプレスを回避した後、左から右へのサイドチェンジ、もしくはWGへの楔からSBのオーバーラップという形で香川の位置を下げに来ます。これで日本の左サイドを自陣低い位置に押し込んで、日本の得意の形には持ち込ませないってゲームプランで来るでしょう。



日本に押し込まれた場合には、サマラス経由のカウンターに切りかえると思います。こっちのケースでは、とにかくサマラスにキープさせない事が重要です。サマラスのキープを防げないと、そこからカウンター食らいます。



で、日本の方のゲームプランなんですけど、試合前の報道とか見る限り、カウンターではトロシディスの裏狙いですね。相手が右SB上げてくるのは火を見るより明らかなので。


一方、遅攻になりますが、相手は414でブロック組むので、アンカーの両脇をきっちり取るのが大事です。あそこが414ブロックの泣き所なので、あそこを取って上手く攻めれば攻略は可能です。ユーロのドイツ対ギリシャ戦とかが参考になるかもしれません。



とりあえず、本日はこの辺りにしときます。



最後に。


コロンビア対ギリシャ見れば、相手がどういう形でビルドアップしてくるのかなんてわかりきってるんだから簡単にプレス外されるんじゃねぇぞ(゚Д゚)ゴルァ!

2014年ブラジルワールドカップ 日本代表対ギリシャ代表のレビュー 「噛み合ってないチーム」

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さて、皆さん、こんにちは。本日は先日行われた日本代表対ギリシャ代表のレビューをしたいと思います。結果は0-0のドローでした。多分、皆さん、怒ってると思います。僕も試合後イライラしっぱなしでしたが、土曜のJ2の試合で湘南が磐田に勝ったので、気分が持ち直しました。そのおかげでレビュー書く気力が出来た次第です。


今回の試合、前半でギリシャのカツラーニスが退場となり、10対11で勝てなかったので、そりゃーもうストレスマッハな試合でした。正直、選手及び監督への罵詈雑言でブログ埋め尽くしたい気分なんですが、それはWカップ終わった後でもやれる訳なんで、普通にレビューだけしたいと思います。


日本代表対ギリシャ代表、前半のレビュー


さて、まずスタメンから入りますが、


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こうなってました。ギリシャ代表はほぼ予想通り。日本代表のほうはスタメンいじってまして、香川がベンチスタートで岡崎左、大久保右。でもって、ボランチは山口と長谷部、CBには今ちゃんが復帰してます。



今回のスタメンなんですが、ボランチの選考には文句を言いたい所があるんですが、その話はやめときます。ザックがやろうとした戦術と関係あるんですが、遠藤か青山は絶対必要だろうと。



えっと、まず、今回のスタメンとザックの取った戦術なんですが、先に図で説明しておきますが


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こうなります。点線がボールの動き、直線は人の動きです。基本的には、大迫と本田をアンカーの両脇に落として、そこに楔を入れてボランチに落とし、裏に走るWGにラストパスか、サイドチェンジって戦術になります。これ自体は何の問題もなく、オーソドックスな対4141戦術の一種になります。4141は、その性質上、相手CBのうち、一人がフリーになります。なので、そこからアンカーの両脇に楔を入れてボランチに落とし、そこから裏へのパス、又はサイドチェンジってのが有効な手になります。今回の試合、大迫のポストプレーが目立ってましたが、これはそーいう理由からです。


でもって、遠藤使えってブー垂れてるのはボール落とした先が長谷部と山口じゃ、どうしてもその先の展開がきついからで、遠藤か青山のどっちかは最低でも必要だろと思うからです。ポストプレーからの展開を主軸にするなら、ボランチに最初からゲームメーカーいれろよ、という奴です。サイドチェンジ一つとっても、青山と遠藤は必要だろうと。前半のドン詰まり展開の原因の一つがコレで、サイドチェンジが少なすぎました。




今回、香川が外れた理由として、

――なぜ、香川真司をスタメンに入れなかったのか?

ザッケローニ監督 「香川を入れなかったのは、戦術的な理由。サイドに力を入れようと思ったことと、相手を疲れさせようと思っていたから。そこからの攻撃を考えていたので、よりスペースを広げる、特に相手のディフェンスのスペースを広げることができる選手を選んだ。香川も相手のスペースを使うプレーが多いが、彼はより中央への動きが多いので、意向が合わず、戦術的にこのような決定をした」


ザック監督「勝つべき試合だった」 W杯 ギリシャ戦後監督会見


ってのがありますが、香川の場合、中にはいってきてしまう選手の為、頻繁に大迫とポジション被るんです。まあ、どういう事かってーと、これ、コートジボワール戦で使った奴の再利用ですが、


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これ、前半開始直後の奴ですけど、香川と大迫が同じスペースにはいってきちゃってるンですね。日本代表の場合、あそこを頻繁に香川が使ってしまう為、CFがポストプレーで使いたいスペースがないって問題が起きてたりします。清武も似たような問題おこす選手です。彼らを使う場合、中にはいってくるプレーヤーなのでSBが上がらないとサイドチェンジしにくくなるって問題も起きます。


今回の試合の場合、アンカーの両脇は大迫と本田が使い、両WGはサイドにはった状態から、斜めにゴール前に入っていくのが求められます。そーなると、岡崎と大久保ってのは理に叶った選択になります。二人とも裏抜けは得意ですからね。香川はバイタルにスペースあると、そこに入りたがる傾向があり、サイドから斜めに裏に走るプレーってのが少ない傾向があります。ここは彼をWGとして使ってしまうと起きる問題の一つです。


で、こういう攻撃の意図は、前半開始直後から見られ、それぞれキャプ使って説明しますと、



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これはひじょ~にベーシックなビルドアップでして、SBから斜めにCFへの楔を打ち込み、CFが落としたボールをトップ下が受けて、斜めにゴール前に走り込む左WGにラストパスって狙いです。


相手のアンカーは本田にマンツーマン気味でついていくので、本田の動きで相手のアンカー動かして、CFに楔打ち込んでいくって方法ですね。



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こっちは前半6:00にやった奴です。ただ連続二回目なんで、流石にギリシャのCBに読まれてました。でもって読まれているって事で、次はちょっと趣向を変えて、


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これは前半6:33の攻撃ですけど、一つ前の攻撃で大迫への楔は読まれていたので、今度は直接、岡崎の裏へのランニングにパス合わせてます。ここまでは問題なしで、ザックの狙い通りの攻撃が出来ているという感じです。右サイドからの組み立てから、左の岡崎のダイアゴナルランにボールを合わせるという形です。


今回の試合、コートジボワール戦とは比較にならないほど大迫のポストプレーが多かったですが、大迫のポストプレーから本田、山口、長谷部に落として、そこから裏に走り込むWGにパスって流れを日本代表が意図してやってたからです。



ただ、ちょっと頂けないのが、大久保で中に入りすぎてるんです。なんでこんなに中に入っちゃうのか、意味がわからない部分がありました。ザックの指示なのか、本人の選択なのかよくわからんのですが、アレやっちゃうとサイドチェンジできないので困る。前半7分の時も、9分の時でも、大久保が中に入りすぎててサイドチェンジ出来なくなってます。


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これ、前半7分の大久保のプレーなんですが、右WGなのに、何でかあの位置にやってきてるんです。バイタルにスペースがあるのはわかりますが、そこは本田か大迫が使う場所で、大久保はWGなんで裏に走る、幅を作るってプレーが求められているはずなのに、あそこにやってきてしまってる。


その後、前半8:27のシーンになるんですけど

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こういうシーンになっちゃうよね、という話になるんです。あそこで大久保が前むいても、右サイドの高い位置に誰もいないから攻撃がドン詰まりになって縦パスカットからボール奪われてカウンター食らいました。


あそこで大久保が中にはいってきちゃうと、左から右へのサイドチェンジできないので、これは困るんです。両SB上げるなら、入ってもいいんですけど、この試合、前半はうっちーはサマラスのケアのため、低めの位置にいたので、大久保は幅作る為にサイドにいないと困るンですが・・・・岡ちゃんが「大久保が自由に動かせてもらってますね」って中継で言ってましたが、大久保が右に張っておらず、中にはいってきちゃってたのを受けての話です。


ここも一つの不満ポイントなんですけど、大久保にあそこまで自由与えるなら両SBあげろよと。じゃないとサイド攻撃出来ないだろ。


ちと、15分のビルドアップを例にしますが、



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ここなんですけど、うっちー、長友が上がってるのをみて、下がっちゃうんです。バランス考えてね。でも、このケースだと、大久保が中に入っちゃってるから、うっちーが上がってないと、サイドチェンジできない。サイドチェンジ出来ないと、ギリシャは左サイドにスライドかけてスペース圧縮して守ればいいだけなんです。で、この後、ボール奪われてカウンター食らいました。


大久保を自由にやらせるなら、両SBあげるか、大久保が中に入ったとき、本田か大迫に外に流れるようにしろとダメですよ。でないとサイドチェンジ出来ないので、相手にボールサイドに陣形を寄せられてひっかけられてカウンター食らうに決まってます。




あのですね、前半18分の時の攻撃をキャプで解説しますが


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こういう攻撃するなら、いくらでも大久保が中に入ってもかまわんのですよ。うっちーが上がってきてるなら、大久保が自由に中に入ってもいい。



両SB高い位置取ってるなら大久保が自由にやっても構わんのです。勿論、カウンターの時、相手のサマラス誰が見るんだって問題が生まれますけどね。


でもって、前半20分にも、又まずいビルドアップがあるんですけど


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ここなんですけど、また右サイドに誰もいない状態なんです。この状態だと、ギリシャはボールサイドに全体を寄せて、楔を潰していけばいいだけなんで、日本の攻撃はそんな怖くない。



この後、22分の右サイドの攻撃の時は、うっちーがあがってましたし、前半26分の時には


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こういう風に両SBが上がってる状態なら、大久保が自由に動いても僕は何も文句言わないのですけどね。で、この後、32分に大久保のヘディングまで行った攻撃があって、これは良い攻撃でした。この辺り、日本はいいリズムで攻撃できており、37分に二枚目のイエローでギリシャのカツラーニスが退場。


37分以降、ギリシャは441に変更。で、もうこうなっちゃうと日本は本格的に両SB上げて、両SBを使ってサイドチェンジで攻めればいいんですけど、41分、45分と狭い方いっちゃうんですね。まあ、別に悪い攻めじゃないかったんですけど、ギリシャは一人少ない為、中央固める守備やってたので、サイドチェンジをなんでしないんだろうと不思議でした。


前半を見返してチェックすると、大久保がやってる事とザックが言ってる事が噛み合ってないんです。ザックは「よりスペースを広げる、特に相手のディフェンスのスペースを広げることができる選手」ってのをチョイスしたみたいですけど、大久保が中に入ってきてしまっているので、相手のDFを横に広げることが出来てません。むしろバイタルにいる時間のほうが長かったです。



前半はサイドチェンジが少なく幅を作れてないので、相手にとって守りやすくなるだけでした。ギリシャは引いて守る関係上、裏のスペースはあんましありません。だから、横に広げる必要があるんですが、サイドチェンジを有効に使えてませんでした。


大迫のポストからサイドチェンジを有効に使うなら、ボランチに一人ゲームメーカー入れて、逆サイドに張りだした選手が必要になります。ただ、意味がわからんのですが、どっちもいない。噛み合ってないんですよ、チームとして。


大久保がこの日の前半に頻繁に中に入ってたのは監督の指示なのか、本人の考えなのか、よくわからない所があります。しかし確実に、前半、日本がサイドチェンジしにくい原因になってました。


うっちーが高い位置をとってる時は良い攻撃できてましたが、そうじゃない時は大久保の中に入る動きは問題だと言わざるを得ません。


日本代表対ギリシャ代表の後半のレビュー


こっから後半のレビューに入ります。


まず第一に相手はすでに10人なわけです。後半始めから遠藤が入りました。これは当然だと思います。ついでに両SBあげちゃって良かったんですが、最初は偉い慎重に入ってて、両SBあげてこない。


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これ、1分


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これ3分。



なんで、両WG中に絞らせて、両SB上がらせないんだろ?と不思議になるアレです。



相手一人少ないんですよ。だったら、両SBあげて大久保と岡崎、中に入ったほうが良いんです。何度も言いますけど、相手一人少ないんです。両SB上げてWG中に絞らせたほうがいい。




まあ、途中からやりはじめるンですけどもね。両SB上げ始めたのが大体後半7分あたりからで、


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こうなりました。これは悪くない攻撃です。両SBを上げて幅を使い、それによってボランチとSHの間を広げれば、そこのギャップも使えるようになります。




で、この後、香川が入って、22分に


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この形ですね。繰り返しますけど、両SBが上がってるなら、別に大久保が好きに動いても構わないんです。えっと、狙いとしては図でやっときますけど、


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まず、この赤で囲ったスペースを取りたいんです。ここで大久保、香川、本田のいずれかに前向いて欲しい。ここで前向ければ、そこからオーバーラップしたSBに出してクロスあげるなり、コンビネーションするなり、ミドル打つなり、何でもできる。



ただ次に24分の攻撃の時、ここでは、香川の問題がでるんですけど


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ココなんですけど、組み立ては良いんです。ギャップ取れてるし。問題は香川と本田が同じスペース使おうとしちまった所で、香川はあそこのスペースは本田に使わせて、サイドに張ってれば良かったってのがあります。もしくは、本田は前に張ったままで、香川にあそこのスペース使わせて、香川からラストパス待ってればよかった。



でもって25分にはうっちーの惜しいシュートもあって、次に31分



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これは良い攻撃でした。もっとも、ここもうっちーがフリーだったんで、そっちに出しても良かったんですが。うっちー、岡崎と長友はマーク外してたし訳だし。




次は36分にはカウンターから良い形作れてますし、後半37分の攻撃も良かったです。両SBあげて、ギャップとって、サイドチェンジからうっちーのクロス。




この辺りの時間帯は良かったんですが、最後、又ザックがパワープレーに切りかえちゃうんですよね。もっとも点取れてないし、非常手段って事なんでしょうけど、パワープレーやるなら、大迫変えたのは悪手だったし、そもそもマイクと豊田何で外したの?という話になる。




まとめと今回の試合の感想になりますが、色々と噛み合ってない日本


さて、なんですけど、これ書いてる最中に、



ザック異例の練習中止「メンタルのため」



日本代表「疲れたまっている」と休養選ぶ



こんな記事飛び込んできたんですが、とにかく噛み合ってません。監督は「メンタルのため練習中止」、協会スタッフは「疲れたまっている」で、言ってる事ちがわね?という。練習中止とかフランス代表思い出すだけなんで止めて欲しいンですが・・・・・



あと、ザックが「2試合続けて、攻撃にスピードがなかった」って言ってますけど、そりゃ、先発ボランチが長谷部と山口なら、そうなりますよ。攻撃のスピードアップの起点となるボランチの所にゲームメーカー入れてないですもの。そんな事、日本代表で遠藤がいない時とかに顕著だった訳ですし。



今回の試合、見直してチェックしましたけども、チームとして噛み合ってたのは、前半の20~37分と、後半の22分~39分くらいで、他の所は、どうにも噛み合ってません。



こういう試合やってしまうと、監督と選手の間に溝ができかねないんです。監督が戦術をいじって、それで結果がでないという試合なんで、こーなると「この監督の言うこと聞いてたら勝てない」って選手が思うようになりますから。


ちょっとまとめときますが



ザック「2試合続けて、攻撃にスピードがなかった」

選手側「それが問題なら何で先発ボランチに山口と長谷部並べたの?攻撃遅くなるに決まってるじゃん。」


ザック「よりスペースを広げる、特に相手のディフェンスのスペースを広げることができる選手を選んだ」

選手側「じゃあ、何でWGの大久保があんなバイタルに入ってきてるの?」


ザック「パワープレーはしない」

選手側「二試合続けてパワープレーしてるんですけど?」



って形で選手サイドから反発でかねない試合なんですよ、ギリシャ戦。



ザックは試合後、全選手と個別で話し合ったそうですけど、何も起きてない事を祈るのみです。


今日はこのあたりで。ではでは。


2014年ブラジルワールドカップ 日本代表対コロンビア代表のレビュー 「北京五輪世代からロンドン五輪世代へ」

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さて、皆さんこんにちは。本日は先日行われた日本代表対コロンビア代表のレビューをお届けしたいと思います。結果的には1-4での大敗でした。ついでにプレビューもさぼっちまいました。


えっと、これプレビューやったら書いとこうと思ってた事ですが、「正直コロンビア代表に勝つのは難しい」という感じでした。試合前にコロンビアのチェックして、「う~~~ん」と思った事なんですが、日本代表より良いチームでしたんでね。


それと、これは日本代表自体の問題でもあるんですが、


南米地区(CONMEBOL)対戦成績



こっちで南米チームと日本代表の対戦成績をみることが出来ますが、とにかく日本代表は南米チームに弱いです。相性的に最悪の部類です。


対南米での勝率は31.25%、アウェー中立では南米チームに勝った事が一度もなく、1試合平均0.96得点、1試合平均1.62失点と絶望的な数字が並んでます。ホームですら、南米相手には5割勝ててません。


それと一試合で南米相手に2点以上取れたの、47試合中11試合しかないんです。日本代表の歴史では、南米相手には点が取れないのに点を取られるという、救いようがない試合展開が延々と続いてる訳です。



そういう訳で、僕は今回のコロンビア戦で負けた事自体には、あんまり怒ってはいないのです。ギリシャ戦は試合後、怒りが収まりませんでしたが、コロンビア戦に関しては「まあ、こーなるよね」という感じでした。苦手の南米に先制点取られて、後半前がかりになったらカウンター浴びまくって大量失点するよなあ、と。



前振りはこの辺にしておいて、そろそろレビューを始めたいと思います。


日本代表対コロンビア、前半のレビュー


まず、スタメンから入りますが、



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両チームのスタメンですが、こうなってました。コロンビアの方なんですが、スタメンを8人入れ替えてきており、「hahaha、相手にされてねー」という感じでした。もっとも、日本代表としては、1.5軍くらいじゃないと勝つ可能性がないので個人的には「手抜きで頼む」という心理状態でしたが。



日本は香川がスタメンに復帰しており、CFには大久保、ボランチに青山が入ってました。他はいつもの日本代表です。




えっと、この試合の前半の話になるんですが、僕がちょっと驚いたのが、コロンビアが4141にして、日本とシステム噛み合わせてきた事です。4141と4231はシステム面で完全に噛み合っているので、ミラーマッチになります。


コロンビアというチームなんですが、基本的に442、もしくは4231、4312を使ってくるチームなんですが、4141で来るとは思わなかったので意外でした。今大会、日本代表の相手で、予想通りの布陣、戦い方をしてきてくれたのはギリシャのみで、コートジボワールとコロンビアは対日本スペシャルホールドを組んで来てました。相手に対策されるのを防ぐ為なんでしょうけど、W杯本番はガチ度が全然違います。



この日の戦術面でのポイントを先にまとめておきますが、コロンビアは4141で日本とシステムを噛み合わせてきた事、もう一つは詳細は後述しますが、後半開始直後、ハメス・ロドリゲスの投入と同時に両SBあげて来た所になります。




ちと話がそれたので、前半の話に戻しますが、この日の前半に目立ったのが、コロンビアのラインの裏へのパスでした。これは執拗にやっており、チームとしての最初の狙いがライン裏への放り込みだったのは明白です。ただ、これは意外と上手くいってまして、セカンドボールも拾えていたので、前半しばらくすると日本がペースを握る事ができるようになりました。前半8分には大久保の良い裏取りからシュートまでもっていけており、前半9分にも本田のターンから大久保がシュートに持ち込んでいます。



で、前半の入りは悪くなかったんですけど、前半15分、ここで岡崎がやらかします。今ちゃんの対応も不味かったですけど、ココは今ちゃんより岡崎のロストが悪いです。岡崎も「アレは僕のミス」って反省してましたが、ホントにアレなロストでした。



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このシーンなんですけど、とにかくアソコでボール奪われるのはNGで、うっちー上がってきてるの岡崎見えてたでしょ?失ったら上がった内田の裏を使ったカウンター食らうでしょ?という。とにかく、このロストはホントにやっちゃダメなロストでした。もっとも、岡崎に、ああいうプレーさせてもしょうがないってのはあるんです。ギャップに降りてきて違いを作るプレーをさせたいなら適任者は清武です。岡崎は裏へのランニングが持ち味で、ギャップに降りてきて前をむいて違いを作るタイプじゃないんです。


岡崎が試合後、


「今シーズンはずっと考えてて。1年間ずっと1トップで勝負してきて、組み立ても何も考えない状態でずっとゴールだけを任される状態がずっと続いてたんで、サイドからでもやれるっていうところを、自分なりには示せたとは思う。けれど、サイドであれをやるっていうのはやっぱりチームにとってもストレスなのかなと自分は感じている


岡崎がW杯で改めて実感「自分にとって勝負する位置はやっぱりFW」

ってコメントしてますが、今期、マインツで岡崎はひたすらゴール狙う役割をやっていて、組み立てとかは、ほとんどやってませんでした。元々、組み立てに絡めるような選手じゃないんです。下手だし。代表の試合みてて、「岡崎、出来ない事はしないでいいってば」って思うのが、岡崎がギャップに降りてきてボール受けようとする所で、ああいうの見ると「お前、そーゆー選手じゃないだろ?」と思う事が多いです。そんな訳ですんで、岡崎のロストについては、それほど問題だとは思ってません。あーいうプレーをやらせる方が悪い。



ただ、岡崎は前半45分、日本のカウンターシーンで、本田のカットインから得意のダイビングヘッド決めてますので、持ち味を最後に出せて良かったです。あのまま終わってたら、岡崎はブラジルW杯で何もしないで終わる所でした。




日本は前半は1-1で折り返す事に成功しました。前半は悪くない出来でした。もっとも、後半開始早々、ペケルマンが勝負に出て、速攻で日本は2失点目を喫する事になるんですが。




日本対コロンビア、後半のレビュー


さて、こっからは後半のレビューになります。皆さん、ご存じだとは思いますが、後半開始早々、日本は失点しました。コロンビアは後半から、クアドラードに変わってカルボネロ、キンテロに変わってハメス・ロドリゲスが入ってます。クアドラードの交代については、前半、長友のマークを外してしまうことが何度かあった事が原因だと思います。ロドリゲスについては、この選手、コロンビアの中心的な選手でして、入ってきてから全部変わりました。



えっと、後半なんですが、

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システム面だと、こんな感じに切り替わってます。キープレーヤーはハメス・ロドリゲスです。コロンビア代表はCBが繋げないタイプなので、ハメス・ロドリゲスがいないとポゼッション面で問題を抱える事が多いチームだったりします。彼が入ってきてから、コロンビアは、ちょっと戦術を変えていて、コロンビアは攻撃時、両SBを上げて両WGを中に絞らせる。そしてWGを上げたSBで引っ張ってハメス・ロドリゲスにWGが空けたスペースを使わせることで攻撃を組み立てていくって形に変更してます。


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図にするとこんな感じです。コートジボワールにも両SB上げられて日本は苦労しましたが、この試合でもコロンビアが両SB上げて攻撃してくると、日本代表はそれに対応しきれてませんでした。悲惨なほど混乱してました。


この前半4分の時点で、ハメス・ロドリゲスにシュートまでいかれるんですが、その時の流れをまとめると


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こうです。狙いとして両SB上げることで日本のWGを最終ラインに吸収させて、ダブルボランチの両脇にスペースをつくる。そこをハメス・ロドリゲスに使わせる。9分の失点シーンの流れもキャプでやっときますが


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こーですね。ブラジル代表と日本代表の試合やコートジボワール戦を参考にすれば、このチームが両SB上がって来る攻撃に対応しきれないのは明白です。



なので、コロンビアはやってくるんじゃねぇかな、とは思っていたのですが、見事にやられてました。これだけ綺麗にやられると、相手に拍手するしかありません。この二失点目で、ほぼ試合は決まってしまいました。両SB上げてボランチとWGの間を使う攻撃やられると、このチーム、良いようにやられちゃうんです。



コロンビア代表監督のペケルマンが、日本代表のこの欠点、見逃してくれるはずもなく、これはしゃーない部分もあるんですがね。見事にハメられました。



ただね、この日本の二失点目、そして三失点目、どっちも本田のロストからなんですけど、このロスト、レフティのプレーヤーの典型的な欠点がでているので、ちと詳しく話しておきます。



ここからは戦術のお話ではありません。戦術面では、ペケルマンが両SBを上げて両WGを絞らせる攻撃を後半開始直後から仕掛けてきて、それであっさり日本から二点目を奪った時点で終わってます。あれで試合はほぼ決まってました。あの後、コロンビア代表は前がかりになった日本代表からカウンターで点を取れば良いだけでした。



逆足のトラップとレフティにありがちな問題


で、こっからは、技術面のお話になります。技術の話なので、割とマニアックな話になりますが、興味のある人はおつきあい下さい。


サッカーの基本技術の一つに、逆足のトラップというのがあります。基本的に、ボールが来た方と逆の足でトラップする、というモノです。



なんで逆足のトラップがサッカーの大事かというと、ボールをもらった時の視界と身体の角度に関係しているからです。基本的にバルセロナの選手というのは逆足のトラップを徹底的に仕込まれます。バルサの選手は右から来たパスは左足で、左から来たパスは右足でトラップします。レフティのメッシも例外じゃありません。



何でここまで徹底的に逆足のトラップの練習させるかというと、これが出来ない選手をMFに置くと、パス方向が片方のサイドに異常に偏るって現象がしばしば起きてしまうからです。


ちと、絵で説明しますが



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こーなりますが、右サイドからのパスを右足でトラップしてしまうと、視野が右方向に偏ってしまい、右にしかパスが出せないって現象が起きます。例えば、左サイドで追い越す動きをしている選手がいても、そっちの動きに気づかず、右にパス出してしまうわけです。それから身体の角度的に前を向くのには時間がかかります。




これが逆に左足でトラップしたとすると、


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こーなるのですが、トラップすると同時に前を向けるので左方向の視野が取れるわけです。そのため、左から追い越す動きをしていた選手にスムーズにパスを出せる為、ピッチを広く使って攻めることが出来るようになります。




これで逆足のトラップの大事さがわかってくれたかと思います。これが出来る出来ないかで全然違ってきます。バルサが逆足のトラップをメッシのようなレフティにまで徹底させてるのは、こーいう理由です。


ここで問題なんですが、レフティって連中は、この逆足のトラップが下手糞というか、左足にやたらとボールを要求する傾向があるんです。これは、マリノスの中村俊輔なんかもそうなんですが、


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これ、マリノスの試合の一場面ですけど、右足でトラップすればスムーズに前を向けるような場面でも左足でトラップしちゃうんです。これは本当にレフティに多いです。



僕はレフティのプレーを見るのが好きなんですが、レフティの選手のこの傾向だけはホント頂けないと思ってます。逆足のトラップをしたがらないレフティってプロでも多いんです。レフティの場合、左足一本でも何とかなってしまうってのはあるんですけどね。



メッシっていう選手が、そこらのレフティとは全然違うのはココでして、逆足のトラップを習慣化させているので、メッシは左方向から来たパスを右足でトラップして前を向くのがとても上手です。メッシの試合を見たら、彼がどっちの足でトラップしているか注意して見てみて下さい。右方向からのパスは左足でトラップし、左からのパスは右足でトラップしてます。だから、どのエリアでもメッシはスムーズに前を向けるんです。



こっからが本田の話になるんですけど、コートジボワール戦、本田のゴールシーンですけど




本田圭佑ゴール!日本代表VSコートジボワール 2014ワールドカップ 6月15日 ...


このしびれるゴールでしたが、左から来たパスを右足でトラップして前に持ち出して、そこから素晴らしいゴール決めた訳です。これはホントに見事でした。


ただ、このゴール、もう一度出来るかというと微妙なんです。というのも、本田って逆足のトラップについては、不安定な所があって、左足に頼る傾向がとても強いんです。



そういう傾向がある為、基本的に本田の右足にでたパスは、W杯のグループリーグの期間中、明らかに狙われてました。本田の最初のゴールシーンでも、相手のCBは本田が右足のトラップでもたつくと思って飛び込んだんでしょうし。


最初にコートジボワール戦の本田のロストから失点したシーンですけど



本田が奪われボニー同点ゴール!日本代表VSコートジボワール 2014ワールドカップ ...



これなんですが、香川も悪いです。あの状況で本田の右足にパスだしたら絶対狙われるに決まってるじゃん!という奴です。本田は、この日、右足を上手くつかってゴール決めてますが、逆足のトラップは不安定な選手なんです。このシーン、アナウンサーが「本田はちょっと判断が遅れた」って言ってますが、本田の右足にパスだしたら、あーなる事が多いんです。逆足のトラップが不安定な選手で、右足にパス来ると足下とボールを見ちゃうし、右足から左足にもちかえる時ボールコントロールが不安定になるので判断が遅れる事が多いんです。



次にコロンビア戦の二失点目の前の本田のロストですけど、



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このシーンなんですけど、本田、右足でトラップしてれば簡単に前向けたよね?というシーンなんですけど、左足でトラップしてしまってるんです。で、左足でトラップした分、前向くのに時間かかってしまい、相手ボランチに距離つめられ、一人はかわしたんですが、その後でロスト。メッシだったら、右足でトラップしてすばやく前向けるので、こういうロストはしません。



さらに三失点目の本田のロストですけど、



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これですね。これ、最初みてた時は、パスだしたの香川だと思ったので、「ふざけんなこのオバカ!二度目だぞ!!」とか怒り心頭になったんですが、見返してみると、パスだしたの山口でした。


このシーンもそうなんですけど、本田は逆足のトラップからのプレーが不安定な選手なんで、左サイドから本田の右足にバレバレのパスだしたらボール狩られるんです。なのに何で本田の右足にバレバレのパス出すかな・・・・という感じで、見てて怒りがこみ上げてきた訳です。パス出した方にも、ロストした方にも。


本田って選手なんですが、右から来たパスを左足でトラップして前向くのはとても上手です。ただ、逆足のトラップは上手くないんで、左から来たパスを左足でトラップする事多いです。後半47分の本田のプレーでもそうですが、左サイドの清武からのパスを左足でトラップ。その後、二人に囲まれながら前を向いたのはホント凄いんですが、ボールを止めたのが左足だった関係上、右で大久保フリーなのに、そっちに出さない。左からのパスを左足でトラップしちゃうと、右方向の視界が取れないので、ああなっちゃうんです。



レフティの選手って、右サイドでフリーの選手を見えてない事多いんですけど、これはレフティのトラップするときの足に一つの原因があります。左サイドから来たボールを左足でトラップするので、右サイドの選手が見えないんです。



ただ、それでも左足にパスだす限りにおいて、ボール失うことは少ないですし、本田は囲まれてもターンできますから、本田に対しては左足にパスすべきってのがあります。


山口にしろ香川にしろ、本田とはそれなりに長い時間プレーしてるのに、なんで本田の右足にああいうパスだすかな、と不思議でしょうがないです。ああいうパスを右足にだしたら、どういう結果になるか、わからないような選手達じゃないんですけどね・・・



本田なんですけど、ミランでは右WGとして使われていたので、基本的にパスは左方向から来ます。でもってセリエAのDFには、かなり早い段階で、逆足のトラップが不安定だって事がバレて本田の右足に入ったボールは狙われるようになってました。ローマ戦で、本田に左から右へのサイドチェンジが入ったことがあるんですが、本田の右足へのパスだったので、簡単にDFにボール狩られてました。ミランで右足に入ったボールをセリエAのDFにあっさり狩られるケースを何度か見ていた為、W杯で狙われるんじゃないかと危惧してた部分はあったんですけど・・・





今回のW杯では本田の逆足のトラップが不安定な事から起こったロストが三つあり、それが失点に繋がっているので、ちとまとめてみた次第です。レフティだろうと、メッシがそうであるように、小さい頃から逆足のトラップは習慣にしといたほうが良いです。


メッシは史上最高の左足をもっている訳ですが、そんな選手でも逆足のトラップをしてるって事を覚えておいてください。ホントに大事なテクニックなんです。ポゼッションサッカーでは視野を広く取り、良い身体の向きでパスコースを作り続けないといけませんが、これには逆足のトラップが必須なんです。また、カウンターシーンでも、逆足のトラップができるかどうかで、カウンターのスピードがまるで変わって来ます。日本がコロンビアに4失点目を喫したときのコロンビアのCFのトラップを見ればわかると思うんですが、



ハメス・ロドリゲス(J.RODRIGUEZ)の美し過ぎる4点目ゴール!! コロンビアvs.日本(24 ...


CF(右利き)が右からの楔のパスを逆足のトラップしてるのがわかると思います。このおかげでスムーズに前を向け、左方向の視界を取れてるわけです。で、左にいたハメス・ロドリゲスにパスしてコロンビアは4点目。ココ、右足で止めてたら、スムーズに左に出せませんから、うっちーのカバーが間に合ってます。



一応、本田のフォローもしとくと、彼も意識的に逆足のトラップは心がけています。ただ、技術面で向上の余地があり、彼の今後の課題の一つになってます。



北京五輪世代からロンドン五輪世代へ


最後になりますが、今回のW杯は北京五輪世代を中心として臨んだW杯です。彼らは年齢的に現在が選手としてピークにあり、よい時期にW杯に臨めたわけですが、結果はついてきませんでした。


試合後、


【W杯】清武「キャプテン」立候補!4年後主役へロンドン五輪組が決起集会



こんな記事があり、ロンドン五輪世代が 「ロシアは自分たちの世代がやらないと。頑張ろうと言い合った」そうですが、サッカーの世界ではW杯ってのは節目でして、W杯の前後は世代交代が進みます。



今回のW杯は北京五輪世代を中心に編成されており、主力はほぼ北京五輪の選手でした。ただ、彼らはロシアでは、すでに選手としてピークを過ぎた年齢になるため、次のロシアワールドカップは、ロンドン五輪世代を中心に編成していく必要があります。



ザックは今回で退任するようなので、次の日本代表監督はアジアカップ制覇を目指しつつ、北京五輪世代からロンドン五輪世代への世代交代を進めていく事になります。怪我の功名っちゃなんですが、ワールドカップで早期に負けたチームって世代交代は進めやすくなります。逆に勝ってしまうと、次のワールドカップまでに世代交代がしにくくなるんです。これはクラブチームでもそうですけどもね。



という訳ですので、お疲れさまでした、日本代表。北京五輪世代は色々ありましたが、散々だった北京五輪から良くここまで立て直したと思います。なんせ三戦全敗で夢も希望もありません状態でしたからね。



ロンドン五輪世代に関しては、これからの日本サッカーの旗手は君たちです。ロシアワールドカップは本田や長友や内田のような北京五輪世代でなく、君たちが主役です。今回は呼ばれてませんけど、原口、柴崎、宇佐美、ロンドン五輪世代の多くの選手達。これから4年間は君たちが日本のサッカーを引っ張っていくんです。




ではでは。

セリエAと守備の文化はどこへ逝った?

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皆様、お久しぶりの更新でございます。盛大にさぼってましたが、私は元気です。


えーと、本当はW杯の総括とかやった後に日本代表の話して、アギーレジャパンの話でもしようかと思ってた訳です。サボっちまいましたがね。ただ、先日、サッカーニュース眺めてたら、



財政難のセリエA、チーム数と所属選手数を削減へ…FIGC会長が明言



こんなニュースが飛び込んできまして、「あーあ」という感じです。セリエAなんですが、昨今、もう問題山積みでして、ウンザリするようなニュースばかり目につくリーグなんですが、またウンザリさせられました。


実は、ホントは日本代表と守備の話について書こうと思ってたんです。こないだの親善試合2試合で、日本代表はやらかし4つで未勝利になりましたんでね。「日本には守備の文化がない」と言ったのはトルシエですが、それから随分経つ訳ですが、日本代表は相変わらず守備の基本の所でミスが多いです。


ちょいと、先日発売されたフットボール批評の紹介をさせてもらいますけど、


フットボール批評issue01 アギーレを殺すのは誰か?

フットボール批評issue01 アギーレを殺すのは誰か?



この中の記事でシエナのユース監督フランチェスコ・マクリのコロンビア対日本戦の分析が載ってます。宮崎隆司さんの記事です。で、内容はっつーと、



世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)

世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)



宮崎さんの著書である、これの奴とそう変わりません。この本の中で、何度も「守備における初歩的なミスが多すぎる」とイタリア人監督に指摘されてるんですけど、マクリの結論もそれと一緒です。ちと、フットボール批評の記事から引用しますが、

「いずれも『一対一の基本』に反した守備。代表レベルのディフェンダーがこのレベルでは、やはりこう問わねばならないでしょう。一体どのような指導が育成年代で行われているのか?小さくない疑問を抱かずにはいられません。『一対一』はもちろん、最も重要である『2対2』の守り方、ここを徹底的に改めるべきではないでしょうか。逆にいえば、そこが徹底的に強化されれば、日本代表はより勝てるチームになるはずです」


って奴です。記事の詳細な内容はフットボール批評買って読んでください。書いてあるのは極めて基本的なレベルの話で、「前を向いている相手に無闇にボールを奪いに行ってはならない」、「スライディングは守備の最終手段」っていう一対一の基礎的なレベルの話を日本代表の選手が守れていない、「一人が上がれば一人が下がる」っていう2対2の守備の基本が出来てないなんて話です。



この話は、宮崎さんの前著でもイタリア人監督が繰り返し繰り返し指摘している事で、いつまで経っても治らない日本代表の守備の問題点であります。岡田、ザック、アギーレと監督が変わって選手が変わっても治る気配がありません。そもそも論として、インテルでプレーしてる長友がこのセオリーを守れてない事がある訳です。イタリアでプレーしてる長友がアレなんですから、他の選手がミスするのは当然としか言えませんし、代表監督がいくら指導した所で焼け石に水なんですけどもね。



そもそも、こーいう基本を教えるのは代表監督の仕事じゃありません。ユースの監督の仕事です。だから、マクリに「一体どのような指導が育成年代で行われているのか?小さくない疑問を抱かずにはいられません。」とか言われちゃう訳です。



ただね。


先日行われたインテルサッスオーロミランパルマの試合なんですけど、もう信じがたい守備のミスが連続した結果、大量に点が入るというセリエAでは考えられない試合展開になってました。この二試合、ホントにありえないミスが出てます。



インテルサッスオーロミランパルマの試合におけるミスの話


まず、試合のハイライトへのリンク貼っときますが、


FCインテル・ミラノ vs USサッスオーロ・カルチョ


[セリエA 2014-15] パルマFC vs ACミラン



この二つです。ちなみに僕はインテルサッスオーロはハイライトしか見てません。ただ、インテルの試合に関しては、ハイライトみただけでも、サッスオーロの右CBがおかしい動きしてます。ありえません。



まず、インテルの一点目ですけど、サッスオーロのCBが飛び出し過ぎです。なんであそこまで飛び出したのか意味不明です。ガンバの今ちゃんを「食いつきすぎる」と言ってきた僕ですが、こんな食いつき方は今ちゃんだってしません。しかも、空けたポジションを全力で埋めないといけないのに、途中からあきらめてジョギングしてる。CBのプレーじゃありませんよ、あんなの。それと右SBはなんでCBが飛び出した後のカバーに入ってないのかも意味不明です。


その後も延々コレです。CB突っ込んで交わされる、右SBは中央のカバーしない。この連続です。イタリアの守備のスタンダートに照らせば、ありえない守備です。この試合、インテルは全得点、サッスオーロの右CBと右SBの所で取ってますけど、あそこはありえないレベルの酷い守備でアマチュアかよってレベルです。CBが突っ込んで交わされて、その裏をSBがカバーしてないからインテルにやりたい放題やられて7失点です。


ちなみにミランの試合では、パルマの13番の右SB、6番の右CB、この二人でミランに4点プレゼントしたようなもんです。1点目と2点目、パルマの右SBは一体何をしてるんだ?という感じです。ただ、ミランの1点目と2点目はまだ良いんです。本田のゴールも素晴らしいヘディングでしたしね。


ただし、3点目のPKに至るプレーではDF陣はどういうポジショニングしてんだって話です。メネスはスピードがあるのわかりきってたろ。なのに、パス一本でぶっちぎられてPK与えるとか。



4点目に至っては、これ言語道断でして、言い訳ができる訳がない酷さです。CBとSBのパス交換で、デヨングに取ってくださいと言わんばかりのスピードの緩いパスをしてるばかりか、右CBの6番のポジショニングがまたおかしい。イタリアの予防的カバーリングはどこにいったって話です。そして5点目は、右SBのありえない緩さのバックパスかっさらわれてやられてます。


ハイライト見ただけでアレですが、イタリア人監督が言う所の「守備の文化」は何処に行った?という話です。これら2試合のハイライトでは「前を向いた相手に無闇にボールを奪いに行ってはいけない」、「スライディングは最後の手段」、「予防的カバーリング」、「一人が上がったら一人は下がる」、「最終ラインでのパス回しではパスコースを複数用意しておく」って基本が出来てないんです。



セリエAでこんなプレーが起きてる以上、セリエAは組織的で守備的とかいう看板はもう必要ないと思いますよマジで。トップリーグの連中がこんなプレーを見せてるのに日本代表の試合みて「イタリアならユースの段階で叩き込まれる動きが出来てない」とか、どの口で言えるのかと。



正直な話、サッスオーロパルマの守備みてから、日本代表の守備についてアレコレ言うのが馬鹿馬鹿しくなりましたわ。セリエAのクラブであれじゃ、Jリーグのクラブも日本代表も似たようなモンでしょ。どこに守備の文化があるのだ。ネバーランドか。



でもって、ついでに、サッカーにおける八百長の手口について、ちょっと書いときますがね。



あなたの見ている多くの試合に台本が存在する

あなたの見ている多くの試合に台本が存在する



これは、「黒いワールドカップ」の著者、デクラン・ヒルがサッカーにおける八百長について取り扱った本です。この本の中には、八百長の例がいくつも載っているんですが、その中に、


ディフェンダーがキーパーにパックパスを出すとき、敵のフォワードが奪いやすいようにゴールキーパーがクリアもキャッチも出来ないような中途半端なパスを出す。得点をプレゼントするようなものだ・・・・サッカーファンならそういうシーンを見たことがあるはずだ。でも、偶然の産物でないこともある・・・・。

ボリッソー他、1960年、II


ってイングランドの話と、マレーシア・リーグの有名選手の警察での自供、


左右のディフェンダーは敵に攻められている中央のスイーパーをサポートしない。中央のスイーパーは左右のディフェンダーが敵に攻められていてもサポートしない。守備陣は全力でプレーせずに敵がかわしてゴールへ迎えるようにする。

ってのが紹介されてるんですがね。こういう話を知ってるんで、僕は汚れているせいか、こーいうプレーを見ると、八百長疑っちまう性分なんです。



この試合で見られたミスって、これらのミスがほとんどなんですよ。ただし、八百長なのか単なるミスなのかは、プレーだけからは判別できません。これが八百長の面倒なところですけど、「単にミスから抜かれたのか、故意に抜かれたのか」は判別できないんです。なので、八百長が発覚するのは大概の場合、警察の捜査があった場合に限られます。カルチョポリもそうでしたけど、警察がメディアにリークしてからですからね、騒がれたの。



セリエAと守備の文化はどこへ逝くの


ここまでの話、僕にとっても書いててあんまし気持ちの良い話ではないです。ただね、セリエAについては、正直、「もうダメだわ、あそこ・・・」ってのが正直なところです。



イタリアサッカー連盟の新会長タヴェッキオについては、先日、問題発言で物議を醸してましたが、とりあえず、それは置いておくとして。



以前、こんな記事がイタリア紙コリエレ・デッロ・スポルトで出たそーです。




イタリアサッカーに革命を起こす「カルチョの再生 5つの提言」




この五つの提言なんですけど、「2.安全で快適なスタジアムを」と「5.スター選手の学校訪問」は良いと思うんですが、他は疑問なんですよ。


ただ「1.セリエAを18チームに」なんですけど、これ時々日本でも議論のネタになりますよね。日本代表の選手の日程がきつすぎるから、J1のチーム数減らして代表強化の日程作ろうって奴。プレミアの過密日程もよく問題にされますがね。


ただ、代表強化の為にリーグ戦の試合数減らすとか本末転倒です。普通に考えたら、単にチームの広告収入と観客動員減ってチケット収入減るだけです。ついでに試合数減ったら、その分、TV放映権料も減りますけど良いんですかね?クラブの収入減ったら、ユースに投資する為の金も減らさないといけなくなりますよ?それが代表強化に繋がるんですかね。


それと関連するのが「3.若手の育成」なんですが、ドイツ代表があそこまで強くなったのって、2000年代のユーロでの惨敗から、ずーっと継続的にユースに莫大なお金を投資し続けたからでしょうに。ドイツは18チームでリーグ回してますけど、それとドイツ代表の強さはそんな関係ないでしょう。あそこが強くなったのはユースに15年間、辛抱強く投資を続けて、その見返りを今受けてるだけな訳で、投資もせずにリターン得ようとかどーなってんですかね?



あと、WSDのNo418でイタリア人記者のジャンカルロ・パドバンがタベッキオをdisってるんですけど、その記事の中にタベッキオが会長やってたLND(イタリアのアマチュアサッカー連盟)の高額な登録料の話があるんですけど、あれマジなんですか?アマチュア最上位の5部リーグの登録料が年間6700ユーロ(約93万8000円)とかギャクの領域なんですが。



ユースに投資せず、アマチュアサッカークラブ、選手から登録料吸い上げてるようじゃ、人気も実力も落ちて当然だと思うんですけどね。



でもって、「4.多すぎる外国人選手」です。これはプレミアでもよく問題にされます。プレミアは外国人選手取りにくいリーグな訳ですけど、それでも外人が多く、「イングランド人が外人選手のせいで試合に出られない」ってのが問題視されてます。それはある意味では事実な訳ですが、問題なのは、「イングランド人プレミアム」です。つまり、“ホームグロウン・ルール”が制定されて以来、イングランド人選手の移籍金、給与がどんどん高騰してるって奴ですね。これね、“ホームグロウン・ルール”みたいなルールを作れば副作用として当然おきます。


こうならない為には前もってサラリーキャップ作るしか無いわけです。セリエBではすでにサラリーキャップがあるようですが、ホームグロウンルールをやるなら、セリエAにも必要になってきます。


ただ、これやっちゃうと、イタリアで育てた才能が他国のビッグクラブに引っこ抜かれていく事になるんです。結局、スター育てても、すぐに海外に取られちゃうというアレ。




も一つ、凄く嫌な話もしときますが、セリエAセリエBからチーム数減らすとします。そうなると、降格レースは、生きるか死ぬかの戦いです。セリエAは勿論ですが、セリエBとCじゃ全然違いますから、命がけになります。もともと、セリエB八百長やポイントの売り買いが多いので有名で、コンテもセリエB時代にそれ関連でやらかして、監督の資格停止されてた期間もあったわけですよ。今回紹介したデクラン・ヒルの著書にもセリエBにおけるポイント売買の話が出てきます。


セリエAとBからチーム数減らすなんて話をサッカー連盟の会長が宣言したら、まず間違いなく、セリエBではポイントの売買が始まりますけど、ホントにそれで良いんですかね?セリエBは人気がないから別にコンペティションとして滅茶苦茶になってもいいという判断なんでしょーか。セリエBなんですけど、J2より平均観客動員少ないです。


これから3年間かけてセリエAのチーム数減らすみたいですが、その期間、セリエAでもポイントの売買が盛大に行われる可能性があるんですけどね。大丈夫なんですかね?もう一回、カルチョポリクラスのスキャンダルが起こったら、セリエA終わりますよマジで。


カルチョ・スキャンダル


カルチョポリの時、ユーヴェが不正に手を出した背景には、


1、本拠地移転したことによる観客動員数が低下
2、フィアットからのスポンサー資金の供給停止


による国内でのユーヴェの競争力の低下があった訳なんですけど、大丈夫なんですかね。今度はヨーロッパレベルでの競争力の低下なんですけどもね。


嫌な話ばっかりしてますが、セリエAなんですけど、現状、イタリアサッカー連盟の新会長はアレだし、スタジアムは酷いの一言。スタンドでは人種差別発言が飛び交い、試合前にアウェーチームの選手がバスでスタジアムに移動する際にはサポから投石されるから窓も開けられない。セリエBでは、しょっちゅう八百長騒ぎが起こってるし、セリエAに本物のスター選手はほぼ皆無といった状態です。ついでに経済も金融危機以来アレですし。その上、セリエAの試合じゃ、頼みの守備すら酷いレベルの試合が繰り広げられている始末で、手に負えません。



ホントは日本代表の話をしようかと思ってたんですけども、セリエAの試合であまりに酷いモンをみたので、そっちに切りかえた次第です。イタリア人監督に日本代表の試合見せると、「守備の文化がない」「ユースで守備の基本教えてないんじゃないか?」とか言われちゃうし、ザックやフィカデンティは「日本の選手は守備の個人戦術がちょっと・・・」って言われちゃってます。でもって、こないだの親善試合でも、やらかし4つで4失点とかいう輝かしい記録を作ったばかりなのですが、サッスオーロパルマが日本代表を超えるやらかしを一試合でやってたので、守備の文化どうこう言うのが馬鹿らしくなった、そんな週末でしたとさ。


あれが八百長ならその時点で問題ですし、八百長でないなら守備の文化はどこに行ったという話です。


なんかまとまりのない話になってしまいましたが、本日はこのあたりで。ではでは。

欧州サッカーのビジネス化、それに伴う格差の拡大の話

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CLで勝つ方法は何か?


他のCL出場チームからエース引き抜く。終わり。


と書いてしまうと身も蓋もない訳ですが、この話はこれに尽きます。実際、メガクラブはこれをやる事で欧州での競争で優位に立ってます。長い目でみると、これが出来ないチームはCLで勝てなくなります。



突然ですけど、こんな話をしようと思います。きっかけは、



もはや日本人はプレミアでプレーできない!?


この記事を読んだのと、先日セリエAの話をしたので、その続き的な内容になります。セリエAとプレミアのビッグクラブは昨今、ヨーロッパでぱっとしないンですが、何でかというと、最近のヨーロッパのサッカー事情と関連があります。今回の話も、サッカーの戦術の話ではありません。金金金のお話になります。


このニュース読んで思ったのは、プレミアはもう東アジアからの放映権料無しにはやっていけれないようなレベルになってるんですが、東アジアのプレーヤーがほとんどプレーできないような規則作っていいのかなあ、又イングランド人選手の給料が高くなるなあ、という感じです。




欧州サッカーの基礎知識、ボスマン判決

さて、欧州サッカーのお金の話をする前に抑えておかないといけないのがボスマン判決になります。詳しい内容は、wikipediaにあるので、そっちを読んでください。


ボスマン判決



これですね。



で、なんですけど欧州サッカーの基礎知識として、ボスマン判決を知っておく必要があるのは、ボスマン判決前は契約が満了しても選手はクラブの意志に反して移籍をすることが出来ませんでした。また、EU内の各国サッカーリーグにはほぼ全て外国人枠が存在し、クラブが使うことができる外国人は4~5人までに限られていました。しかし、ボスマン判決後、


1,サッカー選手は契約が満了したらフリーで移籍する事ができるように。
2、EU国籍の選手であれば無制限にピッチに立たせる事が可能に。


になったんです。


これによって、事実上、欧州サッカーでは、「EU圏内のスター選手を金で買い集めてチームを強化可能」、「CLでライバルになる国外チームのエースを引き抜いて弱体化させることが出来る」世界に突入したんです。


ボスマン判決の影響を即受けたのは、ファン・ハールが率いてた「マイティ・アヤックス」の崩壊です。1994-95シーズン、CL決勝でACミランを下し優勝した若きアヤックスのメンバーは、ボスマン判決後、次々とビッグクラブに引き抜かれ、アヤックスは以後、ヨーロッパの舞台で競争力を失いました。



欧州サッカーの基礎知識、サッカービジネスのトレンド


次に欧州サッカーのビジネス上のトレンドを説明する上で三つのキーポイントを上げます。


1、スタジアムの近代化と演出の強化
2、有料衛生放送の出現とTV放映権料の高騰
3、サッカービジネスのグローバル化


この三つですが、1に関しては、プレミアが先鞭をつけました。フーリガン対策と二つの大きなサッカースタジアムでの悲劇が契機となったんですが、スタジアムが近代化され、試合における演出が強化されています。わかりやすいのは、CLですが、試合前に荘厳な「チャンピオンズ・リーグ・アンセム」が奏でられ、CLのバナーでスタジアムが飾り付けられるといった特別な演出が施されています。あれはCLのブランド化戦略の一つなんですが、こういったスタジアムの特別なブランド・プロモーションは欧州サッカーのトレンドであり、スタジアムを一つの巨大な複合アミューズメントパークとして扱うようになってきてるんです。



2に関しては、冷戦が終わると同時に、多くの軍事衛星が民間に払い下げられました。この結果として、有料衛星放送局が誕生することになるんですが、その時、視聴者を集めるためのキラーコンテンツとなったのがサッカーでした。イギリスのBskyBは、プレミアリーグの試合を独占することで、短期間で黒字化することに成功しました。これが契機となって、キラーコンテンツであるサッカーの放映権料は高騰していく事になります。ただし、この副作用として、TV局の論理がサッカーの世界に強く入り込むようになります。昨今の試合数の増加、日程や時刻へのTV局の干渉は、ある意味でビジネス上、必然の結果でした。




最後に、3のサッカービジネスのグローバル化なんですが、


開幕時から実に17倍の8000億円超に プレミアリーグの放映権料はどこまで高騰するのか


こちらの記事にありますが、プレミアリーグの放映権料は8314億円で、その内訳をみると、海外放映権料がおよそ3573億円。うち44%がアジアからのものとなっており、東アジア地域からの放映権料は今や、プレミアリーグにとって欠かせないモノになっているんです。


それから忘れちゃいけないのはプレミアの胸スポです。



プレミアリーグのユニフォーム胸スポンサー企業


こっちをみればわかると思うんですが、胸スポのうち半分くらいは海外の企業なんです。アジアの企業が胸スポについてるチームも多いんですね。



これがサッカービジネスのグローバル化であり、海外市場からの放映権料、コマーシャル収入、特に東アジアからのそれは、もはや欠かせないレベルのモノとなっているのが現状です。



こういった要素を欧州サッカーにおいていち早く取り入れる事に成功したのがプレミアリーグだったりします。セリエAはTV放映権料でがっぽり稼ぐことには成功したのですが、他の面で遅れを取りました。ブンデス、スペインは彼らの後を、追うことになります。


1990~2000年におけるイタリアの栄光と没落

さて、まずはこの話から。セリエAは、1990年~1997年までUEFAカントリーランキングで一位でした。そして何より、CLが始まった1992年から1997年まで、6年連続でCLファイナルにイタリアのクラブは進んでいます。


この1992~1997年の時期というのは文字通り、セリエAが世界最強のリーグであった時期です。古き良きセリエAの時代です。


しかし、1990年代半ばから、セリエAでは放映権高騰もあり、各チームのオーナーが放映権高騰を見込んだ補強を繰り返すようになった訳ですが、そこにやってきたのが「サッカーバブルの崩壊」です。これによって、セリエAのビッグ3を除くクラブは壊滅的な打撃を受けることになりました。


そして、セリエAUEFAランキングで一位から滑り落ちる事になるのが1999年なんですが、この年からセリエAは放映権をリーグ一括管理からチーム個別契約という方式に変更してます。この方式、今のリーガ形式ですが、ビッグクラブはよくても中小にとってはきつい仕組みです。この後、セリエAのクラブは欧州で以前ほど勝てなくなっていきます。(もっとも、一括管理にすぐ戻しちゃうんですけどね)


セリエAの没落を示す最大の指標は、クラブ・リーグの売上が伸び悩む一方で、UEFAカントリーランキングが低下していった事です。特に、2000年代後半にはセリエAの競争力の低下は顕著になります。2000年代後半の5シーズンで、EL、CLのベスト8に入ったイタリアのクラブがわずか7しか存在しませんでした。


このようにセリエが停滞する一方で、暗闇から抜け出して世界トップのリーグに駆け上がってきたのがプレミア・リーグです。



プレミアリーグの誕生とビッグ4の栄光

さて、次がプレミアリーグのお話になります。セリエAが2000年代に入って停滞する一方、2000年代に入ってから急成長を遂げたのがプレミアリーグになります。



プレミアリーグの歴史については、wikipediaにまとまってるので


プレミアリーグ


こちらをどうぞ。イングランドサッカーの暗黒期は1980年代でして、スタジアムの老朽化、フーリガン問題にイングランドは悩まされていました。今のセリエみたいな状況ですが、この時期、イングランドサッカーはアメリカのNFLを模範としたエンタテイメント性が高く、収益性の高いシステムへの移行を模索しはじめます。経緯は省きますが、その結果として誕生したのがプレミアリーグであり、スポンサー・TV放映権を一括してリーグで扱うシステムを取り入れます。プレミアリーグのやり方はその後、多くのリーグで取り入れられていくことになります。


で、なんですけど、プレミアリーグが誕生したのが1992年になるんですが、これ以降、プレミアリーグは売上高を劇的に伸ばし続けます。


Deloitte Football Money League



こちらで、Deloitte Football Money Leagueを紹介しときますが、ここのSummary table: Some teams appearing in Top 10を見て欲しいのですけど、2011シーズンまでにイタリアのビッグ3は、プレミアのビッグ4に売上高で完全に上回られてしまいました。そして、売上高を伸ばしたプレミアは、2004年にUEFAカントリーランキングでセリエAを抜くと、2006年以降、リーグランキング首位に躍り出ることになります。2006~2008年までの3年間、CLのベスト4の12チームの内、8チームがプレミアという極端な状況になりました。プレミア栄光の3年間です。


そして、この背景にあるのがプレミアのクラブの豊富な資金力です。


もう身も蓋もない話ですが、この時期、CL決勝を戦ったプレミアのチームのメンバーをみてもらうとわかりやすいんです。


UEFAチャンピオンズリーグ 2005-06 決勝


UEFAチャンピオンズリーグ 2007-08 決勝


UEFAチャンピオンズリーグ 2006-07

UEFAチャンピオンズリーグ 2008-09


これで、CL決勝戦ったプレミア以外のチームとプレミアのチーム見れば、すぐわかると思うんですが、プレミアのチームって、外人傭兵主力のチームなんです。まあ、金がうなるほどあるんで、その金で外人傭兵かき集めてヨーロッパで勝つっていう身も蓋も無い事やってるのがプレミアだったりします。



2000年代ってのはプレミアの大躍進とプレミアビッグ4の栄光の時代でした。UEFAカントリーランキングでもイングランドが首位に躍り出る事なります。


でもって、2000年代後半から、世界中から金で良い選手をかき集めたチームがCLで勝つって傾向が鮮明に出始めます。


これはバイエルンみたいなチームでもそうなんですが、2012年、アリアンツチェルシーとCLファイナルを戦ったバイエルンのメンバーの内、ドイツ人は8人でした。しかし、2013年、ドルトムントを破ってCLを取った時のスタメンでドイツ人は5人。残り6人は外国人選手です。


2010年にCLを制したバルサはスペイン人中心で11人中7人がスペイン人です。しかし、2011年のチェルシー、2012年のバイエルン、2013年のレアルと外人傭兵中心のチームがCLファイナルで勝ってる訳です。


金で世界中から良い選手かき集めないとCLで優勝できない、そんな流れが出来て来つつあるわけです。



2000年代後半、スペイン2強のスーパー化とブンデスの復活

そして、これが近年の最も大きなトレンドといって良い出来事になります。それがスペインのレアルとバルサのスーパー化です。


バルサとレアルなんですが、2014年現在、年間売上高が5億ユーロ前後というモンスタークラブに成長してます。


これがどれくらいデカイ金額かというと、J1の全チームの売上総額が540億前後だというのを比較対象として出すと、どれだけモンスターかがよくわかると思います。レアルは、たった一つのサッカークラブでありながら、J1全体以上の金を稼ぎ出している訳です。


最近、プレミア勢がぱっとしませんが、これは、彼らが没落した訳ではないんです。彼らの資本力は相変わらず突出してます。ただし、他のリーグがプレミアを急追しているんです。リーグアンブンデスは昨今、売上を伸ばしており、特にブンデス勢の売上の増加は目を見張るものがある。つまり、ブンデスとの差が相対的に縮小してきてるんです。


ブンデスは2005年あたりから売上が急激に伸びており、それが昨今のブンデスの躍進を支えている要因です。セリエが停滞していた時期に、急激に伸びたのがブンデスリーガなんですね。


2013-2014年度でみるとレアルは売上を5億1000万ユーロ、バルサは売上が4億8000万ユーロと他のクラブの追随を許さないレベルに伸ばしています。ブンデスではバイエルンが3億6000万ユーロ、ドルトムントが2億7000万ユーロとなっており、プレミアのクラブでもそう簡単には手出しができない存在になっています。



昨今のプレミアの不振は、スペイン2強とバイエルンがプレミアのビッグ4ですら勝てないレベルの資本力を持つにいたった事、そしてドルトムントのようなクラブがチェルシーアーセナルレベルの売上を持つに至った事が大きいんです。もう一つ、ビッグ4の顔であったマンUがグレイザーによる買収によって多額の負債を抱えたため、思うような補強が出来なくなった事も一因として存在しています。


現在のプロサッカーとは、相手の大駒を買い取って、自分の持ち駒にできる将棋みたいなもの


ボスマン判決以降、プロサッカーとは、相手の大駒を買い取って、自分の持ち駒にできる将棋みたいなものになってしまいました。バイヤンが国内一強なのは、ライバルのスター選手を引き抜いて、ライバルチームを弱体化させてるからだってのは知ってる人が多いと思います。


このバイヤンによるブンデス戦略が世界規模で行われるようになったんです。


放映権収入が細いオランダ、フランスなどは、まず草刈り場にされました。結果として、オランダ、フランスは代表は強いけれど、国内のクラブはCLで勝てなくなりました。



そして、最近ではメガクラブ(売上高が4億ユーロを超えているバルサ、レアル、バイヤン、マンU)や中東のオイルマネーをバックにつけたクラブが、他のCL出場クラブからスターを引き抜いていくような事が頻繁に起こるようになってます。身も蓋もないライバル潰しですけど、これが一番効果的なんです。



どんなに相手チームを研究しようが、戦術を突き詰めようが、チームのキープレーヤーをライバルチームに根こそぎ強奪されたら勝つ事は出来ません。1シーズンに限って言えば勝つ事は可能でしょう。例えば、昨年のアトレティコのようにね。でも、ビッグクラブは、アトレティコなんて潰すの簡単なんです。主力を全員引き抜いてしまえばいいだけなんだから。実際、アトレティコの主力はビッグクラブによってガンガン引き抜かれました。



ボスマン判決後の欧州サッカーの世界は将棋に喩えれば、相手の大駒を買い取って自分の持ち駒にできるようなモノです。プロ同士の対局が始まる前に、大駒全部買い取られたら、勝負になりません。現在、サッカーで起きているのはそういう事でなんですね。CLでもそうですが、メガクラブがCLのライバルクラブのエースを片っ端から引き抜いてしまう事なんて珍しくも何ともなくなってます。


今年に限って言えば、リヴァポのスアレスバルサに引き抜かれてますし、アトレティコチェルシージエゴコスタを取られてます。


金の無いクラブでも、1年に限っていえばCLで勝てるかもしれない。


しかし、2年目、3年目は勝てなくなる。なぜなら、メガクラブ、ビッグクラブ、オイルマネーによって、根こそぎスターを引き抜かれてしまうからです。



そして、今、イタリアに起きてるは、そういう事であり、ミランがPSGにイブラとチアゴ・シウバを抜かれたのは、彼らの立場が、かつてのオランダやフランスと同じレベルにまで落ちている事を示しています。


イタリアが勝てなくなったのも同じ理屈です。かつてはライバルのエースを引き抜く事ができた。だが、今は引き抜かれる立場なんです。1度こうなったら、ヨーロッパの舞台では勝てなくなります。例え1シーズン勝てたとしても、翌年にはキープレーヤーを根こそぎ引き抜かれるので、また勝てなくなります。



プレミアやブンデス、スペインのメガクラブは、ミランインテル、ユーヴェのスターを引き抜けるが、逆は出来ない。これが、今のセリエの状態です。



昨今、バイエルングアルディオラの招聘から色々やっていますが、欧州の舞台でレアルとバルサの売上の伸びをみていれば、このまま行けば、彼らとバイエルンの差は開く一方です。そして、一旦、埋められない資金差をつけられた場合、バイエルンが国内でそうしたように、格差を固定するのは簡単になんです。つまり、エースを引き抜いてしまえばいい。


バイエルンは今後、スーパー化しなければならないんです。そうならなければ、どうなるかは、彼らが一番よくわかっているんです。何故なら、彼らこそ、ブンデスで、ライバルのエースを根こそぎ引き抜いて潰して回るクラブなんですからね。


ただ、スペイン2強の売上高の伸びに関しては、直近だと止まったと言う話もあります。


総額6億2000万ユーロ、その内3億6100万ユーロが流動負債


こっちにもありますが、バルサとレアルは負債がやばいレベルになってるので、近年動きが鈍くなりつつあります。


最後に、今後の欧州サッカービジネスについて


さて、最後なんでまとめておきます。


2000年あたりから、サッカーはスポーツでなくビジネスとしての側面を強く持つようになりました。まあ、なんというかアメリカンスポーツみたいな感じです。


ただ、行きすぎたビジネス化の流れは、これまで見てきたように、ビッグクラブとそれ以外という格差の拡大を生んでおり、CLに出られるクラブが、さらに収入を増やして、その金を使って選手をかき集めてさらに強くなる、という流れを加速させている訳です。


それがCLから入る収入やTV放映権料で何とかなっていれば良かったんですが、昨今では選手の移籍金が高騰しすぎて、ビッグクラブはどこも負債まみれという状況になってます。行きすぎたビジネス化の代償といってはなんですが、CL出場権をもつクラブ同士で、相手チームのエースを引き抜いて弱体化させるという行為も頻繁に起こるようになってます。そういう競争になってるので、巨大な負債を背負ってでも高額な移籍合戦を繰り広げているのが現状です。


この結果起こっているのが、いわゆるサッカー版「勝者の呪い」です。

勝者の呪い」とは - 競売において、落札者が自らが推測する市場価格以上の価格を設定し、過度に高い額で入札して、かえって損をしてしまうという現象を指す経済学用語。


の呪い しょうしゃののろい


まんまコレ。


ファーガソン氏、資金力の重要性を認めるも今夏の市場には驚きを隠せず


こないだ、こっちのニュースでディマリア、ハメス・ロドリゲスダビド・ルイスの移籍金が適正より高すぎるなんて話が出てますが、現在のサッカーの移籍市場は「勝者の呪い」の典型ケースであり、割高な金額でしか選手を手に入れることは出来なくなってるんです。スポーツにおける勝者の呪いの典型例としては、アメフトのドラフト1なんかがあるんですが、まあ、それは別の話なんで割愛。



そして、そういう流れをせき止める為に、ファイナンシャル・フェアプレーなんてのが出てくる訳なんですが、その話まですると長くなりすぎるので、本日はこのあたりで。ではでは。

スポーツにおける戦力バランスの均衡のお話

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さて皆さん、こんにちは。本日は、前回のエントリからの続きで、スポーツにおける戦力バランスの均衡のお話のお話をしようと思います。


前回のエントリで、「最近の欧州サッカーは相手の大駒を買い取って自分の持ち駒にできる将棋みたいなモノ」って話をしました。こうなってしまったのは、TV放映権料の高騰によってクラブに大金が転がりこみ、ボスマン判決によってEU圏内の選手であれば無制限にピッチに立たせる事が出来るようになった為で、結果として、ビッグクラブは欧州全域から金で選手かき集めて、CLで勝つっていう身も蓋もない事やってるわけです。


ただ、その結果としてですが、欧州圏内のスター選手はビッグクラブの争奪戦となってしまい、移籍金が跳ね上がってしまいました。又、ライバルクラブの引き抜きを防ぐ為、複数年契約+高年俸がデフォルトとなり、サッカー選手の年俸、移籍金は非常識なレベルで高くなっています。


【米国はこう見ている】選手平均年収でヤンキースは世界2位 1位はサッカープレミアリーグのマンチェスター・シティ



こっちにありますが、世界のスポーツで、年収が高いチームトップ12のうち、7チームがサッカーのチームです。こんな事になってる原因の一つが、欧州サッカーにおける選手の引き抜き合戦の結果、経済学における「勝者の呪い」状態になってしまってるという話は前回のエントリでしました。




そして、その結果としてですが、ビッグクラブはどこも赤字で、その赤字をオーナーの私財、オイルマネー、銀行からの借金で穴埋めしてるという悪循環になっており、これが問題なのは誰の目にも明らかな状況です。



一昔の話をすれば、イタリアにおけるサッカーバブルの崩壊時、幾つものクラブが経営破綻に追い込まれましたし、ドイツではキルヒメディアの破綻によってブンデスリーガの発展は5年程度は遅れることになったと思います。最近ではリーマンショック以降、盛大にサッカーに金を突っ込んでいたオーナー(ベルルスコーニモラッティ、アブラヒモビッチ)なんかの私財が大幅に目減りしてしまった為、ミランやらインテルがオーナーによって赤字を補填してもらうってのが難しくなってます。



こういった状況はやばいって事で、UEFAが打ち出したのが「ファイナンシャル・フェアプレー(以下FFP)」になります。あそこ、何もしてないようで色々やってんです。ミランインテルは、FFPでオーナーによる赤字の補填ができなくなった訳で、主力を放出したといわれてますが、実際の所、金融危機でのオーナーの資産の目減りが痛かったと思います。チェルシーやシティ、PSGなんかは、金を他の機関使って迂回して入れたり、子会社に赤字つけかえたりしてますからね。



こういった状況が問題だ、という話はすでにしましたが、今回の話で問題にしたいのは、その一つ前の所です。つまり「戦力バランスの不均衡」の話です。ホントはFFPの話しようと思ってたんですが、その話する前に、こっちを扱わないと、その話にいけないので。


スポーツにおける競争と寡占、戦力バランスの不均衡


競争はスポーツそのものでして、それ自体は何も問題はありません。スポーツ自体、どっちが勝つかって競争な訳ですからね。ただ、競争といっても、ある種の業種は競争から独占に向かいやすい性質をもってまして、独占に向かいやすい業種、独占企業が出ると困る業種なんかは規制が入るわけです。



ライバル企業を片っ端から買収して市場を独占してしまうというのはわかりやすいやり方ですけど、こういう事が起こりやすい業種というのが存在します。


スポーツはその性質上、ライバルチームを片っ端から買収して市場を独占するって事はできないのですが、相手チームのエースを片っ端から引き抜いてマーケットの独占的な地位を得るという事が可能です


これのわかりやすい例としてはセリーグの巨人、MLBヤンキースブンデスリーガバイエルンが挙げられます。


こういったチームのリーグ内での優勝回数を市場シェアとすると、巨人は64シーズンで36回優勝、ヤンキースは109回のワールドシリーズで27回優勝、リーグ優勝40回、バイエルンブンデス52年の歴史で27回優勝な訳ですから、飛び抜けた市場シェアを持ってる状態な訳です。巨人とバイエルンなんか、それぞれリーグ戦で半分くらいタイトル取ってる訳ですから、セリーグは巨人の興行、ブンデスはバイヤンの興行みたいな状況になってます。


まあ、そもそも論として、各国のプロサッカーリーグは、その国のサッカーにおける独占的興行主みたいな状態なんではありますけれども。


こういった形で、一つのクラブが異常なまでにリーグで強い場合に問題にされるのが「戦力バランスの不均衡」になります。一つのチームが延々とリーグで勝ち続けたら、ファンがしらけて球場に来なくなるので好ましくない訳です。


ただ「戦力バランスの不均衡」ってのは大事な事なんですが、基本的にMLBや欧州サッカーが欲しいのは高視聴率と高い観客動員です。これは、人気チームが優勝争いを行う事で達成される性質をもつので、「地方のファンがしらけない程度に都市部の人気チームが優勝争いを繰り広げる」という非常に複雑な状態をリーグとして目指す事になります。



リーグとしては、高視聴率、観客動員の増加を目指したいので、大都市の人気チームには優勝争いを演じて欲しい。一方で、人気チームが露骨に強すぎるとファンがしらけるので、戦力をある程度バランスさせないといけない。



まとめると、スポーツにおける最適な戦力バランスというのは、「TVでの高視聴率、スタジアムでの高い観客動員を保てる」という前提条件があっての最適な戦力バランスというのを模索することになる訳なんです。


なんで、「最適な戦力バランス」ってのは難しい案件になるんです。


ここから先は、イングランドプレミアリーグ(以下EPL)とアメリカのNFLを例として話を進めましょう。



まず、EPLの場合、成功を金で買ってるってのがあります。以前、ブログで扱いましたが、EPLはチームの総年俸と成績の間の相関性が高く、どのアメスポより高い相関性があります。ところが、EPLは全世界で人気があるんですね。総年俸でシーズンの成績が予測しやすいリーグなんですが、ファンはそれほど気にしてない。これは欧州CLもそうですけど、2003ー2004シーズンにポルトが優勝して以降、CLで優勝したクラブは全部ビッグクラブです。ここ10年ほど、CLはビッグクラブでトロフィーを回してる状態なのに、誰もそれを問題にしてません。欧州CLなんて、ビッグクラブの為の興行状態で、今年も優勝するのなんてビッグクラブに決まってるようなモンです。でも、誰も問題にしてませんよね。



EPLにしろ欧州CLにしろ、優勝する可能性があるのは限られた一部のクラブだけです。誰もがそれを知っていますが、それでも人気があるのがEPLであり、欧州CLになります。




一方で、NFLなんですが、こっちは「スポーツの魅力とは最高のレベルで戦力の均衡したチームが繰り広げる競争状態である」を理念に掲げているリーグでして、様々な戦力均衡策がとられています。またシーズンの試合が少なく、プレーオフも一発勝負ときてるんで、運の要素が非常に大きい。なので、スーパーボウルを三年連続で制したチームは存在しません。そのため、勝利数と年俸の相関性は弱いですし、なによりクラブが勝利を求める要因も非常に少なかったりします。レベニュー・シェアリングが凄いので、勝っても負けてもお金が入ってくるんです、NFLってね。そういう仕組みなんで、サラリーキャップには下限が存在します。最低でもこの額以上は使わないといけないって制限があります。NFLの場合、レベニューシェアリングが凄いので、サラリーキャップは下限のほうが大事です。じゃないとフリーライダー問題が起こるからです。スポーツにおけるフリーライダー問題としては、MLBの初期収益分配制度がありまして、導入初期、「ポストシーズンに出られない状態になると、チームが年俸の高い選手を放出し、チーム全体の年俸総額を下げる事で分配金の受け取りを増やす」という行動をするようになってしまいました。勝っても負けてもお金が入ってくるなら、チームの年俸総額を下げることで利益を増やせるので、NFLの場合、サラリーキャップの下限が重要なんです。


MLBの初期の収益分配制度が上手くいかなかったのは、幾つかの球団が多額の分配金をもらいつつ、チーム全体の年俸総額を下げるといった行動に出たからでして,その後、MLBはシステムをちょいといじってます。



ちなみに、サッカーの場合、降格制度があるのでこれは必要ありません。負けてるのに選手放出なんてしたら降格しちゃいますからね。



あと、wikipediaNFLの戦力均衡の追求のトコ読んでもらえば良いことなんで、リンク貼っときますが


戦力均衡の追求


この中で、


「試合日程の編成も前年度の成績のよいチームがより厳しい日程になるように組まれる(勝つと翌年日程が厳しくなる)」
「対戦チーム分析のカギとなるスカウティング映像がリーグによって管理され共有される(スカウティング頑張る必要性が低い)」
「ドラフトでは知られざる逸材を発見してもリーグに通知せねばならない(リクルート頑張る必要性が低い)」


の三つは、正直いってやり過ぎのレベルに達してます。ただ、スーパーボウルの視聴率は全米で常に最高ですし、NFLはアメリカで一番売上のでかいアメスポです。(もっとも売上第2位のMLBに関しては売上の数字が信用できるモンじゃないのですが)



EPLとNFLは色々と対照的なリーグなんですが、面白いのはどちらも非常に人気があり、儲かってるし、視聴率も観客動員も良いって所です。



そういう訳なので、病的なレベルで戦力バランスを均衡させるリーグのが良いのか、不均衡だが突出した人気クラブがあるリーグが良いのかってのは、どちらでも成功例があるため、よくわからない部分があります。



ちとJリーグの話もしときますが、Jリーグは欧州サッカーと比較すると年俸と勝ち点の相関性が弱く、いわゆる「ビッグクラブ」ってのは存在しません。強いていえば浦和がそうですが、浦和さんとこでも総年俸は7億前後でして、この程度の規模なら、まあ金のないクラブでもなんとかなるレベルなんです。



MLBなんかで、総年俸と勝利数の相関性が高くなるのは、ケーブルTV放送からのローカル収入がMLBのチームに流れ込み始た頃からで、欧州サッカーでも、これほどまで年俸と勝ち点の相関性が高くなってしまったのは、有料衛星放送からの放映権料がなだれ込んできてからです。


Jリーグの場合、ケーブルTVからのローカル収入で潤ってるクラブなんてありませんし、有料衛星放送の放映権料も雀の涙程度なんで、欧州サッカーとかMLBみたいな事はそもそも出来ないって事情があります。J1の戦力に関しては団子状態なので、そのおかげでレースがもつれて面白いっちゃ面白いんですが、「全国区の人気チームがない」ってのはJの問題ではありますな。



最後に繰り返しますが、「病的なレベルで戦力バランスを均衡させるリーグのが良いのか、不均衡だが突出した人気クラブがあるリーグが良いのか」については、正直よくわかりません。一長一短です。J1はどちらかというと前者に近い状態なんですが、そのおかげで動員が良いかというとそうでもありませんからね。ブンデスバイエルンのどうしようもない1強リーグですが、スタジアムはいつも満員です。不思議な話ではありますが。



あと、付け足しになりますが、アメスポと欧州サッカーの最大の違いは、欧州サッカーは降格制度があり、アメスポはそれがないってのがあります。MLSも降格制度はありません。欧州サッカーは降格にもドラマがあって、消化試合は少なくなります。一方でアメスポは消化試合が早い段階で発生するというデメリットを持ってます。



欧州サッカーで戦力バランスを均衡させる方法はある、だが・・・・

長くなってきたのでまとめときます。


まず、スポーツにおける戦力バランスの不均衡は、MLBやEPLなどで顕著です。これと対照的な位置にいるのがNFLになります。


ただ、どのスポーツにおいても、プロスポーツである限り、求められるのはTVでの高視聴率であり、スタジアムの観客動員です。戦力バランスが不均衡で、優勝争いが2~3のチームによって寡占状態であっても、TVで視聴率が良く、観客動員が良いなら問題は無いんですね。


詳しい話は次回、CLの話をしようと思ってるので、その時にしますが、欧州サッカー界では、時々、エリートクラブによる新リーグ構想が出てきます。CLに代わる新フォーマットのスーパーリーグ作ろうって奴です。


欧州新リーグ構想浮上のワケ UEFAにビッグクラブの不満噴出


これは去年にでた記事ですけどもね。定期的に出ます、この話。



これはビッグクラブとメディアサイドに旨みが多くて、ビッグクラブは国内リーグで試合するより、欧州のビッグクラブを一つのリーグに集めて、「欧州スーパーリーグ」を設立して、そこで試合やった方が儲かるに決まってるんですわ。そしてメディアサイドとしても旨みがあって、「欧州スーパーリーグ」ってのは、有料衛星放送なんかにとっては、究極のキラーコンテンツになりますから、是非とも欲しいわけです。



でもって、この欧州スーパーリーグ構想は、皮肉なことに、各国のサッカーリーグに「戦力の均衡」をもたらすんです。ハシゴの上二段外せば、下と上の差は少なくなりますよね?それと一緒。例えば、EPLから上のクラブ5つが抜ければ、残ったクラブはどこもドングリの背比べ位になるんで、戦力の均衡が達成されるんです。



ただ、ここで問題なのが、マンU、シティ、リヴァプールチェルシーアーセナルが抜けたEPLなんて誰が見るの?という奴です。実質的に、ビッグ5のプレミアからの脱退は、プレミアに対する死刑宣告に他なりません。



これはわかりやすい例なんですが、リーグの戦力が均衡してれば、TV視聴率が良くなり、観客動員が増える訳じゃ無いって事です。勿論、欧州スーパーリーグの視聴率は凄いことになるでしょうけどね。ただ、戦力が均衡してるから、というより単にスターが多く、人気チームの集まりだからって理由なんですが。



そんな訳ですので、プロスポーツにおいて戦力バランスの均衡は大切だけれど、高いTV視聴率と観客動員の増加をもたらしてくれるモンではない、という形で〆ときます。



またサッカーというより金の話になっちまいましたが、後一回、この話続ける予定です。次はUEFAFFPプラティニの話をします。


ではでは

キリンチャレンジカップ2014「日本対オーストラリアのレビュー」

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さて、皆さん、こんにちは、久々ですが、こっちのブログの更新です。


大分さぼってしまいましたが、今回はフツーの日本代表の試合のレビューやります。内容は先日行われた日本対オーストラリアのレビューになります。今回の試合は、オージーが433を採用してたんで、433ミラーの試合になりました。ただ、ちょいと日本とオージーでやり方が違っていたので、そっちの話をしようかと思います。


えっと、今回のエントリなんですが、思ったより今回の試合のレビューはあんま出なかったんで、割と書くことはあります。


日本対オーストラリアのマッチアップ


さて、まずはマッチアップから。


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今回の試合のマッチアップはこうなってました。双方とも433です。なので、何もしないと完全に噛み合った状態で戦う事になります。



話に入る前に、最近は日本代表の試合のフルマッチ動画がtubeに上がってるので、リンク貼っときますね。



Japan vs Australia Full Macth International Friendly - 1st half - 18 Nov 2014 - YouTube



まあ、これですね。



ええと、W杯後、アギーレジャパンになってからは、正直、僕は様子見状態でして、


やっと本腰?アギーレ監督 就任後初の本格的戦術練習に選手も驚き


こんな記事も出てましたけど、まだ監督代わって日が浅いし、アギーレがシステムをいじってしまった上、これまでの試合の多くを選手のテストに使ってしまってるので、チーム戦術についてアレコレと口出す段階じゃないので、レビューやってこなかったんです。アジアカップの一ヶ月間でチーム作ってこれればいいか程度に考えてた訳です。


ただ、今回の試合の場合、オージーが433使ってくれたので、433ってシステムの考察には良い試合でした。ミラーマッチだったんですが、433の守備についての簡単な解説ができる試合だったんですね。


なんで、今回の試合は、433の守備の話がメインになります。攻撃の話のほうが読者受けが良いのはわかってますが、就任から4~5試合で攻撃の組織戦術が煮詰まる訳はないので、そっちはあまり話す事がありません。


えっと、一つ前のホンジュラス戦では、日本が6-0で勝ってますけど、あの試合の場合、ホンジュラスの右サイドとFWの守備が適当すぎたので、あまり参考にはなりませんでした。ただ、今回のオージー戦では、オージーが真面目に守備やってくれてたので、おかげで守備の話ができます。有り難いことです。





日本対オーストラリア、オージーの守備方法

さて、本題行きましょう。


今回の試合なんですが、お互い433ミラーです。また、双方、攻撃時に、アンカーをCBの間に落として、3バックに変形します。でもっ
てSBを上げてきます。日本の場合、


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こんな感じに変形します。こういう風に433から、343っぽく変形するのは、今のサッカーだとよくあるやり方です。これで2トップのプレスに対して、3バックで数的優位を作るというやり方です。これはオージーも同じで、基本的にアンカー、CB2枚でポゼッションを安定させにきます。




一方で、なんですけど、433については、守備方法が前から行くか、後ろでブロック組むかで違ってきます。どういう事かというと、これね、今回のオージーの守備のやり方みればわかりやすいんです。えっと、前半1:34で、オージーが行った守備方法なんですけど、



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こーいう形でした。ここはマヤの裏へのフィードが岡崎にピンポイントで合ったので、割といい形で攻撃できたんですがね。



ちと、この試合のオージーのプレスのハメ方について図で説明しますけど、


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こーいう形です。


試合の後、長谷部が、

 オーストラリアも自分たちを研究していて、立ち上がりから僕らがちょっと下がった時には相手もプレッシャーに来ていました。なかなか組み立てをさせないようにやってきましたし、なかなか難しいゲームでした。ピッチの中で話して、ベンチからの指示もあったし、システムを変えてから僕らもうまく回るようになったと思います。



本田「日本はアジア杯優勝候補の1つ」 オーストラリア戦後、選手コメント

こんなコメントだしてましたが、オージーはよく日本を研究してました。正直、こうくるとはなーという感じで驚きました。短期間だったので、きっちり研究されてるとは、僕は思ってなかったんです。



えっとですね、前回、ホンジュラス戦で、日本がやってた攻撃ってのは、遅攻だと、

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「マジでこんだけ?」とか思われるかもしれませんけど、こんだけです。ホンジュラスの場合、右SHの守備が適当だったんで、ムトゥが降りる動き見せたとき、ホンジュラスの右SBは走り込んでくるインサイドハーフとSBが怖いのか、ついていかない事が多く、ムトゥがノープレッシャーでボール受けて前向けたりしてました。というか、香川がサイドに流れてきた時とかも、簡単に前向かせちゃってたし、後半も乾を簡単に前向かせて、その後マーク外してたりしたので、ホンジュラスの右サイドはホントに滅茶苦茶でした。あの試合、あそこまでホンジュラスが大崩壊したのは、大体、FWの守備と右サイドの守備が適当すぎたからです。ザ・親善試合という感じの適当さでした。



ただ、この日はホンジュラスが相手じゃなくて、ガチのオージー相手です。まず、守備のやり方が違う。アンカー+CB二人でポゼッションしようにも、CF+WG二人で前からプレスに来るので、ボールを落ち着けられない。サイドチェンジしたくても、数的同数でプレスが来てるのでなかなか、その時間と余裕を与えてもらえない。


でもって、WGがCBにプレスかけに来るって事は、SBはフリーになれるんですけど、SBにボールだしたくても、相手の中盤3枚のうち一枚が速攻でサイドに出てきてSBのマークに入るので、SBに中々出せない。


じゃあ、WGは?というと、降りる動きみせても、オージーのSBはきちんとついてくる。WGが降りてくることで開いたスペースにインサイドハーフが走り込んでも、きちんと相手のDMFがついてくる。SBがオーバーラップしてもWGがきちんとついてくる。で、サイドでちょっとでも詰まると、WGとCFがプレスバックしてきて潰されるという状態でした。




と言うわけで、日本の攻撃パターンは、オージーにきちんと研究さてたというオチです。まだ、手数が少ないのでしょうがないのですがね。そんな訳で、日本の方は、裏へのロングフィードが多くなるハメになりました。消去法でそうなりますわな。最初の1分の場面では、それが上手くいったんですが、一発のロングフィードで点取れるってのはなかなか無いので、日本としては、前半は手詰まり気味でした。



ただ、上手くいった攻撃もあって、前半9分の場面とか前半16分の攻撃とかは良かったと思います。今回はキャプでやりませんけど、気になった方はフルマッチ動画あるんで、そっちで見てみてください。どっちもゴートクの裏へのランニングからチャンスになった奴です。


えっと、オージーの守備方法の関係上、WGがCBにプレスに出てくるので、SBは一時的にフリーになりますが、CBからSBの足下にパスだすと、オージーのDMFの守備に捕まるだけです。ただ、ここでSBが足下でもらおうとせず、裏に走った場合、マーク外せる可能性が高いんですね。そこにピンポイントでボールがでると、ビッグチャンスになります。ココがオージーの守備の泣き所だったりします。



アギーレジャパンにおける433の守備編

さて、オージーのほうの話はこの辺りにして、日本の433の守備の話に移りますね。


えっと、アギーレの433なんですけど、オージーとは守備のやり方が違います。相手が3バックに変形しても、WGは前にでません。なんで、



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こんな感じで4141でブロック組む感じで守ります。


こないだのアギーレの試合後のインタビューで、アギーレが地味に日本の守備タスクのネタバレしてたんで引用しますけど

──前半の初めの時間帯でオーストラリアが攻めこんできて、日本の左サイドからやられていた。最初のシステムのときに、サイドアタッカーの武藤(嘉紀)の守備に問題があったように見えたが、サイドアタッカーにはどのような守備的なタスクを与えていたのか?(後藤健生フリーランス


 武藤と(本田)圭佑、乾であっても仕事は同じだった。パスコースを消して、相手のサイドバック(SB)にプレッシャーをかける。そしてSBが上がってくれば、付いていってクロスを阻止する。他の選手であっても、そうしたディフェンスのタスクを持っている。オーストラリアは前半は前からプレッシャーをかけてきたので、日本がボールを持てないというイメージを持たれるかもしれないが、相手のチャンスもヘディングによる1回のみだった。



アギーレ「計画通りに前進している」 国際親善試合 オーストラリア戦後会見


この部分ですね。「パスコースを消して、相手のサイドバック(SB)にプレッシャーをかける。そしてSBが上がってくれば、付いていってクロスを阻止する。」って所です。WGのタスクは、パスコース消すのと、SBへのプレッシャー、オーバーラップについていくって所で、CBへのプレッシャーははいってねぇんですよ。


これ、ホンジュラス戦でもそうだったんですけど、基本的にWGはSBを見てればオッケーという感じの守備でした。なんで、アギーレの433については、前から行ってボールを奪うタイプの433じゃありません。オージーの433とはやり方、WGの守備タスクが違うんです。WGはSBを見てればオッケーなんで、守備方法としては4141で、ハーフラインあたりからプレスをかけ、相手が入ってきた所で潰して取るってタイプのやり方です。



ちと、前半3:50の所で説明しますけど、日本の場合、


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こうなんですね。相手のCBがボール持ってても日本のWGは、SBへのパスコース切りつつCBに寄せて行くってのは、あんましやりません。だから、オージーはボール持てるわけです。日本の場合、ボールの取り所は、オージーに比べて一つ後ろになります。CBからボール出された、その先でボールを奪う事になります。


それでなんですが、ぶっちゃけ、この試合、ココは上手くいってませんでした。


試合見てた人はわかると思うんですけど、4141で守る場合、泣き所になるのがアンカーの両脇の所で、あそこを使われちゃうと苦しくなります。この試合の場合、前半はオージーにボール持たれてアンカーの両脇を使われてしまってたので、守備がハマっていたとは言えません。前半2分、前半16分、前半23分,前半26分、前半28分、と、アンカーの両脇使われてます。どういう風にやられたのか知りたい人は、やっぱりフルマッチ動画で確認してください。



で、ここでアギーレが動きます。ここで前日練習してたっぽい442に守備変更。


えっと、前半35分から、日本はシステム変更を行ってます。攻撃では4231、守備は442に切りかえてます。守備だと、



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こうなりました。これで、岡崎が3人を一人で見るって事がなくなり、岡崎と香川の二人でプレスにいけるようになりました。この効果はすぐ出るんですけど、前半35分、


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こんな感じでマイボに出来てます。それまで、あそこのCBにはプレスがかけられなかったんですけど、守備で前を二枚にしたことで、あそこにプレスがかかるようになり、日本は高い位置から守備ができるようになります。


ぶっちゃけた話、442にしなくても、オージーみたくWGを前に行かせれば済んだ話でもあるんですがね。



この試合、ターニングポイントになったのがココで、こっから日本は守備がハマるようになり、オージーはポゼッションができなくなっていきます。これで流れをたぐり寄せた日本は、この後、決定機を1つ作って、後半に折り返します。



日本対オージー、後半のお話


さて、こっからは後半の話にうつります。前半は総括すると、オージーが433で前から来たので、日本はボールを上手くポゼッションできず、守備もハマらず苦しい展開でしたが、攻撃時4231、守備は442という形にフォメ変更した事で流れをたぐりよせました。


でもって、後半から、遠藤に代えて今野が入ります。この辺りがアギーレなんですが、この交代は442の前からの守備でハメてショートカウンターって形に持ち込みたかったんでしょう。今ちゃん、ボール狩るのはホント上手ですからね。そして、後半4分に今ちゃんのボール奪取からのショートカウンター発動。ゴールは成りませんでしたけど、完全日本ペース。狙いがハマっていたのでね。



ちょっと、オージーの監督の話しときますけど、日本をしっかり研究してたのは試合みてわかりました。ただ、日本がシステム変更してたのに、後半に修正いれずに試合に入ってしまったのは不味かったと思います。あれは監督のミスで、相手のシステム変更に合わせて、何か手をうっとくべきだったと思います。修正する時間あったわけだし。



後半、最初の決定機になったのは後半13分の乾のヘディングでした。このシーンは単純に日本が良かったです。左サイドの狭い所でしたけど、上手にパスコース作って、狭い所抜け出して逆サイドにサイドチェンジしてゴートクのクロスから乾のヘディング。


で、立て続けに後半15分にも日本がチャンスを作ります。きっかけは、同じく左から右へのサイドチェンジ。この左から右へのサイドチェンジってのは、ザック時代よくやってた光景です。でもって、その後、乾のシュートでCKもらって、今ちゃんがゴール決めて日本が先制。



ここで、オージーの監督が動きます。二枚替え。前の選手の運動量が落ちてきたって事と先制されたんでって感じでしたが、日本優位の流れは変わらず、オージーのミスパスから日本のショートカウンター。これでCKもらって、モリゲのスーパープレイから岡崎のオサレゴールでダメ押し。これで試合が決まりましたとさ。



最後にケーヒルにゴール決められてましたが、まあ、ケーヒルにやられたんなら、しゃーないと思います。



今回の試合の総括で〆ときますが、

えっと、んではまとめときたいと思います。


アギーレについては、まだアジアカップ用の選手選考してる感じなので、評価しずらい部分があります。ただ、6試合ほどやって、大体、わかってきた部分もあります。なんで、軽くまとめておきますが、




1、433を使っているんだけど、守備時は4141で、433で前からハメていく守備はそれほどやっていない(少なくとも、ここ2試合はやってない)。基本的には4141でハーフラインあたりから守備をしていくスタイル。WGはパスコース消しつつ、SBをみとけばオッケーみたいな感じで、それほど前にはでない。オージーの433と比較すると、ここはハッキリする。


2,オージー戦では途中から守備を442に変更していたけど、442に変更した後は、かなり前から行っていたので、442は前から行きたい時のオプションなんだと思う。


3、攻撃のスタイルについては、まだ十分にチームに戦術を植え付けることが出来ていない。その時間もなかったし、これはしょうがない。オージー戦の後半、左から右へのサイドチェンジ、乾と香川のコンビネーションなんかがあったけど、前者はザックの遺産で、後者はセレッソのやり方で、アギーレのやり方という訳でもない。



って所ですね。



あと、アジアカップで戦うオージーについてなんですけど、監督さん、日本を随分と研究してる感じでした。ただ、試合途中での修正に関しては、そこまで能力が高いという感じはしませんでしたし、あのやり方だと、絶対にWGが最初にヘバります。CBにプレッシャーかけて、SBのオーバーラップについていき、さらにプレスバックもしないといけない訳で、WGが過労死しかねないシステムです。先に先制できれば良いんですけど、出来ないと面倒なことになります。実際、日本との試合だと、オージーの時間だった前半の間に点取れなかったのが痛かったですし。それと、あの守備のやり方では、ケーヒル使えません。もう年なんで、あそこまでガンバって守備をやりきれない。その辺り、アジアカップで当たるとき、どうするかですね、向こうの監督さん。




んじゃ、今日はこんな所で。ではでは。

サッカーにおける八百長の種類の話

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皆さん、こんにちは。本日は、ちょっとイヤーンな話になりますが、サッカーにおける八百長の種類の話でもしようかと思います。こんな話しようと思ったのは、


アギーレ監督、八百長疑惑で告訴へ


アギーレ監督に事情聴取、八百長関与の事実なしと発表


という感じでアギーレ日本代表監督が八百長で告訴されかかってるからです。



サッカーってスポーツの八百長に関してなんですが、これ、幾つか種類がありまして、今日は、その代表的な奴を3種類ほど紹介しときます。





調整型のサッカー八百長


まず、最初に紹介するのは「調整型」と呼ばれる八百長です。これは主にクラブの関係者によって行われます。この分類については、デクラン・ヒルの



黒いワールドカップ (現代プレミアブック)

黒いワールドカップ (現代プレミアブック)

あなたの見ている多くの試合に台本が存在する

あなたの見ている多くの試合に台本が存在する



この2冊の著書のうち、後者の本で扱われています。この本の中で、デクラン・ヒルは、クラブ関係者によって行われるタイプの八百長を「調整型」と分類しています。



で、内容はどういうものかというと、サッカーというスポーツにおいては「昇格」と「降格」というシステムが存在します。問題の根源はコレなんですが、昇格がかかってるチームが星を金で買ったり、降格を避ける為に星を買うといった行為をデクラン・ヒルは「調整型八百長」という形で分類してます。



この調整型の八百長としては、最近もニュースで出ましたが、



2部ニームに「八百長」、マルセイユに「移籍金絡みの賄賂」。2大汚職が同時に勃発したフランス




こういう奴です。こっちのはフランス二部のニームが、降格を避ける為に星を金で買ったんじゃないかってスキャンダルですけど、これはサッカーの世界ではそう珍しいスキャンダルって訳じゃなくて、定期的に出るスキャンダルだったりします。降格を避ける為に、星を金で買うってのは、そう珍しい話じゃありません。これはチームの会長が主導した奴みたいですが、クラブ関係者が八百長に手をだすのは、大概の場合、昇格か降格がかかった試合です。


デクラン・ヒルは、著書の中で、頻繁にジョー・マクギニスの「the miracle of castel di sangro」から引用してますが、こっちの話はイタリアの話で、アメリカ人ジャーナリストのマクギニスが、イタリアのセリエBで目撃した八百長試合の話です。


簡単に内容をまとめると、


1、セリエB最終節で、ASバーリは、カウテル・ディ・サングロに勝てば昇格という試合を迎えた。
2、マクギニスは、試合の前にサングロの選手が八百長について話しているのを聞いてしまう。
3、その選手によれば、他のチームも金でポイントを買っている。ASバーリは最終節に4点とって勝つ。金が支払われる。
4,セリエでは「イル・システマ」と呼ばれる仕組みがあり、オーナー同士がある種の星の貸し借りをしている。


ってモンです。これはイタリアの話ですね。



でもって、今回のアギーレの話になるんですが、これは、メディアの報道見る限り、「調整型」の八百長です。


【現地発最新情報】アギーレへの疑惑も限りなく“クロ”に近い――。検察の動きから追うリーガ八百長事件


こっちで流れが追えますけど、当時アギーレが率いていたサラゴサは降格に瀕していた。そして、最終節で「試合を買った」って話です。主導してたのは、クラブ関係者のようです。



ちなみに、スペインについては、ちょっと前から



スペインでの八百長を危惧するLFP副会長


こんな感じで、現リーガ会長のハビエル・テバスが「リーガでは試合が買われつつある」って話をしてましたので、スキャンダルが出てくるのは時間の問題だったと思います。そもそも論として、リーガでは給与の支払いが行われてないチームもあったみたいですし、そうなったら、星の売買が起こるのは当然なので。



この話で珍しいのは、リーガの会長が「リーガでは試合が買われつつある」と発言してみたり、警察に八百長の捜査の依頼をしてたって所です。これは非常に珍しい。というのも、普通、サッカー協会ってのは、「臭いモンには蓋」をするもので、サッカー協会が主導して捜査して八百長暴いたケースは殆どないんです。皆無に近い。


そんな訳なんで、何でリーガの会長がここまで八百長撲滅にやっきになっているのか、それが不思議な部分もあります。「リーガでは試合が買われつつある」なんて発言したら、普通、観客動員の減少を招くし、リーガというコンテンツそのものの信頼性を損なう訳ですから。



賭博型八百長

次は、賭博型の八百長です。これは以前も扱いましたけど、現在のサッカーの最大の問題の一つなんですが、アジアの賭博市場を拠点とするアジア系のフィクサーが欧州の試合を操作しているって話です。これについては、



サッカーで八百長100回、仕掛けた人物に初のテレビインタビュー



こんな記事も出ましたけど、東南アジアでは、サッカー賭博が非常に人気があって、試合結果を操作できれば大金が転がり込みます。なんで、向こうのマフィアが、欧州サッカーの試合結果を操作して八百長仕組んでるってのが最近問題になってます。デクラン・ヒルの「黒いワールドカップ」は、この手のアジアのフィクサーへの取材をまとめた本だったりします。



でもって、実は、ピルロの自伝にも、この手の問題についての記述があります。



我思う、ゆえに我蹴る。アンドレア・ピルロ自伝

我思う、ゆえに我蹴る。アンドレア・ピルロ自伝



この本のP112~114に、イタリアにおける八百長事情が載っています。内容を簡単にまとめとくと、



1、セリエCでは給与の支払いが滞るのが珍しくないので、選手同士で談合して試合結果操作してサッカー賭博で稼いで食いつなぐ。
2、セリエBだって同じようなもの。シーズン終盤になるとおかしな事が起こり始める。
3、セリエAでも、そんな試合があると噂されている。



ってモノです。一国の代表選手が「3部リーグで八百長が起きてるよ」なんて著書で書いたら、大スキャンダルになりそうなモンですけど、こんな事書いても問題にならないのがイタリアらしいといえばイタリアらしいです。


調整型の八百長が古くからあったのと比べると、賭博型の八百長は比較的新しい問題だったりします。インターネットを通じて、世界のどこからでもサッカーの試合に賭けられるようになったってのが、この手の八百長の規模を増大させてる訳なんですね。



選手売買での八百長


三つ目はこの話になります。この話については、どういう事かというと、UEFAプラティニが演説で述べているので、引用しときますけど、

さらにプラティニ会長は、第三者による選手保有に断固反対する姿勢への共鳴を訴えた。「狡猾な手法と卑劣な目的により、これらの慣行は人間の尊厳やスポーツ大会の正当性だけでなく、草の根レベルのスポーツに対する出資さえも蝕んでしまう。これまで南米でのみ顕著だったこの非倫理的行為は、今や欧州全土に広がりつつある」

UEFA会長は、こうした慣行がEU基本権憲章に違反していると指摘。「第三者による選手保有は、選手を経済的権利で切り刻み、単独または複数の投資者で分け合っている行為に等しい」と説明した。「こうした選手たちに契約自由の基本原則は適用されず、保有者は自らの経済的権利を濫用し、選手を犠牲にして利益だけを追求した経済取引を行う。つまりこうした選手たちは、それぞれにあるべき自由意志を奪われていることになる」

同じ保有者が経済的権利を持つ選手が様々なチームから出場している大会では、果たしてどのようなことが起こるのだろうか? その答えは簡単だ。八百長という悪魔が、その醜い頭を持ち上げる。つまり、スポーツで体現されるべき正当性や偽りのなさという基本的価値観が無視され、汚されてしまうだけだ


UEFA会長、EUに支援を要請

黒字強調は筆者によるモノですが、UEFAはちょっと前から、「第三者による選手保有の禁止」に動いています。



なんでこれを禁止したがってるかっていうと、これ、ある種の八百長の温床なんです。



これ、サッカーとお金の話をしていた時に、しようとおもっていた話なんですが、現在、サッカー選手の移籍金ってのは非常識なレベルで高額になってまして、サッカー選手の移籍金ビジネスによって、代理人に支払われる額ってのも、非常識な額になっています。



でもって、この選手が移籍した時の移籍金の一部が代理人、もしくは選手を保有しているクラブ、あるいは金融ファンドに入るという仕組みがあると、何が起こるかというと、一番、わかりやすいのが、



セレソン入りのために賄賂? クラブ会長発言が物議



こういうケースなんですが、ブラジル代表に選手をいれてもらう為に代表監督にクラブの会長が賄賂を支払ったって話です。ロマーリオがブラジル代表には、そういう悪しき慣習があると、しょっちゅう攻撃してますが、これも、ある意味では、起こって当然というアレです。



つまりね、ブラジル代表ってのは特別なブランド価値をもってますから、一回でも招集されると、クラブの選手を欧州に高値で売り飛ばす事が可能になる訳です。だから、代理人とクラブが、代表監督にリベートを払ってでも、自分のトコの選手を代表に呼んでもらおうと必死になる訳です。南米だと、こんな話、珍しくもなんともありません。



ちなみに、ここで問題なのは、タチの悪い代表監督の場合、代理人に自らリベートを要求する奴がいるんです。「お前の選手呼んでやってもいいが、わかるよな?」という感じでね。僕は、やたらと新しい選手を試したがる南米代表監督見ると、「代理人からリベートもらってるだろ」って疑うクチです。



でもって、話を戻しますが、欧州だとスペインは第三者による選手保有が禁止されてない訳で、



『マルカ』、保有権の半分が投資ファンドにあるとの報道を否定



こんな記事がでたのは知ってる人も多いと思いますが、この記事の中で出てくる「ドイエン・グループ」ってのがクセモノでしてね。


簡単にいえば、彼らは、サッカー選手に投資して移籍金で儲けるってファンドです。スペインだと、アトレティコとセビージャに彼らの金が入ってるんですが、彼らは「選手売って儲ける」ファンドなんで、何とかして、選手の価値を吊り上げて、ビッグクラブに高値で売り抜けようとしている訳です。



そうなったら、どうなるかってーと、プラティニが危惧してる通り、「八百長」がおきます。どういう事かといえば、



リーグでの試合を操作し、自分のトコで保有してる選手に数字稼がせて、ビッグクラブに高値で売り払う



ってのが当たり前のように行われる恐れがある。アジアのフィクサーは試合結果操作して賭博市場で儲けてますが、悪徳代理人とかグレーな金融ファンドは、試合を操作して自分の選手に数字稼がせた上で、ビッグクラブに売り払って儲けるってのが成り立ってしまうんです。



そんな訳なんで、僕はプラティニが「第三者による選手保有の禁止」を進めいてるのは基本的に賛成なんす。タチの悪い人身売買と変わらない上に、八百長の温床になるシステムなんでね。





とまあ、ざっと三つ紹介しましたが、僕の知る限り、サッカーにおいて八百長の種類ってのは、八百長仕組む連中によって、三つに分類できますよ、という話なのでした。



本日は、こんだけにしときます。暗い話続けてもアレなんで、ではでは。

2014年J2 湘南ベルマーレのサッカーのお話 

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はい、皆さん、こんにちは。本日はJ2も終わったので、そろそろネタバレしても許されるだろうって事で湘南ベルマーレの話をしときたいと思います。



僕は湘南サポやってる訳ですが、今年の湘南ベルマーレはホントに最高でした。ただ、湘南の話はブログでは意図的に避けてたんです。


今年のJ2は、湘南ベルマーレは勝ち点101という記録的な数字でJ2を制しました。シーズン中、何度かベルマーレの話をしようかなあ、と思った事もあるんですが、ベルマーレの話をすると、戦術上のネタバレになってしまうので、シーズン中は避けていた訳です。今シーズンのベルマーレってのは、戦術をちょっといじってまして、特にJ2の前半戦では、それがびっくりするほどハマりました。まあ、J2のチームがベルマーレのサッカーの変化に気付いた頃にはベルマーレは勝ち点を積み上げまくっており、独走状態になってたというオチです。流石に、2巡目になると対策されはじめましたけどもね。



そーゆー訳で、本日はJ2で湘南ベルマーレが何をしていたのかって話をします。種明かしすると、ひどく単純な話なんで、がっかりさせてしまうかもしれませんがね。


2014年シーズンのベルマーレの基本布陣


さて、まずはこの話からになるのですが、2014年の基本的なベルマーレの布陣は、



f:id:pal-9999:20141212235241j:plain



こんな感じになってました。もっともスタメン争いが熾烈だったので、結構コロコロ変わる事が多いチームなんですけども。ただし、基本的に3バックは使える時は三竿、丸山、遠藤の並びでして、ココが結構な肝だったりします。センターフォワードウェリントンで固定でした。



ベルマーレの布陣はいわゆる3421なのですが、前から行くときは343っぽい感じでプレスをかけていき、ハイプレスを交わされた時には、541で守ります。基本的にハイプレス・ショートカウンターのチームですので、前から343っぽい感じでプレスをかける事が多いです。


この辺りは、チョウ・キジェ監督が就任して以来、ずっと変わらない路線でして、343でハイプレスをかけ、プレスをかわされたら541で自陣にブロック作って守るというのがベルマーレの基本的な守備方法となっています。



それでなんですが、2013年、J1において、チョウさんのこのサッカーは通用しませんでした。結構自信をもって挑んだシーズンだったのですが、ベルマーレのハイプレス・ショートカウンターはJ1だとプレスがハマらず、また後ろでブロック作って守る場合においても、守りきれないという感じで、一年で降格することになってしまった訳です。


湘南は基本的に、ロングカウンターも早いチームでして、1トップ+2シャドーと2WBによる人数かけたカウンターが売りだったんですけども、J1だとSHの戻りが早く、カウンターもなかなか決まらないという状態でした。


なにより、J1だと、湘南の選手は70分あたりまでした持たないってのがありました。永木が「70分までは互角の戦いが出来るんだけど・・・」って話を去年していましたが、J2とJ1だと、試合の厳しさが全然違うという現実を思い知らされた訳です。



そんな反省を踏まえて2014シーズンの湘南はJ2から出直す事になったわけです。



2014年、湘南ベルマーレの変化

さて、2014年の湘南ベルマーレなんですが、2013と比べると、ちょっと違うサッカーをやってます。主に攻撃面で、です。守備面は以前と大きくは変わりません。相変わらず、ハイプレス・ショートカウンターですし、フォーメーションもいじってません。




じゃあ、何が変わったんだよ、という話になるんですが、これが今回の話の肝です。



結論からいうと、「90分間、CBがWBを追い越して攻撃参加するようになった」です。こんだけです。種明かしすると、「なんじゃそりゃ」とガッカリされるかもしれませんけど、前年度との違いはココなんです。



でもって、この攻撃は笑ってしまうほど今年のJ2でハマりまして、J2の前半戦で湘南が無双った原因が、まあコレです。



ちょっと動画貼っとくので、動画で説明しますね。



ジェフユナイテッド市原・千葉対湘南ベルマーレ - YouTube


これは7節の千葉戦の動画なんですが、これの1点目が今年の湘南を象徴する点の取り方です。


流れを説明しておくと、自陣内深くでボールを取り返す事に成功した湘南は、CBの丸山がシャドーの武富に縦パスをいれる。次に武富から、サイドを駆け上がっているWBの菊池にパス。この時の注目ポイントは、丸山が武富に縦パス入れたとき、左CBの三竿がオーバーラップしてるんです。次に、菊池は自分を追い越していく三竿にパスして、三竿がクロス。これをウェリントンが決めて湘南が先制という流れでした。




2014/03/16 [J.League Division2 第3節] vs コンサドーレ札幌 - YouTube



こっちは第三節のコンサ戦の動画ですが、この試合なんて2点ともCBの遠藤のクロスから生まれてます。2点目なんてWB追い越してクロス入れてる訳ですよ。



この二つの動画見て貰えばわかると思うんですが、この動きが今年の湘南ベルマーレを象徴してます。ピッチをCBの遠藤と三竿が上下動してるんです。三竿は主にWBを追い越す動きをしてクロスを入れ、遠藤はWBを追い越したり、あるいはWBとワンツーしたり、です。CBがオーバーラップする、CBがWBとワンツーする、この二つが非常に今シーズンの湘南で特徴的でした。



これ、もう完全に数字に出てしまっているので、ネタバレしちゃってもいいだろうって事で話をしているんですが、





湘南ベルマーレ 2014 ランキング | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~



こっちのページでベルマーレのスタッツを見る事ができます。ここでスタッツ見て貰えば、ベルマーレが何してたかってのは一目瞭然なんです。


特にCBの遠藤と三竿のスタッツ見て貰うとわかりやすいんですけど、CBのクロスのスタッツが異常に高く、三竿はアシスト10を記録してます。くり返しますが、三竿はCBです。遠藤に関しては、シュート数が異常に多くて、56本シュート打ってます。これは、他のチームのFW並の数字だったりするわけです。


でもって、


湘南】史上最速昇格へ“ドルトムント超え”走る走る!




「日本一走り勝てるチーム」宣言・走行距離発表(4月26日J2第9節横浜FC vs.湘南ベルマーレ) | 横浜FC オフィシャルホームページ



こんな記事も出てた訳ですが、今年の湘南は、走行距離が異常な数字になってました。集計方法によって走行距離は変わるんですが、大体一試合の平均総走行距離は12.5キロとなっており、これはドルトムントより多いんです。チョウさんが「ドルトムントより走れるようになってきた。特に攻撃の部分で走れるのが大きい」って言ってますが、この異常な走行距離の大きな原因になってるのが、ピッチを上下動してるCBでして、CBがWBを追い越して攻撃参加するんで、攻撃時にとんでもなく走ってる奴が最低3人いるんです。WB2枚+CBがシャドーを追い越してオーバーラップしていくサッカーです。横浜FCのデータは更に衝撃的で、横浜FC戦だと、横浜FCは総走行距離が120キロ、一方で湘南は135キロです。こんだけ差があったら、横浜FCが逆転負け食らったのも当然という話です。全体で湘南のほうが15キロ多く走ってる訳だから、湘南はピッチに常に一人多くいるような状況なんですからね。




チーム全体の総走行距離が異常+CBのクロス数、アシスト数が異様に多い」とくれば、何してたかなんて、試合見なくてもわかりますよね。



湘南の攻撃方法を身も蓋もない表現で説明すると、



CFをシャドーが追い越して、シャドーをWBが追い越して、WBをCBが追い越して、CBがクロス入れるサッカー



って形になります。来年はひょっとしたらGKがCB追い越していくかもしれませんね。



これは今年のJ2の序盤戦でJ2の多くのチームを困難に陥れた攻撃でして、CBがWBを追い越してオーバーラップしたり、CBとWBのワンツーで簡単にサイドを突破されるチームが相次ぎました。


なんか湘南のCBがWB追い越して裏に飛び出してくるんだけど、誰がついていくんだ?


って感じで、混乱してるチームは多かったです。CBがボールもって持ち上がるとかなら、他のチームもよくやるんです。ただね、今年の湘南みたいに、CBがオーバーラップして裏に飛び出す、WBとワンツーして裏に飛び出すってのは、かなり珍しいです。3バックやってるチームはJ2やセリエによくありますけど、湘南のCBみたいなプレーを90分間やってるCBはまずいません。というか、普通やりません。CBがオーバーラップ、パス&ゴーやってくるってのは、かなり珍しい光景です。



今年の湘南ベルマーレを総括すると、ハイプレス・ショートカウンターをチームカラーにしつつ、CBのオーバーラップを軸にした攻撃でサイドを突破するサッカーという形でまとめることが出来ます。でもって、シャドー、WB、CB、ボランチが攻守にピッチを上下動してるのでチームの総走行距離は、とんでもない事になりました。ドルトムントよりマジで走ってます。ドルだって、CBがあそこまで激しく上下動してるわけじゃないので、その分、湘南のが走ってるんです。


湘南のサッカーがJ1で通用するかどうかは・・・


最後になりますが、最大の問題がコレになります。




結論からいうと、やってみないとわかりません。




あのですね、湘南は、最近、二回ほど昇格してる訳ですが、二回とも一年でJ2に突き落とされました。J1のチームの強さは、サポーターも選手もフロントも嫌というほど思い知らされてます。本当にJ1のチームは強いんです。J2とは全然違う。



今年のJ2のシーズン中、選手が「まだJ1で通用すると自信をもっては言えない」って話をしてたのを覚えているのですが、来年がホントに全てです。



一応ね、僕的に、湘南がJ1で通用するかどうかの目安を「シーズン通して得失点差+40以上」って所にしてたんです。得失点差+40以上で昇格したチームで、一年でJ2に出戻りしたチームはないので。



ところが、今年の湘南の得失点差は+61という頭がおかしい数字になってまして、これでJ1で通用しなかったら、マジでどうにもならない!って感じです。



なんで、来年こそは・・・と思っているのですが、これで通用しなかったら、マジで寝込みますわ。これ以上のチーム作れとかマジで無理。J2で勝ち点101取れる以上のチームなんて無理ですから!!



という訳で、湘南は来年のJ1でドルトムントより走れるサッカーを披露いたします。興味のある方は平塚までお越し下さい。



それでは。


アギーレ監督が解任されてしまったので八百長の話でもするでござるの巻

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はい、皆さん、お久しぶりでございます。滅茶苦茶更新サボってましたが、私は元気です。


皆さん、既にご存じでしょうが、JFAは日本代表監督アギーレを「解任」する事になりました。


アギーレ監督 異例の解任劇


アギーレ監督の解任 大仁邦彌会長による26分間の記者会見全文


一応、ニュースにリンク貼っときますが、解任の理由は「裁判が始まったら代表監督の活動に支障が出る」って感じらしいです。今回のリーガの八百長については、他のニュースにもありますが、



八百長の闇、会長がメス スペイン


こっちのニュースにありますが、スペイン・プロリーグ連盟のハビエル・テバス会長が、理由はよくわからないのですが、とにかくスペインの八百長撲滅に躍起になっており、その煽りを食らったって感じです。はっきりいって、サッカー界内部で八百長撲滅に本気で取り組んでいる人は珍しいです。大体、八百長に関しては内部で処理して、外部に出ないようにするからです。リーグのイメージを著しく損なうので、出来るだけ表沙汰にならないようにするモンなんです。



上記の記事の中にクリス・イートンの、


「スペインでは00年から八百長の黒いうわさがささやかれたが、本格捜査までいかなかった。連盟と提携した監視機関の調査で今回浮上した約10試合でもサラゴサとレバンテは特別なケース。司法警察の証拠がある」

って談話がありますが、ココは今回のお話の肝になります。今回の話は、サッカーの八百長の捜査で主導的な役割を果たしているクリス・イートンと、八百長監視機関の話になりますので。



「サッカー界の巨大な闇」 ブレット・フォレスト著の紹介

さて、最近、サッカーの八百長について専門的に扱った本が邦訳されたので、そっちをまず紹介しときますね。


サッカー界の巨大な闇  八百長試合と違法賭博市場

サッカー界の巨大な闇 八百長試合と違法賭博市場



この本ですが、先日読了したばっかの奴です。内容は、サッカーの八百長で暗躍しているシンガポールフィクサーへの取材及び、サッカー界の八百長について専門的に捜査しているクリス・イートンへの取材、それからスポートレーダーって会社の取材を元に書かれた本です。




何で、アギーレの解任話で、この本の紹介になるかってーと、今回の解任劇の裏には、リーガの八百長問題があるんですけど、クリス・イートンが「連盟と提携した監視機関の調査で今回浮上した約10試合でもサラゴサとレバンテは特別なケース。司法警察の証拠がある」って話をしていますが、この監視機関ってのは、明らかにスポートレーダーだろうからです。



現在、八百長を専門的に監視している組織が三つありまして、クリス・イートンが所属する国際スポーツ安全会議(ICSS)、スポートレーダー、EWS社の三つになります。EWS社は日本サッカー協会が契約してる所です。



ちなみに、クリス・イートンなんですけど、ちょっと前まではFIFAのセキュリティ部門の責任者やってました。ただ、FIFA八百長改革案を出したら、それが先延ばしにされてしまい、それが契機になってFIFAを辞めてます。それでカタールの国際スポーツ安全会議(ICSS)に移籍して、そこで八百長の撲滅の為に現在は働いています。


この本で印象に残ったシーンがあるんですが、イートンが現FIFA会長のブラッター八百長問題について説明し、そこで全面的な協力をとりつけた話があるんですが、その時、ブラッターが、


「初めて10億ドルのテレビ放映権の契約書に署名した時、アベランジェ(前FIFA会長)はわたしがまちがいを犯したと言った。『君は餓狼の群れを招き入れようとしている』とね」

ってシーンがあります。昨今、サッカーは巨大なビジネスになっており、移籍金だけで100億の金が動き、サッカーのオンライン賭博市場では数百億の金が行き交う世界ですから、それに伴って不正が起こるようになってきたのは、ある意味では当然でした。



昨今、八百長絡みの話題が多いサッカーの世界ではありますが、イートンが色々とやっているので、これからも八百長スキャンダルは出続けると思います。




でもって、もう一つのスポートレーダーって会社の話になるのですが、この会社についても、上記の本の中で結構な分量扱われています。この会社なんですが、要するに「サッカーの試合で八百長が起こったら、それを即座にブックメーカーに通報する」事で、ブックメーカーからお金もらっているような会社です。



ちなみにFIFAのEWSより先にこの手のビジネスを始めてるのですが、現在、彼らの主力の製品はEWS(早期警告システム)でなく、FDS(不正検出システム)となっています。



なんでFDSなのかというと、これはオンライン賭博が流行し、それに伴って、スポーツ賭博の形態が変わってきたからです。以前のスポーツ賭博は、試合の前に賭けてそれでおしまいでしたが、現在のスポーツ賭博は、ライブベッティングと呼ばれる形態が主流になっており、試合の途中経過に伴って、オッズが変動していき、ギャンブラーはそれに賭けることが出来るようになっているからです。



そんな訳で、EWS(早期警戒システム)は時代遅れになってまして、試合の途中警戒におうじて、オッズと基準値を測定できるシステムでないと意味がなくなっています。



以前、ブログで八百長の話を扱った時、はてBで「統計的に八百長試合の存在を確認できないの?」みたいな話をしてた人もいたのですが、統計的に八百長試合の存在を「知っている」のは、オンラインのブックメーカー、スポートレーダー、EWSのような組織になります。


ブックメーカーは、イカサマやられて損害を出すことが珍しくも何ともないので、八百長試合かどうかを判断するシステムがどうしても必要になってる訳です。そういうニーズがあるので、スポートレーダーみたいな会社が存在できる訳ですね。




スペインの八百長

まず、クリス・イートンの「スペインでは00年から八百長の黒いうわさがささやかれたが、本格捜査までいかなかった。連盟と提携した監視機関の調査で今回浮上した約10試合でもサラゴサとレバンテは特別なケース。司法警察の証拠がある」って話に戻る訳ですが、八百長監視機関であるスポートレーダーやEWSは、ブックメーカーのオッズの異常な変動から、その試合が八百長かどうかを判断します。


えっとですね、うちのブログで


サッカーにおける八百長の種類の話



以前、こーいう話をしました。サッカーの八百長の種類の話なんですが、アギーレが関わったと疑われている試合は、八百長の分類でいうと、「調整型の八百長」になります。昇格・降格に絡んで、クラブ関係者が星の売り買いをするタイプの八百長です。



ただ、前もって試合の結果が決まっているなら、当然、サッカー賭博で儲けようって奴がでてくる訳ですよ。そうすれば、賭博市場でオッズに異常な変動がでるので、スポートレーダーやEWSのような機関にはすぐに分かる。



ただ、統計的にありえないオッズの変動が起こったとしても、それだけだと八百長で有罪って形にははらないんですわね。司法の場で決定的な証拠になるのは、金の授受が証明されるか、当事者の自白、あるいは電話の会話記録が残っている場合になりますから。



「スペインでは00年から八百長の黒いうわさがささやかれた」って話がありますが、多分、この頃から、スポートレーダーなんかは、リーガのオッズにおかしな動きがあることは察知してたんだとは思います。



今回の話の肝になるのですが・・・・


さて、今回の話の肝に移ります。



まず、最初の肝になるのですが、「アギーレを選ぶ際に日本サッカー協会はEWSやスポートレーダーのような会社に問い合わせを行わなかったのか」って所。



あのですな。EWSやスポートレーダーのような会社は、


5年で千試合に八百長疑惑



って報告だしてますが、「過去5年に各国1部リーグの約千試合で八百長の疑いがある」って、はっきりと述べている訳ですよ。2部じゃなくて、一部の話です。



八百長疑惑がある試合のリスト、そしてその試合のスタメン、監督まで全部データにして持っている訳です、彼らはね。



だから、前もって、問い合わせをして、その試合に出場した選手、監督をリストから省いてしまえば、リスクは大幅に軽減できたはずなんです。ちょっと金はかかるかもしれませんが、それをやってれば、今回のような結果にはならなかったかもしれないのに、何でやらなかったんだろ?、ってのが僕の正直な感想です。



ぶっちゃけた話、


J初の八百長調査 スポーツ賭博で異常な賭け率も…結果は不正なし


ちょっと前に、J初の八百長調査が行われてましたが、その中で村井チェアマンは「もしも不正があれば、その選手は永久追放、クラブは存続しない」と断言までしてる訳です。


ここまでの覚悟だったら、スポートレーダーから八百長試合の資料を取り寄せて、Jリーグのクラブに配布して、「これらの試合に関わった選手・監督は危ないから取るな」って通達だしても良いくらいだと思うんですよね。これ、絶対やってないと思います。理由は、やってたらアギーレを選んでない。



それからもう一つ。



これは暗い話になりますが、「サッカー界の巨大な闇」の、「何かがあそこで起きている」の章に、スポートレーダーの香港支所の話があります。そこから引用しますが、


オフィスの二方の壁にはホワイトボードがかかっており、さまざまな違法賭博組織の役割と関係を示す図表が書かれている。



(中略)



ボードの図表は色分けがしてある。緑が選手と審判、青がフィクサーと連絡係、黒が資金提供者と犯罪組織の人物だ。ペルマルとサンティアのトンエル会社の名前が片隅に列挙してあり、その下の囲みの中に不正に手を染めた審判たちの名前が並んでいる。中国マフィアの”三合会”、イタリアマフィアの”カモッラ”、”ロシア”の枠もある。そこかしこに書かれた文章が、さまざまな色の線で結ばれている。不規則な図表の向こうには、世界各国-イタリア、ハンガリークロアチアベルギーベトナムフィンランドグアテマラエルサルバドルトーゴベリーズ、マリ、スペイン、ブルガリア日本ジンバブエリベリア共和国南アフリカボリビア、コロンビア、タイ、マレーシア、ベネズエラモルドバ共和国バーレーン-での八百長活動の記録が記されている。


って記述があります。



ええ、日本が入ってます。



どうも八百長組織はJリーグでも活動してるようでして、スポートレーダーはそれを把握しているようでしてね。この本で、僕が一番気になったのはココです。「ああ、やっぱり八百長組織はJリーグでも活動してるんだ」って感じで。



ぶっちゃけ、サッカーのオンライン賭博はいつでも需要があるんですが、欧州サッカーは夏はお休みになります。ただ、幾つかの国は例外的に夏もサッカーやってます。その一つが日本で、この時期に稼ぎ場所を求めて、アジアの八百長フィクサーが日本にやってくるってのは当たり前の話でしてね。



村井チェアマンは「もしも不正があれば、その選手は永久追放、クラブは存続しない」と断言してますので、これ、スポートレーダーに問い合わせして、調査するべきなんじゃねぇの?と本気で思う訳です。代表監督の首を八百長疑惑で飛ばした訳だし、放置していい問題でもないでしょう。本の中で、「日本でもアジアの八百長フィクサーが活動してるよ」って記述があるんですから。



J1はともかくも、J2やJ3のクラブなんて、金が無くてカツカツの所がありますから、そういうクラブ狙って入り込まれたら、イチコロですぜマジで。



そんな訳ですので、チェアマンにおかれましては、対岸の火事とか思ってないで、真面目に調査してください。お願い致します。


Jリーグってのは、今まで、八百長スキャンダルが起こったことがない珍しいサッカーリーグですが、胡座かいてると、マジでやられるので、この部分については、マジで徹底してくださいまし。よろしくお願い致します。


本日はこのあたりで。ではでは。

2014-15ヨーロッパチャンピオンリーグ決勝ラウンド 1stレグ 「ドルトムント対ユヴェントス」 のレビュー

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さて皆さん、こんにちは。本日は久しぶりにサッカーのマッチレポをやりたいと思います。本当はACLあたりから開始しようと思ってたんですが、日本のチームがしょうもない試合ばっかりしてるので、CLの試合のレビューでもしようと思いますですよ。


今回取り上げる試合は、先日行われたドルトムントユヴェントスの試合になります。最終スコアは1-2でホームのユヴェントスが勝ってます。ちなみに香川は未出場でした。


先にドルトムントの話をちょっとしておきます。今シーズンのドルトムントなんですが、ちょっと前までリーグ最下位とかになっており、リーグ戦ではさっぱりな状況が続いておりました。その間、クロップも試行錯誤してましたが、最近になって三連勝と復調してきた所です。


で、なんですけど、最近の3試合のドルトムントなんですが、スタメンは



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こんな感じになってます。



これスタメンみればわかると思うんですが、クロップのチームとしては、ちょっと毛色が変わってます。どう変わってるかというと、まず中盤底のダブルボランチにサヒンとギュンドガンっていうゲームメイカー的な選手を二人使っている所。クロップはゲームメーカー+潰し屋というボランチコンビを使ってきた監督で、中盤底二枚にボールを捌ける選手を並べるって事は、あんまりやってない監督です。まあ、ケールとベンダーを怪我で失ったせいなんですがね。


でもって、中盤3枚にはロイス、香川、カンプルというテクニカルな選手を3枚並べて、1トップにはスピードのあるオーバメヤンを置いてます。この並びにしてから、ドルトムントは復調してきました。




ここで、この並びの肝を説明しますけが・・・ぶっちゃけ、この並びだと中央突破がメインになります。というか、それ以外に攻撃方法をもっていないと言っても良いです。



中盤の底に2人のテクニシャンを並べて、その前に体格は小さいが、スピードやアジリティがあってテクニカルな選手を並べた場合、攻撃方法は、必然的にショートパスによるビルドアップと細かいコンビネーションによる中央突破で攻撃を組み立てることになるんです。あとはオーバメヤンの裏への動きだしに合わせたスルーパス位ですね。




最近のフライブルグ戦、マインツ戦、シュッツガルド戦の動画貼っときますが、




香川真司2アシスト、ドルトムント今季初3連勝!【 シュツットガルト2-3 ドルトムント】 - YouTube



Borussia Dortmund vs Mainz 05 Summary Match Full 13/02/2015 (4-2) HD - YouTube



香川真司タッチ集 フライブルク戦1アシスト Shinji Kagawa 2015.02.07 - YouTube



こんな感じです。ぶっちゃけた話、このメンツだとポゼッションサッカー気味になります。中盤の底にギュンドガンとサヒン並べて、その前がロイス、香川、カンプルというテクニシャンなんで、どうしたってそーなります。


最近のドルトムントなんですけど、ハイプレス、ショートカウンターがお家芸なのは変わらないのですが、ポゼッションを明らかに重視したスタメンをクロップは組んでおり、やってるサッカーも中央でのコンビネーションが主体のサッカーになってきてます。何度も言いますが、このメンツでサッカーやれば、どうやってもそうなります。


で、なんですが、実は、ユヴェントス戦ではスタメンをクロップがいじってまして、



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こーなってました。いつもの442でなくて、433布陣です。プレスのかけ方も433でした。クロップがスタメンと戦術をいじってくれたんで、有り難い事に、書くことが出来たんですわー。有り難い事です。





さて本題になりますが、ドルトムントユヴェントスの試合における戦術上のアレ

ここからが本題。最初に最近のドルトムントの戦術がどうなってるかはお話しました。この戦術上の変更ってのはクロップのチームとしては、珍しいです。ってーのも、クロップはワントップに空中戦強いCF(バリオスレバンドフスキ)置いて、ボランチには潰し屋とゲームメーカー、サイドに足の速い選手を使う傾向があったからです。


基本的にボールを素早くワントップの選手に当てて、そのポストプレーから足の速い両サイドの選手に展開って攻撃をメインにしてる監督さんです。これは、そう珍しい戦術って訳じゃなく、ポストプレーに優れたCFとスピードのあるサイドアタッカーを組み合わせるっていう極めてベーシックなやり方です。


そういうチームの場合、どういう攻撃をするかってーと、


1,ワントップに当てて、ボランチorトップ下にボールを落とし、そこからサイドのWGに展開
2、引いてきたワントップへのロングボール、ワントップはボールをヘディングで斜めに裏に走り込むWGにフリックする



みたいな攻撃がメインになるんです。CFのポストプレー、空中戦の強さとサイドアタッカーのスピードを生かした攻撃です。なんで足下が良くて、空中戦強いFWが欲しくなる訳なんですが・・・・



ぶっちゃけ、この攻撃が今年のドルトムント、上手くいってません。ワントップのA・ラモス、インモービレなんですけど、ラモスは空中戦は強いんですが、足下がダメなのが困りもの、インモービレは空中戦が強くないという状態なんですね。ここまで、バリオスレバンドフスキと空中戦強くて足下も良いFWがいたんで良かったんですが、今年はそういう選手が取れなかった。



で、いないもんはどうしようもない訳で、やってるサッカーのモデルチェンジみたいな状況になってるんです、今。


今回のユヴェントス戦のスタメンもそうなんですが、インモービレは空中戦が強くありません。なんで、ワントップへのロングボールからの展開は使えない。となると、ボール持たされたら、細かいビルドアップからの崩しでやるしかない。



そんな訳ですので、この試合、ドルトムントはボール持たされたら、細かいコンビネーションからの崩しで勝負するしかない、みたいな状況でした。ただ、そういうサッカー向けの香川とカンプルはベンチ。どうも風邪引いてたっぽいです。



えっとですね、


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この並びだと、CFはポストプレーが出来て空中戦が強い奴がベストなんです。両サイドのロイスとオーバメヤンはスピードがあるので、CFが高い位置で起点を作って、スピードのある両翼に展開ってするのが理想です。



ただ、この試合の場合、インモービレにはそーゆー仕事は求められてませんでした。やってるサッカーみる限り、最近のドルのサッカーやろうとしてた感じです。





この試合におけるクロップのゲームプランについて

さて、この試合におけるクロップのゲームプランに移りましょう。と、その前に、両チームのスタメンは



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こーなってました。ドルトムントは433、ユベントスは4312です。ドルは、この試合、いつもの442じゃありませんでした。この理由なんですが、ドルのプレッシングとユーヴェの布陣にあります。



基本的に、ユーヴェの4312に対して、442でプレッシングしますと、442と4312は典型的なミスマッチ対戦になりますので、


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これ、前から行くと、わかーりやすくピルロビダルが浮きます。じゃあ、どうすればいいのかって話になるんですが、この日、クロップが取った戦術が433前プレでして



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こーです。前プレを賭ける場合、ユーヴェのCBにプレスに行くのは、両サイドのロイスとオーバメヤンピルロ番はインモービレ。中央のマルキージオビダル、ポグバは、ムヒタリヤン、ギュンドガン、サヒンでつかまえるって形です。こっからはキャプで説明しますけど、



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こーいうやり方です。



ただ、左サイドのプレスにおいては、ロイスとムヒタリヤンのどっちがCBに行くのか、明確になって無いときがありました。ロイスが行く事もあれば、ムヒタリヤンがCBにプレスに出る事もありました。



右はオーバメヤンが必ず出てましたけど、左はロイスとムヒタリヤンで交互に出る事になってるのか、その辺りは不明瞭です。この辺りはクロップに直に聞いてみないとわかりません。



こういうプレッシングのかけ方は最近は欧州だと良く見ます。最近のサッカーでは、442でプレスをかけてくる相手に対して、アンカー+2CB、もしくはダブルボランチのうち一人を最終ラインに落として数的有利を確保し、2トップのプレスを回避するのがデフォになっています。


このやり方が流行った結果として、それに対抗する為に使われているのが、この手の433プレスで、相手の3バックポゼッションに対して3トップでプレスをかけ、サイドに追い込んで取るか、縦パス入った所を挟んで取るみたいな形です。



ちょっと図で説明しときますが、


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こんな感じになります。これは、こないだの日本代表対オーストラリア代表の親善試合で、オージーが日本に対してやってきたやり方でもあります。参考までに→(キリンチャレンジカップ2014「日本対オーストラリアのレビュー」



ドルトムントが、この日、433を採用していた理由は、4312に対しては442より433の方がハイラインプレスをかけやすいってのがあるからです。



欧州だと、攻撃時に3バックに変形するタイプの可変型フォメを組むチームがデフォになった事から、この手のプレッシングが最近はとっても幅を利かせるようになってきてます。何にも考えずに3バックポゼとかやると、前プレでハメられる時代になりました。ちなみに、このタイプのやり方なんですけど、J1ではFC東京フィッカデンティさんがやってて、そこそこ結果は出てました。シーズン当初は上手く行ってませんでしたけども、途中から機能するようになると勝ってました。もっとも、それも相手チームに対策されるまで、でしたけども・・・・



この日の試合なんですけど、やっぱりユーヴェも大したモンだと思ったのは、



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こーいうパスは使わないんですよね。CBからSBに出しちゃうと、そこはドルの狙い所でスライドとプレスバックで対応されちゃうので。




個人的には、もうちょいユーヴェがボールもつ所を見てみたかったのですが、この試合の場合、



[UEFAチャンピオンズリーグ ベスト16 2014-15] ユヴェントスFC vs ボルシア・ドルトムント



↑の動画サイトへのリンク貼っときますが、ユーベとドルによるお笑い試合でした。ユーヴェの得点もドルの得点も、全部、ミスからの失点でして、「戦術全く関係ないやんけ・・・」と苦笑しつつ見てた試合です。ユーヴェはさっさと先制できたので、そこからはカウンターに切りかえてました。



試合後、クロップは以外とサバサバしてまして



ユーヴェに敗れるもクロップは一定の満足感 「ホームで1-0なら突破できる」


こんな感じでした。試合中、二度もアレなミスから失点してたんで、怒ってるんじゃなかなあと思ったのですが割と冷静でした。実は、今シーズン、ドルトムントは守備のミスからの失点が本当に多くて、「どうなってるのコレ・・・」と思う事が多いんですが、この日も相変わらず、でした。1失点目はヴァイデンフェラーがアレですし、2失点目はムヒタリヤンが出なきゃいけない所で出てないですし、その後もパパスタソプーロスが簡単にテベスを前向かせた上にギンターが前向いたテベスにつっかけていって置いてきぼりに。


その後、ポグバにクロスをあっさり上げられ、ラインが揃っておらず、あっさり失点。この場面でのパパは、信じがたい守備(ゴールに背を向けてボールを受けたテベスにあっさりターンされた)だったんですが、その後、「筋肉系の故障」だった事が判明。後半頭で引っ込んでます。


あんましいいたかないですけど、この日のユーヴェ、ポグバとビダルが本当に荒くて、野獣状態でした。ホームなんで、やりたい放題やってまして、ちょっと引くレベルでした。ビダルが試合前、「ユーヴェMFビダル、ホームでのCLを前にドルトに警告「地獄を見る」」なんて言ってましたが、ここまでやるとは思いませんでしたわ。ドルの攻撃をユーヴェが止める際、危なくなると肘やらローキックが飛んできてたんで、ユーヴェの守備については扱いません。いくらなんでも荒すぎます。



今回は久しぶりのレビューなんで、リハビリ的に書いてます。もうすぐJリーグが開幕するので、ぼちぼち、J1のチームについて、それぞれエントリ書いて、チームの特色や見所なんかを説明しようかと思ってます。ゼロックスあたりからやろうかと思ってます。


ただし、湘南については、戦術上のネタバレはブログではシーズン終わるまではやりませんのであしからず☆


今日はこのあたりで。それでは。



追記


あと、ACLについては、もうあんましブログで書く気はありません。以前、ピクシーが



ピクシー、ACLよりJだ



こんな風に盛大なぶっちゃけをやってましたが、時差のある移動と遠征費用、少ない賞金、ホームで人が入らない、の三重苦の大会なんでね・・・ぶっちゃけドル箱のJ1のリーグ戦優先が全監督の本音だと思ってますよ。UCLとACLじゃ、価値が全然違います。

サッカーにおける各国の1試合あたりの平均得点のお話

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さて皆さん、こんにちは。Jリーグ開幕もいよいよ間近ですが、本日は、ちょっとした数字遊びネタでお送りします。内容的には、タイトルの通り、「サッカーにおける各国の1試合あたりの平均得点のお話」でありんす。


実は、ここ数日ほど、主要国の一試合あたりの平均得点を調べており、実際に調べてみたら、面白い事がわかったので、本日はそれをネタにしてエントリ立てた次第です。興味のある方はおつきあいください。本当は、ゼロックスカップのレビューでもしようかと思ってたんですけどね、ゼロックスの試合内容がなんとも書きにくい内容だったので、こっちに変えました。ルールダービーもレビュー対象としては、なかなか興味深い試合でしたが、ドルのレビューはこないだやったばっかですし。


もともとは「セリエAは本当にゴールが少ないリーグなのか?」ってのを調べていたんですが、それで主要リーグの数字を調べて散布図作ったので、その紹介になります。



さて、話の前に、ちょっと本の紹介になりますが、



サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか

サッカー データ革命 ロングボールは時代遅れか



こちらの「サッカーデータ革命」の紹介をしときます。このエントリの元ネタはこっちの本でして、こちらの本の「攻撃のイノベーションと防御のテクノロジー」の項目に、プレミアリーグブンデスセリエA、リーガの一試合あたりのゴール数のデータが載ってます。それをちょっとキャプして載せておきますが、


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こうなっています。しばしば、「世界のサッカーはこんなに違う」というのがネタにされますが、「一試合あたりのゴール数」という視点で眺めると、実は、プレミア、リーガ、ブンデスセリエAには大きな違いはありません。どこのリーグも一試合あたりのゴール数は2.5以上、3.0未満で、ここ15年間推移している事がわかります。



このデータで面白いのはプレミアの得点数の推移です。1960年代後半に急激に一試合あたりの得点数が落ちてるんです。この時期に何があったのかはよくわかりません。ちなみにプレミアで勝利のポイントが2から3に変更されるのは1970年代ですから、それは関係してません。




J1における一試合あたりのゴール数の推移

さて、まずはJリーグの話から入りましょう。Jリーグといえば、創生期にトルシエに「日本には守備の文化がない」とか言われたり、ピクシーに「来たばかりの頃はゾーンとマンツーマンの違いが正しく認識されていなかった(うろ覚え)」みたいな事言われてたリーグだったります。



で、実際どうだったのよ?という話になるんですが、Jリーグ公式サイトから「一試合あたりの平均得点数」のデータ取ってきて散布図作ると、



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こーなります。このデータで面白いのは、2007年の断絶です。2007年以降、J1では、一試合あたりの得点数が3.0を上回る事がなくなったんです。これはイングランドで起きた事と良く似ているんですけど、ある時期を境に一試合あたりの得点数が3.0を超えなくなってるんですね。



J1ってのは、創生期、かなり点がはいりやすいリーグでした。一試合あたりの得点数が3.0を上回るシーズンが立て続けにあり2000年あたりまでは、かなり「ザル」な部類にはいる得点数でした。ただ、2007年以降は、逆に「欧州主要リーグ並に点が入らない」状態でして、ゴールは貴重になり続けています。



これがJ1における攻撃の質の低下によるものとするか、守備の質の上昇によるものとするかは議論があるでしょう。ただ、はっきりと言えるのは、2007年以降、J1では攻撃と守備の進歩はほぼ拮抗しており、大きな変動がなくなってきているという事です。



一応、J1においては、計算すると1年で0.03ずつゴールが減り続けている訳なんですが、他の主要国のリーグを見る限り、2.5以下に落ちることはまずないので、J1もある意味では成熟してきたと言えるのかもしれません。


例外的にフランスのリーグアンは一試合あたりのゴール数が2.3となっており、調べた限りでは、フランスのリーグアンが最小のリーグです。





セリエAにおける一試合あたりのゴール数の推移


さて、次いきましょう。イタリアのセリエAに話をうつします。よく、「セリエAは守備的でゴールがなかなか入らないリーグだ」と言われます。アンチェロッティなんかは著書でモロにそう発言してます。ただ、実際に調べてみると、そうでもないという事がわかります。


wikipediaで数字調べて、それで散布図作ったので載せておきますが


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こうなります。これ、自分で作って驚いたんですけどね。


イタリアは、戦術的な話をすると、1980年代後半のサッキのミランの登場前と登場後で、大きな断絶があります。サッキのミラン前は、カテナチオのマンツーマン、5バックが主流でしたが、サッキのミラン後4バックのゾーンに切り替わってます。



で、なんですが、サッキのミランの登場後、イタリアでは一試合あたりの得点数が伸び続けてるんです。プレミア、J1、ブンデス、リーガを調べましたが、1980~2014の期間で、一試合あたりの得点数が上昇トレンドを持っていたのはセリエAのみです。


一体、何でこんな事が起きたのか、それはよくわかりません。ただ、はっきりしているのは5バックのマンツーマン、カテナチオやってた頃のほうが、イタリアでは点が入らなかったって所です。4バックのゾーン始めた頃から、イタリアはずーっと点が入りやすくなり続けています。実に興味深い。



でもって、現在なんですが、イタリアに関して言えば、「セリエAは守備的でゴールがなかなか入らないリーグ」というのは神話と言って良いと思います。というのも、2014-15シーズンでも、セリエは一試合当たりのゴール数が2.6となっており、これはプレミアやリーガと変わりません。ブンデスは2.8、リーグアンが2.3、エールが3.0、J1が2.53となっているので、エールやブンデスよりはマシだが、リーグアンのほうが点は入りにくい。そんな所です。


ぶっちゃけ、2014シーズンで比較すると、J1とセリエAは、一試合あたりの得点数は、ほとんど同じです。差は無いと言っていいレベルです。



イタリア人監督のコラムとか読んでると、彼らってセリエAは点が入りにくいリーグだと本気で思ってるようなんですが、数字的には、セリエAは「極めて普通に点が入る」リーグです。彼らは、他のリーグと比較したことがないだけだと思います。



そして、ゴールが貴重なのは、どこのリーグも変わりません。エールは例外でそうでもないみたいですけがね、一試合平均3ゴールみられる珍しいリーグですから。




ブンデスリーガにおける一試合あたりのゴール数の推移


次はブンデス行きましょうか。ここもデータ的になかなか興味深いんです。特にセリエと比較すると興味深い。


散布図載せますが、


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こうなってます。まず、1980年代のブンデスはとんでもないザルリーグでして、この頃のブンデスはマンツーマンが主流だったんですけど、とにかく一試合あたりのゴール数が多かったんです。年間の数値が3.5のシーズンが3つあり、これはかなり酷い数値です。マンツーマン時代のほうが点が入らなかったセリエAとは対照的です。



そして、ブンデスの戦術上の転換期は90年代に入ってからで、90年代あたりからブンデスでもゾーンが導入され始めるんですけど、ブンデスではゾーンの導入以降、一試合あたりのゴール数が減り続けてるんですね。イタリアとは、この点で正反対の傾向を示しています。



ちなみにブンデスなんですけど、ここ10年ほどは一試合あたりのゴール数は2.8前後で安定しており、欧州主要リーグの中では、「比較的ゴールが多い」リーグになってます。他のリーグが2.6前後くらいなんで、若干点が入りやすいリーグです。



リーガにおける一試合あたりのゴール数の推移


最後にリーガ・エスパニョーラに行きましょう。散布図を作ったんですが、



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こうなりました。「何とも言えない」という推移を見せておりますが、リーガについては、1980年代後半は点が入りにくいリーグでしたが、他のシーズンは、ほぼ2.5前後で推移してまして、ひじょ~に一試合あたりのゴール数が安定しているリーグです。ここ20年ほど、ほとんど変化がありません。




ここで、何がわかったのか?

まとめに。


「サッカーデータ革命」でも言及されているが、J1、そしてプレミア、セリエA、リーガ、ブンデスでは、一試合あたりのゴール数は大差ない。どのリーグも最終的に2.5以上、3.0未満に落ち着く。



例外は、フランスのリーグアン(2.3前後で安定)とオランダのエール(3.0以上になることがある)。


プレミアは1960年代後半に急激に得点数が減少しており、それ以前は3.5前後だったが、それ以降は2.6前後になった。原因は不明。一試合あたりの得点数が減った事は、その後、勝利の勝ち点が2から3に変更される原因の一つになる。


セリエAは、カテナチオ時代(マンツーマン)のほうが点が入りにくかった。だがゾーン導入以降、点が入りやすくなった。昨今、セリエAから「ワールドクラスのFW」が消えて久しいが、それでも一試合あたり2.6~2.8点は入っている。FWの質は間違いなく低下しているのに、一試合あたりの得点数が変わらないというのは、やっぱり(以下自粛


ドイツはマンツーマン時代は点が入りやすかったが、ゾーンになってから点が入りにくくなった。セリエAとは逆のトレンドが現れている。


リーガはここ20年ほど、一試合当たりのゴール数が極めて安定している。


J1は年を経るごとに点が入りにくくなっている。それがJ1において反則外人が取りにくくなったせいなのか、守備戦術の向上によるものなのかはわからない。両方なんだろうと思う。多分ね。




番外編 浦和は勝負弱いのか?

ゼロックスで浦和さんが、また「試合後半での失点」で負けたので、番外編でやっときます。


Jリーグ時間帯別失点総得点1~1516~3031~終46~6061~7576-終了延長前半延長後半76~終了の失点率
J1ベガルタ仙台315284449(4)5055842(0)3(0)0.2666666667
J1モンテディオ山形146192233(2)2418300(0)0(0)0.2054794521
J1鹿島アントラーズ6096580100(3)1011081455(0)5(0)0.2380952381
J1浦和レッズ615909176(6)919815410(0)5(0)0.2504065041
J1大宮アルディージャ483716269(6)89801120(0)0(0)0.231884058
J1ジェフユナイテッド千葉549528497(0)89971177(0)6(0)0.2131147541
J1柏レイソル6358969109(6)981071566(0)1(0)0.2456692913
J1FC東京619718482(4)1081121563(0)3(0)0.2520193861
J1東京ヴェルディ413565060(0)57721066(0)6(0)0.2566585956
J1川崎フロンターレ532596683(5)951021270(0)0(0)0.2387218045
J1横浜F・マリノス5736776103(1)92861407(0)2(0)0.2443280977
J1横浜FC666816(0)514170(0)0(0)0.2575757576
J1湘南ベルマーレ216262642(1)2842492(0)1(0)0.2268518519
J1ヴァンフォーレ甲府264314537(4)4745590(0)0(0)0.2234848485
J1アルビレックス新潟512586393(1)68981320(0)0(0)0.2578125
J1清水エスパルス7238379116(4)1111311965(0)2(0)0.2710926694
J1ジュビロ磐田676779180(3)1231221755(0)3(0)0.2588757396
J1名古屋グランパス6987687121(7)1061271707(0)4(0)0.2435530086
J1京都サンガF.C.453455972(0)83761087(0)3(0)0.238410596
J1ガンバ大阪6908686102(6)1031211809(0)3(0)0.2608695652
J1セレッソ大阪612708687(2)911231502(0)3(0)0.2450980392
J1ヴィッセル神戸6997891123(7)1061281578(0)8(0)0.2246065808
J1サンフレッチェ広島632547293(6)1051391559(0)5(0)0.2452531646
J1徳島ヴォルティス74101016(1)1111160(0)0(0)0.2162162162
J1アビスパ福岡294323752(3)4655617(0)4(0)0.2074829932
J1サガン鳥栖13582116(4)2027430(0)0(0)0.3185185185
J1大分トリニータ377364674(1)6663920(0)0(0)0.2440318302


これは公式サイトから数字ひっぱてきた奴です。オールタイムだと、浦和さんは別に「試合終了直前の失点が多いチーム」って訳じゃありやせん。試合終了直前の失点が多いチームってのは、実は鳥栖さんです。鳥栖さんが勝負弱いってイメージがないのは、鳥栖さんの場合、J1で先制点とった試合では大概勝ってるからです。


ちなみに、2014年だと、


J1 時間帯別(失点)(2014)
総失点1-15分16-30分31-前終46-60分61-75分76-終了76~終了の失点率
仙台 503511(2) 711130.26
鹿島 39267(1) 8970.1794871795
浦和 32553(0) 27100.3125
大宮 607135(0) 148130.2166666667
40397(2) 6960.15
F東京 33335(1) 8680.2424242424
川崎 43576(1) 66130.3023255814
横浜M29229(0) 5380.275862069
甲府31583(1) 8430.0967741935
新潟 36447(0) 5880.2222222222
清水 6011810(1) 910120.2
名古屋 48773(0) 710140.2916666667
G大阪31624(1) 27100.3225806452
C大阪48656(1) 610150.3125
神戸 5041010(3) 8990.18
広島 37664(1) 5790.2432432432
徳島 74101016(1) 1111160.2162162162
鳥栖33134(1) 67120.3636363636

こーなります。2014に限っては、浦和さん、悪い数字ですね。終了間際の失点が30%を超しております。ただ、ガンバや鳥栖も超してますので、「勝負弱い」ってイメージは、ガンバと鳥栖が先制した試合の8割強勝ってるのに対して、浦和は6割強しか勝てなかったせいだと思います。


ミシャが就任してからの浦和さん、先制した場合の勝率は0.672、前半リード時は0.750となってます。通算データだと、浦和の先制した場合の勝率は0.748ですんで、悪いといえば悪いですが、この数字については、運次第な所もありますから何とも言えません。


去年はガンバに逆転優勝食らってますが、去年のガンバは先制した場合の勝率0.850、前半リード時0.909っていう頭おかしい数字なので、継続不可能な数字です。ガンバは通算では先制した場合の勝率0.716です。昨シーズンほどの数字は出せないと思いますよマジに。


なので、これは、そんな悲観する必要はありません。(と、開幕戦、湘南は浦和さんとやるんですが、ACLから中二日+長距離移動という状況なんで、ワンチャンあると思っている湘南サポは申しておりましたとさ。



ではでは

2015キリンチャレンジカップ 「日本代表対チュニジア代表」のレビュー

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さて、皆様、こんにちは。本日は先日行われた日本代表対チュニジア代表のレビューをしたいと思います。



久々の代表レビューになりますが、ホンットーに有り難い事に、ハリルホジッチ新日本代表監督なんですが、やり方をいじってくれました。この短期間に、です。サッカーブロガーにとっては、ほんとーに有り難い事でして、おかげで書くことが出来ました。感謝しないといけません。サンキュー・ハリル!



で、本題にはいる前に、つべにフルマッチ動画あがってたんで、それ載せときます。



www.youtube.com



これまた有り難い話ですが、最近はフルマッチ動画がつべにすぐ載るんですな。おかげでフルマッチ動画も埋め込めますですよ。ちなみにスタメンですけど、


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こーなってました。日本は4231でワントップ川又、その後ろにムトゥ、清武、永井と並べて、ダブルボランチは長谷部と山口蛍、4バックは藤春、槇野、吉田、酒井ゴリ、GK権田となってました。いじってきましたね、新監督。さらに、メンツいじるだけでなく、やってるサッカーもいじってくれたので、エントリで書くことが沢山出来ました。有り難い話です。アギーレジャパンは・・・書くことがあまりなかったんで・・・・


ハリルホジッチの4231のお話、前半戦を例にして。

さて、早速ですけど、日本代表の変化について話をしときたいと思います。えっとですね、アギーレが433やってたんですけど、ハリルホジッチはザックの時と同じ4231に戻してます。守備の形は、442か4411でセットしていたので、守備に関してはオーソドックスな442スタイルになると思います。守備はコレで良いと思います。あんまり面倒な事やらず、ベーシックな442が一番良いと僕は思ってますので。時間が無い代表チームですから、守備はオーソドックスなのが習得に時間かからないですしね。



一方でなんですが、攻撃については、短期間でしたけど、結構いじってました。本日のエントリは、ハリルホジッチが攻撃面でちょいと手をいれてたので、そっちの話になります。



今回はフルマッチ動画へのリンク張っといたので、そっちで、それぞれの場面は確認してもらうのが良いのですが、結論から言いますと「スルー・フリックを使ったコンビネーションが異常に多い日本代表」になってます。ここからは、ハリルホジッチの日本代表の攻撃シーンのキャプ使って説明しますけど、



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これ、前半11分の日本代表の攻撃なんですが、コンビネーションとしては、「フリックを使ったコンビネーション」になります。降りてきたWGにボランチがパスを入れて、WGがトップ下にボールをフリック。この時、SBがWGについてきたので、SBの裏が空きました。で、そのスペースにトップ下の清武がボール運んでクロス、という流れでした。この日の試合でいうと、チュニジアの左SBの守備がかなり緩く、チュニジアの左SBは2失点に絡んでますし、裏を取られすぎてました。



次に「スルーを使ったコンビネーション」ですけど、これは、やっぱり右サイドで26分に綺麗に決まってるんですが、

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これですね。こっちはスルーを使ったコンビネーションが綺麗に決まってて感心した場面です。このシーンでも左SBがちょっと・・・というプレーしてるんですが、まあ、それはさておき、キレーにコンビネーション決まってます。(サッカーにおけるコンビネーションプレーについては、以前のブログにまとめましたので、そっちのリンクもつけときます。サッカーにおける代表的なコンビネーションプレーのお話 - pal-9999の日記



この手のコンビネーションなんですが、浦和のミシャ・ペトロビッチ監督がよく使うコンビネーションでして、この試合見ていて思ったのは、「旧ユーゴのサッカー監督って、この手のコンビネーションが好きなのか?」という奴です。ザックもフリックやスルーは使ってましたが、ハリルの日本代表は、スルーやフリックからのコンビネーションを狙う動きが非常に多く、これがこのチームの特徴と言って良いと思います。



実は、右サイドでも14分にフリックを使ったコンビネーションを狙ってますし、20分にはスルーを使ったコンビネーションを狙ってました。


ここは動画で確認してください。前半14分の場合、ムトゥに楔がはいった時、SBとボランチがムトゥのフリックを受ける動きをしてますし、前半20分の右サイドでは、スルーを使ったコンビネーションの動きが行われてます。ボランチが前むいた時、清武が降りる動きを入れて相手の右SBを最終ラインから引っ張り出す。そしてパスをスルーして、その後、右SBの裏へと動き直してます。ただし、このシーンでは相手の右SBがパスをスルーした清武に一回体をぶつける事で体勢を崩し裏に走っていけなくしてました。この守備をきちんと右SBは入れるんですが、左SBはいれてなくて、そのせいもあってチュニジアの左サイドは問題を抱えてました。


この日なんですけど、前半、日本はチュニジアの左サイドばっかり攻めてましたが、これはチュニジアの左サイドの守備に問題があったからでして、右サイドのムトゥが悪かったわけじゃないです。一応、右サイドでも良い動きは見せてたんですが、チュニジアの右サイドは守備が良い。これ、前半39分のシーンで説明しますけど、



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こーなってました。チュニジアの右サイドなんですけど、右サイドは守備の連携が良くてカバーも早いので、コンビネーションしても裏取らせてくれないんですね。藤春はスピードあるんですけど、CBついてきてるし、SBのカバーも早い。



でもって、前半42分にはムトゥの決定機があるんですけど、この時もチュニジアの左SBがイミフな動きをみせており、左SBとボランチの連携ミスからムトゥに左SBが本来カバーしてないといけないスペース使われてムトゥにシュート打たれてます。ここも動画で確認してくださいな。キャプでやるの面倒なんで。



ハリルホジッチの4231デビュー戦、後半戦の話

さて、次に後半戦の話に移りましょう。先日の試合の後半戦の目玉といえば、香川と本田が後半60分から入ってきてます。ただ、この二人が入っても、基本的な攻撃パターンは変わってはいません。相変わらずのフリック・スルーでしたし、左SBの裏狙いってのも変わってませんでした。キャプでやりますけど、



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これは前半からくり返し日本がやっていた攻撃で、ボランチが降りてきたWGに縦パスつけて、フリックでトップ下に流す。そこから左SBの裏を取るっていう攻撃です。まあ、流石にチュニジアも、この時間帯になると慣れてきてはいましたけども。もひとつやっときますけど、



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これも後半の日本の攻撃なんですけど、とにかくチュニジアは左SBの裏を日本代表に好き勝手に使わせてしまっており、この守備じゃ守りきれません。何回、左SBの裏を日本代表に取られたんだよという話でして、左サイドが事実上死んでました。



で、日本は後半77分に日本が先制に成功するんですが、この時、チュニジアの左SBが信じがたい怠慢守備をやってまして、これはキャプで説明しますけど、


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こーなりました。ココ、チュニジアの左SB、全力でカバーに戻らないといけないシーンなのに、戻ってきてないンです。これは絶対ありえない守備でDFがやるプレーじゃないです。岡崎は、後半入ってきて、最初のビッグチャンスできっちり決めるあたり、やっぱりモノが違うんですが、こんなアホな守備やる奴は強豪にはいないので、あんまし参考にはなりません。(すいません、嘘つきました、ブラジルのマルセロあたりはやらかすかも。)



次に日本の2点目なんですけど、ここでもそうなんですが、チュニジアの左SB。香川のシュートをGKが弾いた時、イミフな動きをしていて本田に押し込まれてます。見返してみると、あの左SBばっかりは、何で選ばれているのかわからないレベルでして、ホントに何でこの選手が代表チームにいるのかわかりません。本当に酷いです。



ちなみに、最後、宇佐美の決定機の時は、左SBは変なプレーはしてません。宇佐美のアレは、この日最大の決定機といって良い場面でしたが、宇佐美がトーレスしたので、大変、満足度の高いシーンでした。あのシーンは失礼ながら、爆笑してしまいました。香川のスルーパスから、宇佐美の抜けだし、その後のシュートから、ポストに当たってしまい、宇佐美が倒れ込む所まで、トーレス式サッカーアートとして一部の隙もない出来だったと思います。



総括とか、日本代表に新しく使われた選手の紹介とか


さて、総括しときますが、ハリルホジッチ新監督なんですが、ベースは4231。守備は442、攻撃はスルー・フリックを使ったコンビネーションの多用が特徴の4231として、まとめる事が出来ます。縦に早い攻撃を指向してるようですので、スルー・フリックを使ったコンビネーションから、一気にサイドを抉ってボールを折り返すってのが狙いなんだと思われます。サイドに足の速い選手使ってましたが、スルーやフリックを使ったコンビネーションやるなら、スピードあるに超したことはないので、そういう人選になったんだと思います。



ちなみにこのタイプのサッカーですと、WGはプル&アウェイに秀でた選手が使われていくと思われます。トップ下はスルーとフリックが上手な選手が使われるでしょう。FWはサイドに流れるタイプが好まれると思います。WGが頻繁に下がってくるサッカーなんで、FWは開いたサイドのスペース使える選手をピックする可能性が高いです。ボランチはSBが頻繁に上がっていくので、二枚とも守備専がベースになるかもしれません。SBはWGが頻繁に中に入っていくので、どっちも縦にいける選手が使われると思います。SBが高い位置とる関係上、CBはSBの裏のカバーができる機動力のある選手が使われると思います。とまあ、やってるサッカー的に必要な選手は、そんな感じだと思います。




最後に何人か新しい選手がテストされたので、その紹介をやっておきます。




名古屋グランパス・川又堅碁


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ゴール動画張っときますけど、今回日本代表でCFやってたのが川又です。大迫、川又、岡崎が今回のメンバーでCF出来る訳ですが、大迫が体調不良って事もあり、今回は川又が大抜擢となりました。今回はチャンスが何度かあったんですが、決めきれませんでしたね。僕としては川又は湘南を痛い目にあわせているので良い印象がないですけども。


えっとですね、この選手、横からのボールに強いタイプの選手です。左利きでポストプレーは並くらい。ただ、この試合は、チュニジアの左SBの裏に流れてプレーする事が求められていた部分もあり、レフティの彼にとっては難しい試合でした。この選手、レフティなんで、右サイドを抉ってクロスをあげるってのが不得意です。カットインからのミドルシュートもレパートリーにないので、右サイドでチャンスメイクしろってのは、川又みたいなFWには難しい話なんで、ちょっと運もなかった部分があります。


ただ、最初のCKでバーを叩いてしまったシーンとか、藤春のクロスとか、チャンスは何度もあった訳で決めきれなかったのが岡崎との違いになってしまいました。この選手、基本的にポストプレーからチャンスメイクするタイプではなくて、とにかく点を取ってチームに貢献するタイプのFWなんで、点とらないとダメです。岡崎よりも守備はできない選手なので、岡崎より点を取れないと代表でCFになるのは難しいです。なんで、次の試合、チャンスもらったら、守備はもうどうでもいいので、とにかく点を取ること。じゃないと次呼んでもらえません。点とれ川又。以上。



ガンバ大阪・宇佐美貴史


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これもゴール動画張っときます。サッカーファンの間で彼の名前知らない奴はいないでしょう。去年のガンバの三冠の原動力であり、現・ガンバ大阪のエースです。今回は盛大に外しちまいましたが、普段は決めます。選手として見た場合、「点取るしか出来ない選手」です。他に長所がないです。上手いし、チャンスメイクも出来るやん!という人もいるでしょうが、そんなプレーだけなら、他にもっと良い選手がゴロゴロいます。この選手は点が取れるから価値がある訳で、他の部分は僕は割とどーでも良いのです。守備やらないとか、どうでもいいです。点取れるんだから、どんどん点取れば良いのです。それ以外、宇佐美に期待する事はありませんし、代表に呼ばれたのも点とる為で、守備とかチャンスメイクさせる為じゃないですよ、この選手に限ってはね。とにかく代表で点取れない限り、次がない選手です。チャンスメイクして守備もするってーなら、清武か乾でいいし、サイドで守備も出来るカウンターアタッカーならムトゥで良い訳ですし。宇佐美はね、とにかく点とるためだけに呼ばれているんです。だから点取れないとダメ。そーゆー選手です。なので、次の試合、守備頑張らなくても良いので、出たら点取りましょう。とにかく取りましょう。じゃないと、次呼んでもらえないぜ宇佐美。どんだけ守備頑張っても宇佐美の場合、監督は評価しないよ。だってチームでは守備やってないんだもの。守備やってない選手を代表に呼んだのは、宇佐美は点取れるからでしょ。だから、点取れないと、次呼んでもらえないよ宇佐美。守備しねー選手だって事はハリルホジッチは百も承知だよ。なんで宇佐美は点とりましょう。守備やってエエトコ見せようとか考えないでいいから。





ガンバ大阪・藤春廣輝



動画は特になしです。この選手で僕が一番驚いたのは「広島のミキッチにスピードで追いつける」って所です。左SBとしては破格のスピードでして、ミキッチにスピード負けしないのは彼くらいなんじゃないの?と思います。えっとですね広島のミキッチなんですが、湘南とやった時、湘南の高山をスピードでぶっちぎったのみて、「化け物だな」と僕はしみじみ思った選手なんですよ。高山はJ1でもスピードがある方なんですが、その高山をスピードでぶち抜いたので、ホントに驚いたんです。ただ、ガンバ対広島の試合見てたとき、ミキッチがいつもなら抜ける所で、藤春は振り切れないんですよね。それを見て「うわー、はええ藤春」と感心した事があります。まあ、この試合は彼のスピードはあんまり発揮されませんでした。チュニジアの左SBの所を日本代表が集中砲火してたせいもあり、ストロングポイントは出せませんでしたね。そーゆー意味じゃ、彼も被害者です。






本日はこのあたりで。次のウズベキスタン戦も、この分なら面白い試合になりそうなので、レビューを多分やります。ではでは。

2015JALチャレンジカップ 「日本対ウズベキスタン」のレビュー

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さて皆さん、こんにちは。本日は先日行われました「日本対ウズベキスタン」のレビューをお届けします。有り難い事に、ブログ書きやすい試合でして、サッカーブロガーとしては助かります。アギーレ・ジャパンの時は何とも書きにくい試合ばかりで困ってましたのでね~(遠い目


まず試合内容からなんですが、試合は5-1で日本が勝ちました。



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有り難い事にyoutubeにフルマッチ動画がupされてたんで貼っときますですよ。ちょっと画質悪いですけどもね。とりあえず、フルマッチ動画を紹介した上で、試合内容のレビューに参ります。有り難い話ですけど、ハリルホジッチ監督は、結構システマチックなサッカーやるようで、レビュー書きやすいタイプです。ホントに有り難い話です。


日本対ウズベキスタン、ハリルホジッチのサッカーの攻撃パターンの話

さて、まずは新監督さんのサッカーの話から行きましょう。まだ就任して間もないハリルホジッチ監督ですけど、攻撃面では、かなりシステマチックな攻撃やってまして、どういうサッカーやるのかってのが試合から大体わかる人なんです。


前回のエントリで、ハリルホジッチのチームの前線のコンビネーションの話をしましたけど、今回の試合を見て、前のコンビネーションの狙いは大体理解できたんで、「ハリルホジッチサッカーの前のコンビネーション」について、ざっとまとめておきます。



図でやりますけど、ハリルホジッチさんのサッカーですが、


1,WGが降りてくる
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まず、こーいう感じで、ボランチが前を向いてボールをもてるとWGがSHとボランチの間に降りてきます。ここから、ハリルホジッチ・サッカーの攻撃はスタートします。CBがボールもって持ち上がったり、SBが前むいてボール持てた所でも、基本はWGが降りてくるトコから、前の選手が動き始めます。




でもって、前回のエントリで紹介した事ですが、


2,WGのフリックからトップ下、もしくはSBへボールを流す
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こーいう攻撃は前回の試合でやってました。ボランチが降りてきたWGにボールを当てて、WGがボールをフリックしてトップ下に落とす、もしくはオーバーラップしたSBに落とすって形です。前回のエントリで「フリック」って何?という人がいたので説明しておきますが、「パスされたボールを少しかすらせ、ボールを後方へ送る技術」って所になります。これによってDFを引きつけて、DFの裏のスペースに人とボールを送り込むってのが狙いになります。



前回のエントリの流用ですいませんが、


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流れとしてはこういう形になります。チュニジア戦の後半は香川と本田でこれやってましたね。



で、ウズベキスタン戦になるのですが、このやり方の発展系が幾つか見られたので、それを説明しときますが、まず、



3,トップ下の動きで相手のボランチを動かし、中央へ楔のパスを打ち込み、ポストプレーからの展開
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この形。これは前半5分の日本の先制シーンがこのやり方です。前半15分にも同じやり方でやってましたが、キャプでやると、



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これは前半15分の時の奴です。この時は岡崎が挟まれちゃいましたが、前半5分の奴は、



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この形で楔を入れて、そこからシュートまでいけてます。この後、日本はCKから青山のダイレクトボレーが炸裂して先制しました。この日の試合なんですが、前回のチュニジア戦でWGがフリックでトップ下にボール落とす攻撃を多用したせいかウズベキスタンはそっちを警戒しており、ボランチがトップ下の香川にぴったりついてくる事が多かったです。ただ、香川にボランチがついてくるなら、こーいう風に動けば、中央に楔入れる事が出来るようになります。この形の攻撃で、いきなり先制できたのはホントにラッキーでした。ついてます。相手がこの攻撃に慣れる前に点とれたのでね。




ちなみに、降りてくるWGにSBがついて来ない場合、




4,WGにSBがついてこないなら、WGが前向いて、好きにやればよい
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こーなる訳ですが、あそこのスペースでWGが前向けたら、後はWGが好きにやればいいだけなので割愛します。普通は、あそこでは前向かせてもらえませんけど、たまーに相手がポカして前向けることがあります。この日の試合だと、前半28分に本田があそこで前向けてます。キャプ載せときますけど、


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このシーンですね。ここは日本のCBから降りてきた本田にパスが通って、あっさり本田が前向けたので拍子抜けしたシーンです。




さらに、もう一つやっておきますが、


5,サイドチェンジせず、SBの裏に流れて来たCFにボールをつける
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こーいうのもありました。キャプでやると前半31分のシーンなんですけど、


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こーですね。このシーンで面白いのは、うっちーからサイドチェンジするんでなく、縦にいっちゃうんですわ、このチーム。「ほえ~、サイドチェンジはあんまし使わないのねえ・・・WGが中に入る訳だ・・・」という感じです。ここでサイドチェンジせず、SBの裏に流れて来たCFにボールつけるなら、WGが中にガンガン入ってきても良い訳ですわね。




ちなみに、オーソドックスな攻めですけど、


6、WGの裏への抜けだし
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こーいうのも当然やってます。前半13分の乾の裏抜けがそれです。ここはキャプでやらんでもいいですよね。




これで、大体、この2試合で見られたハリルホジッチの攻撃パターンを説明し終えたのですが、攻撃面で特徴的だと思うのは、大きなサイドチェンジをあんまし使わないって所です。この試合の3点目はサイドチェンジからなんで、全く使わないってサッカーではないんでしょうけど、サイドチェンジを多用するタイプのサッカーではない感じです、ハリルホジッチ。もっとも2試合しかやってないので、もうちょっと見てみないとわかんないんですけどね。


一応、サイドチェンジをしてるシーンもある訳なんで、もうちょっと見てみる必要はあります。


ざっとまとめてしまうと、ハリルホジッチのサッカーの攻撃は、「縦に早く」なので、下がってくるWGと、サイドに流れてくるトップ下、CFのオフザボールでDF動かして、前に縦パスをつけていく形みたいです。それと、この2試合みる限り、サイドチェンジの優先順位はあんまし高くないっぽいです。理由はそんなに沢山サイドチェンジしてなかったのと、WGがやたらと中に入ってくるのをみたからです。なんで、ザックみたいな「WGは外に張ってろ」ってタイプじゃないみたいですね。



あと、もう一つ、セットプレーなんですけど、この試合、「素早いリスタート」を日本代表は使ってまして、前半21分、前半41分に素早いリスタートから、良い攻撃出来てます。ここも前任者との違いが出てまして、セットプレーの時、相手が整う前に始めちゃう方が良い派ですね。



さて、ここまで攻撃の話ばかりしてきましたが、

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攻撃の話の〆として、各ゴールの解説を。


1ゴール目は青山のダイレクトボレー。これはゴラッソでした。


2点目は、ちょっと説明が必要で、日本陣内での日本のスローインからなんですけど、この時、何でか青山から香川へのパスが通って、逆サイドの乾までボール運ばれちゃってるんですね。これはウズベキスタンのミスで、相手陣内からのスローインを簡単に逆サイドに運ばせちゃダメなんです。基本的に、相手陣内でのスローインの場合、ボールサイドに全体をスライドさせる訳ですから、あんな風に簡単にサイドチェンジさせてしまうとピンチになるのは必然なんです。


3点目もウズベキスタンのミスです。セットプレーからですけど、ボールより後ろに二人しかおらず、その上、ミスがでて、ボールより後ろに一人しかいない状況が出来た時点で、もうアレでした。その上にGK飛び出したんで・・・・


4点目は宇佐美の個人技です。この選手には前から期待しておりまして、やっと代表初ゴール決めてくれて嬉しい限りです。こーいう風に一人で点が取れるから、僕はコイツを別格扱いしてるんです。



5点目、これは嬉しい川又の代表初ゴール。前回のエントリでも扱いましたが、川又って選手、「点を取ってチームに貢献するタイプのFW」でして、守備がんばるとか、ポストプレーとか、そっちでは、それほど役に立つタイプじゃありません。なんで、とにかく点が欲しかったんですけど、結果が出せて良かったです。点が取れたので、次回も呼んでもらえると思います。





日本対ウズベキスタン、日本代表の守備の話


さて、今回の試合なんですが、日本が5-1で大勝しました。なので、あんまり守備の細かい事をネチネチ言うような試合ではないのですが、やっぱり気になった点があるので、その点について述べておきたいと思います。気になった部分ってのは、主にこの試合の後半の話でして、ウズベキスタンが後半開始から攻勢にでてきた事と関係があります。




えっとですね、この試合の後半の開始から、ウズベキスタンはSBを積極的にあげて来るようになってます。で、攻撃時に4231でなく、3421に変形して攻撃してました。日本は442で守備をセットしてましたので、3421に変形されるとフォーメーションのミスマッチが引き起こされます。



この試合、後半始まってから、0:36に左サイドで裏を取られているのですが、この時は、上がってきたSBのマークを乾が外してしまった事が原因になってます。前半はSBはあまり上がってこなかったんですが、後半になると積極的に上がってきてました。


そして、後半2:04の時は、青山がマーク外して裏取られてますし、後半4:45の時は左SBに入った太田が一対一でやられてクロス上げられてます。これ、全部左サイドでやられました。



これね、相手チームが攻め方を変えてきた直後で混乱してましたし、最初はしょうがないんです。こういう風に後半から攻め方を変えられると、守備で混乱しちまうのはしょうがない事です。



この試合の場合、後半8分に日本がウズベキスタンのミスもあって、2点目を入れる事が出来たから良いんですけど、その前に点取られてたら、面倒な事になってました。もっとも、この試合の場合、後半のゴールラッシュは、後半からウズベキスタンがSBをガンガン上げて攻撃してきてくれたおかげな部分もある訳で、ウズベキスタンがやった事は諸刃の剣的な部分もあるんです。




この試合、日本代表は危ない部分もありましたが、まあ、そこそこ守れてはいました。ただ、見逃せないのが、後半19分と、後半29分のシーンなんです。



まず、後半19分の日本の守備の話なんですけど、日本陣内の左サイドでウズベキスタンがスローイン取った所からなんですけど、サイドの3対3であっさりやられて、PA内でシュート打たれてます。この時はウズベキスタンが外してくれたからよかったものの、3対3で簡単にやられてしまうのは頂けません。左サイド、ちょっと簡単にやられすぎてるんですよね、ここまで。



ただ、一番気になったというか、「やっぱり、あーなっちゃうか・・・」と思ったのは、後半30分に起こった事なんですけど、バイタルでフリーでウズベキスタンの10番にシュート打たれたんです。この時の流れなんですけど、



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まず、ココになるんですけどね。日本の右サイドが攻められている時、左サイドの宇佐美は、あんまし中に絞らないんです。この問題は、攻撃性の強いサイドアタッカーを使うチームで頻繁に生じるんですが、実質的にFWといって良い選手をサイドで使う場合、逆サイドを攻められている時、その手の選手は中央に絞るって行動をあんまり取らない傾向があります。その結果として何が起こるか?というと、



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こういう流れになるですよね。ここなんですけど、442相手で、つけ込みやすいポイントでして、44ブロックの逆サイドのWGの絞りが甘い場合、壁パス使って逆サイドのWGとボランチの間のギャップにボール運んで、そこからフィニッシュってのが狙い所の一つになります。実は、これ、宇佐美の得意なプレーの一つでもありまして、自分が得意な攻撃を相手にやられた格好なんです。



ちなみに、その後、宇佐美なんですが、ウズベキスタンに全く同じ形でやり返してるんですけど(ココが今回のエントリの肝)、




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これなんですよね。こっから先は宇佐美がドリブルで切り込んでゴール。まさに宇佐美というゴール。強力なアタッカーなら、あのエリアで前向けたら一発で持っていくよ、という典型例みたいなゴールでした。



なんというか、ウズベキスタンの10番に宇佐美が格のの違いを見せつけた、みたいなシーンでして、宇佐美が、「ねぇねぇ俺は一発で決めたけど今どんな気持ち?今、どんな気持ち?」とか相手の10番煽りに行ったら面白かったんですが、言葉わからないでしょうから無理ですわいな。





冗談はさておき、こういった守備の問題は、実はJ1の鹿島だったり、川崎が抱えている問題だったりもします。鹿島と川崎の話は、日を改めてやりますけど、要は、サイドに攻撃性の高い選手を起用すると、4-4でブロックを組む際に、こういった問題が生じやすいって話なんです。



ただ、宇佐美のゴールみればわかる通り、強力なアタッカーを持ってるチームなら、壁パスから、あのエリアにボール運べば、一発で決めてくれる可能性もある訳です。例えばですけど、宇佐美の代わりに、湘南の高山使えば、守備の問題は生じません。高山は全くサボらずサイドで上下動しますが、高山は宇佐美みたいなプレーは絶対できません。




さあ、どうします?ここは考える時間です。



ここで守備はどうでもいいから、とりあえず点取れるアタッカーをサイドにぶっ込むと川崎になります。サイドは点取ってるけどCFが点取れない・・・となると鹿島になります。サイドで攻守に走り回れるけど点は取れないってのが、湘南の高山です。



守備できて、宇佐美並の個人技持ってて、点も取れる、そんなウィンガーがいたら、どんなに素晴らしいでしょう。でも、そんな奴、絶好調時のリベリーくらいですわ。



そりゃ、WGの不味い守備で負ける事があるかもしれませんよ。でもね、FWが点取れなくて負けた試合ってのも多いんですよ、サッカーって。UAE戦なんて、モロにそれでした。サッカーってスポーツじゃ、FWがチャンスに点取れなくて負ける試合、これ、多いんですよ。



宇佐美については、色々欠点はありますよ。でもね、あそこで前向いて、個人技一発で1点取れるアタッカーなら、守備に目をつぶって使う価値があります。間違いなく。点取れる選手ってのは、ようするに「チャンスに点が取れなくて負ける試合」を減らしてくれるんです。(チャンスがほとんどないのにチーム勝たせてしまう化け物もいますが)


この試合、柴崎が途中からトップ下に入ってましたが、柴崎くんね、これから、多分、宇佐美とは日本代表で長くつきあっていく二人になると思うのよ。


でね、宇佐美は守備できないの。柴崎ね、トップ下に入ったら、宇佐美の尻ふきお願いね。宇佐美は、守備ホントダメで、宇佐美をサイドで使う場合、バイタルのカバーはトップ下がやらないとダメなの。つまり、柴崎がボランチの位置まで下がって守備やらないといけない。



でね、宇佐美は周囲に守備で絶対かけるタイプの選手だから、点とらないとダメなんだよ。だから点とれ宇佐美。宇佐美については、ホントにそんだけ。点取ればいいのさ。



これから先、日本代表でサイドで宇佐美使うなら、宇佐美のお守りをボランチとトップ下がしていく事になると思うけど、それだけの価値がある選手なんだ。だから、よろしく頼みますわ。(ちなみにガンバの場合、今ちゃんとサイドの二人が宇佐美の尻ふきやってます。)




今日はこの辺りで。ではでは。



今回に関しては、まとめは特にありません。川崎と鹿島の話は、又、別の日にやります。

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